グローバルハブ、マレーシア留学支援プロジェクトを開始

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 グローバルハブジャパン(本社・東京都渋谷区)は11日、マレーシア高等教育の認知拡大などを目的とした、留学支援プロジェクト「マレーシア・ユニバーシティ・パスウェイ」(MUP)を発表。マレーシアの高等教育省傘下の「エデュケーション・マレーシア・グローバル・サービシズ」(EMGS)と提携し、日本の高校生のマレーシアの大学への進学機会の創出を図る。

同社は2010年創業で、これまでも「マレーシア留学サポートセンター」を運営してきた。新たなMUPでは、マレーシアの大学進学ルートについて高校成績などを目安に整理しながら、大学選択から留学ビザ申請まで一貫した支援体制を提供する。また成績優秀者に対しては、授業料が免除される給付型奨学金の案内なども積極的に行う。現在、「協定校推薦」という枠組みのもと、マレーシアの40大学(国立・私立・欧米大学マレーシア校)と、日本の高校28校が参加しているという。

EMGSは留学ビザの管理を担う機関。日本の民間企業がEMGSと提携するのは初という。EMGSの統計によると、2025年の日本からの留学ビザ申請人数は1,900人超で、国別では第9位で、年々増加傾向にある。

MTUC解散仮処分、新たな組合連合結成の動きが活発化

【ペタリンジャヤ】 団体登録局(ROS)が労働組合の総連合会、マレーシア労働組合会議(MTUC)に登録抹消の仮処分を行ったことを受け、労働法改革連合(LLRC)に所属する複数の労働組合はMTUCに代わる新たな労働組合連合の結成に向けて活動を活発化させている。

全国運輸機器・関連産業労働者組合のN・ゴパル・キシュナム氏は、MTUCの解散は労働運動にとって深刻な影響を及ぼし、労働者は国内外における重要な代表権を失うことになると言明。新たな連合会はマレーシア労働組合連盟(MFTU)と命名され、すでに暫定委員会が設置されていると述べた。ゴパル氏は暫定委員会の下、MFTUの事務局長を務めている。

暫定委員会には、サラワク銀行従業員組合(SBEU)、マレーシア半島船員全国組合(NUSPM)、マレーシア看護師組合(MNU)、サバ医療サービス組合(SMSU)、電子産業従業員組合北部地域(EIEUNR)が参加している。暫定委員会の委員長はSBEUのCEOであるアンドリュー・ロー氏が務め、NUSPMのイクマル・アザム・タナラジ氏が副委員長を務めている。

ゴパル氏は、「MFTUの目標は、マレーシア半島部、サバ州、サラワク州の労働者を代表する、幅広い分野を網羅する連盟を設立し、労働組合法に基づいて登録することだ」と強調。「7月末までに登録に必要な法的要件を満たし、年内に設立総会を開催する予定だ」と述べた。

MTUCは、監査済みの財務諸表および会計帳簿の提出命令に繰り返し従わなかったため、5月7日にROSから暫定的に解散命令を受けた。MTUCは、命令発令日から30日以内に内務相に不服申し立てを行う権利を有する。
(フリー・マレーシア・トゥデー、5月10日)

配車のグラブ、仲間同士での「シェアライド」機能を導入

【プトラジャヤ】 配車サービスのグラブ・マレーシアは8日、グループで1台の配車車両を共有する「シェアライド」機能を発表した。AI(人工知能)を活用し最適ルートを提示し、運賃の割り勘までアプリ上で完結できる仕組みで、個別利用と比べ最大40%の節約が可能としている。

新機能は、同僚同士の通勤や、友人と同じイベントに参加する場合など、少なくとも乗車地点もしくは降車地点のどちらかが同じの複数人によるグループ利用を想定。オンデマンドバスのように、不特定多数の利用者を自動的にマッチングするものではない。

まず幹事となる人が乗車地点と降車地点を設定。共有リンクを通じてグループメンバーを招待し、全員が参加した時点で予約が確定となる。その後、AIが乗降の順番を決め、渋滞状況などに応じて運行中でも柔軟に調整される。

もともとフードデリバリーのグループ注文機能にヒントを得たもので、支払い面の利便性向上が特徴となっている。利用者全員で運賃を均等に分けるか、走行距離に応じて按分するかが選択でき、利用者間での個別精算は不要で、アプリ内で決済が完了する。

新機能に関しては、交通渋滞を緩和し、通勤コストを削減するための幅広い取り組みの一環として、運輸省も導入を支援。8日にはアンソニー・ローク大臣らによる体験イベントも行われた。ローク氏は「こうしたさまざまなサービスと、既存の公共交通システムとの連携を強化することで、自家用車への依存を減らしていきたい」と述べた。

シンガポールなどでは先行導入されており、グラブは今後、インドネシア、ベトナムなどにも拡大していく方針。
(マレー・メイル、スクープ、5月8日、techENT、5月9日)

【総点検・マレーシア経済】第546回:マレーシアが日本の経済安全保障にとって重要な理由

第546回:マレーシアが日本の経済安全保障にとって重要な理由

アンワル首相が6月に訪日する方向で調整されていることが報じられています。脱炭素やエネルギー分野について議論されるとされていますが、さらに踏み込んで、重要物資の調達について包括的なパートナーシップを結ぶことが出来ればよいと考えています。

表は2025年の日本のマレーシアからの輸入(HS六桁レベル)のうち、世界シェア1割以上の品目を金額順に並べたものです。最大の輸入品目は液化天然ガス(LNG)で、金額は53億ドル(約8000億円)、世界シェアは約15%と豪州に次ぐ2位であり、日本にとって重要な調達先です。

LNGは日本の火力発電の柱であり、都市ガスや産業用の熱源としても利用されています。原油と異なり、ホルムズ海峡を経由しない調達がほとんどで、日本のエネルギー安全保障の大きな柱となっています。

2位はパーム油で、輸入シェアは87%に達します。2大輸出国のうちインドネシアは中国・インドなど大口先を重視する一方、マレーシアは日本との取引実績が長く、RSPO・MSPOなど環境基準への準拠率も高いことから、日本企業にとって第1の調達先です。

パーム油は即席麺、スナック菓子、チョコレート、マーガリン、冷凍食品などに広く使われており、家庭用洗剤、シャンプー、石鹸、化粧品の多くにパーム油由来の界面活性剤や脂肪酸が使われています。経済安全保障の文脈で話題になることは少ないですが、実は日常生活を支える大きな柱になっているのです。

3位はアルミニウム合金でシェアは11.7%です。輸入先1位は意外にもUAEで、中東危機の影響が懸念されます。アルミ製錬は電力大量消費型の産業で、マレーシアではサラワク州の水力発電を活用しており、国内製錬がない日本にとって今後一層重要な調達先となります。

4位は合板(熱帯木材)で、シェアは43%に達します。建設業の型枠・構造材に広く使われます。特に、コンクリート型枠用合板(コンパネ)については、輸入財が9割です。コンパネはマンション・橋梁・ダム・道路など、あらゆるRC(鉄筋コンクリート)構造物の建設に不可欠です。つまり、合板は建設業の中核を担っており、安定供給は極めて重要です。

5位はココア脂・油・ワックスで、シェアは68%に達します。カカオの産地といえばガーナ等の印象がありますが、加工品ではマレーシアが輸出の拠点となっています。供給が止まればチョコレート、製菓、化粧品、医薬品などに影響が及び、経済安全保障上の優先順位は低いものの、国民生活の豊かさに直結します。

このように、マレーシアからの上位輸入品目は従来の経済安全保障の枠に収まらないものの、代替が難しくシェアが大きい生活密着型の資材です。レアアース・レアメタルが注目されがちですが、国民生活を守るという意味ではLNG、パーム油、アルミ合金、合板こそが中核です。4月末から5月初頭に鈴木農相がマレーシアを訪問し、尿素(肥料原料、シェア約6割)やナフサ・原油を供給するペトロナス社と安定供給を協議しています。

つまり、マレーシアは日本の経済安全保障にとって、非常に重要な国なのです。しかし、過去を蒸し返すと、2014年1月、当時野党指導者だったアンワル首相が私的に来日した際、成田空港で「犯罪歴がある」として入国を認めなかった失態があります。

今回の来日でマレーシアとの関係を強化することは、日本の経済安全保障を強化する上で非常に重要になります。アンワル首相が「ロック」な人ではなく「右手にコーラン左手にシェークスピア」の人であることを踏まえたうえで、最大限の敬意を持って歓待して欲しいものです。イラン情勢での連携などを考えれば、古代ペルシアからシルクロードで伝わった正倉院宝物「白瑠璃碗」を酒(ノンアル)の肴にすれば、2時間ぐらい会話が弾むはずですが、果たして…

 

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp