中東危機も当面は新たな経済刺激策はなし=第2財務相

【クアラルンプール】 アミル・ハムザ・アジザン第2財務相は、中東情勢の緊迫化により世界市場が混乱し、原油・ガス供給が滞っているものの、当面は国内で新たな経済刺激策を導入する考えはないと述べた。

アミル・ハムザ氏は、政府方針は経済の安定を確保するための短期的な措置に注力しつつ国内に影響を与える可能性のある情勢を注視することにあると強調。「重要なのは中東危機が今後も続くかどうかまだ分からないということだ。もし危機が早期に終息するなら、経済刺激策を実施する必要はないと考えている」、「現時点では、短期的な安定を確保することに注力している」と説明した。

その上でアミル・ハムザ氏は、政府は旅行や消費の増加に伴い、燃料需要が増加する祝祭シーズンにおける国民のニーズにも配慮していると言明。石油会社はこうした季節的な需要急増への対応経験が豊富であり、供給量の増加や需要の高い地域向けの備蓄タンクの増設など、供給途絶を防ぐための積極的な対策を講じていると述べた。

マレーシアの石油供給についてアンワル・イブラヒム首相は先ごろ、国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)との確認では国内の石油製品は少なくとも5月までは供給可能だと述べていた。
(エッジ、ベルナマ通信、マレー・メイル、3月16日)

「改正割賦法」が6月1日施行、借り手の早期返済を優遇

【クアラルンプール/コタキナバル】 消費者保護の強化をうたった「2025年改正割賦法(HPAA)」が6月1日に施行される。国内取引物価省が発表した。

改正の主要点は、元本に基づき金利が決定される定額金利と「規則78」の廃止。「規則78」は早期返済分が金利分に充当され、元本のほとんどがそのまま残る仕組みで、借り手に不利な規則だった。

定額金利に替え導入されるのが、名目金利に手数料や割引などの条件を加味して計算した、実際に負担する実効金利(EIR)だ。金利を借入残高に基づき計算する手法も併せて導入される。これにより早期返済を希望する借り手が「罰を受ける」ことがなくなる。

技術面の進歩を考慮し、改正法ではデジタル署名、および契約書の電子的送付・受領が可能になる。

改正法施行は6月1日だが、システム面など対応に時間がかかる割賦販売業者には2027年3月31日まで10カ月間の猶予期間が与えられる。
(ポールタン、ザ・スター電子版、マレーシアン・リザーブ、3月15日)

【従業員の勤労意欲を高めるために】第921回:強い職場は「上司」ではなく「同僚」で決まる

第921回:強い職場は「上司」ではなく「同僚」で決まる

前回は、企業の環境対応の話から、現実(深化)と理想(探索)の両利きの大切さを述べました。今回は、同僚間の助け合いについてです

海外子会社の経営において、従業員の組織コミットメントをどう高めるかは長年の課題です。一般には、上司のリーダーシップや待遇への満足度が重視されがちです。しかし実際の現場では、それと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なものがあります。それが「同僚同士の支え合い」です。

今回紹介する研究では、中国にある日系製造業子会社20社を対象に、従業員4,439人の組織コミットメントの要因を分析しました。さらに、このデータを328の部門単位に集約し、「個人レベル」と「職場レベル」の両方から検討しました。

分析結果は興味深いものでした。個人レベルでは、上司支援、同僚支援、自律性、研修機会、待遇満足など、多くの要因が組織コミットメントと関連していました。これは従来の研究とも整合的です。

しかし、部門単位で集計した「職場レベル」の分析では、結果が変わりました。統計的に特に強く残ったのは、「同僚支援」と「自律性」の二つだったのです。つまり、個人の意識としては上司の支援も重要ですが、職場全体としての組織コミットメントを左右していたのは、同僚同士が助け合う雰囲気と、仕事の進め方に一定の裁量がある環境でした。

さらに分析を進めると、自律性の高い職場ほど同僚支援も高く、その同僚支援が組織コミットメントを高めるという関係が見られました。言い換えれば、「任せること」が「助け合い」を生み、その助け合いが職場の一体感を強めていた可能性があります。

この結果は、海外子会社のマネジメントにいくつかの示唆を与えます。従業員の意欲を高めようとするとき、上司が個別に動機づけを行うことはもちろん重要ですが、それだけでは十分とは言えません。むしろ、職場の中で自然に相談し合い、互いに支え合える関係をどう育てるかが、組織全体の強さにつながります。また、細かく管理するよりも、一定の裁量を与えたほうが現場の協力関係が生まれやすい可能性もあります。

海外子会社経営を考えるとき、「上司がどう指示するか」だけでなく、「同僚同士がどう支え合えるか」。その視点が、これからますます重要になっていくのではないでしょうか。

調査にご協力くださった方々に、この場を借りて心より感謝申し上げます。
論文情報は以下。2026年4月13日まで、末尾のURLから全文をご覧いただけます。

Kokubun, K., Ino, Y., & Ishimura, K. (2026). Coworker Support and Organizational Commitment in Overseas Subsidiaries: Analyses at the Individual and Workplace Levels. Strategic Business Research, 2(1), 100086.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S3051064326000385?dgcid=author

 

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、機械振興協会経済研究所特任フェロー、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、組織のあり方についての研究に従事している。この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)