大阪万博は日馬の関係強化の絶好の機会=ジェトロ

【クアラルンプール】 日本貿易振興機構(ジェトロ)は、開催中の大阪・関西万博が日本とマレーシアの経済関係強化に向けた絶好の機会と捉え、脱炭素化、再生可能エネルギー、デジタル技術などにおける投資のさらなる拡大を見込んでいる。ジェトロ・クアラルンプール事務所の高野光一所長が国営「ベルナマ通信」のインタビューで見解を示した。

高野所長は、大阪万博を通じた投資が好調なことに触れながら、既存の信頼関係を強化することが、今後の両国の貿易関係の潜在能力を最大限に引き出すために最も重要なステップであるとした。

さらに、今年10月にマレーシアで開催予定の「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」首脳会議を踏まえ、協力は加速されるだろうと予測。マレーシアにおける日本の環境技術の適用機会拡大に向け、温室効果ガス削減に関する二国間クレジット制度(JCM)交渉の進捗にも期待感を示した。

ジェトロとしても脱炭素化に貢献する企業のカタログを作成するなど、日本企業のマレーシア市場への進出を積極的に支援していることを強調。また労働力問題は両国共通の課題で、人材育成などでも互いの長期的なコミットメント、継続的な対話、政策協調が重要とし、「今後も両国の協力の架け橋としての役割を担っていく」と付け加えた。
(ベルナマ通信、7月10日)

マハティール元首相が100歳、「権力で記憶されたくない」

【プトラジャヤ】 マハティール・モハメド元首相が7月10日で100歳を迎え、これに合わせて配信されたポッドキャスト「Dr. M」で政治家人生における過去の出来事を振り返り、現在の心境などを語った。

マハティール氏は首相になることを夢見たことは一度もなく、首相就任はタイミングと状況によるものだと説明。首相在任中、常に国民に奉仕し権力の濫用を避けることに尽力してきたと強調し、「国民に私の強大な権力で記憶されたくない。ただ国民により良い生活を与えたいとだけ希望している」と述べた。

また1998年のアジア金融危機の際に通貨リンギのペッグ制を敷いたことに触れ、国際的な批判をものともせず大胆な措置を取ったことは国を救うために必要だと判断したからだと説明。「国家危機においては、たとえ国際社会の意見に反することになっても迅速な行動を取らなければならない」とリーダーの心構えを示した。

さらに学生時代を振り返り、常にクラスでトップを目指し他の優秀な生徒と熾烈な競争を繰り広げていたと強調。「勉強で遅れを取っても諦めてはいけない。何度も復習しさらに努力しなさい」と若者にアドバイスした。

最後にマハティール氏は、国民からの祝福や贈り物に感謝の意を表し、生涯を通じて真実を語り続けると述べ、アンワル・イブラヒム首相からも100歳の誕生日を祝う手紙が届いたことを明らかにした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月10日)

DHLが5カ年工程表、”マレーシアは世界ネットワークに不可欠”

【クアラルンプール】 国際輸送・物流サービスのDHLは9日、この先5年間の事業工程表「2030年戦略」を公表。マレーシアはDHLの世界ネットワークに不可欠の構成部分で、貿易の流れや供給網の多様化の恩恵を受けられる戦略的位置にあるとマレーシアの重要性を強調した。

DHLは、電子商取引処理、国際貨物急送など主要部門のうち4部門の本拠をマレーシアに置いており、データセンター、シェアードサービス(間接部門の業務集約)ハブを利用し、後方支援業務も行っている。

同戦略でDHLは、マレーシアには競争力とビジネスの潜在性があるため、業務能力、サービスをさらに強化すると表明した。

米政権が発表したマレーシアに対する一律25%の関税について、ジュリアン・ネオ代表(マレーシア・ブルネイ地区)は「関税の影響は我々が考えるほど深刻ではない。アンワル首相は新たな市場開拓を進めており、マレーシア企業も追随すべきだ。東南アジアは人口6億8,000万人の巨大市場だ」と述べ、中小企業に進出を促した。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、7月9日)

家電のKHIND、月額サブスク「RTO」の対象商品を拡充

【クアラルンプール】 マレーシアの家電メーカーKHINDは8日、毎月定額制のサブスクリプション・プログラム「レンタル・トゥ・オウン(RTO)」の対象商品を、これまでの洗濯機から、冷蔵庫やアイロンなどに拡大すると発表した。

同社のRTOは、消費者が毎月定額料金で一定期間レンタルし、期間終了後にそのまま所有できるのが特徴。購入するよりやや割高になるものの、分割払いに比べ頭金・金利不要で、手軽に所有でき、アフターサービスなども充実している。例えば、購入すると3,500リンギの洗濯機を、RTOでは月額125リンギで36カ月間払い込み、別途、手数料として1リンギのみ必要になる。

今回新たに対象になった最新のマルチドア冷蔵庫は月額95リンギ、スチーム式アイロンは70リンギからとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月9日、KHIND発表資料)

米国の25%関税、対米輸出の5割を占めるペナン州が懸念

【ジョージタウン】 米国がマレーシアからの輸入品に25%の関税を課すと発表したことで、マレーシアの対米輸出の半分以上を担うペナン州で懸念が高まっている。

チョウ・コンヨウ州首相は、今年年初5カ月でマレーシアの対米輸出総額の55%に相当する520億リンギをペナンが占めたと言明。これらの輸出の大部分はペナンで事業を展開する米国の多国籍企業によるもので、主に完成品や部品を親会社に輸出していると述べた。

ペナンの対米輸出の77%は電気機械・機器で、特に半導体産業が大きな割合を占めている。半導体は現在関税の対象外となっているものの、25%の関税賦課は依然として経済リスクをもたらすと懸念される。輸出志向の強いペナン州経済に影響を及ぼすと予想されるという。また東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の貿易のダイナミクスを歪め、地域全体の将来の投資決定に影響を与える可能性があるという。

その上でチョウ氏は、「マレーシア政府は米国と継続的に協議を行い、関税率の引き下げ交渉を進めることが急務」と指摘。マレーシアの貿易競争力を維持するためには、非関税政策や貿易障壁への対処にも注力する必要があるとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、7月8日)

関税措置はマレーシア経済に悪影響、外相会議でアンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は9日、ASEAN(東南アジア諸国連合)外相会合の開幕式に出席後の会見で、米政権が発表したマレーシアに対する関税について「交渉団を米国に派遣し、貿易国であるマレーシアは関税でマイナスの影響を受けると説明した。米国との関係は維持しなければならないが、貿易国としてのマレーシアの立場も守る。このため関税率の再考を要請する」と述べた。

米国のルビオ国務長官がASEAN関連会議でマレーシアに来訪するため、10日に会談を持つという。

外相会議開幕式でアンワル氏は「大国が常に貿易を形作ってきたが、今や貿易を規定する力をますます強めている」と述べた。

米国はハラル(イスラムの戒律に則った)とブミプトラ(マレー人と先住民の総称)をかねてから問題にしており、マレーシアのハラル基準は国際基準と比べ厳しすぎると主張している。マレーシアは米国からの牛肉と鶏肉の輸入を禁止している。

外資系企業に対し、ブミプトラによる株式保有(30%)を義務付けた規定も米国は障壁とみなしている。
(ベルナマ通信、アルジャジーラ、フリー・マレーシア・トゥデー、7月9日)

サバ州議会が閉幕、州首相が近い時期の解散を示唆

【コタキナバル】 サバ州のハジジ・ノール首相は8日、同日に閉幕した州議会(第16期)が任期最後の会期になることを確認し、解散が近いことを示唆した。ただ具体的な解散日については明言を避け、「適切な時期に発表する」と述べるにとどまった。議会の任期は11月11日まで。

ハジジ氏は、解散の具体的な日程について「今は言えない。ただ時期は近いということしか言えない。然るべき時期がくればメディアに発表する」と回答。その上で与党連合・サバ国民連合(GRS)の5年間の政権運営について、「政権運営は良好で、州民に大きな発展をもたらした」と評価し、「水道や電力供給の問題は依然として残るものの、これらの問題は前政権から引き継いだものであり、現政権は解決に向けて最善を尽くしている」と説明した。

サバ州議会は、州首相が解散権を行使しない限り、11月11日をもって自動的に解散となる。州議会の5年の任期は初会期が開かれた2020年11月12日から起算されるため、2025年11月11日をもって任期満了となる。選挙は州議会解散から60日以内に実施されなければならない。

第16期サバ州議会は、2020年9月の州選挙を受けて成立し、同年11月12日に初議会が開催された。5年の任期終了が近づくなか、政治的な駆け引きや解散のタイミングに関する注目が高まっている
(マレー・メイル、7月8日、ビジネス・トゥデー、7月6日)

道路交通局、起亜やヤマハなど8千台超のリコールを発表

【プトラジャヤ】 道路交通局(JPJ)は8日、起亜、メルセデス・ベンツ、ヤマハの自動車・二輪車計8,322台のリコールを発表した。

自動車で対象となるのは、起亜のリオUB(2010―2017)5,123台と、メルセデス・ベンツのS580e、GLC、AMG SL、EQE、EQS(いずれも2023―2025)の32台。起亜は油圧電子制御ユニット(HECU)の発火につながる危険性があり、メルセデス・ベンツはヒューズボックスの取付が不適切だったためという。

二輪車では、ヤマハのトレーサー9GTとMT09(いずれも2021年11月―2025年2月)、テネレ700(2023―2024)の計3,167台が対象。トレーサー9GTとMT09はスロットルポジションセンサー(TPS)、テネレはクラッチにそれぞれ不具合が見つかった。

各メーカーから無償での修理の連絡が行くが、JPJでは各車両の所有者に対し、可能な限り速やかに車検の予約を行うよう呼びかけている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、7月8日)

製造業連盟、25%関税への対応を政府に要請

【クアラルンプール】 マレーシア製造業者連盟(FMM)は米トランプ政権が発表した、マレーシアからの輸入品に対する一律25%の関税に対し重大な懸念を表明。マレーシアの輸出競争力を損なうとし、外交および政策上の対応を急ぐよう政府に求めた。関税は8月1日付で施行される。

ソー・ティアンライ会長名の声明でFMMは「マレーシアが米国の供給網に貢献していること、投資面のつながりを根拠に、マレーシアを最も高い交渉レベルに引き上げるよう図るべき。影響を受ける国内産業を支える措置も必要」とした。

関税措置では、ゴム製品、繊維、家具関連が最も影響を受ける。また20%の関税率を交渉で得たベトナムなど競争相手より不利になるという

国内対策では売上・サービス税(SST)の見直しを求めた。緊急措置として製造業における企業間取引のサービス税免除を求めた。

さらに、中小企業がスマートマニュファクチャリング(デジタル技術を活用した業務の最適化)に移行するのを後押しするための助成金や、技術導入のための低利融資を提案した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、7月8日)

中銀バンクネガラ、政策金利を2.75%に引き下げ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は8日に定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を0.25ポイント引き下げて2.75%とすることを決定した。OPRは2023年5月以降、3.00%に維持されていた。

BNMは声明の中で、OPRの引き下げは「緩やかなインフレ見通しの中でマレーシアの着実な成長軌道を維持するための予防措置」と位置づけた。国内経済は堅調だが、世界経済の成長見通しは関税動向をめぐる不確実性や地政学的緊張によって下押しされ、世界金融市場や商品価格のボラティリティを高める可能性があると指摘。そうした外的動向をめぐる不確実性がマレーシアの成長見通しに影響を与える可能性があるため、と説明した。

OPRの引き下げは、新型コロナウイルス流行中の2020年7月に過去最低の1.75%にして以来5年ぶり。今回、OPRの政策金利範囲も調整され、上限金利と下限金利はそれぞれ3%と2.5%になった。

堅調な国内経済に関しては、持続的な国内需要と輸出の伸びに支えられ、第2四半期も経済活動が引き続き成長し、特に雇用と賃金の伸び、そして所得連動型政策措置が家計支出を支えるだろうと予測。投資活動の拡大や、電気・電子機器への継続的な需要、活発な観光活動がマレーシアの輸出見通しを押し上げる可能性があるとした。

また2025年のインフレ率は緩やかな水準にとどまるとの見通しを示した。世界的な商品価格によるインフレ圧力は限定的で、国内のコスト環境は緩やかに推移。こうした環境のもと、今後の国内政策改革がインフレに及ぼす影響は全体的に抑制されるとした。

リンギに関しては、国内の良好な経済見通しと構造改革が、資金流入を促進するための継続的な取り組みと相まって、リンギを持続的に支え続けるものの、外的要因に左右されがちなため動向を注視しながら、国内成長とインフレ見通しを取り巻くリスクのバランスを評価していくとした。