【クアラルンプール】 エコノミストらは、政府が経済改革の一環として、対象を絞った補助金制度を導入することで、今年後半に中・高所得世帯の生活費が上昇すると予想している。

バンク・ムアマラット・マレーシアのモハマド・アフザニザム主任エコノミストは、補助金削減に加え、紅海危機による輸入品価格の上昇も予想されるため、貯蓄額が少ないM40(中位40%)の世帯が最も影響を受けると述べた。M40世帯の月収は5,250ー1万1,819リンギと定義されている。

光熱費で値上げが確定しているのは、1月からの電気料金(値上がりは平均22リンギ)、2月からの水道料金(同1.6ー8リンギ)。3月以降にサービス税の6%から8%への引き上げも予定されている。

アフザニザム氏は、フーシ派による紅海での海運攻撃が続いているため、コンテナ船は南アフリカの喜望峰を経由する長いルートを回航せざるを得なくなり、海運コストの上昇により輸入品のコストも上昇し始めると説明。今年の運賃は前年の3倍になる可能性もあるとし、マレーシアの海上貿易は貿易総額の50%以上を占めているため、ビジネスコストが増大するとした。

会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)・マレーシアの経済・政策担当であるテイ・スーエン氏は、M40とT20(上位20%)層は輸入品を多く消費するため、輸送コストの上昇の影響をより大きく受けるとし、世界貿易の弱体化による世界経済の減速、地政学的緊張が高まる中での公的債務の増加や借入コストの高騰などを背景に、2024年も経済の低迷が続くと予想。ただし政府の経済改革は必要だと指摘した。回復力のある強い経済を構築でき、最終的には全国民の所得向上や公共サービスの向上につながるとしている。
(ストレーツ・タイムズ、1月22日)