エアアジア、ランサムウェア攻撃で500万人分の乗客データ漏洩

【クアラルンプール】 世界のデータ漏洩事件を報告するサイト「データブリーチーズ」によると、エアアジア・グループが11ー12日にかけて、米サイバー攻撃グループ「ダイシン・チーム」によるランサムウェア攻撃を受けた。

ランサムウェア攻撃は、悪意あるソフトウェアをインストールさせ、コンピュータに保存されたファイルを暗号化し開けなくした上で、元に戻すための身代金を要求するもの。ダイシン・チームはヘルスケア企業や公衆衛生機関などに対し、システムの脆弱性を突いたランサムウェア攻撃を繰り返している。

ダイシン・チームはエアアジアに対する攻撃を行い、乗客500万人と全従業員の個人データを入手したとデータブリーチーズに通知。データブリーチーズがダイシン・チームにチャットでコンタクトしたところ、証拠として乗客および従業員情報が含まれたサンプル2ファイルが送られてきた。ダイシン・チームは、身代金の金額やエアアジアからの支払いの有無、データの復元や流出データの削除、攻撃ポイントをエアアジアに知らせたかどうかなどについては明らかにしなかったという。

一方、データ漏洩のニュースが流れたにも関わらず、エアアジアの親会社であるキャピタルAの23日の株価は下落せず横ばいで取引を終えた。

オンライン証券の楽天トレードのビンセント・ラウ株式営業部長は、英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」の取材に対し、マレーシアの上場企業を巻き込んだサイバー攻撃は今回が初めてではなく、セキュリティ強化が必要ではあるものの、各国が国境を再開したことで航空会社の業績は回復傾向にあるため今回のデータ漏洩がキャピタルAの財政や経営に深刻な影響を与えることはないと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月24日、エッジ、11月23日)

イオン(M)、第3四半期は増収増益

【クアラルンプール】 イオン・カンパニー(M)は23日、第3四半期(7ー9月)決算で1,097万リンギの純利益を計上したと発表した。前年同期は新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大防止のための行動制限令(MCO)の影響で1,867万リンギの純損失を計上していた。

イオンがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、第3四半期の売上高は、前年同期比30.8%増の9億8,201万リンギ。そのうち小売事業が8億2,620万リンギで、経済活動の再開や国境再開の後押しを受け、前年同期から30.5%増となった。

年初9カ月の売上高は前年同期比16.7%増の30億7,030リンギ。純利益は6倍の8,632万リンギだった。

イオンは今後の見通しとして、消費者需要が増加する一方、グローバル・サプライチェーンの問題が複合的に発生し、インフレ圧力が高まっているとし、持続的な経営のため価格とサプライチェーン戦略を積極的に管理していくとコメント。「イオン・リビングゾーン」では、オンラインとオフラインのショッピング体験を統合し、健康に関する提案を進め、ポイントプログラムやモバイルアプリを通じて、顧客との関係を深めることに注力するとした。また、テナントやサプライヤー、グループ企業と協力し、顧客体験価値を最適化することでサプライチェーンリスクを軽減し世界的なインフレ圧力に対する緩衝材として活用していくという。
(エッジ、11月23日、イオン発表資料)

ニトリがマレーシア4号店、ワンウタマにオープン

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ニトリホールディングス(本社・北海道札幌市)は24日、マレーシア4号店をセランゴール州ペタリンジャヤの「ワンウタマ・ショッピングセンター」にオープンした。ニトリグループとしては866店舗目の出店となる。

店舗名は「ニトリ・ワンウタマ・ショッピングセンター店」で、売り場面積は約619坪。センターコートのレベル1に位置し、営業時間は日ー木曜日が午前10時から午後10時、金ー土曜日は午前10時から午後10時30分。

ニトリはマレーシア国内においてクアラルンプール(KL)の「ららぽーとブキ・ビンタンシティセンター(BBCC)」と「パビリオン・ブキジャリル」、セランゴール州プトラジャヤの「IOIシティモール」に出店しており、今後はジョホール州ジョホールバルで2店舗の出店を計画している

ニトリは、「住まいの豊かさを世界の人々に提供する」というロマンを実現するため、今後も積極的に海外展開を進めていく方針だ。

アンワル氏が第10代目首相に就任、大連立政権を樹立へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 第10代総理大臣に先の総選挙で最大の政党連合となった希望同盟(PH)のアンワル・イブラヒム会長(元副首相、人民正義党=PKR党首)が選出され、24日、王宮で就任宣誓を行った。

PHを含めた連立政権には第三の政党連合、国民戦線(BN)のほか、第四の政党連合、サラワク政党連合(GPS)やサバ国民連合(GRS)、そして最後までPH主導の連立政権への参加に抵抗していた第二勢力の国民同盟(PN)も合流する意向を示しており、最終的にこれらを糾合した大連立政権を樹立することになる見通しだ。大連立の大所帯を運営するにあたって、アンワル新首相は閣僚ポストを各勢力にどのように配分するか早速手腕が試されることとなる。

19日に行われた総選挙では下院(定数222)でPHが82議席、PNが73議席を獲得したが、いずれも過半数に届かなかった。このため両勢力は過半数掌握に向け、30議席を獲得したBNやサバ・サラワク州の地方政党と水面下での連立交渉を進めていたが、カギを握るBNがいずれの勢力とも連携しないと宣言したため両勢力共に決め手を欠き膠着状態に陥っていた。

打開に向けて仲介に乗り出したアブドラ国王が、各勢力の代表と面会して大連立を持ち掛けたことで事態が動き、方針を巡って内部対立が起きていたBNがPH支持に方向転換したことで過半数獲得のメドがたった。

アンワル氏は1947年8月10日生まれの75歳。イスラム青年組織のリーダーを経て1981年にBNを率いる統一マレー国民組織(UMNO)に入党。すぐに頭角を現して、当時のマハティール・モハマド内閣で文化青年スポーツ相、農業相、教育相などを歴任し、1991年に財務相、1993年には副首相に就任した。しかし1997年に打ち出した縁故主義打破などを謳った改革がマハティール首相の逆鱗に触れ、1998年9月に解任され、同性愛容疑で逮捕・投獄されるという政治的弾圧を受けた。

アンワル氏不在の間は、妻のワン・アジザ氏ら支持者が人民正義党(KEADILAN、後のPKR)を結成。華人系野党・民主行動党(DAP)などと野党連合PHを結成し勢力を拡大し、さらには打倒BNを掲げて仇敵のマハティール氏とも和解を実現し、2018年の総選挙ではついに政権奪取に成功した。アンワル氏はこれに合わせて国王から恩赦を受けて出獄し、PKR党首となってPH政権を支えた。

PH政権で首相となったマハティール氏とは総選挙前に1年後に政権を譲るとの密約があったが、マハティール氏が約束を先延ばししたことで両者の溝が深まり、マハティール氏支持者らがアンワル氏とDAPの排除を目指して野党となったUMNOや汎マレーシア・イスラム党(PAS)を取り込んで政変を起こし(2020年のシェラトン・ムーブ)、アンワル氏は首相になれないまま再び野党の身となっていた。

新型コロナの感染者数は3537人、5日ぶりに3千人上回る

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省の総合情報提供サイト「KKMNOW」によると、23日の新型コロナウイルス「Covid-19」感染症の新規感染者数は3,537人となり、累計感染者数は497万5,473人となった。
新たに3,319人が回復し、累計治癒者は491万1,632人。死者数は8人で、累計は3万6,628人となった。アクティブ感染者は、前日から210人増の2万7,213人。うち92.3%が自宅、7.3%が医療機関、0.3%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は76.3%、ICU病床の使用率は66.7%、人工呼吸器の使用率は39.1%となった。
同日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は2,752万4,313人となり、接種率は84.3%。1回目のブースター接種完了者は1,626万2,193人で、接種率は49.8%、2回目が57万2,723人となり、1.8%だった。