外国人入国者からは隔離費用全額徴収、24日付けで実施

【プトラジャヤ】  イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は24日、マレーシアに入国するすべての外国人に対し、同日付けで新型コロナウイルス「Covid-19」隔離費用として4,700リンギを全額徴収すると発表した。

内訳は隔離期間中の宿泊料が1部屋2,100リンギ、運営費用が2,600リンギ。ひと部屋を複数人数でシェアする場合の宿泊料は頭割りとなる。また6歳以下の子供が同室する場合は宿泊費は無料となる。

マレーシア国民については、運営費用を政府が全額負担するため、宿泊料のみの支払いとなる。これまでは実質、外国人船員のみが全額徴収の対象となっていた。

マレーシア政府は外国から入国する人を対象とした14日間の隔離について当初は自宅隔離も認めていたが、自宅隔離を守らない人が続出したことから7月24日より隔離センターでの隔離を義務づけていた。

(マレー・メイル、星州日報、ザ・スター、ベルナマ通信、9月24日)

アンワル氏が過半数掌握を宣言、近く政権樹立の意向

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 野党連合・希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相は23日に緊急記者会見を開き、自身に対する下院議会(定数222)議員の支持が過半数を超えたと言明。国王との会見を経た後に自身を首班とする新政権を樹立すると宣言した。

アンワル氏は「我々は国を運営するために安定した政府を必要としている」とした上で、すでに過半数の議員の支持を得ており、もはやムヒディン・ヤシン首相率いる国民同盟(PN)内閣は存在しないと言明。すでに国王と電話会談を行なって会見の許可を得ているとし、入院中の国王の病状が回復したら面会して詳細を説明し、その後国民にも詳細について発表すると述べた。

アンワル氏は自身を支持する議員の具体的数字は明らかにしなかったものの、5、6議席程度のマジョリティではなく3分の2近くの支持を得ていると述べた。また、ムヒディン氏が新政権に参加することで円滑且つ平和的な政権交代が可能になるとして、ムヒディン氏の新政権への参加を要請。「裏口内閣」ではなく過半数の支持を背景にした正統な政権となるとし、マレー人が多数派を占める政権にはなるもののすべての民族や宗教を取り込んだ政権になると述べた。

現時点でPHの議席数は91議席だが、友党のサバ遺産党(ワリサン)やマハティール・モハマド前首相率いる祖国戦士党(ペジュアン)、統一ムルト・カダザン組織(UPKO)などを加えると109議席となり過半数に迫る。「マレーシア・インサイト」は消息筋の話として、PN所属議員20数人がアンワル氏支持にくら替えする事で合意したと報じていた。

■証明されるまでPN政権を維持=ムヒディン首相■

アンワル氏の発表を受けてムヒディン首相も同日特別演説を行ない、新型コロナウイルス「Covid-19」から経済を復活させるにあたって必要なことは安定した政権と国民の支持だと強調した上で、「政権を不安定化させる政治家を拒否するよう訴えたい」と言明。アンワル氏が自身の主張を憲法に基づくプロセスに則って証明する必要があり、それまではPNが政権の座にあると述べた。

サバ州選挙に勝利すれば総選挙前倒し実施=ムヒディン首相

【コタ・ベルド=マレーシアBIZナビ】 26日に投開票が行なわれるサバ州議会選挙の応援のため18日に同州を訪問したムヒディン・ヤシン首相は、自身が結成した同州野党連合・サバ国民連合(GRS)が勝利した場合に総選挙を前倒しで行ないたいとの考えを示した。

 ムヒディン氏はサバ州議会選について「国全体の将来的な政局を占う上で重要」とした上で、「次期総選挙の実施次期はまだ決まっていないが、サバ州議会選で勝利した場合には速やかに総選挙を行なわなければならない」と言明。「重要なのは州議会選において国民連盟(PN)が支持を得られるかどうかであり、私が首相職を続投することを望んでいるか知るためのシグナルになる」と述べた。
その上でムヒディン氏は連邦政府と州政府が同じ政治連合であるべきだとし、「希望同盟(PH)は消滅した。従ってサバ遺産党(ワリサン)には投票しないで欲しい」と呼び掛けた。
同州議会選挙は、与党ワリサンを率いるシャフィー・アプダル首相が議会解散を決めたことを受けて実施される。政権維持を目指すワリサンには、友党であるPHや統一ムルト・カダザン組織(UPKO)が支援。対する野党は、国民戦線(BN)とPNの連合が政権奪回を目指す。

日本&マレーシア、第2次二国間通貨スワップ取り決め締結

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本財務省は18日、財務大臣の代理人である日本銀行とマレーシア中央銀行バンク・ネガラが同日、第2次二国間通貨スワップ取り決め(BSA)を締結したことを明らかにした。

 同取り決めにより、日本とマレーシアの金融当局は、それぞれの自国通貨(日本円、マレーシア・リンギ)を米ドルに交換することが可能となる。交換上限額は30億米ドル。
日本財務省は声明の中で、今回の協定締結が日・マ両国の金融協力の継続を反映し、金融市場の安定の確保に貢献すると強調。日・マ当局が拡大する両国間の経済・貿易関係を一層発展させることを期待すると述べた。
日・マ両国は今年5月、二国間通貨スワップ取り決めで基本合意していた。

新規感染急増なら再びMCO発令も=ムヒディン首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は15日に国民に向けたテレビ演説を行い、新型コロナウイルス「Covid-19」が再び増加傾向にあることを踏まえ「急増する場合には再び行動制限令(MCO)を発令する可能性がある」と述べた。
ムヒディン首相は、MCOを再発令することは国民生活と国の経済にマイナスの影響を与えると指摘。再発令をしないで済むよう、国民に感染予防の徹底を呼び掛けた。
またムヒディン首相は解除への期待が大きい国境封鎖措置について、政府としては国境再開を急ぐことは考えていないと言明。反対に不法移民の入国取り締まりを中心に、国境管理をより厳格化すると述べた。4月3日から9月15日までに外国人入国者1,017人から陽性が判明した。
さらにムヒディン首相はサバ州で感染ケースが増えていることに触れ、選挙戦に入ったサバ州議会選挙を通じての感染拡大に対する懸念を表明。改めて標準的運用手順(SOP)の徹底を呼び掛けた。

KL市が住宅開発条件見直しへ、10日の大規模洪水受け

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 10日にクアラルンプール(KL)市内で起きた大規模洪水を受けて、KL市役所(DBKL)は住宅開発に関する条件見直しを検討する。
ノル・ヒシャム市長は、洪水防止用の溜池の拡大を計画しているとした上で、新たな住宅開発においては開発地域に溜池を併設することを義務づけると強調。また住民に対しては排水溝にゴミを捨てないよう求めた。洪水の原因についてアヌアル・ムサ連邦直轄地相は、増水した川の水を他の河川や溜池に迂回させるための排水溝が詰まったことが原因だと指摘していた。
KL市内の洪水は午後1時ごろに始まった集中豪雨により発生。スンガイ・クランが氾濫したため▽レブ・アンパン▽カンポン・バル▽セタパク▽ジャラン・ガーニー▽セマラック——の5カ所で浸水し、一部の地域では3メートルまで達した。
午後2時過ぎにはゴンバック川の水を迂回させるゴンバック分水路、ケロー分水路、カンポン・ベレンバン溜池が稼動し、午後4時40分になってようやくSMARTトンネルがカンポン・ベレンバン溜池からタマンデサ溜池への排水を開始した。
10日午後は、ゴンバック・シンパン・ティガでは平均200ミリ、ゴンバック周辺およびKLでも100ミリを超える集中豪雨となり、ゴンバック川やクラン川、ブヌス川は危険水域を超える水位に達していた。

馬・星通勤者の往来、来年1月の制限撤廃目指す

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アドハム・ババ保健相は、現在人数を限定して認めているマレーシア・シンガポール間の通勤者の往来について、来年1月の制限撤廃を目指して検討していることを明らかにした。
アドハム保健相は、国境を完全に再開することが可能かどうかを決めるに当たって、今後4カ月の復興のための運動管理命令(RMCO)期間は重要な時期になると言明。国境管理、社会的的距離、個人用保護具使用などで、よりシステマチックなアプローチがとられるだろうと述べた。

 両国は通勤者を対象とした「定期通勤申し合わせ」(PCA)及び業務渡航・公務出張者を対象とした「相互グリーン・レーン」(RGL)を8月17日より開始しており、段階的に拡大する方針。マレーシア政府は今後の自由化拡大に向けて国境における感染検査能力を倍増させる方向で検討している。
■23カ国民の入国禁止、「長期パス所持者は除外」■
イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は、先ごろ発表した7日付けでの23カ国の国民の入国禁止措置について、長期滞在パスを所持している者を対象から外すと述べた。
サブリ上級相は、駐在員や専門家は出入国管理局の承認を得ることを条件に入国を認めると言明。出入国管理局に申請する際にはマレーシア投資開発庁または関連機関からのサポートレターが必要になると述べた。
対象となるのは感染者数が累計15万人超える国で、永住許可証(PR)、雇用パス(EP1及び2)、プロフェッショナル・ビジット・パス(PVP)、マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)も含まれていたことからマレーシア・米国商工会議所(AMCHAM)などがマレーシア政府に見直しを要求していた。

東海岸鉄道線の路線、BN政権時代の計画に変更へ

【クアラルンプール】 東海岸鉄道線(ECRL、全長約600キロメートル)の路線計画について、ハスビ・ハビボラ副運輸相は、C区間についてパハン州ベントン、セランゴール州ゴンバックを通りセランゴール州クラン港を結ぶ国民戦線(BN)時代に決定された路線案に戻すために調整中であると明らかにした。
国会の質疑応答でECRLの路線について聞かれたハスビ副大臣は、PH政権が提案していたパハン州メンタカブからセランゴール州クラン・ウェストポートをつなぐ路線から原案に戻すために、コストや事業計画を調整していると説明。中国政府や主要な請負業者と再交渉し、交渉結果を、閣議提出するとした。
ハスビ副大臣は、路線計画の見直しの理由については、マレーシア国鉄(マレー鉄道=KTMB)が有する路線ネットワークと統合することができると説明。またセレンダ駅をECRLとKTMの乗り換え駅とすることができるとした。
ECRLはC区間の他、A区間(クランタン州コタバルートレンガヌ州ドゥングン)、B区間(ドゥングンーメンタカブ)がある。
(ベルナマ通信、エッジ、9月8日)

東海岸鉄道新線、原BN政府案を復活か

【クアラルンプール】 東海岸鉄道線(ECRL、全長約600キロメートル)の計画路線について、ムヒディン・ヤシン内閣は、国民戦線(BN)時代に決定された路線案に戻す方針を固めた。すでに今月2日の閣議で了承された模様だ。

 ECRLは首都圏とクランタン州コタバルを結ぶ電化新線で、BN政権下での原計画では総工費655億リンギ。中国交通建設(CCCC)が建設することで、中国輸出入銀行(EXIM)から550億リンギのソフトローンを借り入れることになっていた。しかし2018年に樹立した希望同盟(PH)政権では歳出削減などを理由に一時凍結しその後復活したものの、路線変更に伴うトンネル削減などで440億リンギに圧縮することになっていた。
両者の提案で大幅に異なるのは、C区間(パハン州メンタカブ—セランゴール州クラン・ウェストポート間)。PH政権が提案していたネグリ・センビラン州(ニライ)やプトラジャヤを通る南回り路線ではなく、BNが提案していたパハン州ベントン、クアラルンプール(KL)北部ゴンバックを通る北回り路線が採用される見込みとなった。
消息筋によると、BN案が採用されれば建設コストはPH案より膨らむものの、BNによる原計画よりは低く抑えられる見通し。コスト削減のために当初予定されていた複線を止めて単線にすることも検討するという。ただ建設コストに関してはCCCCと新たに交渉をし直す必要があり、計画路線がセランゴール州の森林保護区にかかっているため、州政府の同意を得る必要がある。なおBN政権当時の完成予定は2024年6月30日となっていたが、PH政権時代に2026年12月に先送りされていた。
(星州日報、エッジ、9月5日)

MM2Hプログラム、サラワク州が独自継続へ

【クアラルンプール】 凍結中の外国人の長期滞在を奨励する「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)」プログラムについて、サラワク州政府は独自に継続していく考えだ。
同州アブドル・カリム・ラーマン・ハムザ観光芸術文化青年スポーツ相は、同州には独自の移民政策があると強調。サラワク州独自の「S-MM2H」を継続して参加者誘致を目指すとした上で、9月1日より延長された新たな復興のための行動制限令(RMCO)の要件を遵守することでサラワク州政府を経由して申請することができるとした。
カリム氏によると、S-MM2Hプログラムに1,000人の新規参加者が見込まれ、2030年までに834万リンギの収益、3,100万リンギの投資を見込んでいる。2007年から2019年にかけ同州では1,240人を受け入れた。
連邦政府・観光芸術文化省は8月、同相及び関係機関が同プログラムを包括的に見直すためにMM2Hを一時的に凍結すると発表した。他国におけるMM2Hと同様な長期滞在プログラムとの条件、優遇措置などを比較し、国際水準のプログラムに見直すことを目指すとしており、すでに申請中のものについても凍結解除後に改めて再申請する必要があるとしている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、9月4日)