KLで洪水防止壁を建設、雨季に備え対策協議も実施

【クアラルンプール】 クアラルンプール市政府(DBKL)は、クアラルンプール(KL)の水害対策のため、浸水発生地点に洪水防止壁を建設する。


 マハディ・チェンガ市長は、浸水対策として一時的に土嚢を使用していたが、大雨時の浸水を防ぐため、洪水防止壁を建設すると説明。現在は設計段階で、建設にあたる請負業者とも既に契約済みだと述べた。また、DBKLと排水灌漑局(DID)やその他洪水問題に関わる政府機関が雨季に備えてさらなる協議を行うと言明。年末に予想される降雨量増加に対処するため、DIDからの最新データに基づいた適切な措置の議論を近く行うと述べた。

 KLでは集中豪雨により昨年12月に大規模水害が発生。今年3、4、5月にも道路冠水が起きるなど水害が多発しており、DBKLは5月に14項目から成る「洪水対策行動計画2022」の実施を発表していた。
(マレー・メイル、ベルナマ通信、9月18日)

大型量販のロータスズ、国産商品の販促キャンペーンを実施

 【シャアラム】 大型量販店「ロータスズ」を展開するタイ系ロータスズ・ストアーズ(M)は15日、国内取引消費者行政省と共同で、国産商品の販促キャンペーン「バイ・マレーシア・キャンペーン2022」を開始した。


 ロータスズが提携する中小企業(SME)95社の国産商品の販促活動を実施する。12月までの期間限定でメディアとの連携、店頭での販促・催事、製品サンプリングなどを実施し、商品を売り込む。現在、全国64店舗で、800種類以上の商品を展開し、そのうち400種類はハラル(イスラム教の要件を満たした)認証を取得している。

 ロータスズのケネス・チュア社長は、企業対企業(B2B)プログラムを通じて、SMEの支援に取り組んでいるとし、地元生産者に販売の場を提供するだけでなく、地元のSMEや食料品店にも競争力のある価格で大量の商品を供給していると述べた。現在、900以上の食料品店がロータスズのB2Bサービスを利用しており、今後も利用促進を拡大する努力を続けていくと強調。また、ロータスのSME支援チームは、国内取引消費者行政省や農業食品産業省、ハラル開発庁(HDC)などの政府機関とも密接に連携し、常にサプライヤーを探しており、ロータスズの3,000を超える自社ブランド商品の90%が国内製造・調達されたもので、その多くが顧客からの支持を得ていることから、地元SMEに信頼を寄せていると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月15日)

格安航空エアアジア、インドネシアとフィリピンで事業拡大を計画

【シンガポール=マレーシアBIZナビ】 格安航空エアアジア・アビエーション・グループ(AAAGL)は、インドネシアやフィリピンにおいて、来年第1四半期までに新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大前よりも事業規模を拡大する計画だ。

AAAGL親会社であるキャピタルAのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は、観光産業の見通しが明るいことや、各都市の航空便の接続性が向上しており、インドネシアとフィリピン両国での事業が順調に成長していることから、事業を拡大したいと考えていると言明。しかし、マレーシアとタイ事業の航空機の数を削減するつもりはないとした。エアアジアの創業当時は1日2便のみ運行していたが、今では週281便に増加したと説明。そのうち168便が東南アジア諸国連合(ASEAN)12都市に乗り入れているとした。

AAAGLは15日、シンガポールのチャンギ国際空港の第4ターミナルへの乗り入れを再開した。新型コロナの感染拡大に伴い第1ターミナル1から運航していた。同社は、クアラルンプールーシンガポール線の運行頻度が来年第1四半期までに完全回復すると見込んでいる。

エアアジアのリアド・アスマットCEOは、1日15ー20便を運行しており、今年12月までにコロナ前の80%まで回復させることを目指していると言明。マレーシア事業の保有機は90機で、今後1年間は需要に応えることができるとの予想を示した。

SUKE高速道路第1期が開通、1カ月は通行料無料

【クアラルンプール】 スンガイ・ベシーウル・クラン高速道路(SUKE)の第1期であるチェラスーアンパン間が16日に開通した。開通を記念し、1カ月間通行料金が無料になる。

SUKEは、シャアラム高速道路(KESAS)、クアラルンプール(KL)ーセレンバン高速道路、スンガイ・ベシ高速道路(BESRAYA)、チェラス・カジャン高速道路(CKE)、ミドル・リング・ロード2(MRR2)、アンパン・クアラルンプール高架道路(AKLEH)、デュタ・ウル・クラン高速道路(DUKE)、建設中の東クランバレー高速道路(EKVE)など首都圏の複数の高速道路網を繋ぐ。90%が高架で、国内初の2層式ループ線、国内で最高となる高さ56.4メートルのプレキャストセグメント工法を採用した箱桁橋、監視カメラ40台、車両事故検知システム22台などを備える次世代型の高速道路となっている。

15日に開催された開通式に参加したファディラ・ユソフ上級相(公共事業相)は、SUKEはMRR2、ジャラン・アンパン、ジャラン・ロークユーなどの地点で代替ルートを提供し、交通渋滞を最大36%削減する上、移動時間を75分から25分に短縮することができるとし、特にKL東部の交通の流れに大きな改善もたらすと述べた。

SUKEを建設・運営するプロジェク・リンタサン・コタ・ホールディングス(プロリンタス)のイドリス・ケチョット会長は、建設には248の請負業者と10のメインコンサルタントが携わり、約1万人の雇用機会を創出したと言明。ジャラン・フル・ランガットやMRR2の一部改修、ジャラン・アンパンの拡幅、アンパンジャヤ地区交通警察署と職員宿舎の再建など、地元住民のための社会貢献活動も合わせて行われたと述べた。

SUKEの建設は2014年12月に開始。現在、アラムダマイ料金所や3つの交差点を含む7.8キロメートルの建設を行っており、2023年第1四半期に全面開通する予定だ。プロリンタスの事業運営期間は2069年12月までの55年間となっている。
(ザ・スター、ベルナマ通信、ポールタン、9月15日)

 

老舗百貨店のメトロジャヤ、ららぽーとBBCCに出店

【クアラルンプール】 マラヤン・ユナイテッド・インダストリーズ (MUI) の小売部門MJデパートメントストアズは、クアラルンプール(KL)中心部に位置する「ららぽーとブキ・ビンタンシティセンター(BBCC)」に百貨店「メトロジャヤ」を21日に正式オープンすると明らかにした。

メトロジャヤは1976年に設立。イースト・インディア・カンパニー、サマセット・ベイ、ビル・キースなど、高価格帯の衣料品や家庭用品を取り扱う老舗百貨店。首都圏クランバレー、コタキナバル、ミリ、クチンに5店舗、アウトレット店舗を「三井アウトレットパーク・クアラルンプール国際空港・セパン」とアンパンで2店舗展開している。

親会社であるMUIは、小売業、ホテル、食品・菓子、金融サービス、不動産開発などを主要事業とする投資持株会社。欧州、米国、アジア太平洋地域でも事業を展開している。
(エッジ、9月13日)

1年滞在可能のデジタルノマド向けビザ、10月から受付開始

【クアラルンプール】 アヌアル・ムサ通信マルチメディア相は13日、デジタルノマド(ITを活用し旅行しながら働く人)を呼び込み観光を促進するプログラム「DEランタウ」を正式に開始したと発表。第1期では、ペナン、ランカウイ、ケダ、クアラルンプールを拠点として選定した。

「DEランタウ」では、承認を受けた外国人のデジタルノマドがマレーシアに1年滞在でき、1年延長も可能。配偶者・子供も滞在できる。申請費用は1,000リンギで、さらに扶養家族1人につき500リンギが必要。10月1日からマレーシアデジタル経済公社(MDEC)で申請を受け付け、承認は1カ月以内に完了する予定。国内経済への波及効果を狙っており、2025年までに国内経済への48億リンギの貢献が見込まれている。

アヌアル大臣は、「DEランタウ」はデジタル分野で働くマレーシア人、外国人双方に有益で、近隣諸国との競争の中でマレーシアがデジタルノマドに選ばれるために実施すると言明。マレーシアには、整備されたインフラ、生活費の安さ、多民族文化、美味しい料理など数多くの魅力があるとし、デジタルノマドをMDECを通じて支援し、活気あるエコシステムを構築していくと述べた。
(マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、9月13日、MDEC発表資料)

スキッドモア設計のKL中心部のホテル、トロピカナが売却へ

【クアラルンプール】 不動産開発・管理のトロピカナ・コーポレーションは、クアラルンプール中心部に位置するダブリュー・ホテル・クアラルンプールを売却する。売買を仲介するシンガポールのハットンズ・アジアが売却広告を現地紙に掲載した。

人工建造物として世界一の、ドバイにある超超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」を設計した米建築設計事務所スキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリルの設計になる客室数150室のブティックホテル。

不動産仲介PPCインターナショナルのサイダーズ代表によると、クアラルンプールのホテルの客室稼働率は40ー50%と依然低いが、この先上昇が見込まれる。
ある不動産アナリストも、海外からの旅客増が予想され、ホテル投資は魅力があるため、ホテル売却には絶好のタイミングだと指摘した。

2019年1月に消息筋の情報として、トロピカナがダブリュー・ホテルを売り出す意向で、3億6,000万リンギでの売却を希望していると報じられた際、トロピカナは否定していた。
(ザ・スター、9月10日)

調理器具ニシンの子会社、KLにカフェ・レストランをオープン

【クアラルンプール】 調理器具メーカーのニ・シン・グループの子会社ブラックビクソン・トゥー・ゴー(BB2GO)は、クアラルンプール(KL)に同社初の飲食施設「ブラックビクソン・カフェ・アンド・レストラン」をオープンした。

国際金融地区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TRX)」近くに位置し、屋上庭園も付属する2フロアの総面積は5,993平方フィート。最大200人まで収容可能で、店内には壁画やアート作品が飾られ、コーヒー、デニッシュペストリー、ハンバーガー、パスタなどの西洋料理を提供する。スペシャル・コーヒーには、ルワンダとブラジルの農園から選別された高級アラビカ豆、肉料理にはハラル(イスラムの戒律に則った)ミートのみを使用する。年中無休で、営業時間は午前8時から午後10時まで。

BB2GOのクー・チェコン社長は、飲食店の開設は長年の計画に基づくもので、便利な場所で新鮮なコーヒーを提供するという目標に向けて一歩を踏み出したと述べた。

BB2GOは、コーヒー販売専用電動バイク「BB2GO EVコーヒー・バイク」の販売会社。「BB2GO EVコーヒー・バイク」はコーヒーマシンに電力供給できる特別設計のバッテリーシステムを搭載し、外部電源なしで最大400杯のコーヒーを作ることが可能。GPSも搭載し、顧客は「BB2GO」アプリからバイクの位置や注文内容を確認できる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月8日)

プロトン、電気自動車販売子会社を設立

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは9日、電気自動車(EV)の販売を手掛ける新たな全額出資子会社、プロトン・ニュー・エナジー・テクノロジー(Pro-Net)を設立したと発表した。

Pro-Netの最高経営責任者(CEO)には、中国での自動車産業での経験が長く、プロトンでも販売ネットワーク開発に5年携わってきた張強氏が就任する。

プロトンは、8月に独占販売代理店契約を締結したスマート・オートモービル(スマート)のEVを2023年第4四半期に発売する計画。最初に発売するモデルは「スマート#1」になる予定だが、家庭用充電器の設置・メンテナンスに加え、充電ステーションの開発・運営を専門とするパートナーと公共ネットワークを構築することで充電インフラの拡充を図って行く方針だ。またEV普及に向け、固定充電器に加えモバイルソリューションも検討するとしている。

スマートは、2019年に独メルセデス・ベンツと中国・吉利集団との合弁により設立。小型電気自動車の開発・販売に携わる。ベンツが担当する洗練されたデザインを特長としており、プロトンに出資している吉利汽車が設計・製造を行なっている。
(マレーシアン・リザーブ、ポールタン、エッジ、9月9日、プロトン発表資料)

富裕層向け長期ビザ、業界はガイドライン明確化を要請

【ペタリンジャヤ】 ハムザ・ザイヌディン内務相が1日に発表した、富裕層誘致を目的とする長期滞在ビザ「プレミアム・ビザ・プログラム(PVIP)」について、業界関係者からは「明確なガイドラインが必要」という声が上がっている。

マレーシア・マイセカンドホーム(MM2H)コンサルタント協会のアンソニー・リュー会長は、マレーシアではほとんどが英語を話せ、華人コミュニティでは中国語も話されているため、コミュニケーションが取りやすく、マレーシア人の温厚な人柄も海外から評価を受けていると指摘。一方、MM2Hプログラムの条件厳格化以降、参加率が低下していることから、ハムザ内務相が掲げる「PVIPプログラムの初年度参加者1,000人」という目標は「高い」と述べた。

不動産取引のゼリン・プロパティーズのプレビンドラン・シンハ最高経営責任者(CEO)は、マレーシアの強みは、中国や日本などとの良好な外交関係にあり、友好国の投資家はマレーシアにすでに親しんでいるとコメント。PVIPにより、富裕層居住区にある住宅用不動産の需要が高まると予想され、質の高い商業・工業用不動産によりPVIP利用者の需要を喚起できると述べた。一方、同様の富裕層向けビザを発行している他国と競争するには、明確なガイドラインが必要不可欠だと強調。シンガポールのグローバル投資プログラム(GIP)では、2004年ー2017年6月で1,826人の申請者に永住権を発行し、そのうち67人が市民権を得たとし、PVIPが1,000人を達成するには一定の時間が必要だと述べた。

シンクタンク「センター・フォー・マーケット・エデュケーション」のフェルリト最高経営責任者(CEO)は、PVIPは他国との競争上最良のプログラムではないとし、経営者に有利なプログラムや、退職後のMM2Hプログラムへの移行などを考えるべきだと言明。PVIPは大物実業家を対象にしているが、その内容は退職予定者向けで、対象と制度の間にミスマッチがあるように見えるとし、また、初年度1,000人という目標は野心的すぎるのではないかと述べた。

PVIPは、国交のない国を除くすべての国の富裕層を受け入れるもので、最長20年間のマレーシア滞在が可能となり、滞在中の不動産購入や投資、事業運営なども許可される。マレーシア国外の収入が月4万リンギ以上、あるいは年48万リンギ以上の個人(年齢不問)を対象としており、銀行口座残高100万リンギが必要。ハムザ内務相は、初年度に1,000人の参加者を目標として掲げ、2億リンギの国内経済貢献や10億リンギの定期預金獲得を目指すとした。
(ザ・スター、9月4日)