暫定措置法を下院が可決、新型コロナ影響緩和に向け

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 下院議会は25日、新型コロナウイルス「Covid-19」の国民生活や経済に与える影響を緩和するための暫定措置法案を可決した。
可決したのは「2020年新型コロナウイルス疾患の影響軽減のための暫定措置法」で、行動制限令(MCO)が発令された3月18日に遡及して16の法律に適用される。違反に対する罰則規定は設けられていない。
3月18日から8月31日までの期間、不動産購入者の分割払いの未払いに対して不動産開発業者が延滞金を課金することを禁止する。不動産開発業者は、製造物責任期間から同期間を除外する必要がある。また同期間の家賃を滞納したテナントに対して差し押さえを求めることはできない。商品の所有者は4月1日から9月30日までの期間限定で、契約に反して分割払い金を滞納した購入者から商品を差し押さえることはできない。
法案を提出したタキユディン・ハッサン首相府相(法務担当)は、こうした契約に関わる問題を仲裁するための調停センターを設置する考えを表明。野党が立法化が遅れたことを批判していることについては、「綿密な計画を立てる必要があり、関係各所との調整に時間がかかった。同様な暫定法を早々に制定したシンガポールはその後10回も改正している」と反論した。
マレーシア製造業連盟(FMM)は、暫定的な救済措置がとられたのは不動産・建設などに関する7種の契約のみであり、他の製造関連セクターとそのサプライチェーンをカバーしていないと批判している。

マレーシア人の35%「資産よりも負債が多い」=調査結果

【クアラルンプール】 マレーシア財政計画協議会(MFPC)の最新調査によると回答者の35%が、「資産よりも負債が多い」と答えたことが分かった。24%は「資産と負債がほぼ同じ額」、41%は「負債よりも資産が多い」と答えた。
負債を負う理由としては、自動車の購入、大学の学費、クレジットカード、銀行の個人ローンが挙がった。また回答者の3分の1(1,500人)が、時間の経過と共に価値が下がるにも関わらず、「自動車」を資産の一部として考えていることが分かった。回答者のうち67%は女性だった。
貯蓄については、回答者の半数が「月収の10%未満を貯蓄している」と回答。「収入だけではやりくり出来ない」との回答は9%に上った。また従業員積立基金(EPF)を十分な貯蓄と考え、緊急時や将来のために貯蓄する必要性をほとんど感じていない人が多かった。
これらについてファイナンシャルプランナー(FP)のフェリックス・ネオ氏は、基本給に対し生活費が高いため多くの人々が借金を抱えていると分析。自動車については、価値が下がるため資産と考えるべきではないと指摘した。新型コロナウイルス「Covid-19」の大流行による経済的影響が人々の収入に打撃を与えており、生活費などを節約する必要があることを認識すべきとの考えを示した。
トゥン・アブドル・ラザク大学の経済学者であるバルジョアイ・バルダイ教授は、負債を多く抱える傾向はマレーシアにとって新しい現象ではないと言明。問題は借り手が借金を返済できるかだとし、経済に不安を持つことは精神的健康に影響を及ぼすと指摘した。
(ザ・サン、8月24日)

エアアジアとアゴダ、戦略的パートナーシップを提携

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 格安航空のエアアジアは24日、東南アジア旅行の促進およびアプリの提供強化を図るため、オンライン旅行予約プラットフォームのアゴダと戦略的パートナーシップ提携を結んだと発表した。旅行パッケージや会員特典の提供の他、共同製品販売などを行う。
2社間でホテルやフライトの空席状況を共有することで、より広範なパッケージ選択、利便性や最安値の商品を顧客に提供することが可能となる。エアアジアが提供する現地のホテルと直接提携し、航空券とホテルのセット予約プラットフォーム「SNAP」を利用することで、エアアジアの顧客はお得なフライトとアゴダに掲載されている60万軒以上の宿泊施設を組み合わせてオリジナルのパッケージを作ることができる。
アゴダとの提携について、エアアジア・グループのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は、東南アジアの国境が近いうちに再開されるとし、旅行を活性化させるという同社の戦略に基づいたものだと言明。旅行業界の厳しい状況下で、戦略的パートナーと革新的な連携を取ることで、顧客の旅行やライフスタイルのニーズにより適切に対応できるよう取り組むとした上で、後日、他の協業について発表できることを楽しみにしていると述べた。

ペナンフェリー、1隻限定で運航再開

【ジョージタウン】 4隻すべてが故障したために運休となっていたペナン・フェリーが25日午前6時、修理が終わった1隻によって限定的に運航再開した。
運航を手掛けるラピッド・フェリーによると、故障していたフェリー「プラウ・アングサ」の修理が深夜に完了。25日朝から40分おきにペナン州本土側バタワースとペナン島ジョージタウンを結んでいる。1隻だけによる運航のため、代替手段として行なっているシャトルバスの運行は5台に減らしてピーク時限定で継続する。シャトルバスは無料で、半島側のバタワースのペナン・セントラルと島部のウェルド・キー・ターミナルを結ぶ。
もう1隻のフェリー「プラウ・ウンダン」は特別な部品の交換が必要なため修理に手間取っているが、27日から運行を再開する見込み。残りの2隻(プラウ・タラン、プラウ・カパス)は重大なエンジントラブルで約1カ月前から運行を停止しており、修理が完了するまであと約6週間かかる見通し。スウェーデンとアイルランドから部品を取り寄せる必要があるためだという。
(マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、8月25日)

日系企業の親睦団体に貢献の33年

1987年に来馬され、日本企業の親睦団体である「シャアラム三水会」の発展、また中小企業の親睦団体「一華開」の設立に尽力された上田鍍金の現地法人、ウエダ・プレーティング・マレーシア顧問の青木弘さん。昨年9月には、日本とマレーシアとの経済関係促進に大きく貢献されたということで外務大臣表彰を受けた。33年の長い在マレーシア歴を誇る青木さんにお話を伺った。

「一華開」を設立、「中小企業を強く」

—青木さんが来られた33年前と比べるとマレーシアは随分変わったでしょうね?

青木:私が来た時にはまだマラヤ共産党(MCP)がゲリラ活動をしており、ちょっと山の中に行くと軍が守っているような状態でした。そういうこともあってか10人以上集まっての会議はいけないと言われていましたね。外国企業ということで特に厳しい取締りはなかったし特に目をつけられるというようなことはなかったのですが、大人数で集まる時は届けないといけないと言われていました。会社のあるセランゴール州シャアラムも当時はジャングルがあちこちにあるような状態でした。

——青木さんが設立に関わり今でも会長を務めておられる「一華開」について。

青木:日系中小企業の経営者が集まって勉強会を開催し、中小企業の会社を強くしようの主旨で1997年に設立しました。その頃はアジア通貨危機などいろいろなことがありましたが、立場の弱い中小企業は何かあればすぐにコケてしまう。最初は4社ぐらいではじめましたが、募集していませんが希望者が増え、今では30社ぐらいになりました。

——「一華開」という名称について。

青木:日本企業の親睦団体としては「三水会」や「一水会」がすでにあったのですが、単純に”一”に”火曜日の会”では面白くないというのでこの字にしました。先ごろ頂いた外務大臣表彰の際に「一華開」という会の名前を宮川真喜雄前大使にお話ししたところ、すごい言葉ですねと褒められました。

※注

「一華開」の会合は累計で272回ほどになります。最初は日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所の方に講演をお願いしていたのですが、向こうの方から勉強になるからといって会員になって頂きました。



——最近はどのような活動をされていますか?

青木:中小企業の中間管理職の人たちを育成をしなければならない、各社から社員を数名出してもらって毎月1日、5カ月間にわたって会員企業の工場で研修を行なっています。外部から講師をよんで中間管理職はどうあるべきか、部下をどうやって指導していくべきか利益を出すにはどうすべきかなどを指導しています。10数年前は5Sや改善を日本から指導者に来て貰っていました、今回は約20人ぐらいが参加しています。どこの会社でも困っているのは社員の教育です。いかにマレーシア人を教育して育ってもらうかということが課題ですね。

——「一華開」のいいところは?

青木:「一華開」がなぜ長続きするかというと、みんな集まって顔と顔を合わせて意見を言い合い情報交換をするところですね。マイクを通じて話をするとなかなか皆なしゃべらない。組織の大きさもあるかも知れませんが、大きな組織は皆に意見を出させるための工夫が必要でしょう。

三水会の発展にも寄与

——「一華開」設立の前には「シャアラム三水会」の発展に寄与されました。

青木:「シャアラム三水会」は1989年、セランゴール州シャアラムにある日系製造企業が集まって始まりました。当時は情報が少ないので、給与額や社内規定をどうしたらいいのかといった情報交換をやっていました。当初はそれぞれの会社に集まってやっていました。だんだんシャアラムの会社が多くなって「三水会」という形になりました。今では70社ぐらいになりました。

三水会の会員はみな大きい会社なので、人が3年5年で入れ替わります。人が入れ替わるということは自分の会社外との繋がりが断たれてしまいます。私は長くいるので「道案内」だと思ってやっています。

——当時のシャアラムはどうだったのですか?

青木:会社は金属メッキを行なっていますが、進出した当時のシャアラムはジャングルだらけで、車もあまり通らない場所でした。そのうちに工場が集まってくると道路は渋滞するようになるし、信号もないので危ない。水道も電気も止まるようになりました。それで三水会がシャアラム市政府などに道路を広げて欲しいとか、信号を付けて欲しいとか様々なインフラ改善を申し入れを行い、実現に繋げてきました。

——政府との関係強化により、インフラ改善の陳情などで尽力されました訳ですね。

青木:今回の新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大防止のために発令された行動制限令(MCO)が緩和された際に、フル操業再開にノーと言ったシャアラム市政府との間に立ってくれたのがインベスト・セランゴール公社(ISB)です。三水会は以前からISBとは毎年やりとりしていたんで、50%の稼動では困るということをISBからシャアラム市政府の方に言ってもらって制限を解除してもらいました。

稼動50%でもダメ

——その新型コロナですが、御社への影響はどれぐらいあったのですか?

青木:コロナの売り上げへの影響は8割ぐらいでおさまりました。3〜5月は赤字になりましたが、受注残があってそれを作っているので6月は一気に回復しました。MCOの最初の段階は稼動できませんでしたが、医療関連の顧客からの依頼で第2段階から稼働率50%で再開しました。回復度合いは製品によって異なり、自動車向け生産はまだ回復していませんね。

——稼動時間を制限されると困る?

青木:金属部品をメッキ処理する前に850℃まで温度を上げて熱処理をするんです。これを焼鈍といいます。いったん温度を上げたものを下げ、また上げたりしなければならない。いったん機械を停めると経費もかかるし、温度を急に落とせば伸びたり縮んだりして設備がおかしくなってしまいます。いまだにダメなものもあります。半導体とか弊社のような熱処理の会社などは50%稼動だとダメなんです。

——MCOで移動が禁止となり、必需品・サービス以外は出社禁止となって給料支払いを巡ってひと騒動ありましたよね。

青木:通産省は最初、給料はオンラインで払えばいいと言っていました。しかし個人のパソコンにはそのようなデータや仕組みを入れている会社はありません。最後には分かってくれましたが、その辺りの現場のことがあまりよく分かっていないのかなと感じました。

——製造業はまだしも回復の兆しが見えていますが、観光産業などは先行きが見えません。

青木:今回のコロナでは、進出間もない体力のない中小企業がより大きな打撃を受け、家賃だ人件費だと資金繰りに窮しています。お金がないのかもしれませんがマレーシア政府には投資誘致より中小企業の支援をして頂きたいです。一方、日本政府に関しても、海外に進出している日系企業の支援をやって貰いたいです。観光をはじめサービス業は海外進出が増えています。せっかく海外に進出している企業が撤退しないように考えて欲しいですね。
※編集部注・「一華開五葉」は禅の創始者・達磨大師の詩の一部で「一輪の花が五葉の花びらを開きやがて果実が実る」を意味する。

公的債務残高の上限を60%にアップ、下院議会で可決

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア下院議会は24日、暫定措置として公的債務上限を対国内総生産(GDP)比55%から60%に引き上げる暫定法案を可決した。新型コロナウイルス「Covid-19」対策を柔軟に行なうためだが、財政のさらなる悪化が懸念される。
公的債務上限を引き上げるのはリーマン・ショックが起きた2009年7月に10ポイント引き上げて以来。可決された「2020年コロナ対策に向けた財政支出のための緊急対策法」には、「1959年借入法」及び「1983年政府資金法」に基づきGDPの55%を上限としていた公的債務残高(マレーシア国債=MGSとイスラム債=政府投資証券=GIIの合算)を60%まで暫定的に引き上げることを可能とする内容が盛り込まれている。2022年末までの時限法となっている。
テンク・ザフルル財務相は、新型コロナで疲弊した経済支援のためにムヒディン・ヤシン内閣が約2,950億リンギの景気刺激策を実施し、450億リンギの公的資金が投入されたと説明。これにより公的債務比率が56%に高まったと述べた。今年第2四半期のGDPは17.1%の大幅マイナス成長となった。新型コロナの影響が続く中、商工団体からは銀行ローン返済猶予や賃金助成金の期限延長を求める声が上がっている。

新型コロナ感染者が新たに11人、うち9人は国内感染

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は25日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から11人増えて9,285人になったと発表した。
新規感染者のうち2人がフィリピンとインドネシアからの入国者。残り9人はケダ州(7人)とセランゴール州(1人)、ペルリス州(1人)で感染した。新たに6人が退院し治癒者数は8,971人に増加した。死者数は26日連続ゼロで、125人を維持した。
保健省のノール・ヒシャム事務次官によると、親族内で行った追悼式で発生したケダ州のタワル・クラスターの感染者数が24日時点で65人に上った。日本を出発しビントゥル港に到着した石油タンカーが関連するアラム・クラスターについては、同日時点で7人となった。同タンカーは7月27日ー8月1日間にかけて富山県の富山新港に停泊。8月10日にラブアン港に寄港し、その後ビントゥル海域で乗組員2人が新型コロナの初期症状を訴えた。

日本製品購入の理由トップは「高級なイメージ」=調査

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本好きの外国人を対象としたコミュニティサイト「FUN! JAPAN」を運営するファン・ジャパン・コミュニケーションズ(本社・東京都港区)は21日、マレーシアなどのアジア7カ国において、日本製品購入に関する調査結果を発表した。マレーシア人が日本製品・商品を購入する理由として「高級なイメージ」が34%で最も多かった。
それに「技術力が高い」が25%、「ブランドが好き」が16%と続いた。
これまで購入したことがある製品については、「洋服」がトップで回答率は60%だった。それに▽「生活家電」▽「カメラ、動画撮影用カメラ」▽「お菓子」▽「車」ーーが続いた。今後購入したい商品のトップも「洋服」で、2ー5位は▽「生活家電」▽「車」▽「お菓子」▽「化粧品」ーーだった。
購入予定の日本製品を買う動機について、最も回答率は高かったのは、「自分へのご褒美」で34%となった。それに▽「個人の趣味」▽「必需品」▽「生活の質を向上」▽「家族へのプレゼント」ーーの順となった。
同調査は6月26日から7月30日にかけて、台湾、香港、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、インドで実施したもので、1,216人から有効回答を得た。

マレーシア人のシンガポールでの隔離日数、9月から7日に

【シンガポール】 シンガポール政府は、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染対策の感染リスクの低い国および地域から入国制限措置を緩和すると発表。9月1日からマレーシアからの入国者の隔離日数を14日から7日に半減すると明らかにした。
マレーシア以外に隔離日数の半減が決まったのは、豪州(ビクトリア州以外)、マカオ、中国、台湾。シンガポールの国民や永住権所有者と同じく、隔離日数が7日間となり、ホテルや親族の住む住居などで隔離することができるようになる。
マレーシア・シンガポール間の通勤、業務・公用を目的とした往来に関しては、「定期通勤申し合わせ」(PCA)および業務渡航・公務出張者を対象とした「相互グリーン・レーン」(RGL)は継続して行う。
一方で、 シンガポール政府はニュージーランド(NZ)とブルネイに対しては、9月1日から入国時の隔離を不要とする。
(ベルナマ通信、ストレーツ・タイムズ、8月21日)

ペナンフェリーが全面運休、126年の歴史で初

【ジョージタウン】 ペナン州本土側バタワースとペナン島ジョージタウンを結ぶペナン・フェリーが24日、使用しているフェリー4隻すべてが故障したため全面運休した。ペナン・フェリーは1988年7月31日のターミナル倒壊事故の際にも運行を続けており、全面運休となったのは126年の歴史の中で初めて。
運行会社のラピッド・フェリーによると故障したのはエンジンで、26日まで3日間運休するという。代行輸送としてバタワースのペナン・セントラルからウェルド・キーまでバス10台による無料のシャトル運行を行なう。シャトルバスの運行間隔は10—20分で、午前6時から午後11時まで運行する。
フェリーの故障は7月から4隻のうち2隻で散発的に発生しており、7月28日からは残り2隻にて便数を減らして運行を行なっていたが、この2隻も24日未明に故障。全面的な運休となった。
(光華日報、マレー・メイル、8月24日)