独デリバリーヒーロー、マレーシア事業などをグラブに売却か

【ベルリン/ペタリンジャヤ】 フードデリバリーサービスを提供する多国籍企業のデリバリーヒーロー(本社・独ベルリン)は東南アジア事業の一部を売却する意向で、交渉を開始した。デリバリーヒーローはフードパンダのブランドで、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、カンボジア、ミャンマー、ラオスでサービスを提供している。

週刊経済誌の独ビルトシャフツ・ボッヘが消息筋の情報として売却交渉を報じたのに対し、デリバリーヒーローが交渉の事実を認めた。同誌によれば、シンガポールの同業者グラブが同7カ国の業務を約10億ユーロで購入する可能性がある。

新型コロナウイルスの感染拡大による行動規制を背景に、デリバリーサービスは需要が急増したが、行動規制の緩和後は需要が低迷し、デリバリーヒーローは株主から利益確保を求められていた。

ニクラス・エストベリ最高経営責任者(CEO)は8月、「東南アジア業務では利益重視のため出費を控えた。このためわが社のサービスに満足できない客がいたと思う」と発言していた。
(ザ・スター、9月22日、フリー・マレーシア・トゥデー、9月21日)

テラドローン、マレーシア・インドネシアで農業ドローン市場に参入

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 テラドローン(本社・東京都渋谷区)は21日、マレーシアおよびインドネシアにおける農業ドローン市場に本格参入するため、子会社テラドローン・インドネシアを通じてドローンを用いたアブラヤシ農園の農薬散布事業を行うシンガポール企業アヴィールテックの事業を買収すると発表した。マレーシアでの事業展開に向け、新法人テラドローン・アグリも設立する。

グローバルで持続可能な農業の実現を目指し、「空のインフラ構築」を加速させる。具体的には、両国において効率的なアブラヤシの栽培支援に注力する。環境への影響を最小限に抑え、農業労働者の作業負荷を軽減していくことにより、環境・社会・統治(ESG)投資の観点からの価値も提供できるとしている。

テラドローンはまた、新事業を展開する中で知見を蓄積し、顧客の具体的なニーズをより深く理解することにより、日本を含む海外での展開を検討している。ドローンを活用した技術で農業の未来を形成していく方針だ。

アンワル首相、グーグル、ボーイングなど米巨大企業4社と面談

【ニューヨーク】 国連総会出席のため訪米中のアンワル・イブラヒム首相は、グーグル、ボーイング、メドトロニック、シーメンス・ヘルシニアーズの米巨大企業4社と1対1のビジネス会議を開催した。首相府の発表によると、4社からはマレーシアでの事業を拡大したいとの意向が示されたという。

企業側からは、グーグルのルース・ポラット最高財務責任者(CFO)、ボーイングのブレンダン・ネルソン グローバル社長、メドトロニックのジェフ・マーサ最高経営責任者(CEO)、シーメンス・ヘルシニアーズのティシャ・ボートマン グローバル社長らが出席した。

マレーシア側からは、アンワル首相のほか、テンク・ザフルル投資貿易産業相、ザリハ・ムスタファ保健相、ザンブリー・カディル外相の関係閣僚らと、マレーシア投資開発庁(MIDA)とマレーシア外国貿易開発公社 (MATRADE)の代表が出席した。

アンワル氏はまた、2001年にノーベル経済学賞を受賞したコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授とも面談。発展途上国の経済的ニーズについて意見交換したほか、サステナビリティを維持しつつ所得増や貧困撲滅を進めるための対策と戦略についても議論したという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、ベルナマ、9月22日)

TRXからSMARTトンネルへの初の直通通路が開通

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)のジャラン・トゥン・ラザクに設置されている地下道と排水路を兼ねる「SMARTトンネル」を運営するSMARTは、KLの国際金融地区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TRX)からSMARTトンネルへの初の直通通路が開通したと発表した。

TRXのメナラIQ駐車場からSMARTトンネルに向かうTRX出入口が19日午後4時に開通した。

SMARTはフェイスブックを通じ、SMARTトンネル利用者に対して、ジャラン・スルタン・イスマイル入口からセレンバン・チェラス方面へ車を運転する際に、TRXからの合流車に注意するよう呼びかけた。また、TRXとSMARTトンネルを結ぶ直通通路については、今後順次追加していく予定だとしている。
(ポールタン、9月20日)

キャピタルAの整備部門、カンボジアでMRO事業設立へ

【クアラルンプール】 キャピタルAの整備部門アジア・デジタル・エンジニアリング(ADE)は、カンボジアのコンサルタント会社シビライ・アジアとの間で合弁契約を締結し、カンボジアで保守・修理・オーバーホール(MRO)事業を開始すると発表した。

合弁会社(JV)名はADEカンボジアで、ADEが60%、シビライ・アジアが40%を出資する。ADEは、最大120万米ドル(560万リンギ)をJV設立前・設立後の2回に分けて出資する。内部資金で賄う予定。

キャピタルA傘下の格安航空会社エアアジア・アビエーション・グループ(AAAGL)が昨年12月、シビライ・アジアとの間でJVであるエアアジア・カンボジアを設立していた。エアアジア・カンボジアは今年11月に運航を開始する予定となっている。
(ザ・スター、9月21日、エッジ、9月20日)

エクスチェンジTRXの商業施設、11月29日オープン

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)の国際金融地区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TRX)」における開発事業「エクスチェンジTRX」の商業施設が、11月29日にオープンする。開発母体のオーストラリア系レンドリースが20日に発表した。

レンドリースによると、商業施設の正味賃貸可能面積は130万平方フィートで、入居率は95%、400店舗の入居が決まっている。アンカーテナントはマレーシア初出店となる日本の西武百貨店。4フロア、店舗面積25万平方フィートで100の新ブランドを含む、400ブランド以上の商品を扱う。

他にも、▽香水・化粧品の仏ゲラン▽資生堂傘下の米化粧品ドランク・エレファント(世界初実店舗)▽スキンケアのラ・プレリー(スイス)▽サングラスのジェントル・モンスター(韓国)▽アパレルのマリメッコ(フィンランド)▽ヨガアパレルの米アローヨガ▽日仏ライフスタイルのメゾンキツネおよびそのコーヒー・バーであるカフェ・キツネ▽シンガポールのレストラン、ティプシー・フラミンゴーーなどが入居する。屋上には10エーカー(4.05ヘクタール)の屋上公園も設置する。

レンドリース・マレーシアのリテール部門責任者兼エクスチェンジTRXプロジェクト責任者のミッチ・ウィルソン氏は、高いテナント入居率は、エクスチェンジTRXの新しい小売コンセプトに対する国内外ブランドからの強い信頼の表れだとし、KLの新たな中心地となり、小売業の未来を再構築していくと述べた。
(エッジ、9月20日)

MISCと日鮮海運、LNG運搬船の売却・用船契約を締結

【クアラルンプール】 海運大手の政府系MISCは、船主大手の日鮮海運(本社・愛媛県今治市)との間で、液化天然ガス(LNG)運搬船2隻の売却・用船に係わるパートナーシップ契約を締結した。

同契約により、MISCはLNG運搬船の所有権を日鮮海運に譲渡し、イーグルスター・マリン・ホールディングス社およびシナジー・マリン社と用船契約を締結する。2隻のうち1隻は、今年第4四半期にも日鮮海運に引き渡される予定だ。

MISCのラジャリンガム・スブラマニアム社長兼最高経営責任者(CEO)は、海運部門の商業および運営規模を拡大しながら、ガス資産およびソリューションからの収益を最大化するという同社が掲げる2030年事業戦略の一環として、今回の契約に至ったと説明。一方で、日鮮海運の阿部克也代表取締役社長は、イーグルスター・マリン・ホールディングス社およびシナジー・マリン社の協力の下、LNG船の安全運航に努めるとした上で、今後はLNG船やその他の分野でのMISCとの関係拡大に期待しているとした。
(LNGインダストリー、ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月20日)

スーパーマックスのゴム手袋、米国への輸出再開が許可

【クアラルンプール】 ゴム手袋製造大手のスーパーマックス・ コーポレーション(SCB)は20日、米国への自社製使い捨て手袋の輸出再開が18日付けで米国当局より許可されたと明らかにした。再開対象には▽スーパーマックス・グローブ・マニュファクチャリング▽マクスター・グローブ・マニュファクチャリング▽マックスウェル・グローブ・マニュファクチャリングーーの完全子会社3社が含まれる。

SCBがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、強制労働の項目で改善がみられたことを理由に米国税関・国境警備局(CBP)がSCBに対して出していた違反商品保留命令(WRO)を修正し、米国の法律に準拠していることを条件にSCBと子会社が製造した使い捨て手袋の輸入を許可すると発表した。

CBPは2021年10月21日、SCBおよび子会社の調査の過程で国際労働機関(ILO)が定めた11項目の強制労働指標のうち10項目で違反が確認されたとして、スーパーマックス製品に関するWROを発出。SCBはWROへの対応として、サプライチェーンにおいて指摘を受けた項目を是正する措置を講じたことをCBPに証明したとしている。
(ザ・スター、ザ・サン、9月21日、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、9月20日、SCB発表資料)

マレーシア人訪日者数、8月も大幅増の1万9200人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2023年8月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は1万9,200人となり、前年同月比で8.5倍、前月比で10.3%増となった。

JNTOによると、日本の水際規制緩和、学校休暇の影響もあり、訪日外客数は大幅に増加した。また、2019年同月比ではマイナス3.2%となった。コタキナバルー成田間の復便、クアラルンプールー関西空港間の増便などもあり、日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にある。

1ー8月では23万900人となり、前年同期比で26.8倍となったものの、2019年比では17.7%減となった。

8月の世界全体の訪日者数は、前年同月から12.7倍の215万6,900人となったが、2019年同月からは14.4%減となった。年初8カ月では1,518万9,900人となり、前年同期比18.5倍、2019年比マイナス31.4%となった。

JNTOは、新たな観光立国推進基本計画等を踏まえ、観光立国の復活に向けて、観光地・ 観光産業について持続可能な形で「稼ぐ力」を高めるとともに、地方誘客や消費拡大を促進する必要があると指摘。国内関係者が連携し、海外旅行会社等へのセールス強化や情報発信を通じた高付加価値旅行、アドベンチャートラベルの推進、ミーティング、報奨旅行、国際会議、展示会(MICE)誘致等の取組を強化していくことが求められるとした。

カントリーガーデンの経営難、L&Gは合弁には影響ないと強調

【クアラルンプール】 中国の不動産開発大手、碧桂園(カントリー・ガーデン)の経営難が懸念されていることに関連して、マレーシアの不動産会社、ランド・アンド・ジェネラル(L&G)は、カントリー・ガーデンと合弁で進めているセランゴール州セメニエのプロジェクトへの影響はないと強調した。

L&Gのロウ・ゲイテック社長は、プロジェクト全体の4分の3がすでに完成しており、またカントリー・ガーデンとは財務的に独立していると強調。カントリー・ガーデンの経営問題が同プロジェクトにマイナスの波及効果をもたらすのではないかとの懸念の声を一蹴した。

L&Gがカントリー・ガーデンと合弁で進めているのは、「ダイヤモンド・シティ」と命名された総面積167エーカーのタウンシップ開発で、2014年に開始された。L&Gが45%、カントリー・ガーデンが55%をそれぞれ出資している。

プロジェクトはA、Bの区画に分かれており、A区画はすでに完了。B区画は1、2、4期がすでに完成し、5期も建設予定の201戸の80%に当たる163戸が販売済みとなっているという。
(エッジ、9月19日)