ペナン州が水上タクシーの本土への運航を検討、実証試験の不発で

【ジョージタウン】 ペナン州政府は、島内のみを対象に計画されていた水上タクシーの実証試験が不発に終わったことを受け、島と本土を結ぶルートを含めた拡大版で実施する方向で再検討を行っている。州インフラ・交通・デジタル委員会のザイリル・キル・ジョハリ委員長(国政の閣僚に相当)が明らかにした。

水上タクシー実証試験の入札はペナン島市議会(MBPP)によって数年前に実施されたが、落札企業が期限内に運輸省から認可を取得することができなかったため契約解除となり、計画は白紙に戻された。このため州政府が市議会から事業を引き継ぎ、対象範囲を州全体に拡大することを決定したという。

ザイリル氏は「ペナンには広大な水域があり、島と本土を結ぶ水上タクシーサービスに利用できる」と述べた上で、「サービスを効果的に実施するため、インドなど他国における費用対効果の高い既存の水上タクシーシステムを参考にしていく」と述べた。

中止となった水上タクシーサービス事業構想は、ペナン島周辺6ルートを15分から45分間隔で運行するというもので、ストレ―ツ・キー、スウェッテンハム桟橋、プラウ・ジェレジャク、バトゥ・マウン・トランスファーステーションの4つの桟橋が選定された。運輸省は2022年に条件付き承認を与えていたが、事業許可の取得は事業会社が責任を負うことになっていたものの最終的に条件を満たすことができなかったという。
(マレー・メイル、8月28日)

ジェトロKL、JBのデジタルコンテンツ見本市にブース開設

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は、ジョホールバル(JB)で9月2―4日の日程で開催される「東南アジア諸国連合(ASEAN)デジタル・コンテンツ・サミット(ADCS)」に独自ブースを開設すると発表した。

コンテンツをはじめとする日本企業の作品・製品のマレーシアでの販路拡大を目的として、ジェトロが運営する海外バイヤー専用オンラインカタログサイト「JAPAN STREET」の広報ブースを出展する。ブース内にはカタログに掲載されているゲーム作品の一部を試遊できるコーナーを設置し、マレーシアのバイヤー開拓を目指す。

バイヤーは「JAPAN STREET」に登録するだけで日本企業1万456社・7万8,820製品(8月26日時点)を閲覧でき、希望に応じてオンライン商談が可能となっている。

ファミリーマート、27年3月末までに国内で600店舗に拡大へ

【シャアラム】 コンビニエンスストアのファミリーマートは、マレーシア国内の店を現在の465店舗から、2027年3月末までに600店舗へと拡大させる計画だ。マレーシアでファミリーマートを展開するQLリソーシズが28日、明らかにした。

QLリソーシズは2016年、日本のファミリーマートとの間で、マレーシアにおける独占的なフランチャイズ契約を締結。もともと畜産、水産物製造、パーム油、クリーンエネルギーなどを手掛けてきたが、コンビニ事業にも参入した。2025年3月末現在、445店舗を展開しており、そのうち215店舗はハラル(イスラム戒律に則った)認証を受けたファミカフェという。またこの1年で自動販売機型の「FM Mini」48店舗を導入したほか、今年4―6月にかけて新たに20店舗をオープンした。

一方で近年、国内コンビニ業界は韓国系の「CU」や「emart24」が急増、マレーシア発の「BilaBilaマート」などの新規参入も相次ぎ、競争が激化している。さらに、売上・サービス税(SST)の拡大や最低賃金の引き上げ、関税措置の影響、店舗賃料の高騰などの外部要因もあり、経営環境は圧迫されている。

QLリソーシズのチア・リクカイ社長は同日開かれた年次株主総会後、店舗平均売上高の減少により、売上高は前年同期比6%増にとどまったと説明。「製造部門などに比べ利益率も低く、1桁台半ば」としつつ、長期的には成長を牽引する戦略事業とした。その上で、店舗拡大などを通じ「贅沢品の購入を減らし必需品に重点を置きつつある顧客のニーズに合った商品提供に注力していく」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、8月28日)

【イスラム金融の基礎知識】第575回 ASEANでイスラム金融普及進むも国ごとに進捗差

第575回 ASEANでイスラム金融普及進むも国ごとに進捗差

Q: ASEANでのイスラム金融の普及状況は?

A: イスラム金融のASEAN市場は、世界全体の4分の1の規模を占めるものの、国ごとに温度差がある。国際的な金融格付会社のフィッチ・レーティングスは8月に発表したレポートでこのように報告した。

レポートによると、2025年上半期のASEAN市場は約9,500億米ドル(世界全体では3.5兆米ドル)で、2026年後半には1兆米ドルの大台に達すると予想している。国別の状況をみてみると、マレーシアのイスラム銀行市場は3,000億米ドルを上回っている。他方、インドネシアのイスラム銀行市場は560億米ドル、ブルネイは100億米ドルだが、ブルネイについては国内銀行市場での比率はASEANでもっとも高く6割を占める。

ASEANのハイレベル会合でもイスラム金融の重要性の認識は共有されている。4月に開催された財務相・中央銀行総裁会議では、持続可能な資金調達とインフラ整備ではイスラム金融が重要であると強調された。また、5月に開催されたASEAN・GCC首脳会議においても、この分野で地域を超えた連携が必要であり、とりわけASEANで発行されたスクークの主要な購入者は、湾岸諸国のイスラム銀行であると示された。

しかしながら、ASEAN加盟国ごとにイスラム金融の普及には差があるしている。フィッチによれば、普及が進んでいる国はマレーシア、インドネシア、ブルネイ。限定的なのがフィリピン、シンガポール、タイ。そしてそれ以外のベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーは、市場ルールも未整備で未発達の状況だと区分した。これらの違いは、おおむねムスリム人口や人口比率に準じているとみなせる。

フィッチは、マクロ経済の混乱が生じず、また湾岸諸国との関係が良好であれば、市場の持続的な成長が可能であると予想している。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

バティックエア、KLIA―関空直行便を12月15日に再開

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 バティック・エアは、運休していたクアラルンプール新国際空港(KLIA)と大阪関西国際空港(KIX)を結ぶ路線の運航を12月15日に再開すると発表した。バティック・エアは同路線を2023年1月に台北経由で開設していたが、2024年12月7日から運休していた。

機材は以前のナローボディのボーイング737型機に替えてワイドボディのエアバスA330型機を使用する。これにより座席数はビジネスクラスが12席、エコノミークラスが365席に増加する。

月・水・金曜の週3回の運航で、経由便に代わって直行便となる。スケジュールは往路の「OD860」便はKL発が2時35分、関空着が10時、復路の「OD861」便は関空発が13時30分、KL着が19時40分。すべて込みの運賃は、エコノミークラスが片道599リンギから、ビジネスクラスが同3,599リンギからとなっている。

紀伊国屋書店の2号店、ダマンサラハイツに9月4日開業

【クアラルンプール】 紀伊国屋書店の現地法人キノクニヤ・ブックストアーズ(M)は9月4日正午、マレーシア2軒目となる新店を、クアラルンプール(KL)のショッピングモール「パビリオン・ダマンサラ・ハイツ」内にオープンする。

広さなどの詳細は明らかになっていないが、モールのレベル4の2区画に入居。書籍販売はもちろん、スリアKLCC店で好評の作家との交流会や、ブックディスカッションなどを通じ、文化交流の拠点としての役割を果たしていくという。

紀伊国屋はマレーシアでは1990年にイセタンKLCC店内で営業を始め、2001年にモール内に正式に店を構えた。来年25周年を迎える同店は、英語、日本語、中国語、マレー語によるさまざまなジャンルの書籍30万冊以上を揃え、地元の人からも「キノ」の愛称で親しまれてきた。現在は、エクスチェンジTRXモールの西武百貨店内に、文房具などのカウンターも構えている。海外ではマレーシアを含む10カ国で45店を営業しているという

日系書店では、「蔦屋書店」が2022年にマレーシアに初進出し、現在3店舗を運営。台湾の「誠品書店」も2022年に進出するなど注目されている。
(ザ・スター、8月27日、マレー・メイル、8月26日)

ゲオ、「セカンドストリート」クイルシティモール店を来月開業

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 総合リユースショップ「セカンドストリート」の新店舗が9月11日、クアラルンプール(KL)のクイル・シティ・モール内にオープンする。運営するゲオホールディングス(本社・名古屋市中区)が27日、発表した。

クイル・シティ・モール店は147坪の大型店で、マレーシアは28店舗目となる。営業時間は10時ー22時。

首都圏の鉄道・バス乗り放題パス、独立記念の特別割引価格で販売

【クアラルンプール】 首都圏クランバレーで鉄道・バスが乗り放題になる「MYツーリストパス」が、独立記念日に合わせた割引価格で販売される。公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアが26日、発表した。

キャンペーン料金での販売は22日から始まっており、1日、2日間、3日間の3種類に対し、外国人はそれぞれ35(通常40)、50(同60)、65(同80)リンギで、マレーシア人は15(同20)、25(同30)、35(同40)リンギとなる。ラピッドKLのサービスカウンターや、オンラインで購入できる。

また乗り放題に加え、ショッピングモール、レストラン、カフェ、観光スポットなど、40以上の提携パートナー企業で、7日間で最大800リンギ相当の割引が受けられる特典もある。

MYツーリストパスは、クランバレーを訪れる国内外の観光客向けに昨年11月に導入された。利用できるのは、軽便鉄道(LRT)、大量高速輸送(MRT)、モノレール、ラピッドKLバス、高速バス(BRT)、MRTフィーダーバス、ラピッドKLオンデマンドサービス。
(マレーシアン・リザーブ、ビジネス・トゥデー、8月26日)

KLIA発着便で31日まで時間変更、周辺空域の一時閉鎖で

【クアラルンプール】 マレーシア民間航空局(CAAM)は、独立記念日の関連行事のため、8月26―29日と31日、クアラルンプール新国際空港(KLIA)周辺空域の一時閉鎖を発表。これを受けて、航空会社は搭乗客に運行時間の変更の確認と、出発時間の4時間前に空港に来るなどの対策を呼びかけている。

31日の独立記念日はプトラジャヤで午前8―10時ごろにかけてパレードが行われ、飛行デモとして午前8時45分から1時間、警察などのヘリコプターや飛行機33機の参加が予定されている。それに伴い、26―28日は午前11時から、29日は午前8時45分から、各1時間のリハーサルも行われる。

このため期間中、KLIA周辺空域は午前8時から正午にかけて一時閉鎖が行われ、民間機のKLIAの発着にも影響が出る見込みだ。航空各社は事前にウェブチェックインし、運行時間の変更などを確認するよう呼びかけている。また連休で空港の混雑も予想されるため、マレーシア航空では出発時間の4時間前には空港に到着するよう呼びかけている。
(マレー・メイル、8月24日、ベルナマ通信、8月25日、発表資料)

オタフクソース、ネグリセンビラン州に新社屋・工場を開設

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 オタフクソース(本社・広島市)は26日、マレーシア現地法人、オタフクソースマレーシアがネグリ・センビラン州に社屋と工場を新設し、セランゴール州クランにあった旧施設から移転したと発表した。今後のさらなる需要拡大を見据えた生産能力の向上が目的。

新工場の面積は9,066平方メートルで、年産能力は6,000キロリットル。お好みソース・焼そばソース・たこ焼ソースなどのソース、たれ、酢などの液体調味料を製造する。新社屋にはお好み焼店さながらの大きな鉄板を備えたキッチンも設置している。工場はすでにマレーシア・イスラム開発局(JAKIM)よりハラル(イスラムの戒律に則った)認証を取得しており、2025年7月1日より稼働開始している。

オタフクソースマレーシアは2016年4月の設立で、2017年3月には自社およびODM製品16品目において、JAKIMよりハラル認証を取得した。米国ロサンゼルス工場、中国・青島工場に続く海外工場で、グループで唯一のハラル調味料専用工場を持つ。お好み焼などの日本食の認知度と人気の高まりに伴い、オタフクソースマレーシアの生産量は年々増加しており、現在では製造品目が100アイテムを超えている。