レゾナック、三井物産とCCS共同検討に関する覚書を締結

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 化学素材・機能材料のレゾナック・ホールディングス(本社・東京都港区)は2日、三井物産(本社・東京都千代田区)との間で、レゾナックの大分コンビナートで排出される二酸化炭素(CO2)を回収してマレーシア沖の地下へ貯留するCCS(CO2回収・貯留)に関する共同検討の実施について、覚書を締結したと発表した。

三井物産は、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)などとマレーシア沖でのCCSプロジェクトを共同で進めており、本覚書の締結は、同プロジェクトを貯留地として想定し検討するもの。レゾナックにおけるCCSおよび輸送などを含むバリューチェーンの構築を目指す。

三井物産のマレーシア沖でのCCS事業は、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の先進的CCSに採択されており、早期実現性が高く、今後の効果が期待できると判断し、本共同検討に合意したという。レゾナックは大分コンビナートで排出されるCO2の分離・回収と液化・貯蔵、輸送事業者への引き渡しを、三井物産はマレーシアまでの液化CO2の海上輸送とマレーシア沖での地下貯留を担い、それぞれで必要な技術的要件の検証およびコストの概算などの検討を進めていく。

レゾナックは、「2050年カーボンニュートラル」に向け2021年に、2030年時点での温室効果ガス(GHG)排出量削減目標を、「2013年比30%削減」と設定している。本共同検討を通じたCCSの早期導入検討をはじめ、脱炭素化に向けてあらゆる選択肢を検討することで、2050年カーボンニュートラル社会の実現への貢献を目指す。

火力発電のジェラ、ペトロナスとCCS事業化を共同検討へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 火力発電・ガス事業に携わるジェラ(JERA、本社・東京都中央区)は2日、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)の子会社であるペトロナスCCSソリューションズ(PCCSS) との間で、JERAが日本国内で排出する二酸化炭素(CO2)の分離・回収およびマレーシアへの輸送・貯留の事業可能性調査について、初期的な共同検討の実施に関する合意書を締結したと発表した。

合意に基づき、同社が日本国内で排出するCO2の分離・回収、輸送方式や出荷・受入条件等の両国間輸送に関する検討、さらにマレーシアのガス田への貯留に至るまでのバリューチェーン全体を対象に、事業の実現可能性について共同で検討していく。

JERAは東京電力フュエル&パワーと中部電力との合弁会社。「JERAゼロエミッション2050」を掲げ、2050年時点で国内外の事業から排出されるCO2の実質ゼロに挑戦しており、CO2回収・貯留(CCS)事業の推進に向けて、CCS技術の評価、経済性等の検討を加速していく方針だ。

日揮、グリーン水素・MCH製造プラントの基本設計を受注

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日揮ホールディングス(本社・神奈川県横浜市)は2日、海外で設計・調達・建設(EPC)業務を手掛ける全額出資子会社の日揮グローバルが、サラワク州でグリーン水素製造プラントとメチルシクロヘキサン(MCH)製造プラントの基本設計を受注したと発表した。

日揮グローバルは、ENEOS(本社・東京都千代田区)と住友商事(本社・東京都千代田区)がマレーシアで計画を推進する年産9万トン規模のグリーン水素製造プラントと、製造された水素をMCHに転換するプラントの基本設計を行う。

製造された水素のうち、年産2,000トンは地元の需要者向けに供給される予定。水素ガスの500分の1の容積であるMCHは、常温常圧の液体。貯蔵や輸送など取り扱いが容易なことが特徴で、日本の需要地に海上輸送する。

住友商事とENEOSは昨年12月、サラワク経済開発公社(SEDC)傘下のSEDCエナジーとマレーシアにおけるクリーン水素サプライチェーン構築に向け共同開発契約を締結していた。

長瀬産業、マレーシアの半導体加工製造に10億円投資

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 長瀬産業(本社・東京都千代田区)は2日、マレーシアにおける半導体ウェハバンピング受託加工製造に10億円を投資し、設備を拡充すると発表した。

長瀬産業の子会社で、半導体および電子部品向け製造装置の販売や半導体ウェハバンピング受託加工製造を展開する独パッケージング・テクノロジー(パックテック)が、ペナンに拠点を置くパックテック・アジアに設備投資する。半導体ウェハバンピング受託加工製造装置を増設し、注力領域である半導体分野等の製造機能を強化する。スマートフォンや電子機器全般に使用されるウェハレベルパッケージ(WLP)受託加工市場でのシェア拡大を図る。

スマートフォンや電子機器全般に使用され、半導体の高度化や低消費電力化への寄与が期待されるパワー半導体等のニーズの高まりを受けたもので、新たに増設されるラインは2024年4月以降順次稼働予定。これにより生産能力が約1.5倍となると見込んでいる。

パックテック・アジアは、無電解めっき方式のWLPをコア技術としており、グローバルのWLP受託加工市場で世界有数のシェアを有している。無電解めっき方式のWLPは、低コストかつバッチ処理による大量生産に適していることから主にミドル・ローエンド製品向け半導体に使用されている。しかし近年では半導体の高機能化(複合化)や3次元化が進むなか、ミドル・ローエンド向けの半導体製造工程をハイエンド向けに使用する動きが検討されており、無電解めっき方式のWLP市場が拡大することが見込まれるという。

車載電子部品製造のベータメック、三信を1344万リンギで買収

【クアラルンプール】 自動車向け電子部品製造サービス(EMS)のベータメックは1日、三信電気(本社・東京都港区)の現地法人で、チューナーやカーステレオの製造に携わる三信エレクトロニクス(マレーシア)を1,344万リンギで買収すると発表した。

ベータメックがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、三信の製品や生産能力が加わることで、ベータメックの製品ラインナップが広がり利益率が向上し、自動車、家電、工業製品の分野において日本、香港、タイなどのすでに確立された市場に即参入できると述べた。ベータメックが中国・深セン市衆鴻科技との合弁で開発する新製品の生産サポートも期待できるという。買収は9月までに完了する予定で、買収資金はすべて内部資金で賄う。

ベータメックのムハンマド・ファウジ取締役は、三信の買収によるシナジー効果に期待していると言明。マレーシアと東南アジア全域の電気自動車や自動車部門の進化するニーズに対応し、革新的なソリューションを提供していくと述べた。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、4月1日)

インターネット接続のIIJ、海外顧客向けITサポートを強化

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 インターネット接続サービスのインターネットイニシアティブ(IIJ、本社・東京都千代田区)は1日、海外顧客向けITサポートサービス強化に向け、同業務をマレーシア現地法人であるPTCシステムズに移管し、同日付けで運営開始したと発表した。組織運営を効率化するとともに、「IIJグローバルサポートセンター」として提供業務を拡大する。

従来は、約300社の海外進出企業および現地企業向けのバイリンガルITサポートサービスは、IIJグローバル・ソリューションズ・シンガポールが2019年にマレーシアに開設した地域事務所が担当していたが、地域事務所の形態では営業活動に制限があったことから移管を決定した。PTCシステムズが担当することにより、マレーシアおよび他国の現地企業や海外進出企業の要望に直接対応できるようになる。IIJは2023年12月にシステムインテグレーション(SI)事業を営むPTCシステムズの全株式を取得し、完全子会社化したと発表していた。

「IIJグローバルサポートセンター」では現地企業や海外進出企業の要望を汲み取りつつ、より高品質なITサポートサービスを提供していく方針だ。

ジェトロKL、日系企業の脱炭素化への取り組みカタログを発表

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は3月29日、マレーシアの脱炭素化に貢献する日系企業の取り組みをまとめたカタログ「マレーシアの脱炭素化に貢献する日系企業の製品・サービスカタログ」を公開した。

カタログでは、マレーシア政府が2023年7月に発表した「国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)」で指定された重要6分野10基幹事業に沿った取り組みを行っているスタートアップ8社を含む17社を掲載している。所在地別内訳はマレーシアが5社、日本が9社、シンガポールが2社、インドネシアが1社。規模別では非上場企業が5社、スタートアップ企業が8社、上場企業が4社となっている。

マレーシア政府は2050年までにカーボンニュートラルを達成することを宣言、脱炭素制作の柱であるNETRを発表し、エネルギー移行に向けた取り組みを本格化させている。ジェトロKLは、脱炭素化がマレーシアにおいて日系企業がビジネス展開する上で把握しておくべき重要なトレンドとなる中、日系企業による、マレーシアでの事業活動における脱炭素化・排出削減に貢献できるビジネスを紹介するものとして本カタログを作成したと説明している。

JX石油開発、ペトロナスとCCS技術を活用したガス田新規開発へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 JX石油開発(本社・東京都千代田区)は26日、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)の上流部門子会社ペトロナス・チャリガリとの間で、マレー半島沖の高濃度二酸化炭素(CO2)を含む未開発の5ガス田群(BIGST)を対象とした共同操業協定(JOA)を締結したと発表した。アクティブパートナーとして開発計画の作成に積極的に関与していく。

JX石油開発は100%子会社JXニッポン・オイル&ガス・エクスプロレーションを通じ、ペトロナスとの間で、BISSTの生産分与契約(PSC)を締結し、同ガス田の権益を取得している。BIGSTの権益構成は、JX石油開発が50%、ペトロナス・チャリガリが50%となっている。

JX石油開発は、2020年4月から約1年半をかけ、エネルギー・金属鉱物資源機構と共同で、CO2回収・貯留(CCS)技術を用いた既発見未開発ガス田の低環境負荷での開発実現を目指す共同研究を実施した。この共同研究が高く評価され、2022年12月に、CCS を伴う形でのBIGSTの開発技術提案をペトロナスに行うこと、および権益取得の検討を進めることについて覚書を締結していた。今回、PSCおよび JOAを締結のうえ、開発・生産に向けた具体的な検討を進める運びとなった。

BIGSTは豊富な天然ガス埋蔵量(約4兆標準立方フィート)を有することが確認されていたが、ガスと共に高濃度のCO2を含むことから、これまで開発が見送られてきた。天然ガスとともに産出されるCO2を分離・回収して近隣の減退ガス田に圧入することで、BIGSTの新規開発の実現を目指す。

リザーバーリンク、ケダ州での太陽光発電で住商などとJV設立へ

【クアラルンプール】 石油・ガス関連サービスのリザーバー・リンク・エナジーは25日、ケダ州での太陽光発電に向け、合弁会社(JV)を設立すると発表した。

リザーバー・リンクがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、同社は20日付けで100%子会社であるリザーバー・リンク・リニューワブル(RLR)を通じ、住友商事、太陽光発電のMAQOエンジニアリング(MESB)、同SRMウタマ・セランバウ(SUS)との間で株主間契約を締結した。JVには住友商事が49%、RLRが29%、MESBが22%を出資する。

RLRと住友商事、MESBから構成される企業連合体が2023年8月に再生可能エネルギーの販売枠を規定する、環境天然資源気候変動省の「コーポレート・グリーン・パワー・プログラム(CGPP)」で、太陽光発電事業者として選ばれており、販売枠として約30メガワット(MW)が割り当てられている。
(ザ・スター電子版、エッジ、3月25日)

三洋化成が高吸水性樹脂事業から撤退、マレーシア子会社を解散へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 三洋化成(本社・京都府京都市)は25日、高吸水性樹脂(SAP)事業から撤退すると発表。これに関連してマレーシア子会社のSDPグローバル(マレーシア)(SDPM)などを解散すると明らかにした。

2023年度より始動した「新中期経営計画2025」における構造改革の一環で、SAP製造販売を手掛けるSDPMは3月末で生産を停止し、2024年度中に解散する。SDPMは三洋化成が全額出資する、SDPグローバル(本社・東京都港区)の完全子会社で、2018年にジョホール州パシル・グダンに設立された。

三洋化成は、世界的な紙おむつの普及に伴いSAP事業を拡大してきたが、近年ではアジアにおける紙おむつ市場の拡大に伴い、新規参入が相次いだことにより供給過剰の状況が鮮明となり、市場の競争環境が厳しくなっていた。新規参入メーカーのSAP製造技術レベルが向上してきたことにより、品質による差別化を訴求することが困難な汎用製品となったことで、同社SAP事業の収益性が急速に悪化し、2024年3月期の営業利益は約18億円の赤字見込みとなっている。