26年の経済は順調なスタート=中銀月例報告

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は27日、1月度の金融報告を発表。国内経済の出だしは強固な外需と強いリンギが特徴だったとした。

報告によると、リンギの値上がりが顕著で、対米ドルで2.9%の上昇と、域内(シンガポール、タイ、フィリピン、インドネシア、韓国)の平均(0.3%上昇)を上回った。経済の基礎的条件に対する信頼、外国からの証券投資が背景にある。

貿易は強靭さを示し、前年同月比の輸出増加率は19.6%(25年12月は10.2%)で、電気・電子機器輸出が貢献した。

消費者物価指数(CPI)上昇率は1.6%で前月と同じ。価格変動の激しい品目と価格統制品を除いたコアCPIの上昇率も2.3%と安定していた。個別の品目では、貴金属の値上がりを背景に、宝飾品、腕時計に価格上昇圧力がかかった。

金融以外の民間セクターに対する信用供与は5.5%増。うち社債発行残高の増加(7.6%)が際立った。家計への信用供与は横ばいの5.6%増。

代表的株価指数のFBM・KLCIの上昇率は3.6%(域内平均は7.1%)にとどまった。
(ビジネス・トゥデー、BNM発表資料、2月27日)

中東空域閉鎖の影響、KLIAでも欠航相次ぐ

【セパン】 中東情勢によるフライトの欠航が相次ぐ中、クアラルンプール新国際空港(KLIA)は比較的安定かつ秩序ある運航を維持している。

空港運営会社マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)によると、1日時点で出発便13便、到着便13便、合計26便が欠航となった。

またマレーシア航空は、ドーハなど発着の全便の運休を3月4日まで延長すると決めた。欠航の影響を受ける乗客には通知を行い、必要に応じて代替の旅行手配の支援なども行っている。

MAHBは定期的に危機対応会議を開催し、状況報告を受け、最新の運航状況の把握に努めているという。さらに、影響を受ける地域へ渡航または乗り継ぎをする乗客は、連絡先を最新にしたうえで、空港に向かう前に航空会社に直接フライト状況を確認するよう求めている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベルナマ通信、3月1日)

イラン攻撃、マレーシア経済に及ぼす影響について調査=経済相

【ジョホールバル】 アクマル・ナスルラー・モハメド・ナシル経済相は、米国とイスラエルによるイラン攻撃がマレーシア経済に及ぼす影響について、調査を行うと述べた。

アクマル氏は、経済的な観点から、マレーシアとイランの直接的な関係や、世界経済に影響を与える地政学的緊張など、検討すべき重要な問題がいくつかあると指摘。世界全体の経済エコシステムへの混乱の規模を判断するのは時期尚早だが、地政学的動向を軽視することはできないと述べた。

その上でアクマル氏は、「評価すべき重要な視点の一つは石油とガスの生産だ。イランは地域的にも世界的にも主要な産出国だ。世界経済のサプライチェーンへの影響も見極める必要がある」と述べた。

世界的な石油・ガス価格の上昇の可能性について、アクマル氏は主に市場メカニズムに左右されるが、同時に生産国が生産と価格設定を管理するために用いる他のメカニズムもあると指摘。「我が国もこれらのメカニズムの一部に関与している」と述べた。

アンワル・イブラヒム首相はフェイスブックへの投稿で、即時かつ無条件の敵対行為停止を求め、高まる緊張は中東を破滅の瀬戸際に追い込む可能性があると警告。また今回の攻撃を、進行中の交渉を妨害し、他国を封じ込め不可能な紛争に引きずり込む「卑劣な試み」だと批判した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・サン、エッジ、ベルナマ通信、2月28日)

【総点検・マレーシア経済】第541回 マレーシアの自動車市場に波乱の予感

第541回 マレーシアの自動車市場に波乱の予感

マレーシアの自動車市場は、長く第2国民車メーカーのプロドゥアが絶対王者として君臨してきました。2006年にプロトンを追い抜いて以来、実に20年連続(2006〜2025年)でブランド別販売台数トップの座を守り続けています。その快進撃を支えたのが、2005年に登場した大ヒットハッチバック「Myvi」でした。近年はセダンの「Bezza」が看板車種に成長し、「Axia」「Myvi」と合わせたプロドゥア3車種が車種別ランキングの上位を独占する構図が定着していました。

しかし、2026年1月の車種別販売台数データは、この「プロドゥア1強体制」の揺らぎを明確に示すものとなりました。メーカー別の1位はプロドゥア(26,130台)、2位がプロトン(19,833台)となり、その差が縮まっています。

車種別で首位に立ったのはプロトン・サガです。サガは1985年に誕生したマレーシア初の国民車であり、プロドゥアの台頭以前は販売ランキングの常連トップでした。2005年にMyviに王座を明け渡して以来、約20年ぶりの月間首位返り咲きとなります。

2位〜4位にはプロドゥアの主力車種が続きます。注目すべきは5位です。5位に入ったのは、プロトンのEVハッチバック「e.MAS 5」です。エンジン車が圧倒的に強いマレーシアの自動車市場において、EVが月間セールス上位5位に食い込んだのは史上初です。

プロトンは、2000年代から2010年代にかけて長い低迷期を経験しましたが、2017年に中国・吉利汽車(Geely)が49.9%の株式を取得して以降、明確に反転攻勢に転じました。特にEV分野での動きは素早く、2024年末に「e.MAS 7」を投入したのを皮切りに、2025年10月には小型EV「e.MAS 5」を発売しています。さらに2026年2月にはe.MAS 7のPHEVモデルも発売しました。いずれもGeelyのEVプラットフォームを活用しており、中国で培われたEV技術をマレーシア市場へ迅速に展開できるのが強みです。

一方のプロドゥアは、EVで完全に出遅れました。親会社のダイハツにはEVプラットフォームの提供能力がなく、オーストリアのマグナ・シュタイアと共同でゼロから独自開発した「QV-E」を2025年12月1日に発売しました。バッテリーをリース方式にした革新的なモデルですが、中国製部品の品質問題で生産が遅延しています。2026年2月初旬時点での予約台数はわずか205台に留まり、1月の登録台数はゼロでした。

マレーシア市場は、タイやインドネシアと比べてEVの普及率が低い状況です。これは、政府がEVの輸入に一定の規制をかけてきたためです。MITIのフランチャイズAP政策によりRM10万未満のEV完成車の輸入を事実上禁止し、2026年からはさらに新規ブランドのEV完成車輸入条件をRM25万以上に引き上げました。この保護政策もあり、BEVが市場全体に占める比率は2025年は約3.8%に留まりました。ただし2026年1月には、e.MAS 5の好調もあってEVシェアが9.2%へと急伸しており、流れは確実に変わりつつあります。

もしプロトンがタンジュンマリムの新EV工場を稼働させ、国内生産体制を本格的に整えれば、状況はさらに大きく動く可能性があります。プロトンは2026年の販売目標を20万台に設定し、市場シェア30%超を目指すと宣言しました。1月の勢いを見る限り、それは決して夢物語ではありません。マレーシアの自動車市場は、静かに、しかし確実に地殻変動を起こしつつあります。

 

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp