格付のMARC、来年のマレーシア経済成長を4ー5%と予想

【クアラルンプール】 格付会社のマレーシア・レーティング・コーポレーション(MARC)は、2024年のマレーシア国内総生産(GDP)について、4.2%成長すると予想される(今年は1.4%と予想)製造業が牽引役となって4ー5%成長するとの予想を示した。

MARCは、政府が今年発表した、化学産業ロードマップ(CIR2030)、国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)、新産業マスタープラン(NIMP2030)などの経済計画と並行して、産業空洞化への懸念の中にあって、2024年度予算案では高成長・高価値 (HGHV) 分野のさらなる開発を目指していると指摘。再投資に対する税制優遇措置、投資家向けのビザ自由化計画、技術・職業教育と訓練に対する産業界の理解促進、電気・電子製品向けの新たなハイテク産業集積地域の開発などの取り組みにより、HGHV化実現への期待が高まるだろうと述べた。

またMARCは、開発目標と同時にマレーシア政府が自動化促進のための税制優遇措置の拡大、テクノロジーを活用した外国人労働者への依存軽減の奨励、起業家育成、人的資本の向上、インフラ投資を通じた実質生産性の向上に引き続き取り組んでいると指摘した。
(ベルナマ通信、10月16日)

糖尿病対策で砂糖税を10セン引き上げ、来年度予算案

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は13日に発表した2024年度予算案で、砂糖入り飲料に課す物品税(砂糖税)を1リットルあたり40センから50センに10セン引き上げると述べた。

砂糖税は2019年より導入されているが、現在も砂糖の摂りすぎが糖尿病や肥満などの原因になっているため、課税を強化した。砂糖税で得られた収入は、透析センターへの支援など、糖尿病対策や治療のために用いられるとしている。
発表を受け医療専門家は、一定の評価はできるとする一方、政府に対しさらに踏み込んだ対策を求めている。

マレーシア医師会(MMA)のアジザン・アブドル・アジズ会長は声明で、砂糖税の引き上げは、砂糖の大量消費を抑制するための第一歩となるが、政府はそれに加え、不健康なライフスタイルから引き起こされる慢性疾患の増加に対して包括的に取り組み、政策を通じて健康的なライフスタイルを奨励すべきだと述べた。

独立系シンクタンク、ガレン健康・社会政策センターのアズルル・モハマド・カリブ最高責任者も同意見で、砂糖税で得られた収入は、病気の治療ではなく予防に集中的に振り向けられるべきだとしている。

リー・ブンチェ元副保健相は、健康的な生活習慣を国民に教育する必要性を強調。課税による価格上昇で砂糖入り缶飲料の摂取を控えるようになっても、ビスケットなどのお菓子やテー・タレ(甘いミルクティー)に切り替えるようならば効果が台無しになるとし、保健省が地方自治体の診療所や住民団体と協力し、国民の健康状態を把握する取り組みを行うことを提案した。保健所の指導のもと、ライフスタイルの修正を提案できるようになるとしている。
(マレー・メイル、10月14日、13日、フリー・マレーシア・トゥデー、9月21日)

経営危機のMYエアライン、90日間の事業許可停止処分に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新興格安航空会社のMYエアラインが12日に突如、「深刻な財務問題」を理由に運航を停止すると発表した問題で、マレーシア民間航空局(CAAM)は16日、MYエアラインに対する航空運送事業許可(AOC)を90日間停止したことを明らかにした。

CAAMは声明の中で、CAAMへの事前通知なしに運航を突然停止したことは、マレーシアにおける公共の安全と民間航空運航の健全性に重大な懸念を引き起こしたと指摘。「MYエアラインの運航能力を再評価するため、AOCの一時停止期間中に詳細な安全監査が実施される」と述べた。

MYエアラインは運航を停止する直前に2年間のAOCの更新が認められていたが、これについてCAAMは、2023年5月29日から2023年6月1日までMYエアラインに対する安全監査を実施したが、その際には経済的困窮を示す所見はなかったと釈明している。

MYエアラインの暫定責任者、アズハルディン・アブドル・ラーマン取締役は、運航停止の影響を受けた航空券購入者は約12万5,000人で、返金額は最大で2,200万リンギに上ると述べた上で、返金作業は新たな出資者が見つかって入金が行われた後になるとの考えを示した。アズハルディン氏によると、出資予定者が直前になって突然出資を取り止めたため、運航停止せざるを得なかったという。

MYエアラインは再建に向けて出資者を模索しており、オーナーである実業家のゴー・ファンファ氏は全株式を手放す用意があるとされる。MYエアラインが昨年10月に発表したリポートによると、ジリオン・ウェルスとトリリオン・コーブ・ホールディングス(どちらもゴー氏が所有)が株式のほとんどを保有している。

飲食店のマレーシア進出を支援、ラバブルなどが合弁会社設立

【クアラルンプール】 マーケティングを手掛けるラバブルマーケティンググループ(本社・東京都港区)は16日、日本の飲食店のマレーシア進出を支援する合弁会社、テイスト・フード・ジャパンを設立したと発表した。

テナントのトータルコンサルティングを行うヴィダ・コーポレーション(本社・東京都渋谷区)、店舗仲介を手掛けるプログレッソ・ディレクション(本社・東京都中央区)、飲食店運営のザクロス(本社・東京都文京区)と共同で設立したもので、マレーシアにおける「お試し出店サービス」の展開を促進させる。資本金は100万リンギ。

ラバブルはすでにヴィダ、プログレッソと協業で8月に「お試し出店サービス」を開始しており、初のプロジェクトとして10月6日から6カ月間の期間限定で「伝説のすた丼屋」(運営会社・アントワークス)をクアラルンプール(KL)の「ロット10」にある「ジェーズ・ゲート」内にオープンしている。

レカム、中国企業とマレーシア合弁会社設立で合意

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 情報通信機器のレカム(本社・東京都渋谷区)は16日、中国・杭州実在智能科技(インテリジェンス・インディード)とマレーシアにおける共同事業を開始するために合弁会社を設立すると発表した。

レカムと実在智能科技は、マレーシア国内において同社ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)サービスを提供するための合弁会社を設立する。資本金は100万リンギで、レカムが49%、実在智能科技が51%出資する。新会社は、実在智能科技が行うRPAサービスの中国語版・英語版をマレーシア国内企業に提供する。

レカムの既存マレーシア子会社を販売会社として、新会社より独占販売権を取得し、2024年1月以降、サブスクリプションや卸売などの様々な提供モデルを模索しながら、直販や代理店チャネル経由で販売開始する。

実在智能科技は急成長を続けているRPAサービスのリーディングカンパニーで、レカムとはすでに日本で業務提携を行ってきた。レカムがマレーシアにおいて子会社3社を展開している背景から、実在智能科技の第2弾の海外展開戦略としてマレーシアでの合弁設立を決めた。