贅沢税、今年下半期までに導入予定=シム副財務相

【クアラルンプール】 先ごろ発表された2023年度の見直し予算案に盛り込まれた贅沢税の導入ついて、スティーブン・シム副財務相は、今年下半期までに実施する予定であることを明らかにした。

シム氏は、導入に向けて財務省が利害関係者と協議を行っているとした上で、「観光業界や小売業界から影響に対する懸念の声が上がっているが、政府は税制全体について調査を行っているため、安心して貰いたい。我々は必ず観光業界の利害関係者と話し合いを行う。業界の競争力を低下させないようにする」と述べた。贅沢税は高級時計やブランドファッションなどが対象になるとみられている。

一方、同じく予算案で導入計画が明らかにされた非上場株式の売却時に発生するキャピタルゲイン課税についてシム氏は、最初は低税率になるだろうと言明。「政府の課税ベースを拡大し、より公平な税制を導入したいと考えている」と述べた上で、「財務省はまだメカニズムについて研究段階だが、税率と閾値が低くなることを保証する」とし、あくまで非上場株式の売却時だけにとどめる考えを示した。

またキャピタルゲイン課税導入についても、贅沢税と同様に市場に与える影響を調査した上で利害関係者と話し合う予定だと強調した。
(エッジ、3月2日)

米テスラの電気自動車の輸入申請、通産省が承認

【クアラルンプール】 通産省は1日、電気自動車(EV)メーカーの米テスラに対し、バッテリー電気自動車(BEV)のマレーシアへの輸出およびマレーシア国内での本社機能や充電設備網、サービスセンターの設置について承認したと発表した。

通産省は声明で、テスラのマレーシア進出により、BEV分野での高収入の雇用創出や、地元企業がテスラのエコシステムへ参加する機会の増加が期待できるとした。

テスラは、通産省がBEV需要拡大を目指して立ち上げた「BEVグローバル・リーダーズ・イニシアチブ」への最初の申請企業で、国内BEV製造企業からの投資獲得を目指す。通産省は、テスラのマレーシア進出はビジネス環境への信頼の表れだとし、これからもマレーシアに進出する海外企業に対し支援を強化していくと言明。

国内の電気・電子エコシステムを戦略的に活用し、EV技術企業の投資先として選ばれる国にしていきたいとした。
(エッジ、3月1日)

所得税申告、電子申告の受け付けは3月1日から

【クアラルンプール】 内国歳入庁(IRB)は24日、所得税の電子申告は個人、法人とも3月1日から受け付けると発表した。2022年の収入に対する課税だ。

紙の書式に手作業で記入する方式での申告も引き続き可能だが、IRBは電子申告の利用を納税者に要請している。納税者はIRBのポータルサイトからパソコンなど電子端末を通じ申告することができる。

電子申告の利用には納税者登録が必要で、電子申告が初めての場合、個人識別番号(PIN)の取得が必要。

IRBは、電子申告は所得額、控除額、税軽減額、割り戻し額のみ記入すればよいため、作業が容易で、文書を使った申告と比べ時間の節約にもなり、所得税を支払い過ぎていた場合は速やかに還付されるとし、利用を勧告している。
申告期限は、事業所得のない者が4月30日、事業所得のある者が6月30日。
(ベルナマ通信、2月24日)

KLIAの入国自動ゲート、短期滞在者も利用可能に

【クアラルンプール】 サイフディン・ナスシオン内務相は27日の下院質疑で、クアラルンプール新国際空港(KLIA)の自動ゲートの利用対象者を10カ国を対象に拡大すると発表したこれまではマレーシア人と長期滞在ビザを所有する外国人のみが利用可能だった。

出入国管理局によると、対象となる国は▽日本▽韓国▽シンガポール▽ブルネイ▽オーストラリア▽ニュージーランド▽米国▽英国▽ドイツ▽サウジアラビアーーの10カ国。パスポートの有効期間が6カ月以上あることが利用条件で、KLIAのメインターミナルと格安航空専用ターミナル(KLIA2)のいずれの自動ゲートも利用が可能。

自動ゲートの利用には、入国の3日前から入国までの間にデジタル入国カード(MDAC)のオンライン申請が必要となっている。初回入国時にのみ有人カウンターでの確認が必要で、出国時に自動ゲートが利用できるようになる。なお、2回目以降も自動ゲートを利用する際は毎回、入国前のMDAC申請が必要だという。

サイフディン内相は、入国者増加に伴い、KLIAでの入国審査に最大3時間かかるという苦情を受け取っているとし、自動ゲートの利用拡大により特に午後3ー11時までの到着ピーク時の混雑緩和を期待していると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター電子版、2月27日、出入国管理局発表資料)

デジタルノマド向け施設、年内に2000カ所の認定を目指す

【クアラルンプール】 昨年10月1日より開始されたデジタルノマド(ITを活用し旅行しながら働く人)向けビザ「DEランタウ」の認定宿泊施設「DEランタル・ハブ」数が年内に2,000カ所まで増加する見込みだ。テオ・ニーチン副通信デジタル相が明らかにした。

テオ副相によると、現在のDEランタル・ハブ数は764カ所で、そのうち339カ所はクアラルンプールに、278カ所はランカウイに、147カ所はペナンに位置する。通信デジタル省は拠点拡大に向け関係者との協議を続けており、3月にはマラッカ、今年の後半にはイポー、ジョホールバル、コタキナバル、クチンにも展開する予定だ。

テオ副相はまた、DEランタウ・ビザの現時点での申請数は2,400件で、そのうち承認されたのは53%だとし、入国管理局と共同でビザ悪用を防ぎつつ、より多くの外国人がマレーシアをデジタル拠点として選択するよう働きかけていくと述べた。
(ザ・サン、2月24日、ベルナマ通信、2月23日)

「ジャイアント」運営会社、DFIが地場企業連合に売却

【クアラルンプール】 DFIリテール・グループは、マレーシア国内で「ジャイアント」、「メルカト」、「ジャイアント・ミニ」のブランドで展開している食品小売部門から撤退すると発表した。

DFIリテールは、マレーシアの食品小売事業を統括するGCHリテール(マレーシア)を、SOGOデパートメント・ストアのアンドリュー・リム副会長が率いる企業連合に持株70%を売却することで合意した。今後はドラッグストア「ガーディアン・ヘルス・アンド・ビューティー」チェーンの成長に注力していく方針。残りの30%はネグリ・センビラン州王族系のシャリカ・ペサカ・アンタが所有している。

GCH買収に向け、リム氏が所有するUSPリソーシズとゲイリー・ヤップ氏が所有するギャップ・ホールディングスによる折半出資の新会社、マクロバリューが設立された。マクロバリューは2,500人いるGCHの従業員全員の雇用を維持する方針だ。3月上旬には売買取引を完了する予定。買収価格などについては明らかにされていない。

GCHは現在、「ジャイアント」40店舗、「メルカト」8店舗、「コールドストレージ」2店舗、「TMC」1店舗、「ジャイアント・ミニ」40店舗を運営している。2014年から2019年にかけて赤字が続いたことから、店舗数を半数まで縮小し、「ジャイアント・ミニ」の展開を図るなど経営改善に取り組んでいた。
香港を拠点とするDFIリテールは、旧称デイリー・ファーム時代の1999年に、オーナー一族であるテン一族からの「ジャイアント」事業買収を通じてマレーシアに参入していた。
(エッジ、マレー・メイル、2月23日)

LRTバンダラヤ駅の線路補修工事に7カ月要=運輸相

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は22日、軽便鉄道(LRT)アンパン線バンダラヤ駅付近で起きた線路損傷について、修理に最長7カ月を要するため、9月頃までバンダラヤーマスジット・ジャメ間の運行を休止すると明らかにした。

公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアがコンサル企業アルプ・ペルンディンに依頼した調査の結果、バンダラヤ駅付近の高架橋や橋脚構造の損傷度が深刻だと判明し、近くの44階建て高層ビル工事現場からの飛散物が原因であることも再確認された。構造強化に向けた工事を3月初旬に開始し、2カ月で一時的な修繕を、残りの5カ月で総合的な修繕工事を行う。

ローク運輸相は、高層ビルの工事が公共陸運局(APAD)の許可なく開始されたため、開発業者に対して法的措置を検討しているとし、近隣住民に対し、通勤・通学に長期間支障をきたすことを謝罪すると述べた。運休期間中は代替シャトルバスを配備し、また、首都圏大量高速輸送(MRT)プトラジャヤ線の3月の全線開通後には代替ルートとして利用できるとしている。
(ザ・サン、ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、2月23日、ポールタン、ベルナマ通信、2月22日)

ネスレマレーシア、栄養食品のワイスを1.65億リンギで買収

【ペタリンジャヤ】 ネスレ(マレーシア)は、国内栄養食品事業の拡大に向けて、完全子会社ネスレ・プロダクツを通じ、栄養食品のワイス・ニュートリション(M)の100%株式をワイス(香港)ホールディングから1億6,500万リンギで取得する条件付株式売買契約を締結した。

ネスレ(マレーシア)が22日付けでブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、ワイス・ニュートリション(M)の事業や販売網を活用し、栄養食品分野の市場シェア拡大を目指す。ネスレ・マレーシアの72.61%株式を所有するソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレSAは、ワイス(香港)の直接持株会社でもあるため、今回の買収は関連当事者取引とみなされるという。

ワイス・ニュートリション(M)は2013年に設立。幼児、妊娠中・授乳中の母親、高齢者を対象としたプレミアム栄養製品である「S-26」、「S-26ゴールド」、「アシェンダ」、「プロママ」、「エナーカル・プラス」などを販売している。
(ザ・スター、2月23日、エッジ、2月22日)

プラサラナとシャトルバス配車「クムプール」、試験運行を開始

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は21日の下院質疑で、公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアとシャトルバスの配車・予約サービス「クムプール」が、自宅と公共交通機関の駅を結ぶシャトルバスを地域限定で試験運行していると明らかにした。

公共交通機関の利用促進に向けた取り組みについて質問を受けたローク運輸相が明らかにしたところによると、試験中の利用料金は1回につき1リンギ。対象地域は、クアラルンプールのワンサ・マジュ地区とセランゴール州シャアラムのアラム・メガ地区だが、地域をさらに増やす計画もある。

またローク運輸相は、同じ目的地に向かう別の乗客と相乗りする「ライドシェア」制度の導入についても検討を行っていると説明。複数の配車サービス企業と可能性を協議しているとし、実現した場合は利用料金を直接下げることができると述べた。
(ザ・サン、ザ・スター、2月22日、ベルナマ通信、2月21日)

第2四半期に12万リンギの中国製EVを発売予定=通産省

【クアラルンプール】 通産省(MITI)によると、第2四半期に低価格の電気自動車(EV)モデルが投入される見通しだ。

MITIのノラズマン・アユブ副事務局長によると、MITIでは中国からの低価格EV輸入を奨励しており、第2四半期に12万リンギのEVモデルが投入される見込み。国内で購入可能なEVのうち現状最も低価格なのは、中国・長城汽車の小型EV「オラ・グッド・キャット(欧拉好猫)」のベースモデル「400プロ」で、保険なし価格は13万9,800リンギ。他に15万リンギ以下なのは、中国BYD(比亜迪汽車)「アット3」で14万9,800リンギ。

ノラズマン氏は、「2025年までに1万基の公共EV充電施設を設置」という目標について改めて言及し、高速道路運営のプラス・マレーシアとも協力し、充電施設を設立していくと述べた。充電施設に投資する投資家も募る予定だという。

テンク・ザフルル通産相が昨年12月、通産省の電気自動車(EV)導入目標について発表しており、EVおよびハイブリッド車が市場総需要量(TIV)に占める割合を2030年までに15%、2040年までに38%にするとしている。
(ポールタン、2月21日、ベルナマ通信、2月18日)