KLIAエアロトレイン、再開は第2四半期中の見込み

【クアラルンプール】 故障続きで2年にわたって運休が続いているクアラルンプール国際空港(KLIA)のメイン・ターミナルとサテライトを結ぶ無人列車KLIAエアロトレインは、今年第2四半期中に運行再開する見通しだ。当初の計画ではシステム交換作業は1月31日に完了する予定だった。

空港運営会社マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)のモハメド・イザニ・ガニ社長は24日に行ったエアロトレインに関する最新説明会の中で、「(エアロトレインの)すべてのテストを4月までに完了させる予定だ。第2四半期中に運行再開できると確信している」と言明。当初アンソニー・ローク運輸相が示した期限は「厳しすぎた」とし、技術的要件を順守すると特定のプロセスで遅延が発生することがあると説明した。

エアロトレインは運転中の故障を繰り返し、2023年3月から運転が停止され、バスによる代替輸送が行われている。システム交換の総費用は4億5,600万リンギ。最初の再開目標は2024年7月で、その後の業者との納入契約問題などの遅延が発生したことで先送りされており、ローク運輸相がMAHBの対応を非効率で遅れていると強く批判していた。
(マレー・メイル、エッジ、1月24日)

旧正月の有料道路は半額、27、28日のみ実施=公共事業相

【クアラルンプール】 連邦政府は、今年の旧正月連休の帰省ラッシュに合わせて有料道路の通行料金を50%割引すると発表した。半額となるのは27日深夜零時1分から28日午後11時59分までの約2日間のみ。

対象はクラス1の乗用車のみ。シンガポールとの国境を結ぶ有料道路は割引対象外となる。今回の割引により連邦政府が高速道路運営会社の利益補填のため2,008万リンギを負担することになるという。

アレキサンダー・ナンタ・リンギ公共事業相は、今後の祝祭シーズンについては全面的な通行料減免を行わず、「より的を絞ったアプローチ」に置き換えると言明。新たなシステムは後日発表すると述べた。祝祭シーズンの通行料免除を廃止することで、年間1億9,000万リンギを節約できるという。

政府はこれまで、旧正月、ハリラヤ(断食月明け大祭)、ディパバリ、クリスマスの期間中、有料道路の通行料を無料化し、有料道路運営業者に補助金を提供してきた。2023、24年は祝祭シーズンの通行料免除により、連邦政府が合計3億5,618万リンギを負担していた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、1月24日)

中小零細企業の支援で取り組み強化=起業家開発協同組合相

【クアラルンプール】 起業家開発協同組合省(KUSKOP)は、中小零細企業(MSME)の国内総生産(GDP)への貢献度について、第12次マレーシア計画(12MP)で設定されている目標数値を今年中に達成するよう、支援の取り組みを強化する。KUSKOPのイーウォン・ベネディック大臣が22日、記者会見で述べた。

2023年度のMSMEのGDPは6,131億リンギで、GDP全体の39.1%を占めた。輸出は1,522億リンギで総輸出の12.2%だった。これに対し、12MPでは2025年までにGDP全体貢献度で41%、輸出貢献度15%という目標が設定されている。

KUSKOPは昨年、204のプログラムを実施。13万2,453人が能力開発プログラムを受けたほか、5万1,221人が新たに起業したという。また、昨年33万3,653人の起業家と協同組合が総額95億8,000万リンギの資金援助を受けた。

さらに、2025年戦略計画「卓越性のための変革」を発表。特に、議長国として今年に開催されるASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議の関連イベントを通じ、多額の資金提供が計画されていることなどから、2027年までにMSMEの事業成長率を5%にすることを目標に掲げている。
(ザ・サン、ベルナマ通信、1月22日)

昨年の破産件数5977件、若者の個人ローンなど要因

【プトラジャヤ】 マレーシア破産局によると、昨年の破産者は5,977件で、うち個人ローンを原因とするものが2,776件を占め、前年の2,225件から増加した。これにビジネスローン(1,148件)、住宅ローン(474件)が続いた。クレジットカード破産も89件に上った。

破産申告者を民族別でみると、マレー系が3,478件でトップ。これに華人(1,581人)が続いた。年齢別では35―44歳が2,402件で最も多く、45―54歳が1,695件で続いた。

M.バクリ・アブドル・マジド局長は、個人ローンを原因とする破産の中でもほとんどが25―44歳で、「贅沢なライフスタイルにあこがれ、ローンに安易に手を出し、最終的には破産に至る」と分析。こうした傾向は年利15―18%に及ぶ高いクレジットカード金利によって悪化しており、特に就職したばかりの若者にとって借金返済がますます困難になっているとして、金融機関に対し、若者が関与するローンの承認条件を厳格化するよう求めた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・サン、1月19日、統計局発表資料)

サラワク州タンジョンエンバンの新港、神戸モデルの海上港に

【クアラルンプール】 サラワク州のアバン・ジョハリ首相は22日、同州タンジョン・エンバンに計画中の新港について、神戸港をモデルにした港になるとの見方を示した。

タンジョン・エンバンはサラワク川河口に位置し、サラワク川そのものは水深が浅い。このため、アバン州首相は「既存の港近くの浅い水域では大型船や貨物の取り扱い能力が限られる」と指摘。州の経済成長促進には深海港が欠かせないが、浚渫で深くするのではなく、沖合での海上埋立建設方式で水深を確保している神戸港をモデルにすると言明した。海岸から8キロ離れた水深15―20メートルの地点になるとみられる。州営の石油・ガス企業ペトロリアム・サラワク(ペトロス)のガスターミナルも併設される。

アバン州首相は19日には、計画中の新国際空港もタンジョン・エンバンの沿岸地域に建設すると表明。これまでは内陸部で予定していたが、インドネシア領域を通る飛行ルートになる可能性があったことから、計画を変更した。新深海港と新空港を合わせ、総額1,000億リンギの巨大プロジェクトになる。
(ボルネオポスト、ダヤクデイリー、1月22日、ニュー・ストレーツ・タイムズ、1月19日)

ダイキンマレーシア、台湾で業務用大型空調機製造の合弁設立

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ダイキン工業の100%子会社、ダイキン・マレーシアは、台湾の販売代理店である和泰興業及び産業用空調機器メーカーである力菱機電事業と、台湾の空調市場向けにエアハンドリングユニット(AHU)を製造する合弁会社を設立し、事業を開始したと発表した。

合弁会社の社名は大金(台湾)応用空調系統股份で、資本金は8億円。出資比率はダイキンマレーシアが51%、和泰興業が34%、力菱が15%となっている。事業開始にあたり1月21日に台湾の彰化県にある製造工場で開所式典を開催した。ダイキン・マレーシアは、東南アジアとオセアニア地域の業務用大型空調機事業を統括している。

ダイキン工業の声明によると、力菱は1981年の創業以来、産業用空調機器メーカーとして冷凍機やAHUの開発製造・販売を行ってきた。特に半導体市場で豊富な納入実績を持ち、優れた競争力を持つ製品群と高度な要求仕様への対応力、要素部品を自前化するノウハウ、強固な保守サービス、サポート体制を持った台湾有数のメーカーだという。

西海岸高速道セクション2が開通、1カ月通行料無料に

【クアラルンプール】 西海岸高速道路(WCE)セクション2が1月22日深夜零時に開通した。南クランバレー高速道路(SKVE)及びシャアラム高速道路(KESAS)とのインターチェンジを結ぶ7.2キロメートルの区間で、開通を記念し、2月21日深夜零時までの1カ月間、同区間の通行料金は無料となる。

昨年8月に開通したセクション1区間と合わせ、セランゴール州のシャアラムからバンティンまでの移動時間は、従来の1時間から25分に短縮される。

21日に行われた開通式に出席したアレクサンダー・ナンタ・リンギ公共事業相は、各地からポートクランに直接アクセスできるようになったことを強調。「物流部門の運営コストの削減、商品配送の円滑化により、マレーシアの競争力向上にも役立つ」と述べた。

WCEはバンティンとペラ州タイピンを結ぶ全長314.5キロメートルを11のセクションに分けて進められているが、今回の開通で残る区間は3区間計45キロメートルとなり、2026年内の完全開通を目指している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベルナマ通信、ポールタン、1月21日)

中銀バンクネガラ、政策金利を3%で据え置き

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は22日に今年初の定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を3.00%で据え置くと決めた。BNMは2023年5月に0.25ポイント引き上げて3.00%とした後、1年半以上据え置いている。
BNMは声明の中で、現在のOPR水準の下で金融政策のスタンスは引き続き経済を下支えしており、インフレと成長見通しの現在の評価と一致していると指摘。物価安定の中で金融政策に対するスタンスが持続可能な経済成長につながるよう監視を続けるとしている。

世界経済については世界貿易の好調を反映して2024年は予想を上回る成長だったが、今年も好調な労働市場、インフレ緩和、金融緩和により成長が持続すると予想。世界貿易も継続的な技術景気回復に支えられ概ね維持されると予想されるが、貿易および投資規制の強化をめぐる不確実性の影響を受ける可能性があり、政策の不確実性の高まりは世界の金融市場のボラティリティの増大にもつながる可能性があるとした。

マレーシア経済については、昨年の全体的な成長率は予想内だったとした上で、堅調な国内支出に牽引されて2025年も勢いが持続すると見込まれると指摘。雇用と賃金の伸び、最低賃金と公務員給与引き上げが家計支出を下支えするとした。また投資活動も民間部門と公共部門の両方における複数年プロジェクトの進捗、承認済み投資案件の継続的な高い実現性、国家マスタープランに基づくイニシアチブの継続的な実施によって持続されるとし、投資に支えられた輸出も世界的な技術セクターの好転、非電気・電子製品の継続的な成長、観光客の支出増加によって支えられると予想した。

一方で成長見通しは、貿易および投資制限のリスクが高まる中、主要貿易相手国の経済減速、予想を下回る商品生産による下振れリスクにさらされていると指摘した。

祝祭シーズン中の高速道路無料化を廃止、新方式を導入へ

【クアラルンプール】 連邦政府は、これまで祝祭シーズン中に行ってきた高速道路の通行料金の無料化措置について、今年は実施しない方針だ。補助金合理化の一環で、よりターゲットを絞った方法に変更する方針という。29日からの旧正月連休も無料化されない見通し。

政府はこれまで、旧正月、ハリラヤ(断食月明け大祭)、ディパバリ、クリスマスの期間中、有料道路の通行料を無料化し、有料道路運営業者に補助金を提供してきた。アレキサンダー・ナンタ・リンギ公共事業相は、通行料の無料化は富裕層や外国人にも恩恵をもたらすため、低所得のマレーシア国民などに限定した方法を検討中で、近く発表すると言明した。

2023年のハリラヤ期間中は、33の主要高速道路の無料化により9,300万リンギ、直近では昨年12月23、24日の両日で3,800万リンギの公的負担が生じたという。専門家らからも、無料化は渋滞も招くため、公的負担分を公共交通機関ネットワークの改善などにあてるべきという声が上がっているとしている。
(ザ・スター、マレー・メイル、ベルナマ通信、1月21日)

マレーシア人訪日者数、12月は7万超、通年では過去最高


【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2024年12月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は7万1,600人となり、前年同月比で17.8%増となった。通年でも前年比21.9%増の50万6,800人を記録し、過去最高だった2019年の50万1,562人を上回る結果となった。

JNTOによると、査証免除措置による訪中旅行の人気の高まり、機材繰りなどに伴う一部航空会社の運航規模縮小などあるものの、リンギ高騰などの影響で、7万人超に達したとみられる。

また、世界全体の12月の訪日者数は348万9,800人で、1964年の統計開始以来、単月として初めて340万人を突破した。通年では3,686万9,900人で、これまでの過去最高だった2019年の3,188万2,049人を500万人近く上回った。マレーシアを含めた東南アジアからの観光客の伸びが大きく寄与した。2025年は大阪・関西万博が開催されることもあり、市場動向を分析しながらさらに戦略的な訪日旅行プロモーションに取り組んでいくという。