ペナン新フェリーサービス、開業17カ月で利用者500万人達成

【バターワース】 ペナン港の運営会社、ペナン・ポート(PPSB)は、2023年8月7日の開業以来、ペナン島と本土を結ぶ新造フェリーの利用者数が累計500万人を達成したと発表。4月30日にパンカラン・スルタン・アブドル・ハリム(PSAH)フェリーターミナルで記念式典を開催した。

PPSBのV・サセダラン最高経営責任者(CEO)によると、500万人の利用者のうち74%にあたる370万人は徒歩の乗客で、残りの24%(130万人)は二輪車(オートバイ及び自転車)利用者だった。利用者の約95%は通勤客で、5%は観光客で占められた。今年の年初3カ月間の乗客総数は前年同期の70万353人から6%増加し、74万705人に達した。

サセダラン氏は、運航コストの高さからフェリー事業はまだ利益を上げていないとした上で、利用者の増加によって赤字が徐々に減っていくとの楽観的見方を示した。今後は高速電車運行サービス(ETS)のダイヤに合わせて運行スケジュールを変更するなど、マレーシア観光局と協力してペナン州を訪れる観光客にフェリーの存在をアピールする方針だという。

2023年に就役した4隻の新造フェリーは、ピーク時には20分間隔、オフピーク時には30分間隔で、1日68往復運航している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、5月5日)

ジェトロ、脱炭素分野でマレーシアへの投資増加を予想

【クアラルンプール】 日本貿易振興機構(ジェトロ)は、脱炭素分野を中心に今年の日本からマレーシアへの投資がさらに増加すると見込んでいる。ジェトロ・クアラルンプール事務所の高野光一所長が国営「ベルナマ通信」のインタビューで見解を述べた。

高野所長は、ジェトロとマレーシア日本人商工会議所(JACTIM)が共同で実施した2025年度の日系企業アンケート調査結果に基づいて説明。2024年下期の業況判断DIはマイナス11.5と、前年下期のマイナス22.1から改善し、さらに2025年にはマイナス4.5ポイントへの改善が予想されるとした。

また、今年はマレーシアで、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に続き、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳会合も開催され、脱炭素化分野に関して注目が高まると指摘。再生可能エネルギーや、二酸化炭素回収・貯留(CCS)、水素などのプロジェクトが一層活発化する可能性を示した。そのほか、石油・ガス、半導体、バイオテクノロジー、ヘルスケア分野などへの投資の増加が見込まれるとした。

米国による関税措置による世界経済の不確実性にも触れ、ASEAN内で議論に向け、マレーシア政府のリーダーシップに期待。日系企業アンケートから「環境・社会・ガバナンス(ESG)関連投資の明確化、税制優遇措置の拡充、規制変更時の徹底した事前通知に対する強い要望がある」と付け加えた。
(ベルナマ通信、5月5日)

ペトロナスはサラワク州法違反、両者の関係が悪化

【クアラルンプール】 サラワク州政府は国営石油会社ペトロナスの上流部門、ペトロナス・チャリガリがガス配送に関する州法に違反しているとして、4月30日付で警告文書を出した。州法では天然ガスの配送に関し、ガスパイプラインなどガスの配送のための装置、機器の建設、管理、維持について規定している。

州法違反とされたのはペトロナス・チャリガリがミリで運営するプラントで、同社は許可なくプラントを操業していると州は主張。同日から21日以内に操業を停止しない場合、罰金を科すとした。これに対しペトロナスは、チャリガリは連邦法の石油開発法に基づきプラントを運営していると反論。「ペトロナスは国益を守る義務がある」とした。

サラワク州にある石油・ガス資源をめぐっては、州は所有権を主張する姿勢を強めており、最近も州営石油会社のペトロスが天然ガス供給をめぐりペトロナスに支払いを求める訴訟を起こしている。

今回の紛争についてロンドン訪問中のアバン・ジョハリ州首相はアンワル・イブラヒム首相から連絡を受けた。アバン・ジョハリ氏は「石油・ガス収入は公正に分配されるべき」との立場だ。アンワル氏はアバン・ジョハリ氏の帰国を待って政治決着を目指す。
(エッジ、マレーシアン・リザーブ、5月2日、バイブズ・ドットコム、5月4日)

マレーシアのハラル製品輸出額、昨年は15%増の618億リンギ

【クアラルンプール】 マレーシアのハラル(イスラムの戒律に則った)製品輸出額は2024年に617億9,000万リンギに達し、前年の537億2,000万リンギから15%増加した。「第21回マレーシア国際ハラルショーケース(MIHAS)2025」の発表式典でザフルル・アジズ投資貿易産業相が明らかにした。

ザフルル氏は、マレーシアが世界イスラム経済指標ランキングでサウジアラビア、インドネシア、アラブ首長国連邦を抑え、10年連続でトップの座を維持していると指摘。「マレーシアの強みはイスラム金融、ハラル食品、メディアと娯楽にある。ハラル産業はマレーシアの国内総生産(GDP)への貢献度が大きく、2030年までにGDPの10.8%、額にして2,310億リンギに達すると予測されている」と述べた。
またザフルル氏は、ハラル製品の世界需要が現在3兆米ドルを超え、2030年までに5兆米ドルに増加すると予想されているとして、世界的に魅力的な産業となっていることを強調した。

「MIHAS2025」は9月17―20日の日程でマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)で開催される予定。前回は2,100のブースが開設され、成約額は43億リンギに上った。
(ザ・スター電子版、エッジ、ベルナマ通信、5月1日)

KL―バンコク間の直通列車が年内復活へ=運輸相

【バンコク】 アンソニー・ローク運輸相は、クアラルンプール(KL)・バンコク間の直通列車サービスを今年中に復活させる意向を示した

2日にタイを訪問したローク運輸相は、バンコク、パダン・ベサル、バターワース、クアラルンプールを結ぶ既存の鉄道路線を利用するため迅速に開始できると指摘。マレーシア国鉄(KTMB)とタイ国鉄(SRT)に対して向こう3カ月間の準備期間を与えたと述べ、「新たな線路の建設は不要だが、両国間の調整、共同マーケティング、乗車券発行システムの共有化が必要になる」とした。

ローク氏は、タイのスリヤ・ジュンルンルアンキット副首相兼運輸相と会談。またバンスー中央ターミナルを視察し、タイの高速鉄道サービスに関する説明を受けた。

タイ当局からはタイのスンガイコロクとマレーシアのランタウ・パンジャン及びパシル・マスを結ぶ鉄道サービスの復活が提案され、ローク氏は歓迎の意を示した上で、線路が長らく使われていなかったため復旧工事が必要だとし、復活には一定の時間が必要との考えを示した。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、5月3日)

世界報道自由度ランキング、マレーシアは88位に上昇

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 5月3日の世界報道自由デーに合わせて「国境なき記者団(RSF)」が発表した2025年度版の「世界報道自由度インデックス」で、マレーシアは前年(107位)から19ランク上昇し、世界180カ国・地域中88位となった。

同ランキングは、▽政治▽経済▽法律▽社会▽安全ーーの5指標に基づいて報道の自由度をランキング化したもの。マレーシアは「安全」は67位から90位に下がったものの、「政治」は106位から92位、「経済」が82位から60位、「法律」は156位から133位、「社会」が119位から81位にそれぞれ改善した。

昨年の34ランクの大幅ダウンから一転し大幅アップとなった。最新のマレーシアのスコアは56.09で、前年の52.07から改善した。

RSFはマレーシアについて、「政治」と「法律」のスコアが引き続き低いレベルにとどまっていると指摘。当局が調査報道記者を付け狙っていたり、王室問題が人種や宗教に関する議論と同様に極めてデリケートな問題となっているとし、「王室を批判しているとみなされるいかなる論評や報道も訴追の対象となる可能性があり、この問題に関する自己検閲につながっている」と批判した。

東南アジアでトップはタイ(85位)で、ブルネイ(97位)、フィリピン(116位)、シンガポール(123位)、インドネシア(127位)、ラオス(150位)、カンボジア(161位)、ミャンマー(169位)、ベトナム(173位)となった。全体トップはノルウェーで、日本は66位だった。

22年の女性企業数は21.9万社で、国内経済の3.6%を生産

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局の4月30日の発表によると、2022年において女性が所有する企業は国内の総事業所数の20.1%にあたる21万9,015社で、総生産額は1,369億リンギとなり国内経済の3.6%を占めた。

「2023年経済センサス」に基づき、事業、不動産、その他の資産に対し、全額または一部を女性が所有する事業所を抽出した。前回の2015年の調査に比べ、女性企業事業所数の年間成長率は2.3%、総生産額では7.0%増となった。また、総生産額の増加に伴い、女性企業の総付加価値としては、年間6.5%の成長率で、614億リンギに達した。

部門別では93.6%がサービス部門で、総生産額の60.7%にあたる830億リンギを生み出した。製造業は女性企業数の割合では3.9%だったが、総生産額では前回から13.8%増と最も高い伸びを示した。

州別の女性企業数では、セランゴール州(15.9%)が最も多く、サバ州(10.4%)、クランタン州(8.9%)が続いた。付加価値でみると、セランゴール州が182億リンギ(29.6%)、次いでクアラルンプール市107億リンギ(17.4%)、ジョホール州74億リンギ(12.1%)となり、上位3つで全体の6割近くを占めた。

外国人納税者支部のサービスカウンター、5月2日より業務開始

【クアラルンプール】 内国歳入庁(IRB)は、外国人納税者支部(CPCA)サービスカウンターが5月2日から業務を開始すると発表した。CPCAは、クアラルンプールのジャラン・トゥアンク・アブドル・ハリムにある政府総合庁舎10号棟9階に開設される。

CPCAサービスカウンターの営業時間は、相談カウンターが月―金曜の午前8時から午後5時まで。e-予約サービスは月―金曜の午前8時から午後4時40分まで(予約枠の空き状況による)となっている。

CPCAは外国人納税者、非居住者、源泉徴収税に関する税務問題に重点的に取り組む組織として2025年1月1日に活動を開始した。IRBはサービスセンター設立がサービス効率を向上させ、外国納税者が税務関連サービスをより利用しやすくするための取り組みの一環だとした上で、外国税務問題への対応を合理化かつ専門化したアプローチにすることで、顧客満足度を大幅に向上できると述べた。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、4月30日)

卵の補助金を段階的に減額、8月の撤廃に向け=農業食糧安全省

【クアラルンプール】 農業食糧安全省は4月30日、現在の卵1個あたり0.1リンギの補助金を、5月1日から0.05リンギに減額し、8月1日からは完全に撤廃すると発表した。

卵をめぐっては、新型コロナウイルスの流行やロシア・ウクライナ戦争などの影響で生産コストが上昇したため、2022年2月から補助金による価格統制が行われてきた。しかし、今年のハリラヤ(断食月明け大祭)期間中の卵の流通状況などをもとに、鶏卵生産産業の安定性とコストの安定化について検討した結果、補助金の廃止を決めたという。2024年12月までで、25億リンギが投入された。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、4月30日)

医療機関・薬局に薬品価格の表示義務付け、5月1日から

【クアラルンプール】 薬品を販売、提供、投与するすべての民間医療機関および薬局は5月1日から、薬品の価格表示を義務付けられる。価格の透明性を確保し、消費者に価格比較の余地を与えるのが狙い。

価格表示の対象は、処方薬、店頭販売薬、伝統薬品、サプリ、調合薬などヒト向けの薬剤で、価格統制・不当利得防止命令に基づく措置。

保健省と国内取引物価省の共同声明によると、購入者の目に入るところに陳列されている薬品には値札を貼付しなければならず、購入者から見えないところにある薬品は価格表(カタログやデジタルディスプレーなど)で示さなければならない。違反の場合の罰金は、個人(医師、薬剤師ら医療提供者)が最高5万リンギで、法人が同10万リンギ。

施行から3カ月間は移行・啓発期間とし、執行官は順守を薬品提供・販売者に求める。薬品提供者の負担が増すとの懸念が医学会などから表明されているが、保健省は、保険金請求の際の薬品価格水増しの予防になるとの認識だ。
(エッジ、5月1日、マレーシアン・リザーブ、4月30日)