経営危機のMYエアライン、90日間の事業許可停止処分に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新興格安航空会社のMYエアラインが12日に突如、「深刻な財務問題」を理由に運航を停止すると発表した問題で、マレーシア民間航空局(CAAM)は16日、MYエアラインに対する航空運送事業許可(AOC)を90日間停止したことを明らかにした。

CAAMは声明の中で、CAAMへの事前通知なしに運航を突然停止したことは、マレーシアにおける公共の安全と民間航空運航の健全性に重大な懸念を引き起こしたと指摘。「MYエアラインの運航能力を再評価するため、AOCの一時停止期間中に詳細な安全監査が実施される」と述べた。

MYエアラインは運航を停止する直前に2年間のAOCの更新が認められていたが、これについてCAAMは、2023年5月29日から2023年6月1日までMYエアラインに対する安全監査を実施したが、その際には経済的困窮を示す所見はなかったと釈明している。

MYエアラインの暫定責任者、アズハルディン・アブドル・ラーマン取締役は、運航停止の影響を受けた航空券購入者は約12万5,000人で、返金額は最大で2,200万リンギに上ると述べた上で、返金作業は新たな出資者が見つかって入金が行われた後になるとの考えを示した。アズハルディン氏によると、出資予定者が直前になって突然出資を取り止めたため、運航停止せざるを得なかったという。

MYエアラインは再建に向けて出資者を模索しており、オーナーである実業家のゴー・ファンファ氏は全株式を手放す用意があるとされる。MYエアラインが昨年10月に発表したリポートによると、ジリオン・ウェルスとトリリオン・コーブ・ホールディングス(どちらもゴー氏が所有)が株式のほとんどを保有している。

飲食店のマレーシア進出を支援、ラバブルなどが合弁会社設立

【クアラルンプール】 マーケティングを手掛けるラバブルマーケティンググループ(本社・東京都港区)は16日、日本の飲食店のマレーシア進出を支援する合弁会社、テイスト・フード・ジャパンを設立したと発表した。

テナントのトータルコンサルティングを行うヴィダ・コーポレーション(本社・東京都渋谷区)、店舗仲介を手掛けるプログレッソ・ディレクション(本社・東京都中央区)、飲食店運営のザクロス(本社・東京都文京区)と共同で設立したもので、マレーシアにおける「お試し出店サービス」の展開を促進させる。資本金は100万リンギ。

ラバブルはすでにヴィダ、プログレッソと協業で8月に「お試し出店サービス」を開始しており、初のプロジェクトとして10月6日から6カ月間の期間限定で「伝説のすた丼屋」(運営会社・アントワークス)をクアラルンプール(KL)の「ロット10」にある「ジェーズ・ゲート」内にオープンしている。

レカム、中国企業とマレーシア合弁会社設立で合意

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 情報通信機器のレカム(本社・東京都渋谷区)は16日、中国・杭州実在智能科技(インテリジェンス・インディード)とマレーシアにおける共同事業を開始するために合弁会社を設立すると発表した。

レカムと実在智能科技は、マレーシア国内において同社ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)サービスを提供するための合弁会社を設立する。資本金は100万リンギで、レカムが49%、実在智能科技が51%出資する。新会社は、実在智能科技が行うRPAサービスの中国語版・英語版をマレーシア国内企業に提供する。

レカムの既存マレーシア子会社を販売会社として、新会社より独占販売権を取得し、2024年1月以降、サブスクリプションや卸売などの様々な提供モデルを模索しながら、直販や代理店チャネル経由で販売開始する。

実在智能科技は急成長を続けているRPAサービスのリーディングカンパニーで、レカムとはすでに日本で業務提携を行ってきた。レカムがマレーシアにおいて子会社3社を展開している背景から、実在智能科技の第2弾の海外展開戦略としてマレーシアでの合弁設立を決めた。

国内3軒目のハードロックホテル、ゲンティンハイランドに開設へ

【クアラルンプール】 アジア最大規模となる客室数1,001室のハードロック・ホテルが、2027年にパハン州ゲンティン・ハイランドの複合開発「キングス・パーク」にオープンする。ペナン州バトゥフェリンギおよびジョホール州デサルに続く国内3軒目のハードロック・ホテルとなる。

ハードロック・ホテルを運営するハードロック・インターナショナルとHRホテルズ・アンド・レジデンシーズが14日、新ホテル建設に向けた契約を締結した。

「キングス・パーク」は総開発価値(GDV)100億リンギのプロジェクトで、今年6月に正式に開発がスタート。21エーカーの面積を有し、商業・レジャー施設を建設する。ホテルチェーンの仏アコーホテルズも4月に、マレーシア初となる5つ星ホテル「スイスホテル」を同地に2028年第3四半期に開業すると発表していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月16日)

外国人の住宅購入に対する印紙税導入、開発業界は懸念を表明

【クアラルンプール】 2024年度予算案で発表された、外国人(永住者を除く)、外資企業による住宅購入に対する4%の印紙税賦課について、不動産・住宅開発業者協会(Rehda)のNKトン会長は、住宅購入意欲をそぎ、外国人の長期滞在を可能にするマレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)への申請に悪影響を与えると懸念を表明した。住宅価格の抑制が印紙税導入の意図だ。

一方で政府はMM2Hの申請要件を緩和する方針で、トン会長は「詳細情報の提供を待ち望む」と歓迎を表明した。

住宅融資保障スキームの保証枠を100億リンギに拡大する計画について、4万人の国民の住宅所有を可能にするもので、非正規労働者の住宅所有を後押しすることが期待されると述べた。

マンションなど集合住宅の売却の条件を、区分所有者100%の同意から、シンガポール並みの80 90%の同意に緩和することについて、住民の意思をより反映したものになると賛意を示した。

オンライン不動産仲介サイト大手のプロパティーグルは、国民住宅プログラムの継続に対する予算(5億4,600万リンギ)について、手頃な価格の住宅供給を増やすことは不動産市場の安定につながるとした。
(マレーシアン・リザーブ、10月14日、エッジ、10月13日)

売上サービス税率引き上げ、現時点で影響判断は困難=小売業界

【クアラルンプール】 13日に発表された2024年度予算案の中に売上・サービス税(SST)税率を6%から8%に引き上げる内容が盛り込まれたことについて、小売業団体のリテール・グループ・マレーシア(RGM)は、実施に関する詳細が明らかにされていないことから現時点で影響を判断するのは難しいとの考えを示した。

RGMのタン・ハイシン代表は、一度に2%引き上げられるのか、それとも段階的に少しずつ引き上げられるのか分からないため、現時点では影響について判断できないとした上で、SSTの上昇は間違いなく小売支出に影響を与えるだろうと言明。

「食品、飲料、通信セクターは税率引き上げの影響を受けないが、飲食店の小売価格は税率アップに伴って上昇し、この値上がりは輸入業者、流通業者、物流会社、不動産所有者を含む食品サプライチェーン全体に影響を与えるだろう」と述べた。

一方、贅沢税については、「高級ブランドにお金を払う用意がある富裕層の消費者は、税率がアップしても喜んで支払う。売り上げに影響が出るとは考えていない」と指摘。ただ何が対象となる高額商品に当たるのか明らかにされていないとし、具体的な定義に欠けていると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、10月15日)

静岡銀行、CIMBバンクと提携でマレーシア進出を支援

【クアラルンプール=マレーシアBIZ】 静岡銀行(本店・静岡県静岡市)は12日、マレーシアの金融大手CIMBバンクとの間で、同日付けで業務提携契約を締結したと発表した。

マレーシアに進出済み、あるいは進出を検討している静岡銀行の顧客企業に対し、CIMBの金融サービスを提供することで支援体制の強化を図る。CIMBは、日本語が堪能なスタッフを配置したジャパンデスクを有しているため、現地で日本語によるサービスを受けることが可能となる。また、CIMBから、マレーシアで事業を展開するために必要となる外貨管理制度や法令、ハラル(イスラムの戒律に則った)認証などの情報を迅速かつタイムリーに入手できるようになるという。

静岡銀行では、6 つの海外拠点と 16の提携金融機関とのネットワークを活用し、顧客企業の海外事業展開の支援に取り組んでいる。また、CIMBは、静岡銀行がインドネシアで提携するCIMBニアガ銀行を含む CIMB金融グループ企業を統括しているため、今後は、同グループ内企業との協業も可能となるなど、海外でのサポート体制の拡充を見込んでいるという。

ロームワコー、マレーシア工場で新棟が完成

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 電子部品のローム・ワコー(本社・岡山県笠岡市)は13日、クランタン州コタバルにあるグループ製造子会社、ローム・ワコー・エレクトロニクス(マレーシア)(RWEM)の工場に建設していた新棟が完成し、竣工式を行ったと発表した。

新棟は地上3階建てで、建築面積は9,860平方メートル、延床面積は2万9,580平方メートル。今後、製造装置の導入を進め、2024年10月より稼働予定で、RWEM全体の生産能力は最終的に約1.5倍になる見込みだ。

RWEMはこれまでダイオードやLEDなど小信号デバイスを中心に生産していたが、新棟ではアナログICの注力商品の一つである絶縁ゲートドライバの生産を開始する予定だ。需要が拡大する絶縁ゲートドライバICを中心にアナログICの生産能力を強化する。

RWEMの生産能力強化を図るとともに、BCM(事業継続マネジメント)の観点からアナログIC生産工場の多拠点化を推進する。省エネルギー技術を用いた設備を導入し、環境負荷軽減(従来比CO2 約15%削減見込)に努めるとともに、最新の各種災害対策を導入することによりBCM体制の一層の強化を図る。

ローム・ワコーは、絶縁ゲートドライバは、IGBTやSiCといったパワー半導体を最適に駆動させるためのICで、電気自動車や産業機器の省エネ、小型化を実現する上で重要な役割を果たすため、需要の拡大が期待されるとしている。

なおRWEMは、2024年1月に社名をローム・エレクトロニクス(マレーシア)に変更する。

MYエアライン運航停止、12.5万人に影響か

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新興格安航空会社のMYエアラインが12日に突如、「深刻な財務問題」を理由に運航を停止すると発表した問題で、同日だけで5,000人の利用者に影響が出たことが分かった。

空港運営会社、マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)によると、MYエアラインの事業停止発表により12日は国内線39便とバンコク線が運休となり、5,000人が影響を受けた。

アンソニー・ローク運輸相は、MYエアラインから提供された来年3月までの航空券販売情報に基づくと、影響を受けている航空券購入者は12万5,000人と推定され、被害額は推定2,000万リンギに上ると指摘。「MYエアラインはマレーシア航空委員会(Mavcom)に対して払戻しを約束している」とした上で、Mavcomに対しては対策本部を設置するよう求め、中央銀行バンク・ネガラにはすべての購入者が確実に払い戻しを受けられる仕組みを模索するよう促す方針だと述べた。

ローク氏はまた、MYエアラインの航空運送事業サービス許可(ASL)のステータスを決定するための会議を、Mavcomが早急に開催する方針だと述べた。

米マイクロン、ペナンに第2工場を開設

【バトゥ・カワン】 米半導体大手、マイクロン・テクノロジーは13日、ペナン州のバトゥ・カワン工業団地に2カ所目となる組立・テスト施設を開設した。同社のペナンにおける新工場設立は、2015年にプライ工業団地に最初の工場を設立して以来となる。

マイクロン・テクノロジーは、昨年12月にペナンにおける第2工場設立計画を公表しており、それによると投資額は10億米ドル(44億リンギ)(削除)で、工場の総面積は150万平方フィートに拡大する。

マイクロンのNAND運用組立・テスト担当のアマルジット・サンドゥ副社長は、新施設の開設によりサイクル・タイムを短縮し、高品質の製品を大規模かつ納期通りに顧客に提供できるようになると述べた。

開所式に出席したチョウ・コンヨウ州首相は、マイクロン・テクノロジーが第1、2工場を合わせて累計20億米ドル(94億6,000万リンギ)(削除)を投資し、合計4,500人分の雇用を創出したと賞賛し、マイクロンによる将来的な投資拡大に期待を示した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、10月13日)