【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 野党第一党・民主行動党(DAP)のリム・グアンエン書記長(前財務相)が7日、ペナン島と本土側を結ぶ海底トンネル事業(総事業費63億リンギ)に絡む収賄でクアラルンプール(KL)の初級裁判所に起訴された。
ペナン州首相時代に始まった同事業における業者選定に関して便宜を図った見返りとして、コンソーシアム・ゼニスの取締役に対して利益の10%を要求したとされ、「2009年マレーシア汚職摘発委員会(MACC)法」違反に問われている。有罪となれば20年以下の禁固及び収賄額の5倍または1万リンギのいずれか多い方の罰金が科される。リム氏側は無罪を主張。保釈金100万リンギを支払って保釈された。同日はリム氏の妻であるベティ・チュー氏も共犯として逮捕された。
リム氏はこれまでに数回にわたってMACCより任意出頭を求められており、6日には3件の汚職容疑で逮捕された。3件のうち2件については海底トンネル事業に関するもので、残り1件は2015年にペナン州における邸宅購入に関する職権濫用罪で、相場より大幅に安い280万リンギだったことが罪に問われた。邸宅を売却したとされる女性も逮捕されたとみられる。同案件では2016年6月に一度起訴されたが、2018年9月に高裁が無罪判決を言い渡していた。
DAPは7日に声明を発表し、リム氏が不正行為を行なったという証拠はなく不当逮捕だと主張。国民連盟(PN)政権による政治的迫害の始まりだと批判した。リム氏も「自身と党の名誉を傷つけようという政治的動機によるもの」と非難。裁判で戦っていく意向を示した。