世界銀行、マレーシアの今年GDP成長率を3.9%と予測

【クアラルンプール】 世界銀行は、厳しい世界経済環境を理由にマレーシアの経済成長が2025年に鈍化すると予測。3.9%との低めの最新の成長予想を示した。2024年のGDP成長率は5.1%だった。今年第1四半期は速報値で4.4%となっている。

世界銀行のマレーシア担当、アプルバ・サンギ主任エコノミストは、「あらゆる留意点を踏まえた予測」だとしている。世界銀行はマレーシアを含むアジア太平洋諸国の成長率見通しを発表し、中国は4%、インドネシアは4.7%、フィリピンは5.3%、カンボジアは4%、タイは1.6%、ベトナムは5.8%、としている。

世界銀行は、世界環境の悪化に起因する外的要因により、輸出が大きな逆風に直面するだろうと指摘。国内需要と個人消費は引き続き成長を牽引し、また民間投資は複数年にわたる継続的な投資と、既に承認されたプロジェクトの実施によって引き続き支えられると見込まれるが、主に貿易と投資をめぐる不確実性の高まりに起因する、いくつかの重大な下振れリスクにさらされているとした。マレーシアについては、国内リスクは国内政策によるインフレ圧力と、悪天候による供給混乱の可能性に起因しているとした。

今年のマレーシアの成長率については、国際通貨基金(IMF)が先ごろ4.7%から4.1%に引き下げたが、世界銀行による予測はIMFの予測よりもさらに低くなっている。マレーシア政府も最近の国際情勢を踏まえ、4.5―5.5%としていた公式成長率予測を下方修正する意向を示している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、4月26日)

マレーシアのインターネット世帯利用率は96.8%

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は24日、2024年の情報通信技術(ICT)の利用およびアクセスに関するレポートを発表。世帯における利用率は携帯電話が99.5%、インターネットは96.8%で、ともに前年から微増だったが、有料テレビに関しては67.1%と、前年から9.9ポイントの減少となった。

テレビ、ラジオの利用率も携帯電話と同じく99.5%、コンピューターが92.2%だった。個人の利用率でみると、インターネットが最も高く98.0%、携帯電話が99.5%、コンピューターが80.7%で、いずれも前年から0.1―0.3ポイントの微増となった。都市部と農村部で比較すると、コンピューターが都市部では86.5%だったのに対し、農村部では64.3%と、差が大きかった。

またインターネットの主な利用目的として、最も多かったのはソーシャルネットワークが99.7%(前年99.4%)で、動画・音楽のストリーミングやオンラインゲームが94.3%(同93.9%)、商品やサービスの情報収集で93.0%(同92.8%)と続いた。

IMFがGDP成長予想を下方修正、マレーシアは4.1%へ

【クアラルンプール】 国際通貨基金(IMF)はマレーシアの今年の国内総生産(GDP)増加率予想を、1月に立てた4.7%から4.1%へ下方修正した。米国政権による関税措置が主因だ。世界経済についても成長予想を3.3%から2.8%へ修正した。

IMFはインドネシア、フィリピン、タイなど域内諸国のGDP成長予想も下方修正した。IMFが理由として挙げたのは、2月以降に複数回にわたり米政権が発表した、貿易相手国に対する関税引き上げ措置で「4月2日の、ほぼすべての貿易相手国に対する関税引き上げの適用で世界の主要株式指標は暴落し、債券利回りは上昇した」とした。

世界経済は「重要な分岐点にある」とIMFは指摘。新型コロナウイルス禍ですべて国の工業生産は急減したが、回復は国によって異なったという。

中国での生産は急増し、欧州連合(EU)の小国や東南アジア5カ国(マレーシア、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ)では増加した。しかし日本やEUの大国ではウイルス禍以前の水準に戻るのに困難を伴ったという。
(ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、ザ・スター電子版、4月23日)

社会経済研究センターのGDP成長予想4%

【クアラルンプール】 シンクタンクの社会経済研究センター(SERC)は17日公表した第1四半期経済報告で、今年の国内総生産(GDP)は4%になるとの予想を示した。中央銀行が先に示した予想は4.5-5.5%。

発表に当たったリー・ヘングイエ専務理事によれば、トランプ関税は国際貿易や投資家マインドにマイナスだが、国内の個人消費、投資とも堅調を維持しているため、短期的衝撃を緩和できるという。

関税措置に対しては、90日間の猶予期間中の前倒し出荷の動きが世界的に見られ、購買担当者指数(PMI)が上昇している。

SERCは華人商工会議所(ACCCIM)と共同で4月7日から10日にかけ緊急調査を行った。輸出業者122社のうち、最大の輸出先が米国との回答は66%。米国のクライアントから値下げの申し入れがあった、との企業の割合は46.2%だった。

リー氏はまた、14日に開かれたマレーシア証券取引所での会議で、対米貿易黒字を減らす必要があるとの認識を示した。米国の関税逃れのためにマレーシアを利用されるようなことは回避すべきだという。
(マレーシアン・リザーブ、4月17日、エッジ、4月14日)

第1四半期のGDP成長速報値、プラス4.4%=統計局

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は18日、2025年第1四半期(1ー3月期)のマレーシア国内総生産(GDP)成長率の速報値を発表。前期(2024年10ー12月期)のプラス5.0%から、プラス4.4%に減速した。正式発表は5月16日に予定されている。

牽引役のサービス業は、前期のプラス5.5%からやや減速したもののプラス5.2%の水準を維持した。卸売・小売、輸送・倉庫、情報通信が貢献した。

製造業も、前期のプラス4.4%から、プラス4.2%にやや減速。電気・電子・光学製品、植物性・動物性油脂・食品加工、石油・化学・ゴム・プラスチック製品の好調に支えられた。

建設業は前期のプラス20.7%から、プラス14.5%に減速したものの、特殊建設、住宅建設の成長に支えられ、2ケタ成長は維持した。

農業は、前期のマイナス0.5%からプラス0.7%に持ち直した。アブラヤシ・サブセクターが低迷したものの、漁業およびその他の農業サブセクターに支えられた。

一方、鉱業・採石業は原油・コンデンセートおよび天然ガスの生産量減少が影響し、前期のマイナス0.9%からマイナス4.9%にさらに落ち込んだ。

今年のマレーシアGDP成長予想、ムーディーズが下方修正

【クアラルンプール】 ムーディーズ・アナリティクスはマレーシアの今年の国内総生産(GDP)増加率予想を5%から4.4%へ下方修正した。米国政権の関税措置で国際貿易が不透明になっているためだ。

ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)での会議においてムーディーズのアジア太平洋地域幹部カトリーナ・エル氏は「相互関税措置が長期に及ぶことはない、との前提での修正であり、もし長期にわたる場合、さらに大幅な修正になる」と言明。「関税措置の現状は変動が激しい。こうした不透明感はマレーシアのような輸出依存国には大問題だ。輸出は減少する」と述べた。

ムーディーズ・アナリティクスはインフレ予想も2%から1.6%へ修正した。物価上昇が予想より緩やかであれば、中央銀行バンク・ネガラ(BNM)には金融緩和を考える余地が生じるという。

アブドル・ラシードBNM総裁は同じ会議で、中銀のGDP増加率予想(4.5-5.5%)の見直しに着手したことを明らかにした。
(エッジ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、4月14日)

ペナン国際空港、新ターミナル建設など最大12億リンギの見通し

【クアラルンプール】 昨年から始まったペナン国際空港(PIA)の拡張工事で、新メインターミナルビル建設を含む「パッケージ3」の入札が5月に行われる見通しだ。CIMB証券が10日に報告書を発表し、契約額は最大12億リンギになるとしている。

PIAの拡張工事は3つのパッケージに分けて進められている。パッケージ3には、新ターミナルの建設、既存ターミナルの改修などが含まれる。2027年に完工予定。
管制塔建設などを含むパッケージ1は、高速道路建設などを多く手掛けるガガサン・マヤが昨年9月に1億800万リンギで受注。現在の進捗率は31%で、今年11月の完成を目指している。

誘導路や駐機場(エプロン)を含むパッケージ2は、建設会社エーカーワークスが2億5,500万リンギで受注し、今月中旬の着工を予定している。

CIMB証券によると、カタールのハマド国際空港建設で実績のある建設大手のガムダが、パッケージ3の最有力候補に挙げられており、そのほかIJMコープ、マレーシアン・リソーシーズ・コープ (MRCB)、サンウェイ ・コンストラクション・グループなども入札参加が見込まれているという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、4月10日)

東南アジアは中国より米国を信頼、シンクタンク調査

【シンガポール=アジアインフォネット】 東南アジアの市民は中国より米国に信を置いていることが、シンガポールのシンクタンクISEASユソフ・イシャク研究所の調査で分かった。調査期間は米トランプ政権による関税引き上げ前の1月3日-2月15日であるため、現在同調査が行われれば逆の結果になる可能性もある。

調査対象は東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と東チモールで、東チモールの回答は集計結果には含まれていない。質問内容は「世界平和、安全保障、繁栄、統治のために米国・中国が正しいことをすると、どの程度確信しているか」で、学術者、民間セクター代表、一般市民、非政府組織代表、政府職員ら計2,023人に聞いた。

米国、中国のいずれかと緊密に協力せざるを得ない場合、米国を選ぶと回答したのは52.3%。カンボジア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、ベトナムで、米国を選ぶとの回答が多数を占めた。前年調査ではシンガポール、タイ、ベトナム以外の国すべてで、中国と協力するとの回答が多数を占めた。

ASEAN10カ国の米国に対する信頼は47.2%(前年は42.4%)に上昇。不信は37.6%から33.0%へ縮小した。マレーシアの米国に対する信頼は23.3%(前年は23.1%)で、不信(56.3%)を大きく下回った。中国に対する不信が信頼を上回ったのは6カ国で、中国に対する信頼が不信を上回ったのは4カ国(ブルネイ、カンボジア、ラオス、タイ)にとどまった。マレーシアの中国に対する信頼は31.7%(前年は32.0%)で、不信(40.5%)を下回った。

マレーシアの消費者信頼感指数は3位の58.5=イプソス調査

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 国際的な世論調査会社イプソスは3月28日、2025年3月の世界消費者信頼感指数を発表。マレーシアの消費者心理は58.4で、前月比で2.8ポイント上昇するなど好調だった。

調査は29カ国で75歳未満の計2万1,000人以上を対象に実施された。平均の消費者信頼感指数は48.2で、前月から0.6ポイントの下落となった。国別でみると、トップはインドで60.2、次いでインドネシアの58.5、マレーシアの58.4は3番目に高かった。一方、日本は、28位の35.7だった。

また前月比でみると、2.0ポイント以上上昇したのは5カ国で、マレーシアの2.8がトップだった。逆に2.0以上ダウンしたのは7カ国で、インドネシアがマイナス5.7で最も大幅に低下した。前年比ではマレーシアはトップの12.6ポイントの上昇だった。

将来の経済状況に関する消費者の期待を示す期待サブ指数でも、マレーシアは2.2ポイントで大幅に上昇した国に入った。

昨年のマグロの水揚げ量、前年比15.5%増の6万4千トン

【クアラルンプール】 マレーシア漁業局(DOF)は27日、マレーシア近海における2024年のマグロの水揚げ量は6万3,780トンだったと発表した。2023年の5万5,223トンに比べ15.5%増で、価値にして7億8,130万リンギ超となった。

水揚げ量が最も多かったのはベラ州で1万6,934トン、次いでサバ州の1万2,479トンとなった。

マグロについては国内取引物価省が市場価格の安定に取り組んでいる。DOFのアドナン・フセイン長官は「水揚げ量や価格を注視し、消費者にとって十分な量を確保しながら、持続可能性に向けて関連機関と引き続き協力していく」と述べた。
(ベルナマ通信、3月27日)