公共の場でのマスク着用義務化を検討=ムヒディン首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は20日、復興のための行動制限令(RMCO)に関する特別テレビ演説を行ない、公共の場所におけるマスク着用の義務化を検討していることを明らかにした。

新型コロナウイルス「Covid-19」感染が再び拡大することを防止するためで、ムヒディン首相は詳細については決まり次第発表すると言明。必要に応じて海外帰国者についても隔離センターに留めおくなどして、海外からの感染流入を効果的に抑制すると述べた。

ムヒディン首相は、収束に向かっていた新型コロナウイルスのクラスターがRMCO期間中に13カ所で発生したことに加え、数日前に新規感染者数が二桁に戻ったことが懸念されると指摘。「国民がロックダウンの実施を望んでいないことは分かっており、そうした危険レベルに達することがないよう願っている」と述べた上で、国民の「新常態」に対する取り組みが不十分であれば、再び行動制限令(MCO)を導入することになると警告した。

ムヒディン首相はMCOを再導入した場合には1日当たり20億リンギの経済損失を産み、数百万人の被雇用者の収入に影響を及ぼす恐れがあると指摘。これまでの政府、民間、NGOが行なってきた経済復活への取り組みを台無しにし来年の経済成長にも影響を及ぼし、企業の倒産や失業率の上昇を産むと述べた。

与党PPBM、ムヒディン党首が無投票再選

【クアラルンプール】 与党・国民連盟(PN)構成党、統一プリブミ党(PPBM)は17日、8月に予定している党役員選挙に先駆けて、非公式ながらムヒディン・ヤシン党首(首相)が再選を決めたことを明らかにした。
党選挙委員会のサイド・ハミド議長は、立候補締め切りまでにムヒディン氏以外に立候補者が出なかったためと説明。8月に他の役員選が終わった後に正式発表するとした。副党首ポストについて、アハマド・ファイザル・アズム(ペラ州首相)が対抗馬なしのため無投票当選を果たした。ただ議長選については立候補者がいなかった。議長ポストは、マハティール・モハマド前首相が2月末の政変の際に辞任してから空白となっており、ムヒディン党首が代行している。
党首補選挙には17人が立候補を届け出ている。モハマド・ラジ上級相(教育担当)、レズアン・ユソフ首相府相(特別任務担当)、ロナルド・キアンディ農業農業関連産業相らが立候補した。また青年部長選にはワン・アハマド・ファイサル副青年スポーツ相ら2人、婦人部長選にはリナ・ハルン女性家族共同体開発相ら4人がそれぞれ立候補した。
PPBMの各部会は8月22日に開催され、役員選挙も実施されることになっている。
(ベルナマ通信、7月17日)

長期的な国家経済復興計画、10月に発表=首相

【クアラルンプール】 ムヒディン・ヤシン首相は14日、長期的な国家経済復興計画(PENJANA)を10月に発表すると明らかにした。
ムヒディン首相は国会の質疑において、経済行動評議会(EAC)が計画を策定中で、10月にも国会に提出すると言明。デジタル化やインダストリー4.0(IR4.0、第4次産業革命)に関する政策を盛り込むと明らかにした。また11月6日に発表する来年度予算案にも様々な政策を盛り込むと補足。経済の再構築や強化に関しても様々な政策と戦略を策定中で、来年発表する予定の「第12次マレーシア計画(12MP、対象期間;2021ー2025年)」では社会開発の不均衡に対応すると明らかにした。
一方で経済成長について、ムヒディン首相は新型コロナウイルスの感染が拡大し、世界経済や貿易環境が厳しい中、第1四半期は0.7%成長したと言明。中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は今年通年の経済成長の予想をマイナス2%からプラス0.5%としているとした。失業率についても統計局は今年は5.5%を予想しているとし、行動制限令の緩和や短期的なPENJANAが奏功して年末までに回復に向かうとの予想を示した。
(ベルナマ通信、7月14日)

休暇目的の出国は不可=サブリ上級相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は、マレーシアで合法的に働いている外国人に対し、休暇を目的とした出国は禁じると発表した。
規則に違反して出国した場合には、追って通知があるまでマレーシアへの再入国は認めないという。雇用パス・カテゴリー1(EP1)やEP2、プロフェッショナル・ビジット・パス(PVP)保持者を含むすべてのビザ・カテゴリーに適用する。
マレーシア人の場合は留学生が学業継続のために出国すること以外の休暇目的の出国は認めておらず、外国人にだけ出国が許可されるのは不公平との意見を受けて国家安全評議会(NSC)が決定したという。
サブリ上級相は、マレーシア人帰国者のうち225人がいまだ14日間の自己隔離の13日目に義務づけられている抗体検査を受けていない事を明らかにした。違反者は罰金1,000リンギ、最高で禁固2年に処される可能性があり、サブリ氏は早急に検査を受けるよう呼び掛けた。

議会再開、前哨戦の議長解任動議は僅差で可決

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 下院議会(定数222)が2カ月ぶりに再開し、初日の13日には新型コロナウイルス「Covid-19」の下院議会の標準的運用手順(SOP)、政府が打ち出した感染防止策や経済対策、下院議長及び副議長の交代に関する審理が行われた。

 アンワル・イブラヒム人民正義党(PKR)党首が野党側リーダーとして、またマハティール・モハマド前首相も新たな野党ブロックの代表として質問に立った。

ムヒディン・ヤシン首相は、モハマド・アリフ下院議長の交代に関する動議を提出。賛成111票、反対109票で辛くも2票差で可決された。今国会では野党側がムヒディン首相の不信任案を提出する意向を示しており、その前哨戦として注目されていた。

野党側は「解任の理由が不透明」「新たに政府・与党寄りの人物を指名するための恣意的もなもの」などと批判。議会改革に積極的だったアリフ議長の留任を求めて動議否決を目指していた。

過半数をとれなかったのは、与党・国民連盟(PN)側から議員1人が欠席したため。ひとまず可決したものの与党側にとって綱渡りの状況であることが改めて示された格好だ。

■経済対策、「議会審議の時間なかった」ムヒディン首相■

下院議長解任動議に先立って新型コロナウイルス「Covid-19」に関連した政府の経済対策について野党から質問があり、ムヒディン首相は議会審理を通さなかったことについて「国民から要請があった。緊急を要していたため、議会開催まで待つことが出来なかった」と説明した。

ムヒディン首相は、下位40%の低所得者(B40)やサバ・サラワク州などの地方が取り残されないようにすると言明。社会経済開発の不均衡に対処し、経済を再構築・強化するための様々な政策・戦略の策定に着手していると述べた。

貧困ラインを近く見直し=ムスタパ首相府相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムスタパ・モハメド首相府相(経済担当)は、貧困と定義される最低ラインが低すぎるとの指摘を受けて見直しに着手していることを明らかにし、近く新たな貧困ラインを発表すると述べた。
ムスタパ大臣は、貧困ラインの問題は昨年から2回にわたって閣議で議題に上っているとした上で、見直しに取り組むために経済企画局(EPU)によって数回にわたって委員会が招集されたとコメント。月収980リンギとなっている現在の貧困ラインは2005年に行なわれた研究に基づいたものであり、指摘されているように時代遅れであると認めた。また新たな貧困ラインについては、2019年の新たな方法論が導入される予定であるとし、貧困を取り巻く最新の数値が含まれマレーシアの現在の社会経済状況をより適切に反映するものになると述べた。
マレーシアの貧困率については、月収980リンギの貧困ラインに基づけばわずか0.4%となるが、元国連特別報告者のフィリップ・アルストン氏は7月6日に発表したリポートの中で、「誤解を招くほど低く非現実的」と指摘。「国際基準に基づいているとの政府の主張は煙幕であり、現実と統計の間の明らかなミスマッチを無視している」と批判していた。

ハラル認証手続きを簡素化の方針=ズルキフリ首相府相

【クアラルンプール】 ズルキフリ・モハマド・アルバクリ首相府相(宗教問題担当)は、ハラル(イスラムの戒律に則った)認証取得手続きを簡略化する方針を明らかにした。
ズルキフリ大臣は、ハラル認証の問題を包括的に調査して、認証取得において業界が直面するすべての問題が解消されるようにすると言明。ハラル認証取得プロセスにおいて申請者に負担をかけるべきではないとした上で、復興のための行動制限令(RMCO)においては特にその必要性はあると述べた。その上で、申請プロセスを見直し手続きを簡略化しつつも規定のハラル基準を満たすようにするとし、具体的には申請後の処理期間の短縮、ハラル証明書の申請に必要な文書の削減などが、簡略化の検討内容に含まれるとした。
またズルキフリ大臣は、ニセのハラル・ロゴが一部で使用されている問題に言及。当局だけでなく一般国民、特にイスラム教徒もハラル・ロゴが本物であるか注意を払うよう呼び掛けた。先ごろイスラム宗教局(JAIS)は、セランゴール州シャアラムのスナック工場をニセのハラル・ロゴを使用していたとして摘発した。
(ベルナマ通信、7月6日)

東海岸鉄道線、中央部の路線ルート巡り対立

【ペタリンジャヤ=マレーシアBIZナビ】 東海岸鉄道線(ECRL)の中央部の路線敷式ルートを巡り政府高官の間で対立がが起きている。
ECRLは、ポートクランとコタバルを結ぶ全長648キロメートルの電化新線。ナジブ政権下で発表されたが総工費が膨れ上がったため、その後政権を握った希望同盟(PH)が計画を凍結。建設費がかさむトンネルを減らすためのルート変更などが行われ、当初予定よりコストを削減し、40キロメートル縮小した上で再開が決まった。その際に、当初はパハン州のメンタカブからネグリ・センビラン州のジェレブおよびクアラ・クラワン間のルートに関して北側を通るゴンバク、ベントンを通るルートの予定だったが、バンギ、カジャン、メンタカブを通る南側ルートに変更された。しかし政権が再び交代したことで2つの案を巡り対立が起きている
ウィー・カション運輸相は、テレビのインタビューでパハン州のワン・ロスディ・ワン・イスマイル州首相から当初予定のゴンバクとベントンを通る北側ルートにすべきと提案があったと表明。またムヒディン・ヤシン首相からも北もしくは南ルートどちらにするのか決めるように求められているが、まだ決定していないと述べた。
ECRLの推進母体、マレーシア・レール・リンク(MRL)も、当初の路線に戻すよう提案があることを認めている。

野党・希望同盟、アンワル氏の首相候補擁立方針を確認

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 野党側の統一次期首相候補の人選を巡って混乱が続いている野党連合・希望同盟(PH)は6日、PHリーダーであるアンワル・イブラヒム人民正義党(PKR)党首を推すという先の決定を維持するとの声明を発表した。
PHは同日、声明に先立って構成党トップによる最高評議会議を開催。アンワル氏を首相候補に推すことを再度確認した上で、友党であるサバ遺産党(ワリサン)のシャフィー・アプダル党首を含めたすべての共闘先との対話における全権をアンワル氏に委ねることも決定した。
PKRはアンワル氏の首相候補擁立について譲らない構えを崩しておらず、PH最高評議会はアンワル氏を立てることでひとまず野党連合分裂という最悪の事態を避けることを優先したとみられる。マハティール氏に対する警戒感はあるもののアンワル氏も友党との話し合いを継続する考えを示しており、噂される総選挙に向けて野党間の結束を図りたい考えだ。
野党側の首相候補に関しては、アンワル氏擁立案に対して同氏を嫌うマハティール・モハマド前首相が難色を示しており、当初マハティール氏は自身を首相、アンワル氏を副首相とする案をPH側に打診。それに対するPKRの反対が強いとみてとると、シャフィー氏を首相候補にたてる代案を提案していた。マハティール氏に不信感をもつPKRはこれらのマハティール氏の提案をことごとく却下。野党間の統一候補擁立交渉が暗礁に乗り上げていた。

「第3の国民車」計画は続行、プロドゥアが協力

【ラワン】 アズミン・アリ上級相(兼通産相)は、今年3月にムヒディン・ヤシン内閣による政権交代が行なわれたものの、前政権時代に立ち上げられた「第3の国民車」プロジェクトを推進する考えを示した。

 第2国民車メーカーのプルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)と、プロドゥアに出資するダイハツ工業が、「第3の国民車」プロジェクトにどのように協力できるか政府より提案を求められているという。

 プロドゥアのザイナル・アビディン社長は、政府に対してベンダーシステムの提案を行なったことを明らかにした上で、「第3の国民車」の委託生産を受注する可能性があると述べた。

 同プロジェクトはマレーシアの自動車産業の振興のためにマハティール•モハマド前首相が提唱したもので、2019年8月にアンカー企業としてエンジニアリング会社、ドリームEDGEが指名された。

 政府はドリームEDGEに対しても、プロジェクト概要について説明を求めている。当初の計画では今年3月に最初のモデルのプロトタイプが完成し、2021年3月の発売を目指していた。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、7月3日)