パイプライン火災の被災地、ガス1日3.3億立方フィート不足

【クアラルンプール】 セランゴール州プトラハイツで起きたパイプラインの大規模火災の影響で、被災地では1日あたり3億3,000万立方フィートのガスが不足している。セランゴール州インフラ農業委員会のイザム・ハシム議長(国政の閣僚に相当)が8日、記者会見で明らかにした。

イザム・ハシム氏によると、不足している3億3,000万立方フィートのうち、2億立方フィートは州内の4発電所向けで、残り1億3,000万立方フィートは300の工場と、8,000の住宅・商業施設向けという。

影響を受けている発電所は、コンノートブリッジ、プラウ・インダ、スルタン・サラディン・アブドゥル・アジズ(KEV)、プトラジャヤの4つだが、うち2つは石炭や石油といった代替エネルギー源で対応可能という。現在、ガス・マレーシアやペトロナス・ガスと影響を抑えるための対応を協議中で、タンクでガスを運ぶなどの対策が見込まれるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、4月8日)

銀行系アナリスト、通年の経済成長予想を下方修正

【クアラルンプール】 米国政府がマレーシアからの輸入品に4月9日から24%の「相互関税」を課すと発表したことを受け、複数の銀行系アナリストがマレーシアの今年の国内総生産(GDP)成長率予想を下方修正している。

CIMBは、米国がマレーシアにとり第3位の貿易相手国であることから、両国間の貿易関係に混乱をもたらす恐れがあると指摘。2024年のマレーシアの対米貿易黒字が724億リンギだったとし、「相互関税」により対米輸出が大幅に減速するとみられることに加えて、輸出収入の減少が家計支出と民間投資を鈍化させ、経済減速にさらに拍車をかけるとの予測から、通年の経済成長予想を1.0ポイント下方修正し4.0%とした。

RHBインベストメント・バンクは、これまで対米貿易黒字が比較的小さいと考えられてきたマレーシアで「相互関税」が現実化したことが経済の下振れリスクを大幅に高めているとし、成長予想を5.0%から4.5%に下方修正。「マレーシアのGDPは0.4%引き下げられ、さらに米国による中国への関税引き上げにより、(中国による緩和政策がないと仮定した場合)さらに0.7%引き下げられる」とし、関税問題・貿易問題がさらに深刻化した場合には経済成長率が4.0%の方に引き下げられるリスクがあると述べた。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、4月5日)

米関税引き上げ、パーム油業界への影響は最小限

【プトラジャヤ】 マレーシア・パーム油委員会(MPOB)のアハマド・パルヴィーズ委員長は、米国の「相互関税」実施によるパーム油業界への影響は最小限にとどまるとの見方を表明。マレーシアに対する24%の関税率は、それぞれ32%、36%の高税率に直面しているインドネシア、タイに対して若干有利だと指摘した。

パルヴィーズ氏は、米国ではパーム油は主に一般的な調理用ではなく特殊な油として使用されているとし、マレーシアの米国へのパーム油輸出は国内総生産量の1%以下にとどまっていると指摘。「関税引き上げは価格上昇などの間接的な影響があるかもしれないが、米国での需要に大きな影響はないだろう。影響は直接的ではないが、特に最終製品の価格上昇という形で連鎖的な影響があり、最終的には米国の消費者が負担することになるだろう」と述べた。

パルヴィーズ氏は、初期段階では貿易の混乱が生じる可能性があるとした上で、米国ではトランス脂肪酸政策などにより、製菓業など特定の分野でパーム油に依存している業界があると指摘。パーム油の需要が依然として強いと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、4月7日)

東南アジアは中国より米国を信頼、シンクタンク調査

【シンガポール=アジアインフォネット】 東南アジアの市民は中国より米国に信を置いていることが、シンガポールのシンクタンクISEASユソフ・イシャク研究所の調査で分かった。調査期間は米トランプ政権による関税引き上げ前の1月3日-2月15日であるため、現在同調査が行われれば逆の結果になる可能性もある。

調査対象は東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と東チモールで、東チモールの回答は集計結果には含まれていない。質問内容は「世界平和、安全保障、繁栄、統治のために米国・中国が正しいことをすると、どの程度確信しているか」で、学術者、民間セクター代表、一般市民、非政府組織代表、政府職員ら計2,023人に聞いた。

米国、中国のいずれかと緊密に協力せざるを得ない場合、米国を選ぶと回答したのは52.3%。カンボジア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、ベトナムで、米国を選ぶとの回答が多数を占めた。前年調査ではシンガポール、タイ、ベトナム以外の国すべてで、中国と協力するとの回答が多数を占めた。

ASEAN10カ国の米国に対する信頼は47.2%(前年は42.4%)に上昇。不信は37.6%から33.0%へ縮小した。マレーシアの米国に対する信頼は23.3%(前年は23.1%)で、不信(56.3%)を大きく下回った。中国に対する不信が信頼を上回ったのは6カ国で、中国に対する信頼が不信を上回ったのは4カ国(ブルネイ、カンボジア、ラオス、タイ)にとどまった。マレーシアの中国に対する信頼は31.7%(前年は32.0%)で、不信(40.5%)を下回った。

トラブル時3カ国語による指差し「支援ボード」を公開=日本大使館

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 在マレーシア日本国大使館は7日、日本人がトラブルに遭遇した時用の「コミュニケーション支援ボード」をウェブで公開した。日本語、マレー語、英語の3カ国語で記載され、警察に届け出をする際、指を差しながら説明ができる。

支援ボードは、盗難被害、落とし物、交通事故のほか、最近増加している詐欺被害の4つのシチュエーションごとに対応できるようになっている。

マレーシアには現在、2万人を超える日本人が居住し、2024年は約30万人に上る日本人が訪れている。大使館は「万が一被害に遭った場合に備え、このボードを印刷や、携帯端末にダウンロードするなどして活用してほしい」としている。

URLは、https://www.my.emb-japan.go.jp/itpr_ja/newinfo_07042025.html

ビーインフォマティカ、マレーシアのデジタル貸金業免許を取得

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 中小企業向け金融サービスを手掛けるビー・インフォマティカ(本社・東京都渋谷区)は、2025年3月付でマレーシアのデジタル貸金業ライセンスを正式に取得したと発表。ライセンス取得を受けて、自社開発のデジタル融資プラットフォームを正式にスタートした。

ビー・インフォマティカが開発したデジタル融資プラットフォームは、AIを活用した分析処理で時間を短縮しており、申請から最短、当日中に資金提供が可能(最短で2―3時間)。定量データが弱い中小企業向けに、定性データを活用する独自スコアリング評価を採用しており、CTOS、E-KYC、電子署名、銀行振出フォーム連携、Curlecなどを活用し申請の手間を大幅削減した。

ビー・インフォマティカは、マレーシアのデジタル貸金業ライセンスが2020年から政府により導入され、これまで20数社のみが実質的に運営している希少性の高いライセンスだとし、デジタルライセンス取得により、マレーシア全土での営業展開が可能となり、E-KYC・電子署名プロセスを含む全てのプロセスが完全にデジタル化されることで、ユーザーや運営の双方の利便性が大きく高まるとしている。

米国の関税措置、米国向けE&Eの半分が影響=投資貿易産業相

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、米国政府がマレーシアからの輸入品に24%の「相互関税」を課すと発表したことについて、マレーシアの米国向け電気・電子(E&E)製品輸出の半分が影響を受けるリスクがあると述べた。

ザフルル氏は、マレーシアの米国向け輸出の60%がE&E製品で構成されていると指摘。E&E製品の半分は半導体で「相互関税」の対象外だが残りの半分は非半導体であるとし、「したがって相互関税を免除されるのは米国向け輸出の30%のみ」と述べた。

またザフルル氏は、米国向けE&E製品の輸出の大半は在マレーシア米国企業によるものだとした上で、「マレーシアから米国に輸出している米国企業は中間財を輸出しており、完成品は米国で生産されている」と指摘。マレーシアに拠点を置く米国企業には地元企業が供給しているため、サプライチェーンへの影響と、それがマレーシアの産業や企業にどのような影響を与えるかを検討する必要があると述べた。

その上でザフルル氏は、マレーシアの経済及び輸出セクターに与える影響を緩和するため5つの主要措置をとると明らかにした。

政府がとる措置は▽アンワル・イブラヒム首相を座長とする国家地政経済調整評議会(NGCC)の発足▽業界関係者や利害関係者からのフィードバックを集めるための専門タスクフォース結成▽東南アジア諸国連合(ASEAN)経済閣僚特別会議での共同対応策定▽既存の貿易投資枠組み協定(TIFA)を通じた米国との継続的折衝▽輸出市場の多様化に向けた取り組みの継続――。

ザフルル氏は、米国輸入品に課せられた実際の平均関税率が米国が主張する47%ではなく5.6%程度だったと指摘。米国側に計算方法の明確化を求めているとした上で、外交的解決に向けて努力していると述べた。

GFA、イマジンAIと戦略的パートナーシップ提携

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 金融サービスなどを手掛けるGFA(本社・東京都港区)は3日、マレーシアのAIソリューション企業、イマジンAIと戦略的パートナーシップ提携することを決定したと発表した。マレーシア市場での事業展開を加速させる。

GFAはイマジンAIに部分出資などを実施する予定で、戦略的提携を締結することにより、GFAグループが最重要視している暗号資産「NYANMARU COIN」のエコシステムをマレーシア市場に投入する計画。GFAはマレーシア政府と強固な関係を築いているイマジンAIより、「NYANMARU COIN」エコシステム導入を政府に働きかけてもらうことで同意を取り付けている。

GFAはマレーシア政府との連携を強化するため、イマジンAIを通じて、アンワル・イブラヒム首相やザンブリー・アブドル・カディル高等教育相との面談を予定しており、「NYANMARU COIN」エコシステムを拡張する協議を進めている。

パナソニック、パイプライン火災の被災者に家電購入クーポン提供

【クアラルンプール】 パナソニック・マレーシアは、パイプライン火災の被災者の生活再建支援で、240世帯を対象に1世帯あたり500リンギの電子クーポン(バウチャー)を計12万リンギ分配布する。

電子クーポンは家電製品の購入に使えるもので、オンラインで登録し、各家庭のニーズに応じ商品を選ぶことができる。有効期限は12月31日まで。

この取り組みはセランゴール州政府などの呼びかけに応じたもの。これまでに、オンライン中古車仲介のカロ・マレーシアや、炊飯器メーカーの韓国系クック・インターナショナル、マクドナルド・マレーシアなど、多くの企業がさまざまな形で支援を表明している。
(ラクヤット・ポスト、4月7日、ベルナマ通信、4月5日)

【人生の知恵・仕事の知恵】It has just begun

It has just begun

★海外に向く人向かない人

4月からマレーシアで新生活を始めた日本人の方々も多いことと存じます。

新天地でのご活躍を祈願するとともに、本稿では、海外に向く人、向かない人について考察をします。

まず、昭和55年版の書籍『現代 プロの条件』(日本経済新聞社編)に記載されていた「海外派遣者としてふさわしくない人」について紹介します。

1消極的な人

2精神面も含め、健康でない人

3自己抑制ができない人

4意志表示がうまくできない人

5単能的な人

6協調性に欠ける

7現地に融和できない

8奥さんに主人と一緒に働く意識のない人

★OKYよりもOKD

以上8点共通する視点は、海外では常に解決策を求められると云うことです。できない理由ではなく、できる方法を考えることは、本人と家族を含めたサバイバルにも関わります。

OKYとは、お前(本社)が来てやってみろという言葉は、愚痴として言いたくなる気持ちはわかります。

一方で、本社に頼らない、あるいは頼る必要のない自律した仕事の仕方は、常に求められます。

むしろ OKD 、お前が来なくても大丈夫だ、の方が頼もしい姿です。

★ロケットスタートのススメ

よく「半年ぐらい様子をみてから本格始動」という言葉を聞くことがあります。しかし、それでは間に合いません。

まず、最初の半年に、徹底して仕事に打ちこみ成果を見せないといけません。

現地社員は、新しい日本人の姿を見ています。その中で、最初にスロースタートを見せると、軽視されがちです。

従って、赴任日を帰任日、就職した日を最終日とあえてみなし、24時間、臨戦体勢で仕事に打ち込むことで現地社員の信頼を勝ち取ってください。

今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

湯浅忠雄の仕事です→ https://yuasatadao.com/

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 https://yuasatadao.com/about-us/presidents-greeting/【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)