バンダルマレーシア計画、完了までに50年=首相

【クアラルンプール】 国内最大級の1,400億リンギ規模の不動産開発計画「バンダル・マレーシア」について、完了までに50年かかる見込みだ。財務相を兼任するアンワル・イブラヒム首相が明らかにした。

計画は、クアラルンプール(KL)のスンガイベシにある空軍基地跡地約200ヘクタールを開発するもの。昨年12月に、国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)傘下のKLCCホールディングスが、バンダル・マレーシアからの土地買収を発表していた。

アンワル首相によると、開発はホールディングスの完全子会社KLCCデベロプメントが実施。1万戸の低価格住宅、50エーカーのマレー人保護区、公園などが整備されるという。「土地の規模から考えると開発全体では50年はかかると予測されるが、最終的には大きな経済的価値を国民にもたらすと確信している」とした。
(マレー・メイル、2月21日、フリー・マレーシア・トゥデー、2月20日)

今年の物価上昇率予想は2-3.5%、昨年よりやや加速

【クアラルンプール】 政府は消費者物価指数(CPI)で見た物価上昇率を昨年の1.8%を上回る2-3.5%と予想している。下院議会での質問に財務省が文書で回答した。

財務省は予想の根拠として、最低賃金の見直し、公務員賃金の引き上げ、ガソリン補助の合理化、サービス税対象品目の拡大、サービス税の6%から8%への引き上げなど、国内施策および世界的な一次産品価格の動きを挙げた。

財務省は、CPIで29.8%の比重を占める飲食品の価格上昇率は22年の5.8%、23年の4.8%から、24年は2%へ鈍化したこと、飲食カテゴリーのうち食品(米、肉、魚、鶏肉など生の食材)価格は24年10月と11月、前年同月比0.6%の増加にとどまったことを挙げ、補助合理化、価格統制など政府施策の効果で物価は安定したと説明した。

世界情勢は不透明だが、一次産品価格の安定はインフレ圧力の軽減になるという。財務省は今年のブレント原油価格を1バレル75-80米ドル、パーム油価格をトン当たり3,500-4,000リンギと予想している。
(エッジ、ベルナマ通信、2月21日)

JICA、気候変動対策の技術協力に関する初会合を26日に開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 国際協力機構(JICA)は、気候変動対策に関するマレーシア天然資源・環境持続可能性省(NRES)との共同技術協力プロジェクトのキックオフ会合を26日にクアラルンプール(KL)で開催すると発表した。

開催されるのは「マレーシア国 強化された透明性枠組み下での国連気候変動枠組条約(UNFCCC)国家報告書作成のための能力強化プロジェクト」の第1回合同調整委員会(JCC)会合で、プロジェクトの今後の活動計画に関して議論する。これに先立ちJICA専門家により、複数のワークショップが2024年12月に開催されており、これらワークショップでは、温室効果ガスインベントリの作成、国が決定する貢献の追跡、フッ素系ガス排出量の計算方法などに関するトピックが取り上げられた。

JICAとNRESの共同プロジェクトは2024年10月に開始されたもので、マレーシアの隔年透明性報告書作成能力の強化、温室効果ガスインベントリの定期的な作成のための国家能力の強化、フッ素系ガス排出量の算定能力の強化を目的としたもの。2027年10月まで継続される。

道路交通局、ホンダなど6メーカー4万台超のリコールを発表

【クアラルンプール】 道路交通局(JPJ)は20日、事故につながる可能性があるとして、ホンダのシビックとCR-Vなど6メーカー計4万1,688台の大規模リコールを発表した。

対象となるのは、▽ホンダ=シビックとCR-V(2022ー2024)計3万6,678台▽起亜=ソレントXM(2010ー2015)4,245台▽マン=TGS(2021ー2023)291台▽フォード=エベレスト(2022ー2024)288台▽アウディ=E-トロンGT(2022ー2023)168台▽メルセデス・ベンツ=S580eとAMG(2017ー2023)18台。

各メーカーが対象車両所有者の費用負担なしで点検と修正を行う。対象車両所有者には各メーカーから検査予約の連絡が行くが、JPJはフェイスブック(https://www.facebook.com/photo?fbid=1026934109462998&set=pcb.1026934142796328)で詳細を公表し、早めに計画を立てるよう注意を促している。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、2月20日)

セランゴール州の新鉄道計画、「10年かけて段階的に実施」

【シャアラム】 セランゴール州を南北に縦断する新鉄道建設計画について、ン・セハン投資・貿易・モビリティ担当州執行評議員は「最長10年かけて段階的に実施される」と述べた。新線建設計画は与党連合・希望同盟(PH)が2023年の州議会選挙のマニフェストに盛り込んだ。

ン氏は州議会答弁で新線計画の進捗状況について聞かれ、プロジェクト提案に関するフィードバックを集めるために連邦政府運輸省との協議セッションを完了したと言明。実現すれば南北のアクセスが改善するほか、経済波及効果が期待できると述べた。

計画されている新線は、サバク・ベルナム、シャアラム、クラン、セパンを経由し、ネグリ・スンビラン州のラブまで達する全長約200キロメートル(km)。ウエストポート、クラン、プトラハイツ、ベスタリジャヤのセランゴール大学に接続する4つの支線が提案されている。

最高時速160kmに対応できるように設計されており、旅客サービスと貨物サービスの両方に対応する。サバク・ベルナムからクアラルンプール国際空港(KLIA)までの移動時間は約1時間42分で、現在の自動車移動での2時間41分に比べて大幅に短縮されると予測されている。
(ザ・スター電子版、セランゴール・ジャーナル、エッジ、2月19日)

マレーシア人訪日者数、1月として過去最高の7万5千人

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2025年1月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は7万5,000人で、前年同月比で133.8%の大幅増となり、1月として過去最高を記録した。前月比では4.7%増だった。

JNTOによると、旧正月と学校の休みの重なりや、リンギの高騰、クアラルンプール(KL)―新千歳間の増便などが影響したとみられる。

世界全体の1月の訪日者数は、378万1,200人で、過去最高だった先月をさらに30万人近く上回り、単月として初めて370万人を突破した。

日系キントーン、サラワクデジタル経済公社とセミナー

【クチン】 サラワク州デジタル経済公社(SEDC)は18日、日系キントーン・サウスイースト・アジアと共同でキントーンのサービスを紹介するセミナーを開催した。中小企業のデジタル転換を共同で後押しする。

両者の共同声明によると、社会はますますデジタル化しており、こうした環境の下、企業が競争力を維持するのを支える。特にサラワク州はデジタル基盤の構築に意欲的なため、注目を集めている。入手、応用が容易なソリューションに対する地場企業からの需要の高まりに対応し、SDECとキントーンはデジタル転換で協力する。

キントーンはサイボウズが提供している業務アプリクラウドサービスで、プログラミングの知識がなくてもノーコードで、業務のシステム化などを実現するアプリがつくれる。

キントーン・サウスイースト・アジアの中澤飛翔(つばさ)代表は「ノーコードプラットフォームは複雑な作業の流れを簡素化するよう設計されている。中小企業はわずかな費用で、自社ニーズを満たすアプリを構築できる」と述べた。
(サラワク・トリビューン電子版、テックノード・グローバル、2月19日)

米国による最先端チップ輸出規制、データセンター開発の障害に

【クアラルンプール】 米国による人工知能(AI)チップの輸出規制はマレーシアのデータセンター開発を困難にするが、データセンターのエコシステム全体の育成を損なうことはないと政府は見ている。下院審議でリュー・チントン投資貿易産業副大臣が答弁した。

AIチップは、機械学習やデータ分析などのAIタスクを処理するために設計された半導体チップ。マレーシアはシンガポール、インドネシア、ベトナムなどと共に米国からティア2カテゴリーに指定された。ティア2国には先端半導体の輸出に数量制限がかけられるため、マレーシアがこの先2年間で米国から輸入できるGPU(画像処理プロセッサー)は5万個に制限される。

しかし米国の規制は、トランザクション、電子商取引、データストレージなどのサービスを提供するデータセンターの業務に影響することはないという。こうしたデータセンターではAIチップや先端AI技術を利用しないからだ。
(エッジ、ビジネス・トゥデー、フリー・マレーシア・トゥデー、2月19日)

INPEX、東サバ沖の探鉱2鉱区でペトロナスと生産分与契約

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 石油ガス開発を手掛けるINPEX(本社・東京都港区)は18日、東サバ沖の探鉱鉱区2鉱区について、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)と生産分与契約(PSC)を交わしたと発表した。

PSCは子会社のINPEXマレーシアE&P SB306Aと、ペトロナス子会社のペトロナス・チャリガリ、サバ州営企業のSMJエナジーとの間で交わされた。ペトロナスが2024年に実施した入札ラウンドを経て、落札していた。2鉱区は、同州タワウの東沖に位置するSB306A(4,514平方キロメートル、水深0―400メートル)とSB306B(4,395平方キロメートル、水深0―1,400メートル)。

INPEXは今月13日、天然ガス・LNG事業の拡大などを今後10年間の成長軸とする「INPEXビジョン2035」を発表。マレーシアでは2022年と23年にサラワク沖の計4鉱区も取得しており、ビジョンに基づいて今後も積極的に強化に取り組むとしている。

経済は堅調を維持、4.5-5.5%の成長を期待=第2財務相

【クアラルンプール】 アミル・ハムザ第2財務相は19日、国王演説をめぐる下院審議を総括し、経済成長の勢いは今年も続くとの見通しを表明した。

昨年の国内総生産(GDP)増加率は5.1%で、予算策定時の想定(4-5%)を超えた。特に高成長だったのは第2四半期で、5.9%を記録した。これを踏まえアミル・ハムザ氏は「経済の基礎は強靭だ。対外環境は厳しいが、国内経済の見通しは明るく、4.5-5.5%の成長が期待できる」と述べた。

アミル・ハムザ氏はさらに、経済成長は単なる数字ではなく、賃金上昇、雇用の改善、社会保障の充実など直接国民を潤す結果になっていると強調した。

世界的な貿易環境の不透明性についてアミル・ハムザ氏は、マレーシアは貿易先、投資市場の多様化に取り組んでおり、外国からの直接投資は勢いを増していると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、2月20日)