KTMコミューター線のセガンブット・ウタラ駅が開業

【クアラルンプール】 マレーシア国鉄(KTMB)コミューター線のセガンブット・ウタラ駅が開業し、15日に開業式典が開催された。ピーク時には上下線共に1時間あたり最大8,000人の乗客を取扱うことが可能で、年間約58万人の乗客が利用すると見込まれている。

新駅はタンジョン・マリム―ペラブハン・クラン線のセガンブット駅とケポン駅の間に位置。鉄道資産公社(RAC)、マレー鉄道公社(KTMB)、そしてUOAデベロップメントの子会社であるIDPインダストリアル・デベロップメントの協力により、3,900万リンギ以上の費用をかけて建設された。

110台分の駐車スペース(うち4台分は障がい者専用駐車スペース)、50台分のバイク用駐車スペース、4基のエレベーター、4基のエスカレーター、屋根付き歩道、点字ブロック、ユナイテッド・ポイントへの直通歩行者通路が備えられている。周辺の道路混雑緩和に寄与し、セガンブット、ケポン、ジンジャン、モントキアラの約9万人の住民に恩恵をもたらすと見込まれている
(マレーシアン・リザーブ、エッジ、ベルナマ通信、5月15日)

中小零細企業を融資で支援、来年末まで申請可能

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)が設定した、資金面で不安がある中小零細企業をつなぎ資金で支援する中小企業安定化救済枠における申請受け付けが15日、開始された。融資枠は50億リンギで、申請は2026年末か枠を使い切るまで受け付ける。

スティーブン・シム起業家開発協同組合相の発表によると、申請できる融資額は1社当たり最大75万リンギ。金融機関が得る利益(または金利)は年3.7%が上限。同省傘下の中小企業開発銀行(SMEバンク)、イスラム式信用組合のバンク・ラクヤットを含む18の金融機関が参加する。

シム氏は、支援を必要としている企業に速やかに資金が提供されるよう、申請受理、認可、交付手続きの加速を金融機関に求めた。

中小零細企業支援ではマレーシア信用保証公社も信用枠を、計画より50億リンギ増やした。
(エッジ、ザ・スター電子版、ビジネス・トゥデー、5月16日)

元閣僚のラフィジ氏とニック・ナズミ氏が離党、議員も辞職へ

【クアラルンプール】 元閣僚のラフィジ・ラムリ氏とニック・ナズミ氏は17日、与党連合・希望同盟(PH)の中核である人民公正党(PKR)を離党し、下院議員職も辞職すると発表した。

ラフィジ氏は元経済相で、ニック・ナズミ氏は元天然資源・環境気候変動相。両氏は2016年に第三の勢力を目指して設立された小党、マレーシア統一党(Parti Bersama Malaysia=ベルサマ)を引き継ぐ意向で、与野党どちらの陣営にも参加しない方針を示している。

下院議員職の辞任について両氏は「反・政党鞍替え法」に抵触するのを避けるためと説明している。両氏の辞任が受理されれば、それぞれパンダン選挙区とセティアワンサ選挙区は空席となるが、両氏は次期選挙においてそれぞれの選挙区からベルサマ所属議員として再出馬する意向だ。

両氏の離党の背景には、いまだ国民戦線(BN)と親密なアンワル・イブラヒム首相を中心とした旧世代の指導部に対する不満がある。昨年行われたPKR党役員選挙でラフィジ氏は副党首選、ニック・ナズミ氏は党首補選に出馬して共に敗れた。

離党発表会見には、PKR所属のウォン・チェン議員(スバン選挙区)、ムハンマド・バクティアル・ワン・チク議員(バリク・プラウ選挙区)、ロジア・イスマイル議員(アンパン選挙区)、ザヒル・ハッサン議員(ワンサ・マジュ選挙区)、リー・チアンチュン議員(ペタリンジャヤ選挙区)も出席しており、PKRの内部分裂の引き金になる懸念も浮上している。
(ザ・スター電子版、ベルナマ通信、5月18日)

【イスラム金融の基礎知識】第592回 イスラム銀行利用における宗教と立地

第592回 イスラム銀行利用における宗教と立地

Q: イスラム銀行利用者にとって宗教と立地は重要ですか?

A: われわれがどの銀行を利用するか選ぶ際は、様々な要因を考慮する。家や職場に近いか、金利が高いか安いか、サービスが良いか悪いか。人により何を重視するか違いはあるにせよ、各要因が銀行選択を左右する。ムスリムが銀行を選ぶ際には、これらの要因以外にも、自身の信仰の熱心さやイスラム銀行が宗教的な点をどのように強調しているかも、選択に影響を与える可能性がある。こうした各要因のうち、宗教と立地がどの程度重視されるかを調査した論文が発表されている。

西ジャカルタ市のメルク・ブアナ大学のユディ・ヘルリアンシャ博士らの研究グループが2020年に発表した論文「中小企業の起業家がイスラム銀行の利用者になる決定要因:宗教・信仰・立地」では、同市の中小企業家125名に対するアンケート調査が行われた。質問項目としては、中小企業がイスラム銀行を利用するにあたって、①起業家自身の宗教性、②イスラム銀行の宗教性、③イスラム銀行の立地、の3点がどの程度重要かを尋ねた。回答に統計処理をほどこし明らかになったことは、自身の宗教性とイスラム銀行の宗教性が銀行選択において有意に影響を与える一方で、立地は有意な影響がみられなかった。すなわち、自身がムスリムであり宗教性を強調するイスラム銀行が存在するならば、職場・店舗から距離があっても取引で積極的に利用するという行動が見て取れたとしている。

もちろんこの調査は、西ジャカルタ市という都市部の人口密集地域で起業した者が対象であり、同国の地方部や他国でも同じ結果が得られるとは限らないだろう。他方で研究チームは、イスラム銀行がムスリムの多い地域のモスクなどでプロモーションを行いつつ、ATM網を拡大したりデジタル銀行をオンライン上で展開すれば、さらなる顧客獲得が望めると研究結果が示唆している、と強調した。

 

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。