パナソニック製造、10ー12月期は14%の増益

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】  パナソニック・マニュファクチャリング・マレーシアは2月28日、同社2024年度第3四半期(2023年10ー12月)の純利益が前年同期比14.4%増の2,142万リンギとなったと発表した。材料費の減少、受取利息の増加、関連会社の損失減少などが影響した。


 売上高は前年同期比10.0%減の2億3,350万リンギにとどまった。キッチン家電製造事業からの撤退やベトナム、タイ市場の需要減速が影響したとしている。
 2023年4ー12月の9カ月では、純利益は前年同期比3.1%増の7,506万リンギ、売上高は同12.3%減の6億9,821万リンギとなった。


 同社は今後について、インフレ率上昇、地政学的緊張の激化、金融引き締めなどの下振れリスクがある一方、先進国において、予想を上回る内需の拡大が世界経済の成長率を押し上げる可能性があると予想。売上減少への対応策として、新製品のさらなる開発や既存製品の国内市場・輸出市場双方への販売促進などを行っており、生産性向上や効率化に向け、製造施設におけるテクノロジー活用を進展させると同時に、コスト削減策を継続的に実施し、収益性を改善していくとした。

日系3社、CCS事業化でサラワク州石油企業ペトロスと提携

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 石油資源開発(JAPEX、本社・東京都千代田区)、日揮ホールディングス(本社・神奈川県横浜市)、川崎汽船(本社・東京都千代田区)の3社は、マレーシアの国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)の子会社ペトロナスCCSベンチャーズ(PCCSV)とともにサラワク州営企業ペトロリアム・サラワク(ペトロス)との間で、同州沖合の枯渇ガス田であるM3ガス田を貯留地とした、二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS)事業について検討を行うことで合意した。

2月26日付けでCO2貯留地契約(SSA)を締結した。ペトロスはサラワク州のCO2貯留権管理者。今回のSSAは、2023年9月に日系3社がPCCSVとの間で締結したマレーシアにおけるCCS事業化実現に向けた検討実施に係る基本契約を発展させたもの。

ペトロスが参加することにより、CO2貯留地を定めたより詳細な検討に着手する。具体的には、日本を含む海外CO2の輸送、陸上受入ターミナルやパイプラインを含む貯留地の開発計画の策定や、その技術・商業的実現性の評価を実施し、M3ガス田を始めとするサラワク州沖合の枯渇ガス田をCO2貯留地としたCCS事業の採算性の調査を進める。

日系3社およびPCCSV、ペトロスは、それぞれ培ってきた経験と知見を合わせることで、CCS事業の新たな基準を確立し、アジア太平洋地域における同様の取り組みの先駆となることを目指す。

 

ペトロナス、マレー半島沖DRO2カ所の生産分与契約を締結

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)は2月28日、石油管理(MPM)部門を通じ、マレー半島沖の発見済資源機会(DRO)2カ所について、生産分与契約(PSC)2件を締結した。

2件のうちBIGSTクラスターは、ペトロナスの上流部門子会社ペトロナス・チャリガリとJX石油開発(本社・東京都千代田区)の現地子会社JXニッポン・オイル&ガス・エクスプロレーション(BIGST)がそれぞれ50%の権益を取得。もう1件のテンバカウ・クラスターはIPCマレーシアとIPC SEAホールディングがそれぞれ 90%、10%の権益を取得した。

BIGSTクラスターは高濃度な二酸化炭素(CO2)を含むガス田5カ所で構成されており、天然ガス生産量は約4兆標準立方フィート(TSCF)の見込み。ガス生産時に産出するCO2は、CO2回収・貯留(CCS)技術により地中に貯留する。JX石油開発は2003年からサラワク州沖SK10鉱区で操業を行っており、米国・インドネシアなどにおいてもCO2の回収・貯留利用(CCUS)に取り組んでいる。

一方、テンバカウ・クラスターは、未開発ガス田2カ所からなる小規模開発で、約2,600億標準立方フィート(BSCF)のガス生産が見込まれている。
(ベルナマ通信、2月28日、ペトロナス発表資料)

センサーのCAST、遠隔検査のビヨンドホライズンと提携へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 センサーおよび周辺機器・ソフトウェアの研究開発、製造、販売に携わるCAST(本社・熊本県熊本市)は2月28日、マレーシア企業ビヨンド・ホライズン・テクノロジーズとの間で、営業・マーケティング、共同サービス開発などの戦略的パートナーシップに関する覚書(MoU)を締結したと発表した。

CASTは1月にサイバージャヤに海外拠点を開設。マレーシアで同社の「配管減肉モニタリングシステム」の実証導入案件の獲得を目指している。ビヨンド・ホライズンは石油・ガス、海事産業内の閉鎖空間などの困難な環境での遠隔検査によるソリューションをマレーシア全国に提供しており、2023年には、マレーシア技術革新研究加速機関(MRANTI)によるベンチャー企業の日本進出プログラムに採択され、来日している。

CASTは今回のMoUにより、ビヨンド・ホライズンと連携し、日本とマレーシアの両国での営業・マーケティング活動の協力、共同サービスの開発等の協力体制を構築し、マレーシアでの事業展開を拡大していく計画だ。

化粧品OEMの日進化学、マレーシア企業を完全子会社化

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 化粧品・医薬部外品の相手先ブランド製造(OEM)メーカーである日進化学(本社・大阪市中央区)は、1月18日付けで、化粧品の相手先ブランド設計・製造(ODM)・OEM会社であるマレーシア企業ボディベーシックス・マニュファクチャリング(BSX)の株式100%を取得し、完全子会社化したと発表した。

BSXは1995年に創業。セランゴール州クランに拠点を構え、ボディケアおよびパーソナルケア製品の受託製造を行っている。従業員数は280人。品質・安全性に関する国際規格ISO9001やISO22716(化粧品GMP)、マレーシア・イスラム開発局 (JAKIM)およびインドネシア・ウラマー評議会(MUI)のハラル(イスラムの戒律に則った)認証を取得しており、同社製品は中国、ロシア、中東など世界30カ国以上に輸出されている。

CCS共同スタディに中国電力と日本ガスラインが参加

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 石油資源開発(本社・東京都千代田区、JAPEX)、日揮ホールディングス(本社・神奈川県横浜市)、川崎汽船(本社・東京都千代田区)、JFEスチール(本社・東京都千代田区)の4社は26日、マレーシアにおける二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)の事業化に向けた、日本を起点とするCCSバリューチェーン構築を目指す共同検討において、中国電力(本社・広島県広島市)と日本ガスライン(本社・愛媛県松山市、NGL)が新たに参加することに合意し、計6社による覚書を同日付けで締結したと発表した。

2022年より国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)と検討を進めてきたJAPEX、日揮、川崎汽船は2023年9月、ペトロナス子会社のペトロナスCCSベンチャーズとの間で、マレーシアにおけるCCS事業化の検討に係る基本契約を締結。2023年6月にJFEスチールも検討に参加した。今回、発電事業におけるCO2排出量のさらなる削減手法を検討する中国電力、日本国内での液化CO2の内航船輸送を進めているNGLとも方向性が一致し、6社間での共同検討実施の合意に至った。

6社は、事業化検討と連携し、JFEスチールおよび中国電力グループが保有する日本国内の製鉄所や発電所で排出されるCO2の分離・回収、液化CO2のマレーシアまでの海上輸送(瀬戸内エリアでの内航輸送を含む)と受け入れ、貯留までの一連のバリューチェーン構築について、必要な設備やコストなどに係る検討を行っていく。事業化検討では、マレーシア国内のCO2を収集する陸上設備からのCO2輸送パイプラインの敷設や液化CO2の海上輸送、ならびに同国内での受入設備・海洋圧入設備など、必要な設備の仕様や費用の積算、事業スキームの詳細について検討を進めており、マレーシア国内で排出されるCO2に加えて、日本などマレーシア国外で回収されたCO2を海上輸送し、2028年末に海底下への圧入・貯留を開始することを目指す。

筑波大学、マレーシア校の公式サイトを開設

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 筑波大学は20日、初の海外分校となるマレーシア校(学群名・学際サイエンス・デザイン専門学群)の公式サイトを開設したと発表した。

URLはhttps://www.utmy.edu.my/で、英語サイトとなっている。マレーシア校は今年9月にクアラルンプールのマラヤ大学内に開校する。

同校は、2023年12月付けで、マレーシアにおける高等教育の質保証を担う政府機関「マレーシア資格機構」から、教育課程に関する認定を受けている。日本の大学の学位を授与する学部が海外で設置されるのは初めてとなる。アジアにおける教育ハブとして、自然科学・人文科学・社会科学の発想やスキルを培いながら、データサイエンスを駆使し、マレーシアのみならず世界が直面するグローバル課題の解決に効果的に貢献できる人材の育成を目指す。

イオン、店舗の新設・改装で事業拡大へ

【クアラルンプール】 イオン・マレーシアはクアラルンプールのマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)近隣に、2025年末までに新店舗をオープンする計画を明らかにした。

岡田尚也取締役副社長(3月1日付けで社長に昇格予定)によると、3月にはセランゴール州シャアラムのセティアシティ・モール内にも新店舗をオープンする計画で、既存3店舗の全面改装を含め、さらなる事業拡大に取り組んでいく。セランゴール州のバンダル・プチョン店、同IOI モール・プチョン店の改装は年内に完了する見込みで、ジョホール州とマレー半島北部地域においてもそれぞれ1店舗の改装を計画しているという。

現在、イオンは全国に「イオンモール」28店舗、「イオンストア」34店舗、「マックスバリュ」7店舗、ドラッグストア「イオンウェルネス」64店舗、100円ショップ「ダイソー」45店舗を展開しているが、既存モール・店舗の改装に注力しており、昨年はマラッカ州のアイル・ケロー店、セランゴール州のチェラス・セラタン店を改装している。

岡田氏は、今年は事業拡大を通じて、若い世代から新たな顧客を獲得したいと考えているとし、コスト圧力が増大する中でも成長を続けていくと述べた。

イオン・マレーシアの2023年通年の売上高は前年比0.3%微減の41億3,000万リンギ、純利益は3.2%増の1億1,120万リンギ。2023年第4四半期(10ー12月)の売上高は、小売売上高の減少やベース効果により前年同期比2.7%減の10億3,000万リンギだったが、純利益は30.8%増の3,260万リンギに達した。稼働率の上昇や賃貸料の更新、コスト管理などが功を奏したという。

今後の見通しについては、補助金の見直しや、売上・サービス税(SST)の引き上げ、贅沢税の導入など、政府方針の転換に懸念はあるものの、引き続き、デジタルシフトの加速、プライベート・ブランドへの注力、地域社会におけるイオン生活圏の創出、持続可能性への取り組みを行うとともに、営業コストを効果的に管理していくとしている。
(ザ・サン電子版、マレー・メイル、ベルナマ通信、2月24日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、2月23日)

福山通運、福山市大、イスラム科学大などが産学連携

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 福山通運(本社・広島県福山市)と小丸交通財団は22日、福山市立大学、マレーシア・イスラム科学大学(マレーシア)、E.H. ウタラ・ホールディングス(マレーシア)と産学連携に関する意向書を締結したと発表した。

福山通運は声明の中で、意向書の締結により、マレーシア国内での日本語作文スピーチコンテストをはじめ、福山通運へのインターンシップや日本語教育などの産学連携を促進し、互恵的な関係を発展させるために最善の努力を尽くしていくとし、併せて、語学教育をはじめとした日本とマレーシアの文化交流の推進とともに、両国間の友好関係強化にも貢献していくとしている。

小丸交通財団は、交通安全思想の普及啓発活動を目的として2013年9月9日に創立され、全国の小学校を中心とした交通安全教室の開催や交通事故防止の啓発活動を行っている。また、海外で日本語を学ぶ学生に学習成果を発表する機会を提供し、交通安全意識の向上や日本との文化交流を目的に日本語作文スピーチコンテストを開催するなど、持続可能な開発目標(SDGs)を支援している。

 

ハラルや防災に関する日本の協力を評価=ザヒド副首相

【大阪】 7日間の日本公式訪問を終えたアハマド・ザヒド副首相は、訪日の成果について、技術職業教育訓練(TVET)やハラル(イスラムの戒律に則った)産業、防災について貴重な知見が得られたと明らかにした。

ザヒド副首相は、昨年12月のアンワル・イブラヒム首相の訪日から1カ月半後の訪問でフォローアップを行ったとし、日馬両国の関係が「包括的・戦略パートナーシップ(CSP)」に格上げされたことに伴い、日本から多くの協力が得られたと説明。日本は東京高専などのTVET機関で優秀な学生を育てることに成功していることから、多くのマレーシア人学生を日本に派遣し、TVETモデルを学ぶ計画だと述べた。

ザヒド副首相はまた、ハラル開発公社(HDC)がハラル関連の覚書2件を締結するのに立ち会った。HDCは円卓会議「日本とマレーシアのハラル・エコシステムの連携」を大阪で開催し、日本企業の代表20名が出席した。

ザヒド副首相は、ビッグデータや人工知能(AI)技術の防災への活用に関する説明も受けたとし、マレーシアの洪水問題を管理するための長期計画に生かすとしている。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、2月23日)