インベストKLの投資誘致額、昨年は過去最高の27.9億リンギ

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)における投資誘致活動を行っているインベストKLは16日、昨年の投資誘致額が前年比13%増の27億9,000万リンギとなり、過去最高となったと発表した。

外国直接投資(FDI)が貢献し、製薬会社の米アボットや、化粧品の米エスティローダー、医薬品の米バクスターなど13社のグローバル拠点設立への投資を獲得したことで、2,805人の熟練労働者向けの雇用を創出した。

2011年以降の累計投資誘致額は215億2,000万リンギとなった。大手多国籍企業や急成長企業120社がKLにグローバル拠点を設立し、1万9,000人分の高度スキルを有する幹部クラスの雇用が創出された。うち94%の平均月給は1万3,000リンギとなっているという。

今年の目標についてインベストKLは、20億リンギに設定していると説明。デジタル・エコノミーやフィンテック(金融技術)サイバーセキュリティなど、より影響や価値が高い投資を誘致するとした。昨年の投資誘致額よりも目標を低く設定した理由については、2030年までに年間投資誘致額を50億リンギに引き上げることを目標に掲げており、その最低基準として20億リンギという数字を割り出したと説明した。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月17日、エッジ、3月16日)

ペナンで培養肉工場を建設、国内バイオ企業が2千万リンギ投資

【クアラルンプール】 バイオ企業のセル・アグリテックは2年以内の培養肉生産開始を目指し、ペナンに約2,000万リンギを投じ国内初の培養肉生産施設を建設している。

創業者兼製造担当副社長のン・チンエイ氏は16日にクアラルンプールで開催された「培養肉カンファレンス」で、セル・アグリテックの工場では、まず魚肉、特にマグロやウナギなどの高級魚の魚肉培養に力を入れ、養殖魚と同程度の価格で販売したいと述べた。工場は5月に着工し、2024年末の完工を見込んでいる。

培養肉は、動物から採取した肉の幹細胞をバイオリアクターという装置で培養することで作られる。細胞の成長に必要なアミノ酸は大豆、糖はトウモロコシなどが原料で、セル・アグリテックの工場では「不死化細胞株」を使用し、屠殺された動物から細胞を調達した後、数十年間肉を培養することが可能だという。

ン氏は、培養肉は抗生物質や感染症などの影響がなく安全で、廃棄部分もないので無駄を省くことができるとし、2025年までに培養肉を販売開始することを目標にしていると述べた。培養肉のハラル(イスラムの戒律に則った)認証については、当局が基準などについて最終決定しておらず、業界関係者や規制担当者との間で協議を行っているとしている。

培養肉カンファレンスには、国立大学、マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)、保健省、農業食糧安全省、科学技術革新省から代表者が出席。アーサー・ジョセフ・クルップ副科学技術革新相は、世界の培養肉市場が2022年の1億7,648万米ドル(7億9,187万リンギ)から、2027年には3億2,171万米ドル(14億4,000万リンギ)規模まで成長すると予想されていると述べた。
(マレー・メイル、3月16日)

国内EV充電大手3社、充電施設の横断利用を可能に

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のクリーンエネルギー子会社であるジェンタリは、電気自動車(EV)充電スポット管理アプリ「ジョムチャージ」を提供するEVコネクションおよび石油・ガス(O&G)のインソン・ホールディングス完全子会社であるインソン・グリーン・テクノロジー(M)(YGT)の間で、EVインフラでの協業に向け、三者間契約を締結した。

今後はいずれか1社のモバイルアプリから、3社が提供する充電施設すべてを横断利用できるようになる。利用範囲は、全国の全EV充電施設の3分の2以上にあたる合計550カ所。そのうちインソンは約300カ所、ジェンタリは150カ所、EVコネクションは100カ所を運営している。6月までの横断利用開始を目指す。

YGTのビジネス開発担当副社長であるスリニバス・タティ氏は、YGTは、より良いユーザー体験を提供し、EVの普及を加速するという志を共有するパートナーと協力したいと考えているとし、今回の協業はインフラ協業の第一歩であり、将来的にはさらに多くの機会にもつながると述べた。

ジェンタリのグリーン・モビリティ責任者であるシャー・ヤン・ラザリ氏は、EV普及の加速には顧客体験を重視することが不可欠であり、3社間の横断充電を6月までに可能にすることを目指すと述べた。

EVコネクションのリー・ユエンホウ社長は、充電ネットワーク全体を1つのアプリで検索できるようになるため、EV利用者の信頼をより高められると述べた。
(ポールタン、3月16日、インソン発表資料)

今年上半期の製造業は減速、コスト増や為替変動で=FMM予想

【クアラルンプール】 マレーシア製造業者連盟(FMM)が実施した調査結果によると、今年上半期の製造業は、投入コストやエネルギーコストの上昇や為替変動などの要因で成長は低く抑えられる見込みだ。

FMMは、1月18日ー2月18日に全国の745人を対象に調査を実施。今後最も高いリスクは「投入コストの上昇」と70%が回答した。それに、▽ガスや電気などのエネルギーコストの上昇(64%)▽為替変動(62%)▽競争の激化(49%)▽国内熟練労働者の確保(46%)▽地政学的緊張(46%)▽金利上昇(45%)▽サプライチェーンの混乱(43%)ーーが続いた。一方、「海外熟練労働者の確保」や「資金調達」については低リスクだとしている。

ソー・ティエンライ会長は、2023年上半期の全体的な見通しについて、今後数カ月、厳しい事業環境が続く中で減速の兆しを見せていると述べた。先行指標により設備利用率、設備投資、雇用の減速が示されていることから2023年上半期の生産は低成長が見込まれ、現在の需要動向から在庫水準も低くなる可能性があるとした。他指標も水準を下回っており、今後の厳しさを示しているという。

一方、2023年の利益については「1ー24%増加する」と予想する回答者が最も多く(30%)、24%が「現状維持」、16%が「1ー24%減少する」と回答。また今後1年間で実施する予定の投資は▽新製品開発(61%)▽自動化(56%)▽従業員のスキルアップや再教育(55%)▽輸出拡大(49%)▽グリーンテクノロジーやエネルギー効率化対策の導入(37%)ーーと回答した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月17日、エッジ、ベルナマ通信、3月16日)

銀行システムは健全、米銀破綻受け中銀が安全性保証の声明

【クアラルンプール】 マレーシア中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は米銀の破綻とクレディ・スイスの経営不安に関する報道機関の取材に対し、マレーシアの銀行は最近破綻した米国の2銀行と直接取引はなく、間接的に損失を被る可能性もごくわずかと回答した。

米国ではシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行が経営破綻し、これがスイスに飛び火し、金融大手クレディ・スイスの経営不安が広がり、同行はスイス中央銀行から最大で7兆1,000億円相当を調達すると発表した。

BNMは「急な事態に耐えられるかの健全性審査を銀行に対し定期に行っており、耐えうることを確認している。不都合な事態になっても銀行は企業、一般世帯への貸し付けを継続できる」とした。健全性審査の結果は年2回公表の金融安定化報告に掲載されている

格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスによれば、ほとんどのアジア太平洋の銀行は、破綻した米の2銀行と直接の取引はなく、ごく少数の銀行が少額の損失を被る可能性があるだけという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月17日)

自然電力とホクトマレーシア、長期電力供給契約を締結

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 自然電力(本社・福岡県福岡市)は15日、グループ会社である自然マレーシアと共に、キノコ生産大手ホクト(本社・長野県長野市)の現地法人ホクト・マレーシアとの間で、約730kWp(DC)容量の屋根置き太陽光発電設備を利用したオンサイトPPAモデルによる長期電力供給契約(PPA)を締結したと発表した。自然電力がマレーシアに拠点を持つ日本企業とPPAを締結する初めてのプロジェクトとなる。

同プロジェクトでは、ホクト・マレーシアのネグリ・センビラン州バンダーエンステックに位置する工場敷地に、総面積3,309平方メートルの産業用・工業用屋根置き太陽光発電所を設置する。同工場で再生可能エネルギーを使用することで電力コスト削減を実現しつつ、20年間の契約期間中に1万1,938トンの二酸化炭素を削減する見込みだ。また、ネットエネルギーメータリング制度を活用し、工場で消費する電力を差し引いた余剰電力はマレーシアの政府系電力会社のテナガ・ナショナル(TNB)に売電する。

自然マレーシアは、マレーシアにおいて、現地企業とオンサイトPPAモデルに基づく複数の長期電力供給契約を締結しており、現在発電設備の建設を進めている。今後も地域と共生する再エネ電源の開発にEMS・蓄電池等のデジタル技術を組み合わせることで、脱炭素化やエネルギーレジリエンス強化など様々なニーズに柔軟に対応し、自然エネルギー100%の世界の実現を、パートナーと共に目指す。

パナソニックマレーシア、大規模施設管理システム展示会を開催

【クアラルンプール】 パナソニック・マレーシアは、クアラルンプールで企業向け統合ソリューションを展示する「パナソニック・フューチャーテック2.0 ソリューション・ショーケース」を開催した。

大規模施設向けのセキュリティ・施設管理ソリューションを展示するもの。具体的には、▽スマートセキュリティシステム▽インテリジェントエネルギー・空気清浄ソリューション▽来客・駐車場管理システム▽施設予約システム▽印刷管理サービス▽スマートロッカー▽キャッシュレス決済用キャンパス・イーウォレット▽統合アクセスコントロール・システムーーなどが含まれる。ビルや大学キャンパス、タウンシップなど、ニーズや対象施設の規模に応じて拡張可能で、学校、政府機関、企業施設、製造、ホスピタリティ、建設など、多様な業種での利用を想定している。また、ビル管理の「S.アイシティ・スマートビルディング・ソリューション」では、スマートライトの監視・制御、スマート水位監視、スマート灌漑、スマートエネルギーなどの機能を提供する。

システムソリューション部門長兼戦略B2B部門長であるシーラン・カンダサミー氏は、パナソニックでは、企業のオペレーションコストを削減するため、ワイヤレス化や既存機器の有効活用に重点を置きソリューションを展開しているとし、まだ使える既存機器を入れ替えるのではなく、IoTセンサーを取り付けるだけで情報を収集できるようにするとコメント。今後も生産性向上やコスト削減を可能にするIoT対応製品・ソリューションの導入を進めていくと述べた。今回のショーケースで得られた見込顧客情報を活用し、統合ソリューションの売上高1億5,000万リンギを目指すとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月16日、ハイテク・センチュリー、3月14日)

マレーシア競争委職員を対象にセミナー開催、JICAと公取委

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国際協力機構(JICA)と公正取引委員会(JFTC)は、3月14ー16日の日程でマレーシア競争委員会(MyCC)の職員を対象とした企業結合規制をテーマとする競争法セミナーを共同開催した。

企業結合規制の導入を柱とするマレーシア競争法改正法の施行に備えてMyCCの職員にJFTCの知見を提供し、競争法の執行能力を向上させるために実施した。JFTCの職員4人が講師として来馬し、MyCCの職員約40人が出席した。
セミナーでは、企業結合に関する届出がなされた場合における手続フローや経済分析の活用といった審査手法についてJFTCの講師が解説した。同様のセミナーは2023年内にもう1 回、来年中に2回計画している。

マレーシアでは2010年に競争法が制定され、翌2011年に競争法の執行機関である MyCC が設置された。JICAは2021年1月から1年間、さらに2022年11月からは2年間、MyCCに競争法のアドバイザー専門家を派遣している。JICAは専門家派遣を通じ、引き続きマレーシア競争法の環境整備支援を行っていくとしている

ジェトロKL、MATTAフェアで日本酒イベント実施へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所は、日本政府観光局(JNTO)クアラルンプール事務所と連携し、マレーシア最大の旅行博「MATTAフェア」で日本酒のプロモーションイベントを実施する。

クアラルンプールのマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)で17ー19日に開催されるMATTAフェアにおいて、ジェトロはジャパンパビリオンで、日本酒ポケットトークや、MITECイベントスペースでの日本酒試飲イベントを実施し、マレーシアにおける日本酒の更なる市場拡大に向けた新規潜在消費者の発掘と認知獲得を目指すとともに、日本の農林水産物・食品の輸出とインバウンドの相乗的な拡大を図る。

ポケットトークでは日本酒の魅力紹介やライブクイズを、18日16時ー16時15分、19日14時30分ー14時45分の全2回実施し、クイズ正解者にはギフトを贈呈する。日本酒試飲会では、日本酒ライブトークおよびテイスティングイベントを行う(21歳未満は参加不可)。18日16時30分ー16時50分、17時ー17時20分、19日15時ー15時20分、15時30分ー15時50分の全4回実施する。紹介する日本酒銘柄は各日3銘柄の計6銘柄を予定している。

MRTプトラジャヤ線が正式開業、3月31日まで運賃無料

【クアラルンプール】 首都圏大量高速輸送(MRT)プトラジャヤ線(MRT2号線)が16日に全線開通し、午後3時から正式に営業運転を開始した。アンワル・イブラヒム首相がセルダンの車両基地で開業式を行い、3月31日まで運賃を無料にすると発表した。

MRTプトラジャヤ線は、クワサ・ダマンサラープトラジャヤ間の全36駅で全長は57.7キロメートル。2期に分け工事が行われ、そのうち第1期(クワサ・ダマンサラーカンポン・バトゥ間)は昨年6月に運行を開始している。今回第2期(カンポン・バトゥープトラジャヤ・セントラル間)が開通した。ティティワンサ、アンパン・パーク、チャン・ソウリン、スンガイ・ベシなど10のインターチェンジ(出場不要乗り換え駅)、接続駅(乗り換えに出場・再入場要)を備え、総建設費は305.3億リンギ。完全自動運転で、定員1,200人の4両電車を49編成配備する。
運行時間は毎日午前6時ー深夜0時。平日朝夕のピーク時には4ー6分間隔、それ以外の時間帯では7ー10分間隔、週末は7ー15分間隔で運行する。全区間の所要時間は84分。

当初は1日10.4万人の利用が見込まれており、マジュ高速道路やスンガイベシ高速道路など、クアラルンプール市街地に通じる道路や高速道路の混雑緩和が期待されているという。
(ポールタン、3月16日、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、3月15日)