サラワク州大臣、スマート農業推進で日本の先進農場を視察

【クチン】 サラワク州政府のステフェン・ルンディ食品一次産業・地域開発相らはこのほど、イオングループの農業法人イオンアグリ創造(本社・千葉市美浜区)が運営する埼玉県久喜市の農場を視察。日本の先進的なスマート農業技術を参考に、地域の農業変革を強化していく方針だ。

今回の視察は、2030年までに近代的な農業産業を開発するという州の目標に基づく調査ミッションの一環として実施された。久喜農場(3.3ヘクタール)では「プロバイオポニック」という有機水耕栽培法で、トマトを栽培。収穫量年間約990トンという高い生産性を目指した取り組みが行われている。

ルンディ氏は「今日の農業は、伝統だけではなく、データや科学に基づいている。今回の視察は食料安全保障と持続可能性をどのように両立できるかを具体的に示すものだった」と発言。州の熱帯気候に適したバイオベースのイノベーションの促進に向け、日本の機関や企業との協力の可能性を探っていくとした。

イオンアグリ創造は2009年に設立され、日本全国で20以上の農場を展開。新鮮な農産物を全国のイオンスーパーマーケットに直接供給している。
(ボルネオポスト、10月29日)

高市首相の日本人墓地訪問、誤解した一部から批判の声

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に合わせて訪馬した高市早苗首相が26日にクアラルンプール(KL)日本人墓地と国立記念碑の訪問をソーシャルメディアに投稿したことについて、その内容を誤解した一部のマレーシア人から批判の声が上がった。

高市首相はXに「本日、クアラルンプール日本人墓地を訪問し、慰霊碑に献花しました。マレーシアで命を落とした先人を慰霊することができ、感慨深く思います。これに続けて、二度の大戦やマレーシアの独立闘争で亡くなられた兵士と市民の霊を慰める国家記念碑も訪問し、マレーシアの歴史に思いを馳せました」と投稿した。

一部の大手メディア(マレー・メイル、星洲日報、中国報)は高市氏が訪問した事実のみを淡々と伝えており、批判の論調はみられない。しかしソーシャルメディア上では、日本人墓地を「神社」や「日本軍兵士のための墓地」と誤認して、「旧日本軍を賛美している」、「歴史認識が誤っている」などを指摘する書き込みが一部で散見される。代表的なものは「フェンディ氏」名義のXの投稿で、「マレーシア人としてこの投稿に怒るべきだ」と投稿。閲覧数はすでに100万回を超えている。

高市氏の投稿を批判するネット投稿があることについては、主に華字紙が中心になって取り上げており、親中的な論調の「東方日報」は、「高市氏の投稿に日本軍の行為に対する謝罪がなかった」との観点から、「日本が戦時中に犯した残虐行為については全く触れないのか?相変わらず偽善者だ」といった批判投稿を紹介している。

中国のポータル「網易」は、「丹徒生」氏の名義の記事で「高市早苗氏はマレーシアを訪れ、戦争で亡くなった日本兵に厚かましくも追悼の意を表した。本当に腹が立つ」などと事実誤認の内容を投稿し、さらに「マレーシアがこれを容認しているのが腹立たしい」とマレーシア政府まで批判した。

一方、ソーシャルメディア上では「高市氏の投稿はどう読んでも怒る内容ではない」、「高市氏はちゃんと国家記念碑にも訪れているじゃないか」、「過去の日本政府首脳も日本人墓地を訪問している」などと擁護する声も多く上がっており、「フェンディ氏」自身もその後、日本人に向け「怒らないでください。私もマレーシア人も日本も日本人も好き」と釈明のような投稿を行っている。

アスエネ、マレーシアゴム評議会と脱炭素連携で覚書

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アスエネ(本社・東京都港区)は、17日にクアラルンプールで開催された「第3回アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)閣僚会合」で、同社シンガポール法人のアスエネAPACとマレーシア・ゴム評議会が脱炭素連携に関する覚書(MOU)を締結したと発表した。

企業や自治体を対象にCO2排出量に関する報告を支援するアスエネのクラウドサービス「ASUENE」を使って、マレーシア政府の管轄下にある公的機関と共に、主要輸出産業であるゴム分野のサプライチェーン全体で、CO2排出量の見える化と削減を推進する官民協働に取り組み、マレーシアにおけるゴム関連企業の気候変動対策とサステナブル経営の両立を推進していく。

アスエネは今後も、AZECをはじめとする国際的な枠組みを通じて、アジア各国の政府・企業・団体と連携し、地域全体の脱炭素化に向けた実効性あるビジネス連携モデルを構築していくとしている。

高市首相が初の外遊でマレーシア訪問、アンワル首相と会談

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議出席のために訪馬した高市早苗首相は26日、クアラルンプール市内でアンワル・イブラヒム首相と20分間にわたり会談。「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想の実現に向け、両国の協力関係を一層強化し、友好関係を発展させていくことなどで合意した。

両首相は経済分野では、二酸化炭素の回収・貯留(CCS)やアンモニア発電、脱炭素化・エネルギー移行で協力が進展していることを高く評価。炭素クレジットの創出を通じて両国の排出削減に貢献する二国間クレジット制度(JCM)の早期署名に向け、協議を加速させることで一致した。また、液化天然ガス(LNG)の安定供給やレアアース(希土類元素)、人工知能(AI)でも連携を一層強化していくことを確認した。

安全保障分野では、無償の資金協力の枠組みである「政府安全保障能力強化支援」(OSA)を通じた、日本からの無人航空機(UAV)と救難艇の引き渡しについて、アンワル首相が謝意を表明。新たに潜水作業支援船等の供与でも合意した。

高市首相は、カンボジア・タイ間の停戦合意におけるアンワル首相の取組に敬意を表し、停戦を後押しするため、マレーシアに停戦監視用機材の供与を決定したことを伝えたという

就任後初の外遊となった高市首相はこのほか、フィリピンのマルコス大統領、豪州のアルバニージー首相とも相次いで個別会談。25日夜から24時間強の短い滞在中、クアラルンプール日本人墓地の慰霊碑で献花するなど、精力的に活動し、外交デビューを印象づけた。

ホーブとちとせが提携、マレーシアでのイチゴ試験栽培で

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 農業法人ホーブ(本社・北海道上川郡)は24日、ちとせグループのマレーシア法人、ちとせ・アグリ・ラボラトリーとマレーシアにおけるいちご普及拡大に向けた試験栽培に関する契約を締結すると発表した。

ホーブが育成した四季成り性いちご品種について、パハン州キャメロンハイランドにあるちとせ・アグリ・ラボラトリーの農場で試験栽培を行い、栽培適性や市場適性を評価したうえで現地での普及拡大を目指す。ちとせ・アグリ・ラボラトリーの農園は一年を通して比較的冷涼な標高の高い地域にある栽培適地であることから、ホーブが育成した四季成り性いちご品種の生産、普及拡大が期待されるという。試験開始は2026年6月期中を予定している。

ホーブは四季成り性いちごの品種開発から、種苗の生産販売、栽培指導による果実生産及びその果実の販売を手掛けている。これまでに、夏秋期の国産いちご市場向け「ペチカ」をはじめ、収量性の高い「ペチカエバー」、食味の良さが特長の「ペチカほのか」といった品種を開発してきた。一方、ちとせ・アグリ・ラボラトリーは2016年からキャメロンハイランドで日本品種の高品質ないちご、トマト、葉物野菜等を生産し、マレーシア国内で販売するとともにシンガポールへ輸出している。

「マレーシア・島根フェア」をKLで開催、9社が30品目を出品

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 島根県は21日、マレーシアの食品輸入卸業者であるママミ・ショップ(M)と連携し、「マレーシア・島根フェア」をクアラルンプール(KL)で初開催すると発表した。現地小売店3店舗にて試食・試飲販売を行い、県産食品のマレーシア市場への参入を目指す。

開催時期は10月23日―11月2日で、23―26日の4日間は、県内食品等製造事業者による試食・試飲販売場所はDE-Market、伊勢丹KLCC店、西武百貨店ザ・エクスチェンジTRX店――の3カ所。県内食品製造事業者9社(うち7社が渡航)がお茶、お菓子、調味料、健康ドリンクをはじめとする島根県の特色ある約30品目を出品する。

ママミ・ショップ(M)は1950年創業の健康食品やオーガニックに強みを持つ会社で、スーパーマーケット、ドラッグストア、飲食店、ホテルやオンラインストアなど1,000を超える取引先を持っている。

PILLAR、ペナンでの製造に向けマレーシア現法設立へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 流体制御関連機器メーカーのPILLAR(本社・大阪市西区)は21日、取締役会を開催し、マレーシアに製造販売子会社を設立することを決議。ペナン州に製造拠点を構える方針だ。

PILLARは、半導体製造で重要な役割を担う、洗浄装置向けフッ素樹脂継ぎ手で世界シェア9割を誇る。マレーシア政府が半導体産業に力を入れていることもあり、マレーシア市場を成長市場と位置づけ、現地での生産体制を整備し、グローバル競争力の強化を図るという。

資本金は300万米ドル(約4.35億円)で、2026年3月の法人設立を予定している。

ジェトロ、マレーシアデジタル経済公社と協力覚書を締結

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)は21日、マレーシア・デジタル経済公社(MDEC)と10月15日に協力覚書(MoC)を締結したと明らかにした。10月22日にはMoCの締結式を予定している。

両機関の更なる連携強化を通じた両国のイノベーションの促進を目的としたもので、▽デジタル経済における二国間貿易と投資の促進 ▽市場参入支援 ▽専門家交流――の3つのポイントで連携を強化する。日本とマレーシアのデジタルエコシステムの発展に向けた両機関の連携をより一層強化し、日本への展開を目指すマレーシアのテック企業、マレーシアへの展開を目指す日本のテック企業に寄り添ったサポートを提供。 両国の著名な専門家が双方のイベントや会議に参加することで両国間の情報の共有を円滑にし、イノベーションの機運醸成を図る。

ジェトロとMDECはそれぞれ日本とマレーシアにおけるテックスタートアップやコンテンツ企業の海外展開支援と、海外企業・スタートアップの対内投資促進を支援している。両機関はこれまでも協力して企業支援を行っており、特に2017年からは両国のスタートアップ企業、投資家などのネットワーキングイベントの開催や、両国のイベントへの企業派遣、マッチング支援など連携を深めてきた。

愛知県豊田市とクチンサウス、友好都市視野に協力関係強化

【クアラルンプール】 愛知県豊田市と、サラワク州のクチン・サウス議会(MBKS)は、友好都市協定締結を視野に、持続可能な都市開発や文化交流などでの協力関係を強化していく方針だ。

MBKSのウィー・ホンセン氏が、豊田市で14―16日に開催された、国連経済社会局(UN DESA)主催の「2025国際首長フォーラム」に出席に合わせ、太田稔彦市長と会談した。両市の交流は、豊田市足助地区の住民らが2014年にクチンで和太鼓演奏をしたのがきっかけで続いてきた。

今後は、より長期的な協力関係を目指し、文化交流や、学生交換プログラムなどを推進していく。さらに国連の持続可能な開発目標(SDGs)に沿って、スマートインフラ開発などでも協力の可能性を探っていくという。
(ダヤクデイリー、ボルネオポスト、10月16日)

日馬の環境ウィーク、15日からKLCCで開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 「日本・マレーシア環境ウィーク」が15日から、クアラルンプール・コンベンションセンター(KLCC)で開催される。

同ウィークは日本の環境省と、マレーシアの天然資源・環境持続可能性省が共催。脱炭素社会の構築に向け、グリーンビジネスの成長に両国が協力していくことを目的とする。「マレーシア国際グリーンテック&エコ製品展示会・会議(IGEM)2025」に合わせて開催される。企業や研究・学術機関、行政など、17日までの3日間で600人を超える参加者が見込まれている。

ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB) や水素・アンモニア技術、 バッテリーを含む使用済み自動車(ELV)、水・廃棄物汚染対策などをテーマにしたセッションのほか、企業展示、ネットワーキングタイムなどが展開される。参加無料。