オンライン証券の香港系ムームー、マレーシア市場に参入

【クアラルンプール】 香港系フィンテック(革新的金融技術)企業の富途が展開するオンライン証券サービス「ムームー」が27日付でマレーシア市場に参入した。

ムームー・マレーシアのデニス・ジー最高執行責任者(COO)によると、同社は証券委員会から資本市場サービスライセンスを取得し、マレーシアで証券およびデリバティブの取引および決済業務に従事できるようになった。同社は米国、シンガポール、オーストラリア、日本、カナダでもサービスを展開している。

ジーCOOは、シンガポールでは20ー70歳の25%がムームーを投資プラットフォームとして選んでおり、トレード・アプリの中でダウンロード数第1位となっているとし、マレーシアでも最高の投資プラットフォームになることを目指すと述べた。

オンライン証券会社の競争が激化する中、ムームーは独自サービスを提供することで差別化を図っている。具体的にはマレーシア市場と米国市場の投資管理、銘柄リサーチ、投資家仲間とのコミュニケーション、投資教育などの機能を提供している。株式スクリーナー、マーケット・モニター、機関投資家追跡、リアルタイム・データ、ニュース速報など、人工知能(AI)関連機能もユーザーから好評を得ているという。

ムームーは研究開発に力を入れており、昨年度には1億5,600万米ドルを投資。従業員の60%が研究開発に取り組んでいるとしている。
(ザ・スター、2月27日)

整備・修理サービスもサービス税の対象に、26日から適用

【クアラルンプール】 司法長官会議は23日、ホームページに官報を掲載。ほぼすべての整備・修理サービスもサービス税の適用対象になると明らかにした。施行日は26日。

サービス税の現在の税率は6%で、3月1日から8%になる。しかし物流サービスについては、同日以降も6%の率が適用される。ほかに6%が適用されるのは、飲食品提供、通信、駐車、クレジットカード・チャージカードのサービス。

法務サービスを提供するTRATAXのテネシュ・カンナー取締役によると、整備・修理サービスのうち、住宅の整備・修理サービスと、共同住宅など区分所有権の建物を管理する組織が提供するサービスはサービス税の適用を受けない。しかしエアコンなどの整備サービスにはサービス税がかかるという。

整備・修理サービスの適用に先立ち、証券仲買、証券引き受け、カラオケなども適用対象に含められた。
(エッジ、2月26日)

 

CCS共同スタディに中国電力と日本ガスラインが参加

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 石油資源開発(本社・東京都千代田区、JAPEX)、日揮ホールディングス(本社・神奈川県横浜市)、川崎汽船(本社・東京都千代田区)、JFEスチール(本社・東京都千代田区)の4社は26日、マレーシアにおける二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)の事業化に向けた、日本を起点とするCCSバリューチェーン構築を目指す共同検討において、中国電力(本社・広島県広島市)と日本ガスライン(本社・愛媛県松山市、NGL)が新たに参加することに合意し、計6社による覚書を同日付けで締結したと発表した。

2022年より国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)と検討を進めてきたJAPEX、日揮、川崎汽船は2023年9月、ペトロナス子会社のペトロナスCCSベンチャーズとの間で、マレーシアにおけるCCS事業化の検討に係る基本契約を締結。2023年6月にJFEスチールも検討に参加した。今回、発電事業におけるCO2排出量のさらなる削減手法を検討する中国電力、日本国内での液化CO2の内航船輸送を進めているNGLとも方向性が一致し、6社間での共同検討実施の合意に至った。

6社は、事業化検討と連携し、JFEスチールおよび中国電力グループが保有する日本国内の製鉄所や発電所で排出されるCO2の分離・回収、液化CO2のマレーシアまでの海上輸送(瀬戸内エリアでの内航輸送を含む)と受け入れ、貯留までの一連のバリューチェーン構築について、必要な設備やコストなどに係る検討を行っていく。事業化検討では、マレーシア国内のCO2を収集する陸上設備からのCO2輸送パイプラインの敷設や液化CO2の海上輸送、ならびに同国内での受入設備・海洋圧入設備など、必要な設備の仕様や費用の積算、事業スキームの詳細について検討を進めており、マレーシア国内で排出されるCO2に加えて、日本などマレーシア国外で回収されたCO2を海上輸送し、2028年末に海底下への圧入・貯留を開始することを目指す。

首相が国際金融地区TRXを開所、入居企業に税制上の優遇措置

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は23日、クアラルンプールの国際金融地区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TRX)」の開所式を主宰し、事務所移転などでTRXに入居する企業への優遇措置を発表した。

開発に10年の期間を要した。アンワル氏は「TRXは、世界でも屈指の金融地区を作り上げるとのマレーシアの熱意を象徴している」と強調。TRXに移転する企業に、ビル建設費に対する税控除、不動産開発業者に対する5年間の租税免除(法定所得の70%に適用)、融資・サービス契約に対する印紙税免除を提供する。

TRXには既に複数の大手金融機関が入居している。開発母体は財務省所有企業のTRXシティー。TRXで働く人は3万人に達しており、うち知識労働者が2万人。アンワル首相は「TRX開所は経済、金融構造の刷新を目指す政府活動の大きな前進だ」と語った。

建設された複合商業施設「エクスチェンジTRX」は昨年11月にオープンしており、オーストラリア系レンドリースが開発した。ほかにTRX開発に投資したのは、インドネシアの不動産開発業者ムリア・グループ、金融のアフィン・グループ、HSBCマレーシア、建設のIJMグループ、保険のプルデンシャル・マレーシアなど。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、2月24日、エッジ、2月23日)

筑波大学、マレーシア校の公式サイトを開設

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 筑波大学は20日、初の海外分校となるマレーシア校(学群名・学際サイエンス・デザイン専門学群)の公式サイトを開設したと発表した。

URLはhttps://www.utmy.edu.my/で、英語サイトとなっている。マレーシア校は今年9月にクアラルンプールのマラヤ大学内に開校する。

同校は、2023年12月付けで、マレーシアにおける高等教育の質保証を担う政府機関「マレーシア資格機構」から、教育課程に関する認定を受けている。日本の大学の学位を授与する学部が海外で設置されるのは初めてとなる。アジアにおける教育ハブとして、自然科学・人文科学・社会科学の発想やスキルを培いながら、データサイエンスを駆使し、マレーシアのみならず世界が直面するグローバル課題の解決に効果的に貢献できる人材の育成を目指す。

イオン、店舗の新設・改装で事業拡大へ

【クアラルンプール】 イオン・マレーシアはクアラルンプールのマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)近隣に、2025年末までに新店舗をオープンする計画を明らかにした。

岡田尚也取締役副社長(3月1日付けで社長に昇格予定)によると、3月にはセランゴール州シャアラムのセティアシティ・モール内にも新店舗をオープンする計画で、既存3店舗の全面改装を含め、さらなる事業拡大に取り組んでいく。セランゴール州のバンダル・プチョン店、同IOI モール・プチョン店の改装は年内に完了する見込みで、ジョホール州とマレー半島北部地域においてもそれぞれ1店舗の改装を計画しているという。

現在、イオンは全国に「イオンモール」28店舗、「イオンストア」34店舗、「マックスバリュ」7店舗、ドラッグストア「イオンウェルネス」64店舗、100円ショップ「ダイソー」45店舗を展開しているが、既存モール・店舗の改装に注力しており、昨年はマラッカ州のアイル・ケロー店、セランゴール州のチェラス・セラタン店を改装している。

岡田氏は、今年は事業拡大を通じて、若い世代から新たな顧客を獲得したいと考えているとし、コスト圧力が増大する中でも成長を続けていくと述べた。

イオン・マレーシアの2023年通年の売上高は前年比0.3%微減の41億3,000万リンギ、純利益は3.2%増の1億1,120万リンギ。2023年第4四半期(10ー12月)の売上高は、小売売上高の減少やベース効果により前年同期比2.7%減の10億3,000万リンギだったが、純利益は30.8%増の3,260万リンギに達した。稼働率の上昇や賃貸料の更新、コスト管理などが功を奏したという。

今後の見通しについては、補助金の見直しや、売上・サービス税(SST)の引き上げ、贅沢税の導入など、政府方針の転換に懸念はあるものの、引き続き、デジタルシフトの加速、プライベート・ブランドへの注力、地域社会におけるイオン生活圏の創出、持続可能性への取り組みを行うとともに、営業コストを効果的に管理していくとしている。
(ザ・サン電子版、マレー・メイル、ベルナマ通信、2月24日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、2月23日)

福山通運、福山市大、イスラム科学大などが産学連携

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 福山通運(本社・広島県福山市)と小丸交通財団は22日、福山市立大学、マレーシア・イスラム科学大学(マレーシア)、E.H. ウタラ・ホールディングス(マレーシア)と産学連携に関する意向書を締結したと発表した。

福山通運は声明の中で、意向書の締結により、マレーシア国内での日本語作文スピーチコンテストをはじめ、福山通運へのインターンシップや日本語教育などの産学連携を促進し、互恵的な関係を発展させるために最善の努力を尽くしていくとし、併せて、語学教育をはじめとした日本とマレーシアの文化交流の推進とともに、両国間の友好関係強化にも貢献していくとしている。

小丸交通財団は、交通安全思想の普及啓発活動を目的として2013年9月9日に創立され、全国の小学校を中心とした交通安全教室の開催や交通事故防止の啓発活動を行っている。また、海外で日本語を学ぶ学生に学習成果を発表する機会を提供し、交通安全意識の向上や日本との文化交流を目的に日本語作文スピーチコンテストを開催するなど、持続可能な開発目標(SDGs)を支援している。

 

ハラルや防災に関する日本の協力を評価=ザヒド副首相

【大阪】 7日間の日本公式訪問を終えたアハマド・ザヒド副首相は、訪日の成果について、技術職業教育訓練(TVET)やハラル(イスラムの戒律に則った)産業、防災について貴重な知見が得られたと明らかにした。

ザヒド副首相は、昨年12月のアンワル・イブラヒム首相の訪日から1カ月半後の訪問でフォローアップを行ったとし、日馬両国の関係が「包括的・戦略パートナーシップ(CSP)」に格上げされたことに伴い、日本から多くの協力が得られたと説明。日本は東京高専などのTVET機関で優秀な学生を育てることに成功していることから、多くのマレーシア人学生を日本に派遣し、TVETモデルを学ぶ計画だと述べた。

ザヒド副首相はまた、ハラル開発公社(HDC)がハラル関連の覚書2件を締結するのに立ち会った。HDCは円卓会議「日本とマレーシアのハラル・エコシステムの連携」を大阪で開催し、日本企業の代表20名が出席した。

ザヒド副首相は、ビッグデータや人工知能(AI)技術の防災への活用に関する説明も受けたとし、マレーシアの洪水問題を管理するための長期計画に生かすとしている。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、2月23日)

乗換案内アプリ「PULSE」からエアアジアライドの予約が可能に

【クアラルンプール】 公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアは、子会社PRIDEが運営する乗換案内アプリ「PULSE」上で配車サービス「エアアジア・ライド」の乗車予約が可能になったと発表した。

PRIDEのファイザー・カイルディン最高経営責任者(CEO)は、PULSEアプリ経由で軽便鉄道(LRT)の主要24駅でエアアジア・ライドを予約できるようになったと説明。自宅から目的地までをシームレスに接続することで公共交通機関の利用促進や二酸化炭素排出量の削減につながると述べた。

エアアジア・ライドでは、提携開始を記念して、2025年1月末までLRTケラナジャヤ線およびアンパン線・スリ・ペタリン線の全24駅までの往復について、乗車1回あたり2リンギを割引するキャンペーンを実施する。通勤などでの利用を想定しており、1日2回まで利用可能。詳細はhttps://www.airasia.com/aa/pulseapp/で確認できる。
(マレーシアン・リザーブ、テックネイブ、2月22日)

23年通年の投資額は3295億リンギ、過去最高を記録

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、2023年通年の投資額(認可ベース)が過去最高となる3,295億リンギを記録したと明らかにした。前年の2,646億リンギから23%の大幅増となった。

22日に開催された国家投資委員会(NIC)会合で発表されたもので、外国直接投資(FDI)が全体の57.2%を占め、国内直接投資(DDI)は42.8%を占めた。増加率では外国直接投資が15.3%だったのに対して、国内投資は35.1%の大幅増加となった。NICはアンワル首相が議長を務めている。

投資案件は5,101件で、12万7,000人以上の雇用創出が見込まれる。セクター別ではサービス業が1,684億リンギで全体の51.1%を占めた。これに製造業が1,520億リンギ(46.1%)、一次産業が91億リンギ(2.8%)で続いた。

アンワル首相は声明の中で、投資環境における目覚ましい業績は、国家ビジョン「マレーシア・マダニ」を掲げる現政権の下でマレーシア経済が復活したことを反映していると言明。「政府の投資促進政策と企業促進政策が間接的に投資家の信頼を高めるという成果を上げ始めていることを示している」と述べた。

同日のNIC会合では、デジタル投資に関する国の方向性についても議論された。アンワル首相によると、マレーシアのデジタル経済は2021年に国内総生産に23.2%貢献したが、2025年までに25.5%に増加すると予想されている。2021年から2023年にかけて、NICを通じて承認されたプロジェクトを含む396件のデジタル関連プロジェクトが承認され、投資額は1,289億リンギに達し、3万6,553人の雇用創出が見込まれている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、2月23日、フリー・マレーシア・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、2月22日)