政府サービス用アプリ「MyGovマレーシア」、7月から導入

【プトラジャヤ】 デジタル省は24日、政府サービスを統合したモバイルアプリ「MyGovマレーシア」を7月から導入すると発表した。

アプリは、公的デジタル身分証明書の「MyデジタルID」を通じた本人確認を経て使用する。当面は7つの主要サービスから開始され、パスポート申請、出生および市民権の登録、運転免許証および道路税の更新、医療予約、固定資産税および評価額などの住宅関連の手続きができるようになる。順次サービスの拡大が予定されている。

アプリは、行政機関の運営コスト削減と生産性向上を目的に、通信会社や銀行などの民間パートナーと共同で開発された。ゴビンド・シン大臣は「マレーシアをデジタル国家へと変革するという政府の計画の一環でマレーシア国民がさまざまな政府機関とシームレスにやり取りできるようになる」と述べた。

23日現在、MyデジタルIDには約260万人が登録している。
(ザ・スター、フリー・マレーシア・トゥデー、6月24日、報道発表資料)

サイド・サディク元青年スポーツ相、汚職裁判で逆転無罪判決

【プトラジャヤ】 若手リベラル政治家による政党、マレーシア統一民主同盟(MUDA)を率いるサイド・サディク被告(元青年スポーツ相)に対する汚職裁判の控訴審判決が25日にあり、控訴裁は同被告に対し逆転無罪を言い渡した。

同裁判は、サイド・サディク氏が2021年当時所属していた統一プリブミ党(PPBM)の青年組織(アルマダ)の責任者であった際、会計担当ラフィク・ハキム・ラザリ氏に指示して、資金約100万リンギを不正に引き出した罪で起訴された事件に関するもので、2023年に行われた一審の高裁判決はサイド・サディク氏を有罪として、禁固7年、罰金1,000万リンギ、ムチ打ち2回を言い渡していた。

控訴審では、サイド・サディク氏が資金引き出しの権限を有しており、また引き出した資金は正当な用途に使われたとする弁護側の主張を認め、ラフィク氏の証言に頼った検察側の主張は認められないと判断した。ラフィク氏は後に汚職摘発委員会(MACC)による苛烈な取り調べにより自身が虚偽の証言を行ったことを認めている。無罪判決を受けてサイド・サディク氏はMUDA党首に復帰する見通し。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、6月25日)

高級和牛のゼンリッチ、年間最多輸入量でASEAN記録達成

【クアラルンプール】 高級和牛の輸入を手掛けるゼンリッチ・アライドは、年間最多の日本産和牛輸入量を達成したとして、東南アジア諸国連合(ASEAN)におけるさまざまな記録の顕彰団体「ASEANレコーズ」の認定を受けた。

ゼンリッチは昨年、牛600頭分、19万2000キログラムを輸入した。宮崎、鹿児島、北海道などの生産者から直接仕入れを行っている。マレーシアイスラム開発局(JAKIM)と、日本の認証団体のハラル(イスラムの戒律に則った)認証を得た高級和牛を、マレーシアのホテルや焼き肉店などに提供している。

またゼンリッチは、初の直営店「Wagyu by La Moon」をクアラルンプール(KL)にこのほど開業。開業に合わせてASEANレコーズの認定式が行われ、日本政府観光局(JNTO)KL事務所の尾崎健一郎所長や、日本貿易振興機構(ジェトロ)KL事務所の高野光一所長らが出席した。

ゼンリッチは、創業者が日本留学中に和牛農業で働いたことをきっかけに、2015年に創業された。直営店の2号店を三井ショッピングパークららぽーとブキッ・ビンタンシティセンター(ららぽーとBBCC)に近く開業予定のほか、3号店も計画しており、今年は800頭以上の輸入を目指しているという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月25日、ASEANレコーズ発表資料)

輸入リンゴとオレンジ、改正売上税の対象から除外=アンワル首相

【プトラジャヤ】 連邦政府は、7月1日付けで適用範囲が拡大される売上・サービス税(SST)の対象から輸入リンゴとオレンジを除外することを決定した。アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)が明らかにした。貧困層や低所得者層(B40)への影響に配慮した。

アンワル首相は、25日の閣議でこの問題について議論したと述べた上で、自身では輸入果物を消費する必要はないと考えているものの、貧困層やB40の多くが価格が安いという理由で依然として輸入リンゴやオレンジを購入していることに配慮したと説明。輸入リンゴとオレンジを売上税の拡大対象から除外するのはむしろ合理的だとの判断を閣僚に伝えたと述べた。

財務省は以前、7月1日に施行されるSSTの適用範囲拡大は、国内の農業自給率を高めることによる食料安全保障強化を目的とした戦略的なものだと説明していた。売上税の範囲拡大においてはタラバガニ、サーモン、タラ、トリュフ、輸入果物、エッセンシャルオイル、絹織物、産業機械などの特定の非必需品が対象となっており、税率がゼロから5%に引き上げられる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、6月26日)

TNGeウォレットに、ペトロナスの給油所での支払い機能を統合

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)傘下のセトル(Setel)・ベンチャーズは、TNGデジタルと提携。TNGが運営する決済サービスのタッチ・アンド・ゴー(TNG)eウォレットのアプリに、セトル独自のポンプ&ペイ機能を組み込み、全国1,000か所以上のペトロナスの給油所でシームレスな支払いができるようになった。

セトルはこれまでペトロナスの給油所で使える独自のアプリを開発してきた。アプリ上で車を停めた給油機の番号や給油量を選び、支払いまで完結できるもので、今回、その機能をTNGeウォレットのアプリに統合。TNGeウォレットのアプリの「Petronas via Setel」から利用できる。

セトルのアブドラ・アイマン・アワルディン最高経営責任者(CEO)は「今回の提携により、シームレスなモビリティと小売体験を提供するという当社の目標をさらに推進することができた」としている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、カーシフ、6月23日)

配車のグラブ、KLIA予約送迎にEV導入

【セパン】 配車サービス大手のグラブ・マレーシアは24日、クアラルンプール新国際空港(KLIA)の送迎専用で電気自動車(EV)予約サービスを開始した。

新サービスのため、比亜迪汽車(BYD)の7人乗り多目的車(MPV)「M6」10台が導入された。アプリの空港送迎の予約オプションから、「EV専用」が選べるようになる。専用のEVラウンジ(レベル3)も導入された。料金は、KLIAから市内中心部まで同種の車で105リンギの時間帯に、EVを選ぶと134リンギと、やや割高になるという。

このサービスはグラブと、▽BYDの正規販売代理店のBYDサイム・モーターズ▽インソン・ホールディングス傘下のインソン・グリーンテック▽シンガポールの電気自動車(EV)充電設備企業パワーアップ・テック――の4社の提携で実現した。今後、ほかの国内の主要空港でも普及させていくという。

この日は、アンソニー・ローク運輸相らが出席のもと、サービス開始の式典が行われた。グラブ・マレーシアのカントリーオペレーション&モビリティ担当ディレクター、ラシッド・シュコール氏は「KLIAのような認知度と需要の高い路線を優先することで、EVの実用性と快適性を実証し、利用者の認知度を高めていきたい」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、ポールタン、6月24日)

全日空、マレーシアなどからの訪日客サービス向上で2社と提携

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 全日本空輸(ANA、本社・東京都港区)は24日、マレーシアなどアジアからの訪日観光客へのサービス向上のため、オンライン専業旅行代理店のトリップドットコム、日本情報発信メディアを運営するマイクロアド(本社・東京都渋谷区)の2社との連携をそれぞれ発表した。

トリップドットコムとの連携は、ANAのウェブサイトと同様のサービスを、日本発だけでなく、マレーシアを含めたアジア12カ国発に関してもトリップドットコム上で提供できるようにするもの。航空券を公式サイトと同じ運賃で予約・発券できるだけでなく、基本的な変更・払戻の手続きなども可能になる。

これは、NDCと呼ばれるIATA(国際航空運送協会)の新しい通信規格を利用するもので、ANAの近藤寛之グローバルセールス部長は「顧客ニーズに応じた利便性の高い運賃やサービスを国内外のお客様に提供できるよう、引き続きNDC接続による販売網を拡充していきたい」としている。

また、マイクロアドとの提携では、「ジャパホリック」のクーポンサイトを、クアラルンプール新国際空港(KLIA)のANAの搭乗カウンターで案内する。ジャパホリックは主にアジア圏の親日女性をターゲットに、ショッピングやファッション、美容情報などを多言語で発信している。マイクロアドはインドネシアでも同様のサービスを行っており、今後、他国でも展開していくという。

KL市が新たな15カ年計画を発表、容積率インセンティブを導入へ

【クアラルンプール】 クアラルンプール市政府(DBKL)は24日、新たな15カ年開発計画「KL地域計画(PTKL2040)」を発表した。建物の規模と高さの制限を設定し、2040年までに都市の改善を目指して容積率インセンティブを導入する。

廉価住宅や交通機関に近いプロジェクトのためのスペースを拡大し、都市と低層地域を保護するために規模と高さの制限を設ける。同計画に基づき、都市の人口密度を管理し、古い地域の改善を図るため、一定の条件を満たす開発業者が通常よりも多くの床面積を建設できるようにする新たな容積率インセンティブを導入する。同インセンティブは再開発、土地区画の統合、交通至便型プロジェクト、そして手頃な価格の住宅を組み込んだプロジェクトを対象とする。

市内中心部の商業地区の容積率を1:10に制限し、主要な商業及び複合用途地区は最大1:8に制限する。建物の高さ制限に関しては、中心業務地区(CBD)や特定の商業エリアに高層ビルを集中させることで、都市の広がりを抑え、効率的な土地利用を進める。一方、住宅や小規模な商業エリアでは高層ビルの建設を制限し、より人間的スケールの都市環境実現を目指す。

また市内の既存工業団地における投資促進を強化し、環境、適切なインフラ、施設の整備を強化する。クリーンテクノロジー産業への新規投資家の誘致と、既存の起業家による各産業における技術革新の向上を奨励する。現在KLには29の工業団地があるがうち8カ所は工業団地として維持するには不適切で、13カ所は維持・改良される対象だとし、7カ所は複合用途工業団地として1カ所はハイテク工業団地としてそれぞれ再開発される可能性があるとしている。DBKLは2040年には工業事業所数が1万3,310カ所、総床面積は約124万平方メートルに拡大すると予測している。

PTKL2040のテーマは「すべての人々のための都市」で、191の具体的なイニシアチブを提案している。中核をなすのは効率的なモビリティと環境に優しい都市空間の創出で、特に公共交通機関の利用促進に重点を置いている。DBKLは、2040年までに市内居住者の70%が公共交通機関を利用する目標を掲げており、徒歩400メートル内で様々な場所を移動できる交通網の構築を目指すとしている。

アンワル・イブラヒム首相は市民の進化するニーズに合致するよう徹底的に刷新されたと述べ、特に低所得層40%(B40)と中間所得層40%(M40)を優先するアプローチを強調した。DBKLのマイムナ・モハメド・シャリフ市長は、商業施設の床面積が約7,400万平方メートルに拡大すると見込んでおり、都市経済の成長を支え、最大120万人の雇用機会を創出すると期待していると述べた。またDBKLは2040年までに廉価住宅30万5000戸の開発も計画しているとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、6月24日)

国際協力銀行、太陽鉱工のマレーシア法人に協調融資

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国際協力銀行(本社・東京都千代田区、JBIC)は23日、太陽鉱工(本社・兵庫県神戸市)のマレーシア法人、太陽鉱工マレーシア(TKMSB)との間で、融資金額30億円を限度とする貸付契約を締結したと発表した。

今回の融資は、日本の民間金融機関との協調融資により実施するもので、協調融資総額は92億円。TKMSBがパハン州において実施する使用済み脱硫触媒からのモリブデンおよびバナジウムの分離回収事業に必要な資金を融通する

太陽鉱工は1949年に兵庫県で設立された非鉄金属類の製錬を主業とする中小企業で、モリブデンおよびバナジウムの製錬、販売を主体に、レアアースやジルコニウム、セラミック原料などのマテリアルの開発・製造を行っている。同社は使用済み脱硫触媒を引き取り、当該廃触媒からモリブデンおよびバナジウムを回収して再利用する事業の開始に伴いTKMSBを設立した。

JBICは太陽鉱工への協調融資について、太陽鉱工の海外事業展開支援を通じて、マレーシアの循環型社会構築に貢献するとともに、地球環境保全に資するとしている。

IHG、マレーシア初ブランドのvocoを来年末にクチンに開業

【クアラルンプール】 英国系IHGホテルズ&リゾーツは17日、サラワク州にホテル「voco(ボコ)クチン」を2026年末に開業すると発表した。同社プレミアムブランドのvocoのマレーシア初進出になる。

同ホテルは全321室で、クチンの中心部から車で15分、クチン国際空港から5分の場所に位置する。1,300人収容可能な宴会場を含め2,400平方メートル以上の会議室なども備える。

vocoは、2018年に創設されたブランドで、2022年開業のシンガポール、翌年開業の日本・大阪をはじめ、現在25カ国超で100軒のホテルを展開し、急成長している。今年後半にはタイにも初進出が予定されており、さらに95軒の計画を含め東南アジアなどでの事業拡大を目指していく。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、6月19日)