2023年の電子決済取引件数、23.7%増の115億件

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は、2023年の電子決済取引件数は前年比23.7%増の115億件に達したと発表した。

BNMは20日に発表した「2023年版経済・金融レビュー」の中で、2023年の一人あたりの取引数は前年比20.4%増の343件、カードや電子マネー、金融プロセス・エクスチェンジ(FPX)による銀行口座引き落としなどの小売決済総額は17%増の5,920億リンギに達したとし、電子決済普及に向けた官民一体の活動が功を奏したと述べた。BNMも決済サービスの安定性や社会的信用の維持に向け、決済インフラや規制・監督体制の強化などの取り組みを行っているとし、「2026年までに国民一人あたりの電子決済取引の年成長率を15%以上にする」という金融部門青写真の目標は達成できる見込みだと述べた。

(ザ・サン電子版、ザ・スター電子版、マレー・メイル、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、3月20日、バンクネガ発表資料)

今年のマレーシア経済、景気上昇の見込み=ニッセイ基礎研究所

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 シンクタンクのニッセイ基礎研究所は19日、「東南アジア経済の見通しー輸出底打ちで再び緩やかな回復軌道に復帰」と題したレポートを発表した。

同社経済研究部准主任研究員の斉藤誠氏によると、東南アジア5カ国(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム)の2024年の経済は、輸出と製造業が持ち直して景気回復局面が続くものの、サービス業の増勢が鈍化して実体経済は盛り上がりに欠ける展開となるという。

マレーシア経済については、2024年は堅調な内需と輸出の回復により景気が上向くと予想している。外需は半導体需要の回復により電気・電子(E&E)セクターが持ち直して輸出が回復に向かい、外国人観光客の増加によるサービス輸出の持続的な拡大も見込まれる。民間消費は観光業の回復などが下支えとなるが、インフレの加速により増勢が鈍化する見込みだ。

投資は東海岸鉄道線(ECRL)など進行中のインフラ計画の進展などが追い風となる一方、サービス税率引き上げなどの財政再建を行う計画であるため、景気のサポートは限定的だとしている。

金融政策については、中央銀行バンク・ネガラ(BNM)が利上げを段階的に実施した後、現在は据え置いている状態だが、今後もインフレ加速の動向を見極めつつ、年内は現行水準を維持すると予想。2024年の実質GDP成長率はプラス4.2%に上昇する(2023年はプラス3.7%)と見込まれるという。

マレーシア人訪日者数、2月は88.2%増の6万200人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2024年2月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は6万200人となり、前年同月比で88.2%、前月比で87.5%増加した。 2月としては過去最高となった。

JNTOによると、旅行代金の高騰、LCCの地方路線の回復の遅れ等の影響があったが、スノーシーズンによる訪日需要の高まり、旧正月とスクールホリデー時期の重なり等の影響もあり大幅に増加した。なお、新型コロナ前の2019年同月との比較でも64.2%増となった。

クアラルンプール(KL)ー新千歳間の復便もあり、日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にある。

2月の世界全体の訪日者数は、前年同月から 89.0%増の278万8,800人、2019年同月からは7.1%増となった。うるう年の影響で日数が例年より 1日多かったことに加え、2023年は1月だった旧正月(春節)が 2月中旬となったことも影響した。コロナ禍以降で最多を更新し、2月としても過去最高となった。

JNTOは、昨年3月に策定された第4次観光立国推進基本計画で3つの柱「持続可能な観光」、「消費額拡大」、「地方誘客促進」が示されるとともに、旅行消費額・地方部宿泊数等に関する新たな政府目標が掲げられたとし、これらの実現に向けて、市場動向を綿密に分析しながら、戦略的な訪日旅行プロモーションに取り組んでいくとしている。

地域統括機能設置の理由、マレーシアは「英語」が最多=ジェトロ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)は、アジア大洋州地域における日系企業の地域統括機能調査報告書を発表した。

2023年10月から11月にかけて、マレーシア、シンガポール、タイ、インドの4カ国に進出する日系企業4,397社を対象に実施し、605社から回答を得た。マレーシアからは179社が回答した。統括機能拠点の設置先としてマレーシアを選んだのは11社で、シンガポール(87社)、タイ(21社)に次いで多かった。

マレーシアに統括機能を設置する理由については、72.7%が「英語が広く通用すること」と回答。54.5%が「周辺地域へのアクセスが容易」と回答した。地域統括機能の対象国については、「東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部の国」との回答が63.6%と最多だった。

設置の目的については、マレーシアでは、「域内グループ企業に対して経営支援機能提供による効率化・コスト削減」との回答が72.7%と最も多かった。

地域統括機能の設置手法としては、マレーシアは「地域統括機能を持たせた現地法人の新規設立」と回答する割合が81.8%と高かった。地域統括業務に関わる日本人従業員数については、マレーシアは「1―5人」が54.5%を占めた。

地域統括機能にかかる収入については、マレーシアは「一般事業収入からの充当」が45.5%、「域内グループ企業からの管理に係る業務委託料」が36.4%だった。地域統括拠点代表者の日本本社での役職については、マレーシアでは「部長級」が54.5%を占め、「執行役員級」も36.4%あった。

地域統括拠点設置先としての懸念点については、マレーシアでは72%が「人件費の上昇」と回答した。

訪マレーシア観光客、コロナ禍前比で117%に=調査

【クアラルンプール】 旅行インサイト情報会社、アウトボックス・カンパニーによると、訪マレーシア観光客数は2019年の新型コロナウイルス「Covid-19」パンデミック前のレベルと比較して116.69%の回復となり、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内で最高となった。

東南アジアを訪問した外国人観光客数は 2023年には前年比22%増加し、通年では9,700万人に達した。外国人観光客数が最も多かったのはタイ(2,800万人)で、これにマレーシア(2,000万人)、シンガポール(1,360万人)が続いた。東南アジア全体の回復率は2023年12月時点で72%で、マレーシアはコロナ禍前の水準を超えた東南アジア唯一の国となった。マレーシアのほか、フィリピン、インドネシア、ベトナム、カンボジアはそれぞれ掲げていた観光客誘致目標を上回った。

2023年12月単月だけで、マレーシアは前月比36%増となる230万人の外国人観光客を受け入れ、23%増の330万人で首位を維持したタイに次ぐ2位となった。
(ザ・サン、3月16日)

今年のGDP成長、ムーディーズは4.5%への加速を予想

【クアラルンプール】 格付け会社のムーディーズ・レーティングスはマレーシアの今年の実質国内総生産(GDP)成長率について、昨年の3.7%に対し4.5%に加速するとの予想を示した。対外情勢には問題があるが、強固な内需が成長をけん引するという。

ムーディーズは、雇用市場は堅調で家計消費を支えると分析。「国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)」や「新産業マスタープラン2030(NIMP2030)」などの政府政策が官民両セクターによる投資の土台となるとした。また世界半導体の景気循環は回復が期待できるが、世界経済の成長は弱く、輸出のGDPへの貢献は制限されるとした。

不動産市況については、引き続き弱さを抱えていると指摘。住宅の売れ残り戸数は依然高水準で、オフィス、小売り施設は供給過剰のため賃貸料、入居率が抑えられると分析した。中央銀行バンク・ネガラの政策については、現在の金融スタンスを維持する見通しで、借り入れ需要へのマイナス影響はないと予想されるとした。

銀行システムについては、利息マージンは安定し、銀行の利益性は保たれるとした上で、クレジットコスト(不良債権を処理することにより算出される損失額)は増加すると予想した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ボルネオポスト、3月8日)

2023年の不動産販売額は過去最高の1968億リンギ

【カジャン】  財務省傘下の国家不動産情報センター(NAPIC)は6日、2023年の不動産取引額は前年比9.9%増の1,968億3,000万リンギに達し、過去最高となったと発表した。

そのうち51.3%(1,009億3,000万リンギ)を住宅が占め、商業(19.5%)、工業(12.2%)、農業(9.5%)、開発用地その他(7.5%)が続いた。全部門が前年から増加した。増加率は、住宅は7.1%、商業は17.5%、工業は13.1%、農業は4.6%、開発用地その他は13.8%となった。

2023年の取引件数は、同2.5%増の39万9,008件となった。新規住宅発売戸数は4.4%増の5万6,526戸、販売率は40.4%(前年は36%)。完成済み売れ残り住宅物件は、前年の2万8,000戸(184億1,000万リンギ相当)から2万6,000戸(177億リンギ相当)に減少した。 専用ビルオフィスの平均稼働率は78.5%で安定し、ビジネス・複合ビルの稼働率は前年の75.4%から77.4%に上昇した。

マレーシア住宅価格指数(MHPI)は、2023年には216.5ポイント(1戸当たり46万7,144リンギ)となり、前年比3.2%増となった。州・地域別では、ジョホール州(6.2%)、ペナン州(3.8%)、セランゴール州(2.9%)、クアラルンプール(1.8%)など、全州・地域でプラスとなった。

NAPICは今後の見通しについて、2024年の国内経済は4ー5%成長が見込まれているため、不動産市場に対しても慎重ながらも楽観的に見ているとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、3月6日)

大KL圏への昨年の外国投資、過去最高の87億リンギ

【クアラルンプール】 大クアラルンプール(KL)圏への投資誘致に当たるインベストKLは、2023年に87億リンギの外国直接投資(FDI、認可ベース)を誘致。前年(27億9,000万リンギ)の3倍強となったと明らかにした。2011年の創設以来のFDI累積誘致額は297億9,000万リンギになった。
アズミ・ズルキフリ最高責任者(CEO)は発表会見で、投資の急増はマレーシア経済の潜在性に対する外国人投資家の信頼を示すもので、クアラルンプールのビジネス生態系の成熟を裏付けていると述べた。

2023年の投資を先導したのは米州、欧州、アジアを拠点とする12の多国籍企業で、米コグニザント、デンマークのデマント、北控水務集団、ロンドン証券取引所グループが代表例。

投資により8,329人(2022年は2,805人)の高技能の雇用機会が創出された。うち81%はデジタル、およびテクノロジー分野だった。ほかに生命科学、医療、金融サービスでも雇用が創出されており、こうした就業機会の多様性は国内経済の活力を示すものだという。

インベストKLは投資貿易産業省傘下の機関。累積投資のうち実施されたのは66%にあたる197億4,000万リンギで、2万7,000人の幹部ポジションが創出され、そのうち74%が埋まった。平均月収は1万4,000リンギ超だという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月6日、エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、3月5日)

1月の航空旅客数、前年比10.7%増の695.2万人

【クアラルンプール=マレーシアBIZ】 空港運営会社、マレーシア・エアポーツ(MAHB)によると、2024年1月の国内空港における航空旅客数は前年同月比10.7%増の695.2万人だった。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年同月の水準の83.0%にまで回復した。

牽引役となった国際線は前年同月比37.3%増の382.7万人、国内線は10.5%マイナスの312.4万人で、それぞれ新型コロナ感染拡大前の2019年の水準の86.0%、79.6%にまで回復した。マレーシアが打ち出した最長30日間のビザなし入国措置と、中国が2023年12月1日付けで打ち出したマレーシア人に対する15日間のビザなし措置、新たな航空会社による週25便の増便や1月上旬の旅行シーズンが後押しした。

クアラルンプール新国際空港(KLIA)は23.0%増の432.2万人で、国際線が37.5%増の325.3万人、国内線は6.9%マイナスの106.9万人だった。ターミナル1が29.9%増の233.2万人で、格安航空を扱うターミナル2は15.8%増の199.0万人。一方、KLIAを除く国内空港は4.9%減の263.0万人となった。国際線は36.1%増の57.4万人、国内線は12.3%減の205.5万人だった。

マレーシア人訪日者数、1月は18.5%増の3万2100人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2024年1月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は3万2,100人となり、前年同月比で18.5%増加したが、前月比では47.2%減少した。

JNTOによると、1 月が海外旅行需要の低下する時期であること、旅行代金の高騰、LCCの地方路線の回復の遅れ等の影響があったが、スノーシーズンによる訪日需要の高まり、祝日等の影響もあり増加した。なお、新型コロナ前の2019年同月との比較では2.2%増となった。

クアラルンプール(KL)ー新千歳間の復便もあり、日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にある。

1月の世界全体の訪日者数は、能登半島地震発生後、東アジアを中心に影響が一部見られたものの、前年同月から79.5%増の268万8,100人、2019年同月からはほぼ横ばいとなった。

JNTOは、昨年3月に策定された第4次観光立国推進基本計画で3つの柱「持続可能な観光」、「消費額拡大」、「地方誘客促進」が示されるとともに、旅行消費額・地方部宿泊数等に関する新たな政府目標が掲げられたとし、これらの実現に向けて、市場動向を綿密に分析しながら、戦略的な訪日旅行プロモーションに取り組んでいくとしている。