レギュラーガソリン補助合理化、実施は早くで第4四半期の見通し

【クアラルンプール】 政府は10日、補助金なしのディーゼル油(軽油)価格を1リットル3.35リンギに設定し即日施行したが、国民の関心が集まっているのは消費者への影響がもっと大きいレギュラーガソリン(RON95)の補助合理化に伴う価格設定だ。

金融大手CIMBの調査部門は、政府はRON95価格の調整を10月11日の来年度予算案の上程に合わせ行うとの見通しを示した。

軽油補助の対象となる個人(国民)および小規模農家からの補助金申請が今後増えるため、財務省は当面その処理に忙殺されることと、軽油補助合理化が消費者物価指数(CPI)にどの程度影響を与えるかを見極める必要があるためだという。

RON95補助の合理化で小売価格が10%引き上げられれば、CPIを0.5ポイント(軽油の場合は0.002ポイント)押し上げると推測される。RON95補助合理化が家計の購買力に与える影響が軽油より大きいことから、政府は慎重に事を運ぶと考えられるという。

シンガポール系UOB銀行の調査部門は、ガソリン補助合理化の時期は、軽油補助合理化がもたらす影響と、ガソリン補助受給資格を判断するデータベースプラットフォームの準備状況に左右されるとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月11日)

 

プロドゥア、ECRLを活用した自動車輸送に向け覚書締結

【クアラルンプール】 ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)は10日、東海岸鉄道線(ECRL)建設の推進母体であるマレーシア・レール・リンク(MRL)との間で、自動車・自動車部品の輸送に関する覚書(MoU)を締結した。

ECRLを利用した、マレーシア半島西海岸―東海岸間の自動車・自動車部品の輸送の可能性を検討する。鉄道を利用した貨物輸送は、トラックによる輸送よりも効率的で環境にも優しいという。MRLはクアンタン港を運営するクアンタン・ポート・コンソーシアムとの間でもMoUを締結した。

プロドゥアのザイナル・アビディン社長兼最高経営責任者(CEO)は、セランゴール州セレンダ工場から東海岸、サバ州、サラワク州への自動車本体輸送にECRLを活用すると述べた。部品については、ほとんどが日本から海上輸送されるが、ECRLが東海岸と西海岸を結ぶことで、クラン港よりも日本に近い東海岸のクアンタン港を利用できるようになり、海上輸送の距離を縮められるとした。

ECRLは、クランタン州コタバルとセランゴール州クラン港を結ぶ全長665キロメートル(km)の路線。コタバルからクアラルンプール・ゴンバク統合輸送ターミナルまでの区間は2026年12月までに完成し、2017年1月に運行を開始する。ゴンバク統合輸送ターミナルからクラン港までの区間は2027年12月までに完成し、2028年1月に運行開始する予定だ。
(ポールタン、ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、6月10日)

電子インボイスは来年7月に完全導入、内国歳入庁が言明

【クアラルンプール】 内国歳入庁(IRB)は6日の声明で、当初の予定通り2025年7月1日までにすべての納税者に電子インボイス(適格請求書)導入を義務付けると改めて言明した。

IRBは電子インボイスの第1期を8月1日に開始すると発表。年商1億リンギを超える大企業4,000社を対象にするとした。フォーマットはJSON、マークアップ言語はXMLを採用する。

続く2025年1月1日からの第2期では、年商2,500万―1億リンギが対象となる予定。25年7月1日からは完全施行が予定されている。

IRBは、50社余りの参加を得て電子インボイスシステムの試験運用を5月に開始すると発表していた。マレーシア中小企業協会(SAMENTA)は、負担が大きいとして年商30万リンギ以下の一般消費者を顧客とする零細企業に対しては電子インボイス導入を免除するよう求めている。
(ビジネス・トゥデー、6月6日)

PTPとクラン港、5月のコンテナ取扱量が過去最高に

【クアラルンプール】 マレーシア港湾の5月のコンテナ取扱量が過去最高を記録している。

ジョホール州のタンジョン・プルパス港(PTP)では、単月で過去最高となる107万7,747TEU(20フィートコンテナ換算)を記録した。PTPは国内最大の貨物積み替え港で、2022年には国内で初めて月間100万TEUを突破している。

セランゴール州クラン港で港湾サービスを提供するノースポート (マレーシア) も、5月の月間コンテナ取扱量が前年同月比26.6%増の33万5,361TEUと過去最高となったと発表した。これまでの最高は、2020年12月の31万865TEUだった。2024年1-5月のコンテナ取扱量は前年同期比11.1%増の139万916TEUとなっている。

取扱量の増加の背景には、紅海の地政学的危機のため、船舶が迂回ルートを取らざるを得なくなっているという事情がある。今年1月以来、クラン港も80隻以上の臨時寄港を受け付けたという。

ノースポートのアズマン・シャー最高経営責任者(CEO)は、同社のコンテナ取扱量増加には、寄港数の増加に加え、新サービス導入やインフラの改善による処理数増加も寄与したと述べた。今年後半にも取扱量の増加が予想されるとし、持続可能な成長の推進に引き続き注力していくとしている。
(マレーシアン・リザーブ、6月5、4日、ザ・サン電子版、エッジ、ベルナマ通信、6月5日)

乳飲料のダッチレディ、新製造施設を正式開業

【クアラルンプール】 オランダ系ダッチ・レディ・ミルク・インダストリーズは30日、ネグリ・センビラン州バンダル・エンステックで5億4,000万リンギをかけて開発を行ってきた最新鋭製造施設を正式開業した。開所式には同州統治者のムフリズ殿下、ジャック・ヴェルナー在マレーシア・オランダ大使らが出席した。

新製造施設の面積はセランゴール州ペタリンジャヤにある現製造施設の3倍にあたる13.2ヘクタール。生産ライン8本を備えており、生産能力は2倍に拡大する。ハラル(イスラムの戒律に則った)に対応しているほか、インダストリー4.0テクノロジーと統合されており、マレーシアおよび域内の長期的な需要に対応している。

ラムジート・カウル・ヴィリック社長によると、7月までにフル稼働する予定。第1期開発はすでに完了しており、6月までに全従業員がペタリンジャヤ工場からの移転を終える。生産移転が順調に進めば、ペタリンジャヤ工場は第3四半期に閉鎖する。土地に余裕があるため、需要が高まれば生産能力をペタリンジャヤ工場の4倍にまで拡大できるという。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月31日)

米グーグル、マレーシアに94億リンギを投資へ

【クアラルンプール】 米グーグルは、マレーシアに94億リンギを投資し、データセンターとグーグル・クラウドのリージョン(接続先エリア)を設立する。テンク・ザフルル投資貿易産業相が30日に発表した。

ザフルル大臣によると、本投資により全国で医療、教育、金融分野を含む2万6,500人の雇用機会が創出され、総額150億4,000万リンギの経済効果が見込まれる。
データセンターを設置するのは、サイム・ダービー・プロパティが開発するセランゴール州のエルミナ・ビジネス団地。グーグルは11カ国にデータセンターを設置しており、マレーシアは12カ国目となる。グーグル・クラウドでは41番目のリージョンとなる。

アンワル・イブラヒム首相は昨年9月の訪米時に、グーグルおよびその親会社アルファベットのルース・ポラット社長兼最高投資責任者(CIO)と会談。同11月にはグーグルとデジタル人材育成に向けた戦略的協力を行うと発表した。今年5月7日にもアンワル首相がポラット社長とオンラインで再度会談していた。

米テクノロジー大手企業は東南アジアへの投資を強化しており、マイクロソフトや半導体大手のエヌビディアもマレーシアへの投資を発表している。
(マレー・メイル、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、5月30日)

マレーシアオートショー、14億リンギのOEM成約を達成

【クアラルンプール】 21ー26日に開催された、マレーシア最大のモーター・ショー「マレーシア・オート・ショー2024」では、OEM(相手先ブランド製造)成約14億リンギ、車両予約2,620台、見込み顧客数1万3,799人を達成した。

主催のマレーシア自動車・ロボット工学・IoT研究所(MARii)によると、出展社数は200社以上で、新型車47モデルが発表された。来場者数も前年比17%増の22万3,876人と過去最高に達し、累計で6,263台の試乗が行われた。期間中に締結された覚書数は15件だった。

展示されたのは、コンセプトカー、電気自動車(EV)、高効率内燃機関(ICE)車、自律走行車、改造車、クラシックカー、キャンピングカー、軍用車など多岐にわたったが、EVが展示車両の50%を占めた。フォーラムやサミットも併催され、豪州、ベルギー、英国、インドネシア、日本、中国、韓国などの国々からの代表団も参加した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、5月29日)

キャピタルA子会社、カンボジアで航空機整備の免許取得

【クアラルンプール】 格安航空業務などを展開するキャピタルAのエンジニアリング部門子会社、アジア・デジタル・エンジニアリング(ADE)はカンボジア民間航空庁から整備機関としての認証を受けたと発表した。航空機整備・補修サービスに携わる。

認証を受けたのはADEと現地企業シビライ・アジアとの合弁会社ADEカンボジア。プノンペン国際空港を拠点に業務を行う。ADEがマレーシア以外で事業免許を得たのは初めて。5月初旬に運航を開始したエアアジア・カンボジアやほかの航空会社の機体の整備に当たる。エアアジア・カンボジアもエアアジアとシビライ・アジアの合弁事業。

ADEのマヘシュ・クマル最高経営責任者(CEO)は、将来的にカンボジアのほかの空港でも保守・修理サービスを提供すると意欲を表明した。
(エッジ、5月20日)

国営企業と米系投資会社の企業連合、空港運営MAHBの買収を提案

【クアラルンプール】空港運営の政府系マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)は15日、政府系投資会社カザナ・ナショナル、従業員積立基金(EPF)、空港運営で経験豊富な米系投資会社グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)、アブダビ投資庁で構成される企業連合から買収提案を受けたと発表した。

連合名はゲートウェイ・デベロップメント・アライアンスで、4社合わせてMAHB発行済み株式の約41.1%を保有しており、残余株(同58.78%)を1株11リンギ、総額122億9,800万リンギで取得する。買収提案価格は過去3カ月間の平均株価に15.2%のプレミアムを上乗せした。

買収後の持ち株比率は、カザナが40%、EPFが30%、外資側が計30%。企業連合は第4四半期をめどにMAHBの上場を廃止するが、マレーシア政府は特別株を保持し、会長、最高経営責任者(CEO)には引き続きマレーシア人が就任する。

買収は空港施設、旅客サービス、長距離便の接続性の改善が狙いで、企業連合はクアラルンプール国際空港の旅客手荷物処理システムの改善、運休しているエアロトレインの再開、混雑緩和、小売店・飲食施設の拡充に取り組む。また新たに航空会社を誘致し、長距離、域内便の接続性を高める。
(ザ・スター、5月16日、マレーシアン・リザーブ、エッジ、5月15日)

補助金削減実施は「適切な時期」に=アンワル首相

【ドーハ】 カタールを訪問中のアンワル・イブラヒム首相は、同地で行われた対話セッションに出席し、マレーシアの燃料補助金削減について「適切な時期」に行う必要があるとの考えを改めて強調した。

「カタール経済フォーラム」の特別セッション「マレーシア首相との対話」に出席したアンワル首相は、政府債務水準を削減するために過剰な補助金の削減を含む無駄な支出を削減する必要があると述べた上で、削減の実施時期については「やるべきことではあるが、慎重に行う必要がある」と強調、補助金廃止の実施期限については明言を避けた。

アンワル首相は、「貧困層に負担を強いることなくどうやってこの改革に着手していくか、それが私の考えでは非常に重要な点だ」と言明。「適切な時期にそれ(補助金削減)を行うつもりだ」と述べた。

マレーシアは現在、燃料や食用油の価格の多くを政府が補助金として負担しており、昨年の補助金負担額が810億リンギに上ったと推定されている。このため政府は今年、誰でも公平に享受している現行の補助金制度を対象を絞った補助金制度に切りかえ、財政赤字の対国内総生産(GDP)比率を2023年の5%から今年は4.3%まで縮小することを目指している。

アンワル首相は任期初めに、マレーシアの財政状況を改善し、政府債務を現在のGDPの60%を超える水準から削減すると約束していた。
(ザ・スター、5月15日、フリー・マレーシア・トゥデー、ブルームバーグ、5月14日)