【クアラルンプール】 希望同盟(PH)のアンワル・イブラヒム会長(元副首相、人民正義党=PKR党首)がようやく第10代総理大臣に選出され、多数の党派による連立政権樹立の見通しがたったことに対し、アナリストらは好意的な反応を示している。

民主主義経済問題研究所(IDEAS)のトリシア・ヨー最高責任者(CEO)は、連立政権が5年の任期を全うし、政情を安定させることの重要性を強調。経済回復のためには政情不安の解消が必要だとし、連立政権が人種や宗教による分断を終わらせることを期待すると述べた。

経済面では、インフレ率の管理、リンギ強化、社会的セーフティネットの改善、低所得者層支援、各選挙マニフェストに沿った公的債務の管理などに取り組む必要があるとした。また、来年には世界的な不況が予想されていることから、政権は今後数カ月の経済ショックに耐えられるよう対処法を考えなくてはならないとし、まずは年内に2023年度予算を確定させる必要があると述べた。

プトラ・ビジネススクールのアマハド・ラズマン准教授は「ベルナマ通信」の取材に対し、連立政権はアブドラ国王の仲介によるものであり、他政党が打倒を試みる恐れはほぼないとし、アンワル氏の財務大臣としての経験は、2023年に向けて経済的逆風が予想される中、大きな武器になると述べた。アンワル氏は国内総生産(GDP)の平均成長率が9.23%だった1991ー1997年に財務大臣を務めていた。また、連立政権は安定性が見込まれることから、投資家からの信頼も高められるとし、財政再建戦略とともに、国民を中心とした施策の実施が期待されると述べた。

マレーシア科学技術大学のジェフリー・ウィリアムズ氏も、アンワル氏が国際的に有名で尊敬されていることから株式市場に対する不確定要素を一掃するとし、実際、連立政権誕生のニュースは投資家心理に良い影響を与え、リンギもすぐに上昇したと強調。今後、長期的かつ信頼できる経済政策が求められるが、アンワル氏には実現可能だと述べた。
(エッジ、ボルネオポスト、ベルナマ通信、11月24日)