レアアース原料輸出禁止へ、国内産業促進に向け=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は11日の下院議会で、資源の流出を防ぎ国内産業を促進するため、国産の希土類元素(レアアース)原料の輸出を禁止する方針であることを明らかにした。ただ禁止時期については言及を避けた。

アンワル首相は、輸出禁止措置により資源の搾取と損失が回避され、国に最大の利益が保証されるとした上で、「国内での原料加工が促進され、国に追加の収入がもたらされるだろう」と言明。レアアース産業において上流、中流、下流部門を統合した詳細かつ包括的なビジネスモデルが作り出されるだろうとし、「レアアース産業が持続可能で環境に優しい非放射性レアアース(NR-REE) をベースとした新たな持続可能な成長源として浮上するだろう」と述べた。

アンワル首相は、レアアース産業が2025年までに国内総生産(GDP)に95億リンギの貢献をもたらし、7,000人分の新規雇用を創出すると予想されていると言明。また持続可能性と責任の原則に基づいて鉱業の包括的な発展を推進するため、国家鉱物政策を起草すると述べた。

マレーシアのNR-REEについては、ニック・ナズミ天然資源環境気候変動相が6月、推定埋蔵量が1,610万トンで推定市場価値は8,096億リンギに達すると明らかにしていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月12日、フリー・マレーシア・トゥデー、ロイター、9月11日)

ハラル見本市2023、ジェトロが公式パートナーとして出展

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所は、9月12ー15日の日程で開催されるマレーシア最大のハラル(イスラムの戒律に則った)製品見本市「マレーシア国際ハラルショーケース(MIHAS)2023」に日本食品サンプルショーケースを出展する。

ジェトロはMIHASに初めて公式パートナーとして参画し、主催者が今回初めて設置する「ジャパン・パビリオン」に日本食品サンプルショーケースとして出展する。

マレーシア食品市場でニーズの高い菓子類(ナッツ、プリン、クリームパン、大福)、飲料(抹茶、緑茶、ほうじ茶)、加工食品(レトルト食品、プラントベース食品、麺類、水産品)、業務用調味料(ソース、つゆ、醤油、味噌)などハラル認証を取得した20社・80商品のサンプルを展示・紹介する。商品提案、試食提供、オンライン商談などを通し、ハラル認証を取得した日本食品のマレーシアおよび世界のムスリム市場への参入を支援する。

同パビリオンにはジェトロのブースのほか、5社が日本産フルーツジュース、お茶、栄養補助食品、スイーツなどを出品する。

昨年のMIHAS2022には32カ国から620社が出品し、90カ国から3万人以上が来場。成約額は5億米ドルを超えた。

第12次マレーシア計画中間レビュー発表、150億リンギを追加

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相は11日、第12次マレーシア計画(12MP、対象期間2021ー2025年)の中間レビューを下院議会で発表。150億リンギを追加で割り当てると明らかにした。

アンワル首相は、12MPで掲げられた175の目標のうち、現時点で31%がすでに達成され、59%が予定通りに進捗していると説明。12MP全体の開発予算4,000億リンギのうち、これまでの支出額は、2021年に643億リンギ、2022年に716億リンギと全体の34%にとどまっているが、150億リンギを新たに追加することにより、2023ー2025年に毎年900億リンギを支出していく予定だとした。用途としては、貧困の撲滅、老朽化した学校や診療所の補修、清潔な水の供給、イスラム経済の先導など、基本的なインフラ整備や国民の基本ニーズに応じることからスタートするとしている。

アンワル首相はまた、2025年までに▽国際規格「ISO 37122:2019(持続可能な都市とコミュニティースマートシティの指標)」に基づき、5主要都市に対するスマートシティ認定を取得▽洪水対策としての都市排水システム改善▽農民の所得向上に向けた農業近代化▽年間国内総生産(GDP)成長率5%以上▽財政赤字をGDPの3.5%まで縮小ーーを目指すと述べた。

米テスラ、マレーシア市場向けにグッズのオンライン販売を開始

【クアラルンプール】 電気自動車(EV)メーカーの米テスラは、マレーシア市場向けにカーアクセサリーやグッズのオンライン販売を開始した。

マレーシアで販売されるクロスオーバー・スポーツ車(SUV)「モデルY」を対象とした、後部座席の内張り材やペット用シートカバー、サンシェード、「モデルY」という文字がLEDで光るドアシル(バッテリー内蔵のため電気配線不要)、専用アプリ以外でロックを解除できる追加キーカードなどが購入可能となっている。

Tシャツや帽子、ソックスなどの衣料やタンブラー、マグカップ、ブランケットなどのグッズも販売。その中には、テスラの高速DC充電器「スーパーチャージャー」を模したUSBケーブル・オーガナイザーや同EVピックアップトラック「サイバートラック」を模したホイッスルなども含まれている。
(ポールタン、9月8日、テスラ発表資料)

ゲマスージョホールバル間電化複線化工事、完成は2025年に

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は、ゲマスージョホールバル間のマレー鉄道電化複線化について、進捗度が92%に達しており、2025年までに完成する見通しだと明らかにした。

ローク運輸相は、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染拡大の影響で工事が何度も遅延したが、現在は順調に進んでおり、早期の完成を願っていると述べた。

同工事は、95億リンギを投じ、ネグリ・センビラン州ゲマスとジョホール州ジョホールバル間を電化複線化するもので、総長192キロメートル(km)、駅舎数は11駅。完成後にはKLセントラル駅からJBセントラル駅間を時速140km、3時間30分で結ぶ見込みだ。当初は昨年10月までに完成する予定だった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月8日)

起業家協会、日本のツバメイータイムと提携で電動バイク技術導入

【プトラジャヤ】 若手起業家を支援するサホカ(Sahoca)起業家協会(SEA)は、電動バイク技術導入に向け、イーモビリティ開発・製造・販売のツバメ・イータイム(本社・山口県岩国市)、不動産のジェイウィル(本社・大阪市中央区)、日本・マレーシア協会(Kemeja)との間で、覚書(MoU)を締結した。

ツバメ・イータイムは、マレーシア子会社であるAAHツバメ との間で合弁会社(JV)を設立し、電動バイクの設計・技術の提供や運営管理を行う。

MoU締結式に立ち会ったマハティール・モハマド元首相は、今回の提携はマレーシアの海外直接投資増加と二酸化炭素排出量の削減に貢献するとし、地元起業家は日本の技術から学ぶべきだと述べた。日本人から労働倫理を学び、従業員や次世代に伝え、共有することが将来の成功の礎となるとしている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、9月9日)

ジェトロ、アジア経済研究所と10月にウェブセミナーを開催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所は、ジェトロ・アジア経済研究所と共同で、10月10日にマレーシアの政治経済の最新事情などに関するウェブセミナーを開催する。

「分断リスクに向き合う国際ビジネスの現状(ジェトロ年次報告より)およびアンワル政権発足1年を迎えるマレーシア政治経済最新事情」と題するセミナーは2部構成で、1部では、国際貿易・投資秩序の揺らぎに焦点を当てたジェトロ報告2023年版に基づき、各国企業の海外展開や成長産業に集中する投資の状況、経済安全保障を動機とする規制の広がりや増加するコスト、人権・環境分野の政策形成と企業に求められる対応について着目点を概観する。

2部ではジェトロ・アジア経済研究所が、マレーシアの政治経済の最新事情と今後について解説する。「マレーシアBIZナビ」ウィークリーの連載でおなじみの熊谷聡氏が 「マレーシア経済の中長期的見通しと課題」、中村正志氏が 「アンワル政権の特徴と今後のマレーシア政治の行方」と題して講演する。

参加申し込みはURL(https://www.jetro.go.jp/form5/pub/mak/231010r)より。締め切りは10月5日。

ジョホール州の下院・州議会補選、いずれも与党連合が圧勝

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 9月9日に投開票が行われたジョホール州下院1選挙区および州議会1選挙区の補欠選挙は、いずれもアンワル・イブラヒム首相率いる与党連合・希望同盟(PH)が議席を守った。8月に行われた6州同時州議会選挙で大幅に議席を減らしたPHだが、ようやく踏みとどまった格好だ。

下院議会プライ選挙区補選は、PHが擁立したスハイザン・カイアト氏(国民信任党=Amanah)が得票率61.54%で、野党連合・国民同盟(PN)が擁立したズルキフリ・ジャーファル氏(統一プリブミ党=PPBM)、無所属のサムスディン・マハマン・ファウジ氏を破った。

シンパン・ジェラム選挙区補選はPHが擁立したナズリ・アブドル・ラーマン氏(Amanah)が得票率56.54%で、PNが擁立したモハマド・マズリ・ヤハヤ氏(汎マレーシア・イスラム党=PAS)、無所属のS.ジェガナタン氏を破った。

補欠選挙は、故サラフディン・アユブ国内取引物価相(Amanah)の死去に伴って行われたもので、サラフディン氏は7月23日にケダ州アロースターの病院で脳出血のため亡くなった。

循環経済推進で国家委員会を設立、都市ごみ問題に対処

【プトラジャヤ】 ンガ・コーミン地方行政開発相は7日、国家循環経済委員会(NCEC)の設立を発表した。主に都市で排出される固形廃棄物の問題に対処するための委員会で、循環型経済への移行を推進する。

会見でンガ氏は「循環経済に移行することで製品寿命が延び、廃棄される資源が減る」と意義を述べた。

ンガ氏によると、消費された資源を再利用することなく廃棄する直線型経済では資源枯渇につながり、環境への負荷も大きいという。

NCECは、▽リサイクルされた資材の需要掘り起こし・市場開発▽設計による製品寿命の最適化▽廃棄物の分別収集ーーなど6つの要素を柱にする。地方行政開発省は必要な基盤および奨励措置を提供する。

同省が固形廃棄物管理のための青写真を策定し、NCECが行動計画の調整、監督に当たる。青写真の策定に当たっては民間の意見を取り入れる。立法措置も講じる。

ンガ氏は、循環型経済の推進により再利用品の需要が増加し、新たな事業機会が生まれると経済全体への好影響を指摘した。

廃棄物の再利用率は15年が15%だったが、現在は33.17%。25年の政府目標は40%。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月8日)

ペトロナス傘下ジェンタリ、クチンにEV充電施設を設置

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のクリーンエネルギー子会社であるジェンタリは、完全子会社であるジェンタリ・グリーン・モビリティを通じ、サラワク州営電力会社のサラワク・エナジー(SEB)と提携し、電気自動車(EV)充電施設をサラワク州クチンに設置した。

設置場所はクチンの複合施設「ICOMスクエア」。充電器は3基で、そのうち2基は180キロワット(kW)のDC急速充電が可能となっている。9月中は試験運用を実施し、24時間365日運用する。

ジェンタリ・グリーン・モビリティは7月にEV充電スポット管理アプリ「ジョムチャージ」を提供するEVコネクションおよび石油・ガス(O&G)のインソン・ホールディングス完全子会社であるインソン・グリーン・テクノロジー(M)と提携し、3社の充電施設の横断利用を開始しており、クチンのジェンタリ充電施設利用者は、充電アプリの「セテル」と「ジョムチャージ」を通じて全国600カ所の充電施設も利用できるようになる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ボルネオポスト、9月7日)