KL空港高速鉄道、ERLの運営権を30年延長

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は、エクスプレス・レール・リンク(ERL)との間で締結している、クアラルンプール(KL)セントラルとKL新国際空港(KLIA)を結ぶ高速鉄道の運営権について、2059年まで30年間延長することを政府が承認したことを明らかにした。現協定の期限は2029年までとなっていた。

新たに追加された協定により、これまで認可制だった直通列車の「KLIAエクスプレス」と各駅停車の「KLIAトランジット」の運賃について、ERLは「市場主導型」の運賃体系を導入できるようになる。ローク運輸相は「政府はERLに対する補償という財政的義務から解放される」と述べた。

政府は2016年、KLセントラル―KLIA間の上限運賃を64リンギに設定。 ERLはそれ以来、運賃を片道55リンギに据え置いている。

新たな協定に基づき、政府は2029年よりERLに対する旅客サービス料(PSC)からの支払いを停止すると発表した。ERLは現在、乗客から受け取る運賃とは別に、KLIAを利用する航空旅客に課されるPSC(国際線5リンギ、国内線1リンギ)の一部を受け取っている。

また新たな協定では、ERLが一定の基準(10%の内部収益率=IRR)を満たした場合、ERLの利益の30%を政府が受け取る権利を得るという内容が盛り込まれている。
(マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、1月23日)

マレーシア航空、KLー羽田線を再開へ

【クアラルンプール】 マレーシア航空(MAS)は、マレーシア航空委員会(MAVCOM)からの航空交通権(ATR)の割り当てを受けて、東京/羽田―クアラルンプール(KL)線を再開する見通しだ。週2往復の運航となる見込み。

同路線は2022年8月に、週2往復で運航を開始し、同年12月には週5往復に増便したが、2023年9月17日から運休となっていた。再開がいつからになるかは明らかにされていない。

MAVCOMから指定された航空会社は、航空運行権の開始日から6カ月以内に、割り当てられた路線の運航を開始する必要があり、未使用となった権利は取り消される。
(トライシー、1月19日、MAVCOM発表資料)

ジェトロKL、日本産水産品の試食イベントを26ー28日に開催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は、日本産水産品輸入業者やEC業者などと連携し、KL市内の日系ショッピングモール「ららぽーとBBCC」で消費者向けの試食提供イベント「Japanese Seafood Fest 2024」を開催すると発表した。

開催期間は1月26日―28日の3日間で、場所は「ららぽーとBBCC」の「WOWプラザ」。日本産水産品に関する簡単なクイズに答えた人全員に、日本産の▽ホタテ▽マグロ▽ハマチ▽カキ▽サバ――の試食を無料提供するほか、巻き寿司ワークショップ、初日の午後にはレストラン「鮨吉」シェフによるマグロ解体ショーも行われる。

日本産水産品の更なる消費拡大を図るのが狙いで、家庭での消費拡大に向けて日本産水産品が購入可能なECサイトと小売店を経営するモチヤ・ファイン・フード・ストアと連携し、オンラインショップでの割引券をイベント参加者に配布するほか、外食での消費拡大に向けて、KL市内にある「日本産食材サポーター店」のマップを配布することでレストランでの消費拡大につなげる。

モチヤ・ファイン・フードはイベント中に日本産水産品のブース販売を行うほか、 2月中旬まで自社オンラインショップで日本産水産品の特集ページを公開する。

検察がダイム元蔵相の妻を起訴、標的はダイム氏

【クアラルンプール】 マレーシア汚職摘発委員会(MACC)は23日、ダイム・ザイヌディン元蔵相の妻、ナイマ・アブドル・カリド氏(67)を、資産申告を怠った罪で起訴した。ナイマ氏は、「夫の成功を妬んだ者たちによる陰謀であり、夫の名誉を傷つけるための政治報復だ」として無実を主張している。

訴状によると、被告が申告を怠った資産は、▽企業2社▽高級車2台(いずれもメルセデスベンツ)▽不動産8件(クアラルンプールの自宅、土地、建物、およびペナン州の土地)ーー。有罪の場合、最長5年の禁錮と10万リンギの罰金が科せられる。セッション裁判所(重大犯罪の第一審裁判所)のアズラ・アルウィ裁判官は、保釈金25万リンギで保釈を認めた。次回審理は3月22日。

検察の真の標的はダイム元蔵相本人で、世界の著名人による租税回避を暴いた文書、いわゆるパンドラ文書にダイム氏が含まれていたことから捜査を続けていた。ダイム氏は病気で入院中。

パンドラ文書は英領バージン諸島などタックスヘイブンの信託会社、法律事務所から漏出した電子ファイルで、金、権力を持つ世界の大物が資産を隠し、税を回避していたことを示す文書。21年10月から各国のメディアが報道を開始していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレー・メイル、1月23日)

経済改革や紅海危機が中・高所得世帯に影響=エコノミストら

【クアラルンプール】 エコノミストらは、政府が経済改革の一環として、対象を絞った補助金制度を導入することで、今年後半に中・高所得世帯の生活費が上昇すると予想している。

バンク・ムアマラット・マレーシアのモハマド・アフザニザム主任エコノミストは、補助金削減に加え、紅海危機による輸入品価格の上昇も予想されるため、貯蓄額が少ないM40(中位40%)の世帯が最も影響を受けると述べた。M40世帯の月収は5,250ー1万1,819リンギと定義されている。

光熱費で値上げが確定しているのは、1月からの電気料金(値上がりは平均22リンギ)、2月からの水道料金(同1.6ー8リンギ)。3月以降にサービス税の6%から8%への引き上げも予定されている。

アフザニザム氏は、フーシ派による紅海での海運攻撃が続いているため、コンテナ船は南アフリカの喜望峰を経由する長いルートを回航せざるを得なくなり、海運コストの上昇により輸入品のコストも上昇し始めると説明。今年の運賃は前年の3倍になる可能性もあるとし、マレーシアの海上貿易は貿易総額の50%以上を占めているため、ビジネスコストが増大するとした。

会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)・マレーシアの経済・政策担当であるテイ・スーエン氏は、M40とT20(上位20%)層は輸入品を多く消費するため、輸送コストの上昇の影響をより大きく受けるとし、世界貿易の弱体化による世界経済の減速、地政学的緊張が高まる中での公的債務の増加や借入コストの高騰などを背景に、2024年も経済の低迷が続くと予想。ただし政府の経済改革は必要だと指摘した。回復力のある強い経済を構築でき、最終的には全国民の所得向上や公共サービスの向上につながるとしている。
(ストレーツ・タイムズ、1月22日)

マラッカ州、23年第3四半期に47.7億リンギの投資を誘致

【アロー・ガジャ】  マラッカ州のアブドル・ラウフ・ユソー首相は22日、マラッカ州は2023年第3四半期に47.7億リンギの投資(認可ベース)を誘致したと明らかにした。

スイス企業オーデマ・マイクロテックの新製造施設の開所式に出席した州首相は、州の年間投資誘致額の目標は50億リンギだが、その目標を達成できることを確信していると述べた。今年もより多くの投資誘致を目指すとしている。

マラッカ州には60カ所に及ぶ半導体工場があり、工業・製造業部門は、2022年に州の国内総生産(GDP)の37.2%に貢献している。州内工業部門では18万5,000人以上の雇用機会を創出しているという。
(マレー・メイル、ベルナマ通信、1月22日)

ボーイング、マレーシア合弁を買収し完全子会社化

【クアラルンプール】 航空機製造大手の米ボーイングは、マレーシアにおける部品製造合弁会社、エアロスペース・コンポジット・マレーシア(ACM)の未保有株式を合弁相手先のへクセル・コープから先ごろ買収し、完全子会社化したと発表した。買収額については明らかにされていない。

ACMはボーイングとヘクセルの合弁会社として設立され、2001年に操業を開始。2023年12月にボーイングによるヘクセル持株の買収が完了した。ケダ州ブキ・カユ・ヒタムに総面積4万7,200平方メートルの工場を保有している。従業員数は約1,000人。

ボーイングによると、ACMは複合材や補助翼(エルロン)、フラットパネルなどの部分組立品などを供給しており、現在のボーイング民間航空機すべてに使用されている。ACMによると、2005年にはB-737ネクストジェネレーション(NG)民間航空機用エルロン部品の世界唯一のメーカーになった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、1月22日)

三菱モーターズ(M)、「トライトン」の限定版を発表

【クアラルンプール】 三菱モーターズ・マレーシア(MMM)は、ピックアップトラック「トライトン」の上位モデル「ATプレミアム」の限定版を発表した。

保険なしの販売価格は通常版「ATプレミアム」と同額の13万5,900リンギで、限定台数(台数未公表)のみの販売となる。5年間、走行距離無制限の保証が付属する。

通常版とは外装・内装が異なっており、外装はホワイトダイヤモンド塗装仕上げで、後部にデザインのアクセントとなるステッカーが貼られ、内装では足元のスカッフプレートやヘッドレストに赤いアクセントが施されている。2022年8月に1,000台限定で発売された「ファントム・プラス」と同じく、ヨコハマの「ジオランダーA/T G015」タイヤも装着されている。通常版と同じく2.4リッターMIVEC4気筒ターボディーゼル・エンジンを搭載し、最高出力は181馬力(PS)、最大トルクは430Nmを発揮する。
(ポールタン、1月22日)

昨年のIPO調達資金は37億リンギ、東南アジア3位

【クアラルンプール】 会計事務所デロイトがまとめた、昨年の東南アジアにおける新規株式公開(IPO)報告によると、マレーシアのIPOは32件(前年は35件)で、調達された資金は合計37億リンギ(7億9,000万米ドル)だった。上場した企業の時価総額は前年比18%増の29億9,000万米ドルだった。

デロイト・マレーシアのウォン・カーチューン氏によると、二部に相当するACE市場は成長力のある企業にとり上場しやすく、公開価格も手ごろで投資家の関心を引き付けている。今年は機関投資家、個人投資家の投資意欲、特に消費関連、テクノロジー関連銘柄への意欲を背景に、多数のIPOが予想されるという。

東南アジアのIPO件数は前年と同じ163件、調達資金は24%減の58億米ドル、時価合計は26%減の417億米ドルだった。

調達資金の国別1位はインドネシアで、62%を占めた。次いでタイの22%、マレーシアの14%と、3カ国で全体の98%を占めた。インドネシアは前年比53%増加したが、ほかの国は減少した。

世界各国の取引所は東南アジアの企業に対する関心を高めており、上場誘致活動を強化しているという。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メール、1月18日)

電子インボイス、50社が参加して5月に試験運用

【クアラルンプール】 内国歳入庁(IRB)は、50社余りの参加を得て電子インボイスシステムの試験運用を5月に開始する。参加企業の会計システムとIRBのシステムとの統合がスムーズに行くか検証する。

ベルナマ通信との会見で税務部のラシダ・チェ・ロスリ政策担当者は「さらに多くの企業の試験運用への参加を歓迎する。これを通じ直面する問題が分かり、対処に役立つ」と語った。

8月1日からは、年商1億リンギ超の企業4,000社は電子インボイスを採用しなければならない。ラシダ氏は「ほとんどの企業が電子インボイスの用意がある」と語った。フォーマットはJSON、マークアップ言語はXMLを採用する。

年商が2,500万―1億リンギの企業は2025年1月からの採用を求められる。電子インボイスの完全施行は同年7月1日。

電子インボイスとは、インボイス(適格請求書)制度において、請求書や領収書を電子データでやり取りするための仕組み。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、1月20日、マレーシアン・リザーブ、1月19日)