プトラジャヤでスマート都市「マダニシティ」計画、26日に起工

【クアラルンプール】 連邦政府は3日、プトラジャヤにおける総面積102エーカー(41ヘクタール)のスマート都市開発プロジェクト「マダニ・シティ」(コタ・マダニ)計画を発表した。持続可能な生活とハイテクな暮らしの両方を推進することを目指す。起工式は2025年6月26日に予定されている。

ザリハ・ムスタファ首相府相(連邦直轄地担当)が明らかにしたところによると、3万人以上が住むことができる住宅1万戸が高層的かつ高密度に開発される予定で、人工知能(AI)、高効率デジタルインフラ、グリーンモビリティシステムを統合した設計となっている。

アンワル・イブラヒム首相によると、「マダニ・シティ」には高層校舎の学校、技術・職業教育訓練(TVET)機関、金融機関、診療所、消防署、警察署、モスクといった複数の施設が設置される予定で、約3,000戸の住宅と学校の建設を含む第1フェーズは2027年末までに完成し、全面的に運用開始される予定だ。

連邦政府はクアラルンプール、プトラジャヤ、ラブアンの3カ所の連邦直轄領を対象に、▽Clean(清潔)▽Healthy(健康的)▽Advanced(先進的)▽Safe(安全)▽Eco-Friendly(環境に優しい)―の5つの価値を基盤とした持続可能で先進的な都市づくりを目指しており、その構想を5つの頭文字をとって「CHASEシティ・ビジョン」と称している。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、6月3日)

AI推進のための機構「AIマレーシア」発足、技術革新を推進

【クアラルンプール】 東南アジア諸国連合(ASEAN)ビジネス諮問委員会(BAC)マレーシア支部の主導になる人工知能(AI)推進のための機構「AIマレーシア(AIM)」が5月30日、発足した。技術革新を推進し、デジタル領域におけるマレーシアの競争力を強化する。

マレーシアはAI戦略の段階から、広範な導入の段階に至ったとの判断に基づくもので、ナジル・ラザクASEAN-BACマレーシア議長は「AIは域内成長の次の段階で決定的な力となる。責任あるAI採用でマレーシアは域内協力を推進する」と述べた。

AIMでは重要な経済分野における技術革新の加速、生産性・競争力向上のための官民協力、AIビジネス・エコシステムの構築を図り、経済成長に貢献する。AI経済特区の創設も計画している。発足式でゴビンド・シン・デオ・デジタル相は「AIMは官民学連携強化の場であり、未来に向けた能力を構築する」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、5月31日、ASEAN-BAC、セランゴール・ジャーナル、5月30日)

住友電設、設備工事会社2社の買収手続きが完了

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 住友電設(本社・大阪市西区)は5月30日、機械設備の設計・施工を手掛けるマレーシアのDY MNG及びDY MNGエンジニアリングの2社の全株式取得手続きがこのほど完了し、完全子会社化したと発表した。

住友電設は2社の設備工事会社の株式取得に向け株式譲渡契約を締結していたが、5月30日付で両社の株式の取得手続きが完了した。2社は共にペナン州に所在しており、資本金はそれぞれ200万リンギ、100万リンギとなっている。買収額については明らかにされていない。

住友電設グループでは、マレーシア現地法人のテマコン・エンジニアリングがクアラルンプールを中心に主に電気設備の設計・施工を行っており、主に機械設備の設計・施工を行っている2社の子会社化により、両社の強みを生かしたシナジー効果を創出し、グループとして電気・機械設備工事の一括受注を拡大するなど、マレーシアにおける事業拡大を目指していくとしている。

エアアジアマレーシア、台北経由福岡―コタキナバル線を8月開設

【クアラルンプール】 格安航空会社エアアジア・マレーシアは8月15日、福岡―台北―コタキナバル線を新規開設する。エアアジア・グループではエアアジアXが日本に就航しているが、エアアジア・マレーシアとしては初の日本乗り入れ路線となり、福岡が79番目の就航都市となる。

新規路線は、ある国を経由して第三国へ運航できる「以遠権」を活用したもので、既存のコタキナバル―台北線を延伸し、3都市間を1日1往復で運航する。福岡とコタキナバルが約7時間の所要時間で結ばれることになる。機材はエアバスA320neo型機(総座席数は186席)を使用予定。6月8日まで、就航記念運賃での予約が提供されている。

スケジュールは、コタキナバル行きAK1511便が福岡17時発で台北18時30分着(金曜のみ5分遅れ)、台北19時15分発(同)でコタキナバル着22時50分となる。福岡行きのAK1510便はコタキナバル7時40分発で台北10時55分着、台北11時55分発で福岡15時15分着になる。

またバティックエアは、週5便で運航してきたクアラルンプール―台北―那覇線を、6月3日から週6便(月火水金土日)に拡大。一方で、名古屋(中部)―高雄―クアラルンプール線を13日から運休する。
(トライシー、6月2日、エアアジア・マレーシア発表資料)

ザフルル氏がUMNOからPKRに鞍替えへ、閣僚職は当面留任

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 テンク・ザフルル・アブドル・アジズ投資貿易産業相(上院議員)が、アンワル・イブラヒム政権と共闘する統一マレー国民組織(UMNO)を離党し、アンワル首相が党首を務める人民正義党(PKR)に入党する意向を表明した。

これを受けてアンワル首相は当面、ザフルル氏を留任させる考えを示しているが、UMNO内からは共闘相手への鞍替えに対する反発の声が上がっている。アハマド・ザヒド党首は「共闘先への移籍は非倫理的」と批判。UMNO党内ではこれまで通り7つの閣僚ポストを要求する意見が強まっており、アンワル政権を支える両党間の関係悪化の懸念が出ている。

ザフルル氏は銀行家出身で、1997年にUMNOに入党。2020年3月にムヒディン・ヤシン政権で民間から財務相に起用され、これに伴い最初の上院議員の指名を受け、上院議員の身分のまま2021年8月発足のイスマイル・サブリ・ヤアコブ政権でも財務相を務めた。2022年10月の国会解散を受けて辞職。その後の総選挙を受けて12月に発足したアンワル政権では再び上院議員として通産相に起用され、省庁改変で2023年4月から投資貿易産業相に就任していた。

ザフルル氏は5月30日、UMNO指導部に正式に辞表を提出し、PKRの指導部に入党の意向を伝えたことを公表。閣僚職については去就をアンワル首相に委ねると述べていた。アンワル首相はこれを認める意向を示している。

マレーシアの内閣閣僚は上下両院いずれかの議員(上院は指名制)である必要がある。ザフルル氏の上院議員としての2期目は今年12月に終了するが、上院議員は1期(3年)で最大2期までとなっており、補欠選挙などを通じて下院議員にならない限り12月で退任することになる。

ペラ州がUAEなどと2件の覚書、未来に通用する経済ハブを構築

【クアラルンプール】 ペラ州開発公社は30日、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会合に合わせ2件の覚書を中国系CHECコンストラクション(マレーシア)およびアラブ首長国連邦(UAE)政府と交わした。多目的ターミナル開発や食糧安全保障を推進する。

CHECマレーシアとの覚書ではバガン・ダトゥク国際海上ハブ多目的ターミナル開発と、ハラル(イスラムの戒律に則った)製造センターおよび人工知能(AI)センターの開発を進める。CHECマレーシアは海洋工学、浚渫などを手掛ける中国港湾工程の子会社。

ターミナルはルムット海事都市計画の一環で、中国、ASEANおよび湾岸協力会議(GCC)加盟国と世界を結ぶ貿易の玄関口として開発される。ハラルセンター設立を通じ倫理的製造を強化する。

UAEとの覚書は、食糧安全保障における協力と多目的ターミナルに関する投資機会を模索するための枠組みで、農業技術の革新、および域内貿易と供給網の強化を図る。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、5月29日)

大阪万博開幕1カ月で5億リンギ確保=MATRADE

【クアラルンプール】 マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)は29日、大阪・関西万博の開幕約1カ月で、270件超のビジネスミーティングが開催され、4億8,888万リンギの売上が確保されたと発表した。

MATRADEが主導する万博のマレーシアパビリオンでは、産業別ビジネスマッチングやテーマ別セミナー、ターゲットを絞ったプレゼンテーションセッションなど、さまざまな形のプログラムを展開。特にハラル(イスラムの戒律に則った)、電気・電子、グリーンテクノロジー、ライフサイエンスといった潜在力の高い分野を中心に、日本の主要企業などとの直接的な接触を促進してきた。

モハメド・ムスタファ最高経営責任者(CEO)は、新市場に参入に向けたマレーシア企業の製品展示やバイヤーとの交流といった従来のやり方に留まらず、より広範な国家および地域の目標に沿った戦略的なアプローチの重要性を強調。4月13日の開幕から1カ月で約5億リンギが確保されたことについて「価値主導型のエンゲージメントモデルの成果を示している」と述べた。

さらに閉幕までの残り5カ月で、貿易・投資誘致額で、前回ドバイ万博の83億リンギを上回る、130億リンギという目標達成に向け、主要な成長分野を中心にマレーシアの強みを促進していくとしている。

開幕8週目の6月2―6日は、フルーツ加工品などの食品や、アニメ・ゲーム開発などの商談会が予定されている。ビジネスプログラムに参加企業には、万博入場チケット(1社につき2人まで)も提供される。詳しくはビジネスプログラム公式サイト(https://bsp.expo2025-malaysia.miti.gov.my/ja/)。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、5月29日、報道発表資料)

健康食品&サプリの三生医薬、マレーシアに営業所を開設

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 健康食品・サプリメントの受託開発製造を手掛ける三生医薬(本社・静岡県富士市)は、5月6日付けでペナン州に営業所、サンショー・アジア(法人名)を開設し、健康食品分野における海外展開を本格的にスタートしたと発表した

サンショー・アジアは、韓国・台湾・中国を除くアジア諸国、インド、中東を含む広域圏(AIMリージョン)を対象に、現地市場調査、事業機会の開拓、パートナーシップの構築を進める戦略拠点となる。AIMリージョンの需要の多様性と急成長性を踏まえ、今後の同社のグローバル展開における中核的な役割を担う。

三生医薬は、サンショー・アジアには海外営業やローカルビジネスに精通した専門人材を配置し、日本側とも密に連携しながら、市場調査、営業活動、規制対応、パートナー開拓といった実務を遂行するとしている。また今後については、各国・各地域の消費動向や法制度への理解を深め、製造拠点やサプライチェーンの現地化も視野に入れて段階的な機能強化を図り、マレーシアを起点にAIMリージョン全域での価値提供体制を強化していくとしている。

内外4行に行政処分、金融サービス法違反で

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は28日、外資系を含む4銀行を金融サービス法違反で罰金の行政処分に付したと発表した。

処分を受けたのはHSBCとそのイスラム銀行部門(罰金は合計326万リンギ)、マラヤン・バンキング(メイバンク)のイスラム銀行部門、メイバンク・イスラミック(同120万リンギ)、および開発銀行のバンク・ペンバングナン・マレーシア(約49万リンギ)。4行とも罰金は既に納付した。

HSBCは顧客の身元確認を怠った。実質的支配者(受益所有者)の身元確認要件に関する理解の欠如が立ち入り検査で判明した。顧客が制裁対象者でないことを確認する制裁スクリーニングでも過失があったという。

バンク・ペンバングナンでも顧客の身元確認と制裁スクリーニングで怠慢があった。行員の理解不足が原因だ。

メイバンク・イスラミックはBNMが管理する中央信用照会情報システムに対し、3人の顧客情報の提供を怠った。この結果、顧客の信用度を正確に判断できず、同行は損害を被った。
(エッジ、ベルナマ通信、BNM報道資料、5月28日)

オンライン求人広告、24年第1四半期は前期比12.5%減

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局によると、2024年第1四半期にオンライン広告で掲載された求人数は前年同期比85.4%増、前期比12.5%減の39万2,054件だった。

求人情報を掲載した事業所数は7万6,532社(前期は8万5,814社)だった。職業別では、専門職が18万6,538件で、全体の47.6%を占めた。次いで、管理職17.3%、技術者・準専門職16.9%と続いた。特に、広告・マーケティング専門職、取締役・最高経営責任者(CEO)、会計士・監査人、事務専門職・準専門職の需要が高かった。

産業別では、卸売・小売業が7.7%(3万209件)、管理・サポートサービス業5.7%、専門・科学・技術業5.6%、製造業4.3%となった。卸売・小売業、製造業での減少が目立った。

この調査は、民間求人サイトがオンラインで募集した求人情報をもとに、統計局がビッグデータ分析し四半期ごとに発表しているもので、正確な全求人数ではなく、あくまで傾向をつかむためのものだという。