中東紛争の緊急影響緩和策、製造業者連盟が政府に要請

【クアラルンプール】 中東紛争の影響が長引く様相を示す中、マレーシア製造業者連盟(FMM)は、減税や補助金支援、港湾料金凍結などの支援策を実施するよう政府に提案した。

FMMが提示したのは、▽紛争関連の混乱により返送された再輸入輸出品に対する売上税と輸入関税の免除▽危機関連の物流コストに対する二重課税控除▽燃料集約型産業へのディーゼル燃料補助金の適用▽重要原材料の優先配分▽港湾料金値上げの延期▽運賃割増金および船会社慣行の透明性向上――の6つの優先措置。

FMM加盟企業はエネルギーコストと物流コストの上昇に苦慮しており、サプライチェーンの混乱が事業に大きな負担となっている。ホルムズ海峡の閉鎖と紅海航路の混乱により、貨物関連費用、戦争リスク割増料金、海上保険料が200―400%上昇し、喜望峰経由の航路変更により輸送時間が最大14日間延長されているという。

またナフサ、液化石油ガス(LPG)、樹脂、合成ゴム原料、硫黄、包装資材といった重要な石油系原材料の供給逼迫に直面しており、価格も高騰している。こうしたことがマレーシアの製造業全体における納期と運転資金サイクルに影響を与えているという。

FMMは声明の中で「ほとんどの製造業者は2週間から6週間分の在庫で操業している。混乱が続けばプラスチック、化学、電子機器、ゴム製品、食品加工といった各分野の生産継続に影響が出るだろう」と述べた。
(エッジ、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、3月27日)

東ティモールのエアロディリ、KL直行便を週2で運航

【セパン】 東ティモールの航空会社エアロ・ディリは28日、首都ディリとクアラルンプール(KL)を結ぶ直行便を就航した。

機材はナローボディのエアバスA319ー100型機で、座席数は122席。週2便(火・土)で、往路はディリ8時発、KL11時15分着、復路はKL12時発、ディリ17時15分着となる。

クアラルンプール新国際空港ターミナル2で行われた就航記念式典には、東ティモールのベンディト・ドス・サントス・フレイタス外務・協力相らが出席。東ティモールが昨年10月にKLで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で11番目の加盟国として承認されたことを踏まえ、フレイタス氏は「今回の就航は、歴史的に重要な意味を持つ」とあいさつした。

2018年創業の同社にとってKL便は海外5都市目の路線となる。シンガポールとインドネシア・バリはデイリー便となっている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・サン、ベルナマ通信、3月28日)

レギュラーガソリン購入時の外国発行カード利用、4月から制限

【クアラルンプール】 国内取引物価省(KPDN)は4月1日から、レギュラーガソリン「RON95」の購入時に外国発行のクレジットカード・デビットカードの使用を制限する方針だ。不正購入防止のための措置で、外国発行カードでの購入希望者には、給油所レジでの支払いを義務づけるものとなる。

マレーシアの大手系列の給油所では、ノズルなどが組み込まれた「給油ベイ」にカードなどの決済機能が付属しており、その場で支払いまで完了できるのが一般的だが、今後は給油ベイで外国発行カードを段階的に利用できなくする。外国発行カードを使いたい場合、有人レジで支払いを済ませれば給油は可能。

KPDNのアズマン・アダム事務局長によると、今回の措置は監視強化が狙い。4月1日から外国登録車への補助金付きRON95売買の罰則が強化されることを踏まえ、「外国登録車が外国発行カードで不正購入するケースが多発しており、車両と決済手段の両面から取り締まりを強化する」と説明。現段階ではRON95の購入のみが制限されるとみられる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月28日、ザ・サン、マレー・メイル、3月29日)

【イスラム金融の基礎知識】第589回 損益共有型融資が成長のカギ

第589回 損益共有型融資が成長のカギ

Q: マレーシアのイスラム銀行で用いられている融資形態は?

A: マレーシアのイスラム銀行は債務型融資が中心であるため、損益共有型融資の拡大がカギとなる。バンク・ムアーマラート・マレーシアのチーフ・エコノミストは、メディアのインタビューでこう指摘した。

マレーシアのイスラム銀行でもっとも用いられている融資形態はタワッルク融資で、2025年12月時点で融資残高1兆0,207億リンギのうち64.8%を占めた。これは、イスラム銀行と借り手との間で物品を売買し分割払いを行う、いわば債務型融資である。他方、イスラム銀行と借り手の間の共同ビジネスの体裁で利益や損失を分配する損益共有型融資もある。このうちムシャーラカ融資の割合は8.3%、同型のムダーラバ融資に至ってはわずか2,028万リンギに過ぎない。融資額プラス利子で固定された金額の返済ではなく、ビジネスの利益や損失を借り手とイスラム銀行が分配しあうムダーラバ融資とムシャーラカ融資は、より大きなビジネスを目指す起業家精神を涵養する。

マレーシアで損益共有型融資が普及しない理由として、モハマド氏は3点を指摘している。一つ目は、イスラム銀行から融資の原資は預金であり、元本保証など安定的な運用を望む預金者は、借り手とイスラム銀行がリスクを共有する手法を好まない。二つ目は、借り手がビジネスを適切に行い、利益を正しくイスラム銀行に報告しているか、記録管理やガバナンスに対してイスラム銀行に膨大な負担がかかる。そして三つ目は、イスラム銀行のスタッフはそのような情報管理を得意としておらず、適切に行える人材が慢性的に不足している。

そのためマレーシアのイスラム銀行市場が拡大するための伸び代は、この損益共有型融資が拡大することであり、イスラム銀行側にスキルアップが必要だとモハマド氏は指摘した。

 

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。