【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム政権に協力する国民戦線(BN)所属のインド系政党、マレーシア・インド人会議(MIC)のヴィグネスワラン党首は、野党連合・国民同盟(PN)と非公式協議を行ったことを明らかにした。BN離脱及びPN入りを視野に入れた動きとみられる。

アンワル政権内における冷遇に対する不満やBNの中核である統一マレー国民組織(UMNO)に対する不満が党内部から噴出しているためで、同じくBN構成党である華人系政党、マレーシア華人協会(MCA)もBNからの離脱を仄めかす動きをとっており、かつては隆盛を誇っていたBNが分裂の危機を迎えている。

2022年総選挙では、過半数を取れなかったアンワル氏率いる希望同盟(PH)に対してBNが協力することでアンワル政権が誕生した。大連立の中心となったUMNOは閣僚ポストを7つも与えられたものの、UMNOは2議席しか取れなかったMCA、1議席しか取れなかったMICにはポストを分け与えなかった。

PH構成党から選出された華人閣僚は複数いるが、インド・タミル系の閣僚は1人しかおらず、MICは特に民族政党としての存在意義が問われる事態となっている。こうしたことを背景にこのままBNに属していてもジリ貧になるとの懸念の声が党内から上がっているという。

政治アナリストらはMCAとMICが揃ってBNを離脱した場合、それぞれ独立系政党として活動していく可能性もあるが、PNに合流する可能性も高いとみている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、シナル・デイリー、バイブス、8月16日)