公共交通機関の決済、近くクレカでも可能に=運輸相

【セパン】 アンソニー・ローク運輸相は、鉄道やバスなど公共交通機関においてタッチ・アンド・ゴー(TnG) カード以外のクレジットカードやデビットカードでも決済できるシステムを近く導入すると発表した。

TnGの独占は好ましくないとする19日のアンワル・イブラヒム首相の発言を受けたもので、公共交通機関、特に公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアが管轄する交通機関やマレーシア国鉄(KTMB)で、数カ月内をめどにクレジットカードやデビットカードでの決済を可能とする。

現在、TnG決済方式を採用しているのはプラサラナ傘下の▽バスサービス▽軽便鉄道(LRT)▽首都圏大量高速輸送(MRT)▽KTMBーーとなっている。

ローク運輸相は、「現在は自販機でトークンを購入するか、TnGカードを使うしかない」とし、すでに政府傘下の交通機関を含む公共交通機関各社に対しオープンな決済方法を導入するようすでに指示を出したと強調。「TnGカードに加えて、ユーザーがデビットカードやクレジットカードをタップして入場できるオープンな決済システムを導入したいと考えている。ただシステムの統合にはしばらく時間がかかる」と述べた。

その上でローク氏は、アンワル首相の声明はTnGが使えなくなることを意味するものではないと強調。あくまで利用者の要望を容れて決済方法の選択肢を増やすことが狙いだと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、3月21日)

コワーキングスペースのワーク、KLセントラルに5店舗目を開設

【クアラルンプール】 コワーキング・スペース(共同オフィス)運営のワーク(WORQ)は、クアラルンプール(KL)のKLセントラルにあるビジネスセンター「メナラ1セントルム」内に5号店「ワークKLセントラル店」をオープンした。

20ー21階の2フロアを占め、面積は3万4,000平方フィートで、各フロアで300人まで収容可能だ。個室の入居率80%。有効期限最長3年の会員制。

同社は、年内にKL郊外に2店舗(それぞれ1万5,000平方フィート、3万2,000平方フィート)、KL中心部に1店舗(2万平方フィート)を開設する計画だ。

ステファニー・ピン最高経営責任者(CEO)兼共同設立者は開所式のスピーチで、企業が迅速なソリューションを求めていることがコワーキング・スペースの需要につながっていると説明。2016ー2022年にオフィスの空室が3,300万平方フィートと大幅に増加し、損失額が約100億リンギとなり、経済にも悪影響を及ぼしているため、同社は空きスペースをコワーキング・スペースに転換し需要を高め、スペースの供給過多を緩和していると明らかにした。コワーキング・スペースの柔軟性や利便性から導入する企業が増えており、最近の調査では、今後2年以内に70%の企業がコワーキング・スペースを利用すると回答したという。

開所式に参加したニック・ナズミ環境天然資源気候変動相は、コワーキング・スペースは持続可能な不動産の一形態であり、昨年26%まで急増したオフィス空室率から見ても、コワーキング・スペースを活用することで家主とテナント双方が柔軟にスペースを利用できるようになるとした。
(ザ・サン、ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月20日、エッジ、ベルナマ通信、3月17日)

印尼トランスヌサ航空、KLージャカルタ線を4月に就航

【クアラルンプール 】 インドネシアの航空会社、トランスヌサ・アヴィエーション・マンディリは、4月よりクアラルンプール新国際空港(KLIA)ージャカルタ便を就航する。

同社のベルナルド・フランシス最高経営責任者(CEO)が英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」の取材に対して明らかにしたところによると、マレーシアおよびインドネシア当局から、毎日2便を運航するための許可を取得した。使用機材はエアバス「A320」型機で、すでにチケットを販売しているという。

フライトスケジュールは、午前の便がジャカルタ発が7時、KLIA到着が10時10分。KLIA発が10時40分、ジャカルタ着が11時50分。午後の便はジャカルタ発が16時50分、KLIA到着が20時5分。KLIA発が20時35分、ジャカルタ着が21時45分となる。

フランシスCEOによると、当面はKLIAを乗り入れ先とするが、今後はスバン空港(スルタン・アブドル・アジズ・シャー空港)からジャカルタへの直行便の運航を計画している。またジョホールバルへの国内線や、ジャカルタからジョホールバルへの運航も計画しており、近く詳細を発表できる見通しだという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月18日)

高速道路料金収受システム、TnGの独占を見直し=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、国内の高速道路料金収受システムについてタッチ・アンド・ゴー(TnG)による独占状態を見直す考えを示した。

アンワル首相は19日に開催されたイベントにおける若者との対話セッションの中で、TnGによる独占に関する質問に答え、「料金徴収システムはTnGが20年以上運営しているが、システムは停滞したままで納得のいくような進展は見られない」と言明。独占状態に疑問を呈す質問者に対して「あなたは正しい。我々は(独占状態について)再検討しなければならない」と述べた。

高速道路の収受システムについては以前、ファディラ・ユソフ前公共事業相(現・副首相兼農園・一次産業相)が、TnG以外のデジタル決済方式を許可する方向で検討していると述べていた。

アンワル首相はまた公共交通機関の問題、学生運動などの問題に触れ、学生と講師の自主性を制限している「大学及びカレッジ法 」(Auku) の規定を廃止することを約束した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、3月20日、マレー・メイル、3月19日)

ペナンで培養肉工場を建設、国内バイオ企業が2千万リンギ投資

【クアラルンプール】 バイオ企業のセル・アグリテックは2年以内の培養肉生産開始を目指し、ペナンに約2,000万リンギを投じ国内初の培養肉生産施設を建設している。

創業者兼製造担当副社長のン・チンエイ氏は16日にクアラルンプールで開催された「培養肉カンファレンス」で、セル・アグリテックの工場では、まず魚肉、特にマグロやウナギなどの高級魚の魚肉培養に力を入れ、養殖魚と同程度の価格で販売したいと述べた。工場は5月に着工し、2024年末の完工を見込んでいる。

培養肉は、動物から採取した肉の幹細胞をバイオリアクターという装置で培養することで作られる。細胞の成長に必要なアミノ酸は大豆、糖はトウモロコシなどが原料で、セル・アグリテックの工場では「不死化細胞株」を使用し、屠殺された動物から細胞を調達した後、数十年間肉を培養することが可能だという。

ン氏は、培養肉は抗生物質や感染症などの影響がなく安全で、廃棄部分もないので無駄を省くことができるとし、2025年までに培養肉を販売開始することを目標にしていると述べた。培養肉のハラル(イスラムの戒律に則った)認証については、当局が基準などについて最終決定しておらず、業界関係者や規制担当者との間で協議を行っているとしている。

培養肉カンファレンスには、国立大学、マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)、保健省、農業食糧安全省、科学技術革新省から代表者が出席。アーサー・ジョセフ・クルップ副科学技術革新相は、世界の培養肉市場が2022年の1億7,648万米ドル(7億9,187万リンギ)から、2027年には3億2,171万米ドル(14億4,000万リンギ)規模まで成長すると予想されていると述べた。
(マレー・メイル、3月16日)

国内EV充電大手3社、充電施設の横断利用を可能に

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のクリーンエネルギー子会社であるジェンタリは、電気自動車(EV)充電スポット管理アプリ「ジョムチャージ」を提供するEVコネクションおよび石油・ガス(O&G)のインソン・ホールディングス完全子会社であるインソン・グリーン・テクノロジー(M)(YGT)の間で、EVインフラでの協業に向け、三者間契約を締結した。

今後はいずれか1社のモバイルアプリから、3社が提供する充電施設すべてを横断利用できるようになる。利用範囲は、全国の全EV充電施設の3分の2以上にあたる合計550カ所。そのうちインソンは約300カ所、ジェンタリは150カ所、EVコネクションは100カ所を運営している。6月までの横断利用開始を目指す。

YGTのビジネス開発担当副社長であるスリニバス・タティ氏は、YGTは、より良いユーザー体験を提供し、EVの普及を加速するという志を共有するパートナーと協力したいと考えているとし、今回の協業はインフラ協業の第一歩であり、将来的にはさらに多くの機会にもつながると述べた。

ジェンタリのグリーン・モビリティ責任者であるシャー・ヤン・ラザリ氏は、EV普及の加速には顧客体験を重視することが不可欠であり、3社間の横断充電を6月までに可能にすることを目指すと述べた。

EVコネクションのリー・ユエンホウ社長は、充電ネットワーク全体を1つのアプリで検索できるようになるため、EV利用者の信頼をより高められると述べた。
(ポールタン、3月16日、インソン発表資料)

マレーシア競争委職員を対象にセミナー開催、JICAと公取委

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国際協力機構(JICA)と公正取引委員会(JFTC)は、3月14ー16日の日程でマレーシア競争委員会(MyCC)の職員を対象とした企業結合規制をテーマとする競争法セミナーを共同開催した。

企業結合規制の導入を柱とするマレーシア競争法改正法の施行に備えてMyCCの職員にJFTCの知見を提供し、競争法の執行能力を向上させるために実施した。JFTCの職員4人が講師として来馬し、MyCCの職員約40人が出席した。
セミナーでは、企業結合に関する届出がなされた場合における手続フローや経済分析の活用といった審査手法についてJFTCの講師が解説した。同様のセミナーは2023年内にもう1 回、来年中に2回計画している。

マレーシアでは2010年に競争法が制定され、翌2011年に競争法の執行機関である MyCC が設置された。JICAは2021年1月から1年間、さらに2022年11月からは2年間、MyCCに競争法のアドバイザー専門家を派遣している。JICAは専門家派遣を通じ、引き続きマレーシア競争法の環境整備支援を行っていくとしている

MRTプトラジャヤ線が正式開業、3月31日まで運賃無料

【クアラルンプール】 首都圏大量高速輸送(MRT)プトラジャヤ線(MRT2号線)が16日に全線開通し、午後3時から正式に営業運転を開始した。アンワル・イブラヒム首相がセルダンの車両基地で開業式を行い、3月31日まで運賃を無料にすると発表した。

MRTプトラジャヤ線は、クワサ・ダマンサラープトラジャヤ間の全36駅で全長は57.7キロメートル。2期に分け工事が行われ、そのうち第1期(クワサ・ダマンサラーカンポン・バトゥ間)は昨年6月に運行を開始している。今回第2期(カンポン・バトゥープトラジャヤ・セントラル間)が開通した。ティティワンサ、アンパン・パーク、チャン・ソウリン、スンガイ・ベシなど10のインターチェンジ(出場不要乗り換え駅)、接続駅(乗り換えに出場・再入場要)を備え、総建設費は305.3億リンギ。完全自動運転で、定員1,200人の4両電車を49編成配備する。
運行時間は毎日午前6時ー深夜0時。平日朝夕のピーク時には4ー6分間隔、それ以外の時間帯では7ー10分間隔、週末は7ー15分間隔で運行する。全区間の所要時間は84分。

当初は1日10.4万人の利用が見込まれており、マジュ高速道路やスンガイベシ高速道路など、クアラルンプール市街地に通じる道路や高速道路の混雑緩和が期待されているという。
(ポールタン、3月16日、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、3月15日)

KLIAエクスプレス、自転車と電動キックボードの持ち込み可能に

【クアラルンプール】 クアラルンプール市内とクアラルンプール新国際空港(KLIA)を結ぶ高速鉄道KLIA線を運営するエクスプレス・レール・リンク(ERL)は、「KLIAエクスプレス」および「KLIAトランジット」に、自転車および電動キックボードの持ち込みが条件付きで可能になったと発表した。

ERLによると、折りたたみ式自転車は常時持ち込み可能だが、折りたたみ式以外の自転車と電動キックボードについては、週末と祝日に限り持ち込むことができる。

持ち込むにあたり、ERLは▽常に持ち込んだ車両から離れない▽邪魔にならないように注意する▽他の乗客に配慮するーーことの他、広いゲートやエレベーターを利用すること、他の乗客を優先して乗り降りできるよう配慮し、電車の入り口を塞がないよう心がけるよう呼びかけた。その上で、ホームや電車内で車両に乗る行為や、エスカレーターの使用などを禁じるとした。
(ポールタン、3月13日)

ミシェル・ヨーさん、アジア系女性初のアカデミー賞主演女優賞

【クアラルンプール】 ペラ州イポー出身の女優ミシェル・ヨーさんが映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」で第95回アカデミー賞の主演女優賞を受賞した。マレーシア人として、またアジア系女性として初の受賞となり、マレーシア国内でも「歴史的な快挙」として大きく報じられた。

母親のジャネット・ヨーさんをはじめとする親戚や友人、ナンシー・シュクリ女性家族相などがクアラルンプールで開催されたアカデミー賞のライブビューイングイベントに参加し、受賞の瞬間を見守り、喜びを分かち合った。

アンワル・イブラヒム首相もフェイスブックで、「政府はアカデミー賞の主演女優賞を受賞したミシェル・ヨーさんに対して、国民とともに心からの祝福を表明する。この快挙は、国際社会におけるマレーシアの名を高め、また彼女の数十年にわたる女優としてのキャリアの集大成でもあり、その功績を誇りに思う」と記した。ソーシャルメディアや、多方面から祝福のコメントや声が相次いだ。
(ザ・サン、ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月14日、マレー・メイル、3月13日)