日・マレーシア首脳会談、両国関係強化を確

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アンワル・イブラヒム首相は23日午後、岸田文雄首相と首脳会談を行った。

岸田首相は両国関係の着実な進展に触れ、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化のためマレーシアとの連携強化を表明した。アンワル首相も「包括的・戦略的パートナーシップ」の下、関係発展への意欲を示した。

会談では、政府安全保障能力強化支援(OSA)によるマレーシアへの警戒監視用機材の供与や自衛隊とマレーシア国軍の共同訓練実現への言及があり、海上法執行分野の協力強化も確認された。また、エネルギー移行や脱炭素化、重要鉱物、デジタル、サイバーセキュリティ、サプライチェーン強靭化、人材育成等の分野での協力推進にも合意がなされた。

また、東シナ海・南シナ海情勢、イスラエル・パレスチナ情勢、ウクライナ情勢、北朝鮮問題など、地域・国際的な課題への対応についても意見交換が行われ、引き続き両国で連携していくことが確認された。

プトラジャヤのART、試験運転を7月末まで実施

【プトラジャヤ】 プトラジャヤ・コーポレーション(PPJ)は、運輸省と協力し、7月31日までプトラジャヤで自動高速輸送システム(ART)の試験運転を実施すると発表した。試運転中は無料で乗車できるが、停留所で提供されるQRコードをスキャンする必要がある。

プトラジャヤARTは中国中車(CRRC)の技術を導入した自動運転の無軌道トラムで、試験結果が良好であれば年内に商業運転を開始する計画だ。
PPJのエンジニアリング・メンテナンス部(交通・公共交通課)のエンジニア、ムハンマド・マスリザル・サード氏によると、トラムの試験運行が行われているのは2つのルートで、ルート1は月曜日から金曜日まで、ルート2は土曜日と日曜日に運行される。乗車定員は307人。

ルート1はMRTプトラジャヤ・セントラル駅と各政府機関が入居する第2、3、4区を、ルート2はMRTプトラジャヤ・セントラル駅とIOIシティ・モールを結ぶ。
ARTサービスの詳細については、PPJの公式ウェブサイト(https://www.ppj.gov.my/)およびソーシャルメディアで確認できる。
(マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、5月22日)

対象を絞った補助金、まずディーゼル油を対象に実施へ=首相

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アンワル・イブラヒム首相は21日夜にテレビ演説を行い、対象を絞った補助金制度について、まずはディーゼル油を対象にマレー半島部に絞って実施すると発表した。すべての利用者を対象としていたこれまでの補助金制度を見直すことにより、年間40億リンギの補助金が節約される見通しだ。

ディーゼル・エンジン車が普及しているサバ・サラワク州は市民生活への影響が大きいため対象外とする。実施時期については、関係省庁から後日発表されると述べるにとどまった。アンワル首相は、水道や電気代に対象を絞った補助金を導入した際と同様に大部分の国民には影響はないとの見方を強調した。

新制度の対象となる半島部では、モノやサービス価格の急激な上昇を抑えるため、商用ディーゼル車を使用する業者向けに補助金を支給する。補助金が支給されるセクターはディーゼル補助金管理制度(SKDS)に基づくバスやタクシーなどの10種類の公共交通車両と23種類の貨物輸送車両、漁業者が含まれる。また小規模農家、コメ農家、小規模販売業者など自家用ディーゼル車の所有者には現金支援を行う。

アンワル首相は、新たな補助金制度では商売、農業、鉱業、畜産業、漁業などでディーゼルを使用する必要がある下から40%の低所得者層(B40)および40%の中間所得者層(M40)を対象としており、20%を占める高所得者(T20)や380万人いるとされる外国人には付与しないと述べた。

リンギが円に対し値上がり、15年6月以来の高水準に

【クアラルンプール】21日の為替市場ではリンギが円に対し値上がりし、取引開始早々、100円に対し2.99リンギ台と3リンギを割り込んだ。2015年6月以来の対円リンギ高となった。

午前9時台の相場は100円に対し2.9984/3.0012リンギだった。その後、3.001/3.0022リンギで取引された。

イスラム銀行バンク・ムアマラット・マレーシアのモハマド・アフザニザム主任エコノミストは、マレーシアと日本の金利差が大きいことが強いリンギの理由と指摘した。

日本の1-3月期の国内総生産(速報値)は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.5%減、年率換算で2.0%減と縮小しており、金利引き上げの可能性は限定されているため、リンギ高は続く可能性があるという。

UOBケイ・ヒアン・ウエルス・アドバイザーズのセデク・ジャンタン氏は20日の声明で、日本銀行が国債買い入れを減額したことを指摘。「2.0%のインフレターゲットが達成できたと日銀が確信できるか次第だが、7月末までに金利を0.1%引き上げるとの憶測が流れている」と述べていた。

円は長期にわたり下落を続けており、日本は輸入物価の上昇で消費が減退している。
(ザ・スター、5月22日、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、5月21日)

福山通運、現地子会社の新倉庫がシャアラムで完成

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 福山通運(本社・広島県福山市)は、マレーシア子会社のE.H.ウタラ・ホールディングスが19日、セランゴール州シャアラムで建設していた新倉庫の竣工式を行ったと発表した。同社は2023年2月に起工式を実施していた。

声明によると、建設地はスバン工業団地内で、地上2階建て鉄筋コンクリートおよび鉄骨造、敷地面積1万5,523平方メートル、延床面積1万6,190平方メートルとなっている。

福山通運は、新倉庫の立地がマレーシア国内最大規模となるポートクランおよび首都クアラルンプールへのアクセスに優れ、物流拠点として需要の高い地区にあると強調。今後、東南アジア地域でのネットワークを更に強化するとともに、多様化する顧客ニーズに対応するためよりきめ細やかな物流サービスを提供していくとしている。

アンワル首相が訪日、岸田首相と会談

【東京】 アンワル・イブラヒム首相が22日夜から3日間の日程で日本を訪問した。昨年12月に次ぐ2回目の訪問となる。

モハマド・ハッサン外務相、テンク・ザフルル投資貿易産業相、スティーブン・シム人的資源相も同行した。

アンワル首相は、23日、第29回日経フォーラム「アジアの未来」で基調講演を行い、日本の岸田文雄首相と二国間会談を行った。会談では、ハイテク、エネルギー移行、環境協力、防衛・安全保障、能力開発、高等教育に関するマレーシアと日本の関係強化に向けた取り組みを確認。産業界トップとの会談も実施した。
(マレー・メイル、エッジ、5月22日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、5月21日)

首相の中央アジア3カ国訪問、24億リンギ相当の潜在的輸出確保

【クアラルンプール】 投資貿易産業省(MITI)は、5月15ー19日に行われたアンワル・イブラヒム首相の初のキルギス、カザフスタン、ウズベキスタンの中央アジア3カ国公式訪問により、24億リンギ相当のモノとサービスに関する潜在的な輸出を確保できたと発表した。

アンワル首相と共に3カ国を訪問したテンク・ザフルル投資貿易産業相によると、潜在的な輸出セクターは、電気・電子(E&E)、パーム油・パーム油製品、日用消費財(FMCG)、エネルギー・産業ソリューション、食品・飲料(F&B)、家具、 ハラル(イスラムの戒律に則った)製品・サービス、石油・ガス(O&G)、建材および建設、専門サービス、宝飾品などで、カザフスタンとウズベキスタンにおける個別の円卓会議で産業界の代表が確約した。

カザフスタンの首都アスタナでは同国のオルジャス・ベクテノフ首相とアンワル首相が共同議長を務め、鉱業、O&G、エネルギー、建設、FMCG、観光などの分野を代表するカザフスタン企業12社の著名なビジネスリーダー26人とマレーシア代表団による円卓会議が開催された。

ウズベキスタンのサマルカンドでは、同国のジャムシド・ホジャエフ副首相とアンワル首相が共同議長を務め、製薬、建設、不動産、O&G、小売、流通、金融サービスなどのウズベキスタンの大手企業やマレーシア企業の代表200人以上が参加するハイレベル・ビジネス・フォーラムが開催された。

このほかアンワル首相は、マレーシアの団体とカザフスタンおよびウズベキスタンの団体との間で8件の覚書(MoU)締結式に立ち会った。覚書の1つは、マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)とウズベキスタン商工会議所(CCIU)の間で交わされたもので、貿易促進、訓練・教育、研究開発に関する協力に向けたもの。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月21日)

通年の経済成長率、エコノミストは従来予想を維持

【クアラルンプール】 第1四半期のマレーシア国内総生産(GDP)成長率は前年同期比4.2%となり、ブルームバーグが意見を聞いたエコノミストの予想中央値(3.9%)を上回ったが、大方のエコノミストは通年の成長率予想(3.5-4.7%)を維持した。

シンガポール系UOB(大華銀行)は4.6%との通年予想を維持。成長要因として、世界的な半導体景気循環の改善、観光業の活況、インフラ事業など予算措置の実行を挙げた。不透明要素として補助金削減計画、地政学上のリスクがあるという。

政府系金融機関のMIDFは4.7%の成長予想を維持した。内需拡大はこの先も続くとみている。リスク要素として地政学・貿易上の緊張、米中経済の成長鈍化を挙げた。

市場・経済調査の英系キャピタル・エコノミクスはやや悲観的で3.5%の成長を予想。ほかの調査会社と異なり、GDPの60%を占める個人消費が減少するとみており、予定されている食品・燃料補助金の削減で下半期の物価は急上昇する可能性が高いとしている。求人数が減少傾向にあることも不安要因として挙げた。
(エッジ、5月17日)

プロトンが新EV名前当てクイズを開始、来年発売に向け

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、電気自動車(EV)販売子会社のプロトン・ニュー・エナジー・テクノロジー(プロネット)を通じ、同社が新しく発売するEVブランド名を当てるクイズを開始した。

6月5日まで開催され、賞金総額は8,000リンギ。応募は1人1回のみ。

プロトンは2025年にEVを発売開始する予定で、中国・吉利汽車との共同開発を発表していた。今回のクイズによると、新EVは、吉利汽車の「ギャラクシー」シリーズのような新しいサブブランドで発売され、販売はプロネットが担当する模様。クイズに用いられている画像は吉利汽車のコンパクトEV「ギャラクシーE5」のもので、「E5」がプロトンの新EVのベースとなると予想されている。

「E5」は今年3月に発表されたCセグメント・スポーツ車(SUV)で、プロトンの「X70」より一回り大きく、全長4,615ミリメートル(mm)、全幅1,901mm、全高1,670mm。シングルモーターを搭載し、最高出力は218馬力(PS)、最高時速175キロメートル(km)。
(マレー・メイル、ソヤチンチャウ、ポールタン、テックネイブ、ジグホイールズ、5月20日)

キャピタルA子会社、カンボジアで航空機整備の免許取得

【クアラルンプール】 格安航空業務などを展開するキャピタルAのエンジニアリング部門子会社、アジア・デジタル・エンジニアリング(ADE)はカンボジア民間航空庁から整備機関としての認証を受けたと発表した。航空機整備・補修サービスに携わる。

認証を受けたのはADEと現地企業シビライ・アジアとの合弁会社ADEカンボジア。プノンペン国際空港を拠点に業務を行う。ADEがマレーシア以外で事業免許を得たのは初めて。5月初旬に運航を開始したエアアジア・カンボジアやほかの航空会社の機体の整備に当たる。エアアジア・カンボジアもエアアジアとシビライ・アジアの合弁事業。

ADEのマヘシュ・クマル最高経営責任者(CEO)は、将来的にカンボジアのほかの空港でも保守・修理サービスを提供すると意欲を表明した。
(エッジ、5月20日)