岩屋毅外相がASEAN外相会議で初来馬

【クアラルンプール】 岩屋毅外相は、東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議の出席のため、昨年10月の大臣就任後初めてマレーシアを公式訪問する。11日にマレーシアと日本の共催で開かれる、パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)では共同議長を務める。

第58回ASEAN外相会議は8―11日にクアラルンプール・コンベンションセンター(KLCC)で開催され、岩屋外相は9日の到着が予定されている。四方敬之 駐マレーシア日本大使はベルナマ通信などの取材に対し、「今回の訪問は、日本の東南アジアへの深い関与と、人道支援やエネルギー転換、教育、海洋安全保障に至るまで、地域および世界の主要課題についてマレーシアと緊密に協力していくというコミットメントを反映している」と説明した。

また2013年に発足したCEAPADでは、パレスチナに対する人道支援と開発支援に今後どのように取り組むかが議論され、日馬両国が協力して重要な役割を果たすことが期待されている。
(ザ・サン、ベルナマ通信、7月6日)

見守り介護ロボの日系ZIPCARE、UKMなどと共同研究開始

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 介護機器などを手掛けるZIPCARE(ジップケア、本社・東京都千代田区)は3日、高齢者の健康モニタリングと人工知能(AI)解析に関し、マレーシア国民大学 (UKM)などとの共同研究の開始を発表。今後、マレーシアなどでの事業展開を目指していく。

同社は見守り介護ロボット「MAMORUNO(マモルーノ)」を開発。ベッドなどに設置したセンサーを通じて高齢者の離床、起床、呼吸変化、脈拍変化や居室環境などを非接触で常時モニタリングすることができる。

今回、UKMと、UKM発のスタートアップ企業、IDNAアイデアズと提携。今月から、セランゴール州バンギの介護施設、セルケア・サキナに同ロボット10台を導入した。得られたデータを基に、ケアの負担軽減や事故リスク低減に向け検証していく。

同社はマレーシアを選んだ理由として、急速に進む高齢化を挙げる。2030年までに全人口の15%以上が65歳以上になると予測されている一方で、日本のような公的介護保険制度が存在しないため、家族介護への依存、民間施設での介護の質などが問題になっていると指摘。データを解析し、日本の要介護分類に基づいてマッピングし、マレーシアの現場に適応した独自ケア基準を策定するなど、科学的介護を推進していきたいとしている。

同社はマレーシアでの拠点設立や東南アジアへの事業展開を視野に入れており、坂本創志 最高経営責任者(CEO)は「”超高齢社会の先進国”として日本で培った、高齢者個人の尊厳を尊重したケアのスキルとノウハウを、今後マレーシアを起点にアジア諸国とも共創していきたい」としている。

ぴあがマラヤ大学との連携開始、言語学部の「花火大会」に協力

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ぴあ(本社・東京都渋谷区)は、グローバルリージョン展開強化の一環としてマラヤ大学言語学部と連携していくことで合意覚書(MOU)を締結したと発表した。

まずは同大学主催イベントに対し、日本コンテンツの提供、出演者ブッキング、協賛営業、イベント運営支援等を通じて、日本文化の交流を行う。将来的には、ぴあが架け橋となり、日本とマレーシアの間での人材・文化交流を拡充していく予定。また、各国政府、文化機関、現地企業との連携なども視野に入れて活動を推進していく。

第1弾の取り組みとして、同大学の公認サークル「ジャパニーズ・クラブ・ユニバーシティ・マラヤ (JCUM)」が主催する学内イベント「花火大会」(6月28日開催)に協力名義で参画した。ぴあが落語協会、ホリプロインターナショナルの協力を得て、出演者をブッキング。落語家の柳家喬之助、林家楽一、歌手・作詞家の大木貢祐が登場し、それぞれ落語、紙切りといった古典芸能や、アニソンライブなど、日本ならではのカルチャーを披露した。

糖尿病重症化予防のセカンドハート、マレーシアで事業を展開

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 糖尿病重症化予防に取り組むセカンドハート(本社・京都府長岡京市)は6月30日、糖尿病による足切断をなくすことを目的とした足ケア管理アプリ「ステップライフ」が総務省の支援事業として採択されたと発表。今後、マレーシア社会保障機構(PERKESO)との連携など海外展開を加速させるという。

2019年創業のセカンドハートは、糖尿病に特化した予防事業を手掛けている。糖尿病の場合、神経障害や血流障害が発生し足にトラブルが出やすくなり、重症化すると切断が必要になる。日本では糖尿病患者約1000万人のうち年間約1万人が切断を余儀なくされている。このため同社は独自にアプリを開発し、足の状況を日々記録し、ケアにつなげている。

今回、このアプリを通じ、総務省の「安全性・信頼性を確保したデジタルインフラの海外展開支援事業」の地方枠に採択された。糖尿病が社会問題化しているマレーシアを皮切りに、官民連携体制を確立。英語やマレー語などアプリの多言語化や、現地の実情や文化的背景などを考慮した改良を図っていく。

5月のマレーシア人訪日者数、前年同月比30.7%増の5.17万人

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2025年5月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は5万1,700人となり、前年同月比で30.7%増、前月比では1.0%増となった。

査証免除措置による訪中旅行への人気の高まり等があるものの、祝日やスクールホリデー、マレーシア・リンギ高などの影響もあり、訪日外客数は5月として過去最高を記録した。1―5月の累計では29万5,900人となり、前年同期比で34.6%の大幅増となった。

5月の世界全体の訪日者数は、前年同月比21.5%増の369万3,300人。5月としては過去最高だった2024年の304万294人を65万人以上上回り過去最高となった。1―5月の累計では1,814万100人となり、前年同期比23.9%増となった。

桜シーズンと夏休みシーズンの間に挟まれ訪日需要が落ち着く時期であるものの、一部市場で祝日やスクールホリデーに合わせた訪日需要が高まったことにより、中国、フィリピン、米国を中心に訪日外客数が増加したことが全体の押し上げ要因となった。

高級和牛のゼンリッチ、年間最多輸入量でASEAN記録達成

【クアラルンプール】 高級和牛の輸入を手掛けるゼンリッチ・アライドは、年間最多の日本産和牛輸入量を達成したとして、東南アジア諸国連合(ASEAN)におけるさまざまな記録の顕彰団体「ASEANレコーズ」の認定を受けた。

ゼンリッチは昨年、牛600頭分、19万2000キログラムを輸入した。宮崎、鹿児島、北海道などの生産者から直接仕入れを行っている。マレーシアイスラム開発局(JAKIM)と、日本の認証団体のハラル(イスラムの戒律に則った)認証を得た高級和牛を、マレーシアのホテルや焼き肉店などに提供している。

またゼンリッチは、初の直営店「Wagyu by La Moon」をクアラルンプール(KL)にこのほど開業。開業に合わせてASEANレコーズの認定式が行われ、日本政府観光局(JNTO)KL事務所の尾崎健一郎所長や、日本貿易振興機構(ジェトロ)KL事務所の高野光一所長らが出席した。

ゼンリッチは、創業者が日本留学中に和牛農業で働いたことをきっかけに、2015年に創業された。直営店の2号店を三井ショッピングパークららぽーとブキッ・ビンタンシティセンター(ららぽーとBBCC)に近く開業予定のほか、3号店も計画しており、今年は800頭以上の輸入を目指しているという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月25日、ASEANレコーズ発表資料)

全日空、マレーシアなどからの訪日客サービス向上で2社と提携

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 全日本空輸(ANA、本社・東京都港区)は24日、マレーシアなどアジアからの訪日観光客へのサービス向上のため、オンライン専業旅行代理店のトリップドットコム、日本情報発信メディアを運営するマイクロアド(本社・東京都渋谷区)の2社との連携をそれぞれ発表した。

トリップドットコムとの連携は、ANAのウェブサイトと同様のサービスを、日本発だけでなく、マレーシアを含めたアジア12カ国発に関してもトリップドットコム上で提供できるようにするもの。航空券を公式サイトと同じ運賃で予約・発券できるだけでなく、基本的な変更・払戻の手続きなども可能になる。

これは、NDCと呼ばれるIATA(国際航空運送協会)の新しい通信規格を利用するもので、ANAの近藤寛之グローバルセールス部長は「顧客ニーズに応じた利便性の高い運賃やサービスを国内外のお客様に提供できるよう、引き続きNDC接続による販売網を拡充していきたい」としている。

また、マイクロアドとの提携では、「ジャパホリック」のクーポンサイトを、クアラルンプール新国際空港(KLIA)のANAの搭乗カウンターで案内する。ジャパホリックは主にアジア圏の親日女性をターゲットに、ショッピングやファッション、美容情報などを多言語で発信している。マイクロアドはインドネシアでも同様のサービスを行っており、今後、他国でも展開していくという。

国際協力銀行、太陽鉱工のマレーシア法人に協調融資

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国際協力銀行(本社・東京都千代田区、JBIC)は23日、太陽鉱工(本社・兵庫県神戸市)のマレーシア法人、太陽鉱工マレーシア(TKMSB)との間で、融資金額30億円を限度とする貸付契約を締結したと発表した。

今回の融資は、日本の民間金融機関との協調融資により実施するもので、協調融資総額は92億円。TKMSBがパハン州において実施する使用済み脱硫触媒からのモリブデンおよびバナジウムの分離回収事業に必要な資金を融通する

太陽鉱工は1949年に兵庫県で設立された非鉄金属類の製錬を主業とする中小企業で、モリブデンおよびバナジウムの製錬、販売を主体に、レアアースやジルコニウム、セラミック原料などのマテリアルの開発・製造を行っている。同社は使用済み脱硫触媒を引き取り、当該廃触媒からモリブデンおよびバナジウムを回収して再利用する事業の開始に伴いTKMSBを設立した。

JBICは太陽鉱工への協調融資について、太陽鉱工の海外事業展開支援を通じて、マレーシアの循環型社会構築に貢献するとともに、地球環境保全に資するとしている。

JS-SEZは今後の日馬関係に戦略的に重要=アンワル首相

【クアラルンプール】 ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)に日本からの関心が高まっていることに関し、アンワル・イブラヒム首相はマレーシアとシンガポールの強固な基盤に基づく信頼性を強調。日本からの投資を通じ「JS-SEZは今後の日本とマレーシアにとって戦略的にますます重要になる」との見方を示した。

アンワル首相は19日、ジョホール州で開かれたフォーラム「メディニ・ジョホール2025」で発言した。同フォーラムはイスカンダル・インベストメント(IIB)などが主催した。

またフォーラムに登壇した四方敬之 駐マレーシア日本大使は、今後の両国関係においてグリーンテクノロジー、交通インフラ、教育交流の3つの主要分野の重要性を指摘。同州で急増するデータセンターに付随するエネルギー関連での投資や、問題化している交通渋滞解消に向けた協力、共同学術プログラムの創設などの可能性について語った。

州政府傘下の投資誘致機関「インベスト・ジョホール」のナタザ・ハリス最高経営責任者(CEO)は「日本からの投資に必要な枠組みと支援体制は整っている」と述べ、より多くの投資獲得に向け対策を強化していくとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、フリー・マレーシア・トゥデー、6月19日)

豊田通商、サバ州のリチウム電池用銅箔製造会社に出資

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 豊田通商(本社・名古屋市)は、韓国SKグループでリチウムイオン電池部材の銅箔を製造するSKネクシリス(SKNX)と、マレーシア子会社、SK ネクシリス・マレーシア(SKNM)の株式譲渡契約を締結したと発表した。

車載用電池製造に欠かせない高品質の銅箔を安定的に調達・供給することを目的としたもので、出資金額は1億1,000万米ドル(約160億円)。SKNMはサバ州に年間5万7,000トンの生産能力を持つ工場を有し、豊富な水資源で発電された100%再生可能エネルギー由来の電力を利用し、車載電池用銅箔製造を行っている。

豊田通商は、同工場で製造された低炭素かつ価格競争力のある銅箔製品を、日本や北米を中心とする電池メーカーに供給していく予定。将来的には、豊田通商のグローバルなネットワークを活かし、市場ニーズを取り込みつつSKNMと連携し、次世代の車載用電池開発に必要な銅箔の開発も検討していく。

リチウムイオン電池は、電動車の普及に伴い、今後もさらなる需要の増加が見込まれている。豊田通商は、車載用電池関連ビジネスを次世代に向けた成長の柱として位置づけ銅箔をはじめとした車載用電池部材のサプライチェーン構築に注力していく方針だ。