世界競争力ランキング、マレーシアは7ランク下落の34位

【クアラルンプール】 スイスのビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD)が発表した最新版・世界競争力ランキング(WCR)で、マレーシアは67カ国・地域中で34位となり、前回の27位から7ランク下落した。

同ランキングは、各国政府や地域組織、民間機関などから得た統計と、2024年2月から5月にかけて行われたオンライン調査に基づく経営幹部へのアンケートに基づき、▽経済パフォーマンス▽政府の効率性▽ビジネスの効率性▽インフラ――の4つの主要素の下で全20のサブ項目に分けてランク付けした。

マレーシアは、アジア太平洋地域(14カ国)では4ランク下落して10位にとどまった。タイ(25位)やインドネシア(27位)よりマレーシアが下位にランクされたのは今回が初めて。

マレーシアはインフラのみが順位を維持したものの、経済パフォーマンス、政府の効率性、ビジネスの効率性でランクを下げ、国内経済のサブ項目で19ランク下がって35位、生産性&効率性で17ランク下がって53位となった。

リポートでは、マレーシアについて、▽研究開発への投資を増やして企業の回復力を高めること▽労働市場の最適化によって労働力の生産性を最大化すること▽政策や規制を更新して国際競争力を高めること▽先進技術を活用して生産性の向上を加速すること▽戦略的な生産性向上によって増加するコストを軽減すること――の5つの課題を指摘している。

世界全体ではシンガポールが前回から4ランク上がってトップに立ち、2位以下はスイス、デンマーク、アイルランドが続いた。日本は3ランク下がって38位にとどまった。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、6月18日、IMD発表資料)

第1四半期の国内観光客数、前年比19%増加=統計局

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は12日、2024年第1四半期の国内観光に関する調査を発表。国内観光客数は5,860万人となり、前年同期(4,930万人)から19.0%増、前期(5,500万人)から6.5%増となった。

観光客の支出額は241億リンギで、前年同期(192億リンギ)から25.3%の大幅増加、前期(238億リンギ)からも1.2%の増加となった。

観光関連産業の指標は、テーマパークが前年同期比で20.6%アップ、前期比では7.8%のマイナスとなった。宿泊施設は前年同期比12.2%。前期比1.1%と共にプラスとなった。

5つ星のホテルは前年同期比3.3%、前期比0.2%それぞれアップ。4つ星は前年同期比プラス0.2%、前期比ではマイナス0.1%。3つ星は前年同期比20.7%増、前期比はマイナス0.3%となった。

国内空港到着者数は前年同期から2.4%、前期から2.6%共にマイナスとなった。燃料販売は、前年同期比2.8%、前期比1.1%共に上昇した。

景気後退にあると考えるマレーシア国民が68%=イプソス調査

【クアラルンプール】 成人の68%はマレーシアが景気後退にあると考えていることが、市場調査・世論調査のイプソスの調査で分かった。

イプソスは3月下旬から4月上旬にかけマレーシアで18歳かそれ以上の成人500人余りから意見を聞き取り、ほかに33カ国で75歳以上の2万4,801人をオンラインで調査した。マレーシア人の3人に1人は、国内インフレ危機はほかの国より深刻だと回答。何とか家計をやりくりしているとの回答は半数に達した。

調査報告は「経済状態に関する国民の受け止め方と経済統計が一致していない。国民に正確な情報が伝えられ家計についての懸念を和らげることが重要だ」とした。

国内経済は昨年通年で3.7%成長し、今年第1四半期は4.2%の成長だった。消費者物価上昇率は昨年が2.5%で、今年は2-4月までの3カ月間、1.8%の低水準を維持している。

不自由なく生活できている、との回答はマレーシアが26%だったのに対し、インドネシアは39%、シンガポールは45%だった。自国が景気後退にあるとの回答も、タイは66%、インドネシアは50%、シンガポールは32%で、マレーシアの68%が東南アジアでは最高だった。
(エッジ、マレー・メイル、6月13日)

通年の経済成長率、エコノミストは従来予想を維持

【クアラルンプール】 第1四半期のマレーシア国内総生産(GDP)成長率は前年同期比4.2%となり、ブルームバーグが意見を聞いたエコノミストの予想中央値(3.9%)を上回ったが、大方のエコノミストは通年の成長率予想(3.5-4.7%)を維持した。

シンガポール系UOB(大華銀行)は4.6%との通年予想を維持。成長要因として、世界的な半導体景気循環の改善、観光業の活況、インフラ事業など予算措置の実行を挙げた。不透明要素として補助金削減計画、地政学上のリスクがあるという。

政府系金融機関のMIDFは4.7%の成長予想を維持した。内需拡大はこの先も続くとみている。リスク要素として地政学・貿易上の緊張、米中経済の成長鈍化を挙げた。

市場・経済調査の英系キャピタル・エコノミクスはやや悲観的で3.5%の成長を予想。ほかの調査会社と異なり、GDPの60%を占める個人消費が減少するとみており、予定されている食品・燃料補助金の削減で下半期の物価は急上昇する可能性が高いとしている。求人数が減少傾向にあることも不安要因として挙げた。
(エッジ、5月17日)

マレーシア総人口が推定3400万人に到達=統計局

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は2024年第1四半期の人口統計を発表。総人口は推定3,400万人に到達し、前年同期(3,320万人)比で2.3%増となった。

内訳はマレーシア国民が全体の90%を占め、前年同期比20万人増の3,060万人、非国民が同60万人増の340万人。男性が同40万人増の1,780万人、女性が同30万人増の1,610万人となり、男女比は111対100となった。年齢別では0-14歳が770万人、15-64歳が2,380万人、65歳以上が250万人となった。

民族別ではマレー系が全体の57.9%に当たる1,770万人となり、前年同月比で10万人増加した。華人は22.6%、インド系は6.6%、その他ブミプトラ(マレー人と先住民の総称)は12.2%を占めた。

州別ではセランゴール州が734万1,300人で最も多く、これにジョホール州、サバ州、ペラ州、サラワク州、ケダ州、クアラルンプール(KL)と続いた。

同期の出生数は10万6,386人で、前年同期比9.4%減少した。男性が5万4,747人、女性が5万1,639人。マレー系が68.8%を占め、華人は8.8%、インド系は3.7%にとどまった。

死者数は4万7,964人で、1.5%減となった。マレー系が51.4%、華人が27.0%、インド系が8.5%を占めた。

食料価格の高騰がKLの貧困層を圧迫=ユニセフ調査

【クアラルンプール】 ユニセフ(国連児童基金)は8日、2023年10月ー11月にかけ、クアラルンプール(KL)の低所得世帯755世帯を対象に実施した調査結果を発表。食費の高騰により、KLの低所得世帯の子どもが食事を満足に摂れていない現状が明らかとなった。

調査報告書によると、生活費の高騰や経済的な制約により、多くの生計維持者(40%近く)が長時間労働を余儀なくされ、支出を減らしている。調査対象の子どもの約52%が1日2食以下の食事しか摂れていなかった。90%の世帯が「生活費、特に食料品価格の上昇の影響を受けている」と答えており、約50%が「2022年よりも経済的に悪化している」と回答した。食生活は顕著に変化しており、卵、米、インスタントラーメンの消費が増加している。また、経済問題は精神的な健康にも打撃を与え、4世帯に3世帯が「生活費の高騰が精神的に影響を与えた」とした。「うつ病を患っている」と回答した世帯の割合は、2020年9月の21%から2023年10月には28%にまで増加した。

ユニセフは、貧困緩和策として、▽育児手当の支給▽障害者手当の支給▽社会的援助の拡大▽性と生殖に関する健康と権利(SRHR)に関する意識の向上▽最低賃金の引き上げ▽社会的保護の改善ーーという6つの提案を行っている。

(ザ・スター、5月9日、マレー・メイル、5月8日、ユニセフ発表資料)

エアアジアの第1四半期の搭乗率は90%、乗客数は1540万人

【クアラルンプール】 キャピタルAは4月29日、航空部門エアアジアの2024年第1四半期のロードファクター(座席利用率)が前年同期比1ポイント改善し、過去最高の90%となり、乗客数も同17%増の1,540万人となったと明らかにした。

キャピタルAは、スクールホリデーと旧正月シーズンが乗客数増加の要因だとし、2023年12月に始まった中国とインドの観光客対象ビザ免除の影響で、中国・インド路線のロードファクターはともに94%と、新型コロナ感染拡大前よりも高くなったとした。国別に見ると、エアアジア・フィリピンとエアアジア・タイのロードファクターは共に93%、エアアジア・マレーシアとエアアジア・インドネシアはそれぞれ89%、83%だった。また、エアアジア全体では3月末時点で167機の機材を配備しているとした。

スーパーアプリ「エアアジア・ムーブ」(旧称・エアアジア・スーパーアプリ)は、2024年第1四半期に月間アクティブユーザー数(MAU)が前年同期比19%増加し、1,500万人を突破。航空貨物の輸送量は、前年同期比79%増の6万3,945トンに達した。航空機保守、修理、オーバーホール(MRO)サービスでは、同82%増の基本整備点検数を実施し、機内サービスのサンタンは同13%増の510万個の販売を記録している。
(ザ・スター電子版、エッジ、ベルナマ通信、4月29日、キャピタルA発表資料)

2024年のマレーシア家計支出は緩やかに成長=BMI予想

【クアラルンプール】 フィッチ・ソリューションズ傘下のBMIは、経済成長の持続と消費水準の正常化に伴い、2024年のマレーシア家計支出が前年比5%増の9,038億リンギに達し、新型コロナ以前の成長水準(年率5.2%)に戻るとの見通しを示した。

BMIは、インフレの緩和や、実質賃金のプラス成長につながる労働市場の逼迫など、支出を支える要因が、年間を通じて購買力を高めると予想。一方で、食料品や燃料など特定商品のインフレ圧力による低・中所得世帯の消費マインドの弱まりを指摘し、2023年第4四半期の消費者信頼感は前四半期に比べ若干の上昇が見られたものの、過去平均と比べると依然低い水準に留まっているとした。

その上でBMIは、家計債務が高水準にあることが、将来の借入能力と現在の可処分所得のレベルに影響し、マレーシアの消費者見通しにとって依然リスクとなっていると指摘。マレーシア中銀が、2023年第3四半期の家計債務残高を国内総生産(GDP)比68.5%と予測し、家計債務が内需に与える影響を注目する姿勢を強調していることを挙げて、2024年のマレーシアの個人消費について前向きな見通しを維持する一方、持続的な成長と安定を確保するために経済指標と家計債務水準を監視することの重要性を強調した。
(ビジネス・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、4月24日)

財政改革推進には国民への情報提供が重要=世銀経済モニター

【ペタリンジャヤ】 米国務省の民主主義・人権・労働局は22日、国連の世界人権宣言や国際協定で認められた人権に関して、2023年版国・地域別人権報告書を公表。マレーシアの人権状況に大きな変化はなかったとした。

報告書は、法執行当局による残虐な扱い、刑務所、留置所のひどい状況は引き続き存在し、表現の自由に対する制約も存在したと指摘。一例としてレインボーカラーのスウォッチの腕時計の押収を挙げた。マレーシア政府は、この腕時計はLGBTQ+運動を促進、常態化することで国益を損なう恐れがあるとしている。

報告書はレイプ、家庭内暴力について、強姦者への処罰で裁判所に一貫性が見られないことを指摘した。一方、多くの公立病院には、レイプや家庭内暴力の被害者が駆け込める危機対応センターがあることも取り上げた。

内外の人権団体は、政府からある程度の制約を受けながらも活動し、調査報告を発表している。しかし多くの人権団体が政府からのNGO認定取得で困難に直面しており、企業として登録している例が多くあるという。
(フリー・マレーシア・トゥデー、4月23日)

 

3月の航空旅客数、前年比5.8%増の705.3万人

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 空港運営会社、マレーシア・エアポーツ(MAHB)によると、2024年3月の国内空港における航空旅客数は前年同月比5.8%増の705.3万人だった。

けん引役となった国際線は前年同月比29.4%増の383.9万人、国内線は13.2%減の321.4万人。それぞれ新型コロナ感染拡大前の2019年同月の水準の85.8%、72.8%にまで回復した。航空各社による運航拡大、2023年12月に始まった中国とインドの観光客対象のビザ免除などが後押しした。

クアラルンプール新国際空港(KLIA)は13.9%増の429.2万人で、国際線が28.0%増の322.0万人、国内線は14.3%減の107.2万人だった。ターミナル1が26.7%増の234.1万人で、格安航空を扱うターミナル2は1.6%増の195.1万人。

一方、KLIAを除く国内空港は4.8%減の276.1万人となった。国際線は37.5%増の61.9万人、国内線は12.5%減の214.2万人だった。ペナン空港の国際線旅客は32.8万人となり、非ピーク月であるにも関わらず前月比で5%増加した。フライドバイがドバイからの直行便の運航を開始したことが貢献した。