ペラ州で建設の新高速道路、南北高速道の混雑を4割緩和

【クアラルンプール】 建設中の「ウエスト・イポー・スパン高速道路(WISE)」は南北高速道路の混雑を最大40%緩和する見通しだ。WISE開発・運営権益文書の授与式で、アレクサンダー・ナンタ・リンギ公共事業相が語った。

WISEはペラ州のクアラカンサーとゴペンを結ぶ全長60.88キロメートルの高速道路。総工費は62億リンギで、2028年に完工の予定。クアラカンサー―ゴペン間は丘陵地で、大型車両の混雑が発生しやすい。

運営権を取得したのはイースト・コースト・ロード社で、権益期間は工事期間を含め55年。道路料金は1キロにつき23センで、固定制。固定制はマレーシア初で、ナンタ・リンギ氏は「利用者負担が最小限に抑えられる」と語った。6カ所にインターチェンジが整備される。

開発費用は全額、イースト・コースト・ロードが負担する。ナンタ・リンギ氏によれば、WISE事業が行われなければ、政府は南北高速道路を拡充しなければならず、歳出を余儀なくされるという。

こうした事情からナンタ・リンギ氏は「この事業が成功裏に運ぶよう、金融機関、認可当局の州政府など関係機関に協力、支持を求めたい」と語った。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、11月1日、エッジ、マレー・メイル、10月30日)

 

「有害コンテンツ」対策でメタをけん責、免許制導入協議で

【クアラルンプール】 政府が2025年からフェイスブック、TikTokなどのSNSサービス運営する企業に免許取得を義務付けることについて、フェイスブックなどを運営するメタ・プラットフォームズは、明確な指針がなく、制度に対応するための時間が少なすぎると不満を表明した。

免許制導入は8月に発表された。サイバー犯罪対策の一環で、国内の利用者が800万人以上のプラットフォームが対象だ。2025年1月1日までの免許申請を求めている。

メタの東南アジア地域幹部ラファエル・フランケル氏はロイター通信の取材に対し、免許申請までの期間が極めて短く、SNSが果たすべき責務も明確でないと指摘。「こうした規制は適切に組み立て、安全と技術革新、デジタル経済成長とのバランスをとる必要があるため、2-3年の協議が必要だ」と語った。

ファーミ・ファジル通信相は10月29日、メタ代表者と会い、小児性愛やチャイルドグルーミングの問題に対する対策が、特にフェイスブック上で不十分とメタをけん責。「そうした性犯罪に関与するグループアカウントに対しメタは積極的対策を講じるべき」と語った。
(ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、マレー・メイル、10月30日)

補助金対象外の定義、世帯所得1.3万リンギ超の可能性も

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アンワル・イブラヒム首相は、補助金対象・非対象を世帯収入によって決める案に関連して、対象外となる上位15%の富裕層(T15)の定義を世帯収入1万2,000リンギ以上に設定する方向で検討していることを明らかにした。統計局は1万3,000リンギ以上としているが、それを上回る額になる可能性もあるという。

来年半ばに実施するレギュラーガソリン「RON95」補助金合理化に当たっては、85%の国民には影響が及ばない、すなわち「T15」のみが補助金対象外となる見通しであることが発表されたが、野党からは「T15」を対象外とすれば、しきい値が月収1万2,000リンギになり、多数の国民が影響を被ると批判の声が上がっていた。

アンワル首相は「政府はT15の定義を1万2,000リンギ以上に定めたことはない。T15の人が補助金なしでやっていけるか検討しており、やっていけない場合には定義を引き上げる。1万5,000リンギ、あるいは1万8,000リンギ以上になるかもしれない。いずれにしても重要なことは下位85%が補助金削減の影響を受けないということだ」と述べた。

「T15」の定義を巡り混乱が続いていることを受け、ラフィジ・ラムリ経済相は先ごろ、1カ月内に決定すると言明。地域による物価差を考慮したもので全国一律にはならないとの見通しを示した。

ASEAN首脳の移動車両を全てEVに=アンワル首相

【プトラジャヤ】 マレーシアが2025年に東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国となることを受け、アンワル・イブラヒム首相は、来馬する各国首脳を含む代表団の移動用車両をすべて電気自動車(EV)にする方針だと明らかにした。

持続可能かつ包括的な社会経済成長の触媒としてのエネルギーセクター」と題するフォーラムに出席したアンワル首相は、「EVの車両サイズが比較的小さくなる可能性があるが、他の車両に比べてコスト効率が良い」と言明。「ASEAN諸国には首脳全員にできるだけ大きな車両を提供したいと伝えるが、入手可能な最大のEVとなるだろう」と述べ、政府ができるだけ多くのEVを確保するよう努めると付け加えた。

エネルギー転換を目指すマレーシアの真摯な姿勢を国内外に示すためで、先ごろ閣議で決定したという。アンワル首相は、「マレーシアはASEAN議長国としての機会を捉え、マレーシアを持続可能な成長のためのASEANハブとして位置づけなければならない」と述べた。マレーシアがASEAN議長国となるのは2015年以来で通算5回目。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、10月29日)

1MDBスキャンダルで収監中のナジブ元首相、国民に謝罪

【クアラルンプール】 政府系投資会社、ワン・マレーシア・デベロップメント(IMDB)をめぐる資金流用事件について、有罪判決を受け受刑中のナジブ・ラザク元首相は24日、国民に向けた声明を発表。「私が首相・財務相の時に1MDB事件が起きたことに毎日心を痛めている。国民に謝罪する」と述べた。しかし自分は首謀者ではないと改めて無罪を主張した。声明は息子のニザル氏が裁判所区域で読み上げた。

ナジブ受刑者は、ジュネーブに本社を置くペトロサウジ・インターナショナルの経営者2人がスイスにおける裁判で有罪判決を受けたことと、エッジが最近報じた記事に言及。1MDB資金の流用で自分は首謀者でないことが示されたと述べた。エッジによる、ペトロサウジでの電子メールのやり取りの分析で、同社がジョー・ロー容疑者と共謀して自分をだましたことが示されたという。ジョー・ローは逃亡中。

ナジブ受刑者は「ペトロサウジが1MDBの金を流用していたことは知らなかった。私はそれと認識して、流用資金を受け取ってはいない」と釈明。さらに「一部の人には信じ難い話かもしれないが、当時受け取った資金はサウジアラビアからの政治献金だと信じていた」と述べた。
(ザ・スター、ザ・サン、10月25日、ベルナマ通信、ラクヤット・ポスト電子版、10月24日)

My50パス、TNG eウォレットでの更新が可能に

【クアラルンプール】 ラピッドKL、軽便鉄道(LRT)、大量高速輸送(MRT)など首都圏の鉄道・バスが30日間、50リンギで乗り放題の「My50パス」と、eウォレットのタッチ・アンド・ゴー(TNG)が近く統合される。

eウォレットのユーザーは決済機能で「My50パス」を更新できるため、駅窓口に並ぶ必要がなくなる。アンソニー・ローク運輸相が、公共輸送機関所有者のプラサラナ・マレーシアを訪問した際の会見で明らかにした。

政府はプラサラナを通じ「My50パス」利用者を金銭的に支援している。2019年の導入時の利用者は月9万8,000人だったが、現在は同22万人。公共輸送機関の利用者を増やすのが狙いの計画だが、生活費の軽減にも貢献しているとローク氏は語った。TNGのeウォレットは1,700万以上のユーザーを抱える。

ローク氏によれば、3-4カ月後には統合作業が完了する。月50リンギの料金は、通勤代として計算すると1日当たり2リンギ弱の負担で、オートバイ利用より安いという。アンワル・イブラヒム首相は新年度予算案で「My50パス」計画に対し2億1,600万リンギの予算を組んでいる。
(ザ・スター、10月25日、フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、10月24日)

極貧の定義、今後は世帯収入ではなく個人収入で=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、現在、世帯当たりの収入を基準としている極貧の定義について、今後は1人当たりの収入に切り替えると述べた。以前の方法よりもより正確な状況を把握できるという。

22日の下院議会の質疑の中でアンワル首相は、世帯所得の調査でいくつかの問題に気付いたと表明。「世帯当たりの月収が2,000リンギであれば、4人家族の場合は1人当たりの平均所得がわずか500リンギとなる」とし、より正確で子供や扶養家族の数も考慮にいれた1人当たりの収入に移行すると述べた。

昨年1月31日時点で世帯主12万6,372人が極貧カテゴリーに入れられた。今年7月29日までに解決されたが、8月1日から新たな登録申請受付を開始したことから、再申請も含めて2万2,893人が登録されたという。

アンワル首相はまた、極貧をなくすための補助金などの諸政策において民族差別はないと強調。極貧者に対する支援がマレー系だけを対象にしているというのは真実ではないと述べ、「極貧者の大多数は確かにマレー系だが、かなりの数のインド系の極貧者もおり、人口比でみると高い」と述べた。
(ザ・スター電子版、マレー・メイル、10月22日)

日本・マレーシア次官級協議、9年ぶりにプトラジャヤで開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本の外務省は22日、第16回日本・マレーシア次官級協議がプトラジャヤで開催され、日本側から船越健裕外務審議官、マレーシア側からアムラン・モハメド・ジン外務次官が出席したと発表した。

今回の協議は、昨年12月に両国首脳が本協議を再活性化させることで一致したことを受け、9年ぶりに開催したもの。両国の「包括的・戦略的パートナーシップ」を強化するために、安全保障や経済、環境、人材育成の分野における幅広い協力の深化のあり方について具体的な議論を行った。

また東・南シナ海、ミャンマー、ウクライナ、中東情勢を含む地域・国際情勢についての幅広く意見を交換。来年、マレーシアが東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国を務めることも踏まえ、ASEAN主導の枠組における両国の連携を一層強化していくことを確認した。

船越外務審議官は、マレーシアのモハマド・ハサン外相とラジャ・ヌシルワン国家安全保障会議事務局長を表敬し、両国間の意思疎通をさらに重層的にすることで一致した。

第13次マレーシア計画、来年第3四半期に発表予定

【クアラルンプール】 ラフィジ・ラムリ経済相は、同省がすでに次期5カ年計画「第13次マレーシア計画」(13MP、対象期間2026ー30年)の起草に着手しており、2025年第3四半期に議会に提出予定だと明らかにした。

ラフィジ氏は、アンワル・イブラヒム現政権が掲げる「マダニ経済」(持続可能性、繁栄、革新、尊敬、信頼、思いやりという6つのコアバリューに基づく枠組みに沿った経済政策)の目的である経済再構築によりマレーシアをアジアの経済リーダーにし、国民の生活の質を向上させるには、13MP をより総合的、戦略的、包括的に起草する必要があると強調。経済省が13MPの枠組みを策定するための意見や提案を募るために、積極的にディスカッション、対話、省庁間計画グループ会議を開催していると述べた。

9月5日と6日に開催された「13MPキックオフ会議」は、国連と世界銀行と共同開催し、国内外の専門家が社会経済のメガトレンド、問題、課題に関する情報や経験を共有した。12月までは一般国民が参加する「マダニ・メンデンガー(聴取)」聴聞会を開催し、13MPに求める希望について社会のあらゆる階層から意見や意見を収集する。
(エッジ、10月21日)

グローバルミニマム課税を25年1月から施行、財務省方針

【クアラルンプール】 財務省は18日に公表した財政見通し・連邦政府歳入見込み報告で、グローバル・ミニマム課税(GMT)を2025年1月から施行すると明らかにした。東南アジアではベトナムも施行する。

GMTとは企業が最低限負担すべき法人税の割合を15%に定める仕組みで、経済協力開発機構(OECD)加盟国を中心に約140カ国・地域が合意した。国家間の税率引き下げ競争に歯止めをかけ、多国籍企業による課税逃れを防ぐ狙いがある。

売上高が年7億5,000万ユーロ以上の企業が、拠点を世界のどこに置いても法人税率が15%以上になるよう調整する仕組みで、▽所得合算ルール▽軽課税所得ルール▽国内ミニマム課税の3ルールがある。

最低法人税率がマレーシアで満たされていない場合、企業はミニマム(トップアップ税)を納入することで不足分を補わなければならない。

課税対象は、2025年1月1日かそれ以降に会計年度が開始される多国籍企業で、企業は27年6月までにミニマム課税納税申告書を当局に提出しなければならない。
(ザ・スター、10月19日、エッジ、ベルナマ通信、10月18日)