武田薬品など、デング熱の予防と管理の強化に向け地域連携

【クアラルンプール】 国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)と武田薬品工業は12日、デング熱の予防と管理の強化に向けた地域連携「デング熱に対する団結(UAD)」を発足したと発表。15日の「ASEANデング熱デー」に合わせ、啓発キャンペーンを展開するなど、今後取り組みを強化していく。

デング熱は気候変動などの影響もあり、世界的に拡大傾向で、特に患者の7割がアジアで占める。マレーシアだけでもこの約1年で1万4,310件が確認され、16人が亡くなったという。2030年までに死亡者をゼロにするという目標が掲げられている
UADは、▽実際に罹患した人や地域に対する「支援」▽対策に向けた政策提言や医師らとの連携などの「アドボカシー」▽予防に向けた啓発活動などの「教育」――という3つの戦略的柱で展開される。

武田薬品は昨年からマレーシアでデング熱ワクチンを販売しており、インド・東南アジア地域責任者のディオン・ウォーレン氏は「UADを通じ、デング熱の発生をより適切に予測、準備、対応できるよう取り組みを強化していく」とした。

また、紙おむつなどを手掛けるユニ・チャームも、ASEANデング熱デーに合わせ、同社の取り組みを発表。マレーシアでは、蚊を寄せつけない成分を含んだカプセル搭載の紙おむつを販売しているほか、低所得者層1,500人に対するアンチモス紙おむつの寄贈、デング熱を媒介する蚊の繁殖を防ぐために地域清掃活動を実施するなど、今後も同社として引き続き啓発活動に取り組んでいくとしている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、6月11日、報道発表資料)

外国への直接投資が認可不要に、適格投資家プログラムを本格導入

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は12日、居住企業(国内で設立された企業)を対象にした適格居住投資家(QRI)プログラムの全面導入を発表した。外国への投資でマレーシア企業に柔軟性を与え、また国内外為市場の深化を促進する。

7月1日付で施行する。BNMは昨年4月に試験導入しており、既に10億米ドル超の資金がマレーシアに送金される成果を上げた。QRIでは、認定を受けた居住企業は外国への直接投資における手続きが簡素化され、一定の条件を満たせばBNMの事前承認が不要になる。

資格を得るには、企業は外国への投資で上げた収入をマレーシアに送金し、リンギに両替しなければならない。また良好な企業統治とBNM外為政策の順守が必須だ。プログラムの提供は28年6月末まで。

海外収入の送金を促す措置が導入されたのは24年4月で、リンギの下落を阻止するのが狙いだった。
(ビジネス・トゥデー、ザ・スター電子版、エッジ、6月12日)

サンウェイメディカルセンター、ゲノム医療サービスを開始

【クアラルンプール】 セランゴール州サンウェイ・シティのサンウェイ・メディカル・センターは12日、ゲノム医療サービスをスタートさせた。

サービスは、高度な遺伝子検査を通じ、遺伝性疾患や複雑な慢性疾患などに対する早期介入とより効果的なケアプランニングを目指すもの。解析対象を絞った全エクソームシーケンスと呼ばれる方法を導入し、コストや解析時間を抑えつつ、疾患の原因解明に重要な情報が得られるという。遺伝性がんリスクスクリーニングなども行われる。

センターでは「病気を治療するだけでなく、その先を見据え、マレーシアで世界最高水準の精密医療を通じ、患者それぞれのニーズとリスクに合わせた医療を提供していきたい」としている。
(ビジネス・トゥデー、6月12日)

キユーピー、100周年記念のマヨネーズコンテストなど展開

【クアラルンプール】 キユーピー・マレーシアは12日、マヨネーズの日本発売100周年を記念し、マレーシアでもマヨネーズコンテストなどの記念キャンペーンを展開すると発表した。

マヨネーズコンテストはマヨネーズを使った料理の写真や動画をSNSに投稿してもらう方式。期間は5月31日から8月24日までで、優秀作には日本旅行や限定ギフトなどが贈られる。

またシーフードレストランチェーンのフェイフェイクラブ(肥肥蟹海鮮飯店)ではキユーピーマヨネーズを使った限定メニューが提供されるほか、セランゴール州にある私立のセギ大学と連携し、学生が食品業界で実践的な経験を積むことができるようなスキル開発にも取り組むという。

キユーピーは2009年から、マラッカ州にハラル(イスラムの戒律に則った)認証工場を設立し、親しまれてきた。キユーピー・マレーシアの岡田慎平副社長は「食が人々や文化を繋ぐ力を持っていると信じており、100年の歴史を振り返りつつ、マレーシア市場への継続的なコミットメントを再確認する機会」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月12日、報道発表資料)

マレーシアのデータセンター市場は年率15%成長=GIIリポート

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 グローバルインフォメーション(GII、本社・神奈川県川崎市)は、マレーシアのデータセンター市場規模は、2025年に1,260メガワット(MW)と推定され、2030年には2,530MWに達し、年平均成長率(CAGR)は15.01%と予測されるとするリポートを発表した。

GIIが発表した市場調査レポート「マレーシアのデータセンター:市場シェア分析、産業動向、成長予測(2025年―2030年)」の概要によると、2025年には7億1,000万米ドルのコロケーション(設置サービス)収益が見込まれるとしており、2030年には18億7,320万米ドルに達すると予測され、2025―30年のCAGRは21.41%と見込まれるとしている。

2023年の市場シェアはティア3データセンターが大半を占め、予測期間で最も急成長している。ティア1及び2セグメントは、2021年に0.59MWのIT負荷容量に達し、2022年には2.39MWに成長した。2029年には3.59MWに達する見込みで、CAGRは5.99%と見込まれている。一方、ティア3は2021年に257.85MWのIT負荷容量を記録。2022年には457.66MW、2029年には1,379.11MWに成長すると予想され、CAGR17.07%とより高い成長が予想される。なおティア4は、近い将来停滞が続くと予想されるが、今後数年でビジネス機会が拡大すると考えられる。

デジタル消費者の増加が、マレーシアのデータセンター需要を押し上げると予想される。5Gの拡大とマレーシアの通信事業者の企業間の合併が進み、マレーシアのデータセンター設備が増加している。マレーシアのデータセンター市場は適度に統合されており、上位5社で62.24%を占めている。

PLUSとインソン、合弁でセレンバンR&RにEVハブ整備

【クアラルンプール】 高速道路運営のPLUSマレーシアと、インソン・グリーン・テクノロジー(M)(YGT)は11日、高速道路のサービスエリア(R&R)に、電気自動車(EV)充電施設と飲食施設を併設したハブを整備・運営する合弁契約を締結。最初のハブとして、南北高速道路(NSE)のセレンバン(下り)に2027年の完成を目指す。

契約は、PLUSの子会社のテラPLUSと、YGTの子会社のグリーンEVチャージの間で締結された。PLUSが飲食店と小売り施設、YGTがEV充電器の整備・管理をそれぞれ担当する。信頼性の高い直流(DC)急速充電器に加え、充電中に楽しめる活気ある小売店や飲食店で、EV充電体験を包括的に高めることで、他のEV充電インフラとの差別化を図る。YGTは石油・ガス(O&G)のインソン・ホールディングス完全子会社。

両社は共同声明で、未来を見据えた高速道路への変革に向けた重要な節目としている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベルナマ通信、6月11日)

世銀、マレーシアの今年のGDP成長率予測を3.9%に下方修正

【クアラルンプール】 世界銀行は「世界経済見通し」報告書を発表し、2025年のマレーシアの国内総生産(GDP)成長率予測について、1月の予測から0.6ポイント下方修正し3.9%とした。

下方修正の理由は貿易障壁の上昇による予測不可能なマクロ経済への影響で、世銀は社会支出プログラムや公共投資といった財政支援が行われているにもかかわらず、これが成長を圧迫する可能性があると指摘している。また、マレーシアにおける緩やかな財政再建が継続するとの見通しも示されている。

同報告書によると、輸出志向型の製造業が大きな国の一つであるマレーシアは、貿易摩擦の再燃、貿易コストの上昇、主要国の成長鈍化といった大きなリスクにさらされている。製造業購買担当者景気指数(PMI)や財貿易指標など、製造業活動の指標は最近悪化している。

マレーシアなど、貿易依存度の高い新興市場・発展途上国(EMDE)の一部では、世界的な貿易政策の不確実性が高まる中、製造業PMIの新規輸出受注指標が11月以降大幅に低下しているという。

マレーシア以外にも、東アジア・太平洋(EAP)諸国の成長率予測が大きく下方修正されており、フィリピンとベトナムの成長率予想はそれぞれ0.8ポイント下方修正され、5.3%、5.8%となった。またタイの成長率予想は1.1ポイント下方修正され1.8%に、ミャンマーは4.5ポイント下方修正されマイナス2.5%としている。
(ザ・スター電子版、セランゴール・ジャーナル、ベルナマ通信、6月11日)

5月の新車販売、プロドゥアが過去最高を記録しトップ

【クアラルンプール】 道路運輸局(JPJ)の統計によると、2025年5月のブランド別自動車販売台数はダイハツ系プロドゥアが3万1,398台でトップとなり、月間過去最高を記録した。プロドゥアの年初5カ月の販売台数は14万3,860台となり、通年目標である35万台の約41%を達成した。

登録台数2位はプロトンの1万2,751台で、年初5カ月は5万9,133台となった。3位はトヨタの1万1,183台(累計4万7,424台)で、4位はホンダの6,065台(累計3万976台)、5位はJAECOO(チェリー自動車傘下ブランド)の1,768台(累計7,566台)、6位は電気自動車(EV)専業のBYDの1,148台(累計4,355台)、7位は三菱の1,111台(累計5,836台)、8位はEVのテスラの1,075台(年初来1,810台)が続いた。

車種別で5月単月トップはプロドゥア「ベザ」(9,163台)で、2位は「アジア」(7,608台)、3位は「マイヴィ」(6,215台)と前月に続いてプロドゥアがトップ3を独占した。4位以下はプロトン「サガ」(5,357台)、プロドゥア「アルザ」(4,357台)、プロドゥア「アティバ」(2,901台)、トヨタ「ヴィオス」(2,688台)、トヨタ「ハイラックス」(2,390台)、ホンダ「シティ」(2,134台)、プロトン「X50」(1,893台)、プロトン「S70」(1,751台)となった。

EVでは最も売れたテスラ「モデルY」(985台)がようやく18位に顔を出し、プロトン「e.MAS7」(862台)は20位内に入れなかった。
(ポールタン、6月11日)

台湾博覧会が23日からKLで開催、200社超が出展へ

【クアラルンプール】 台湾博覧会2025が23日から3日間、クアラルンプール・コンベンションセンター(KLCC)で開催される。台湾政府経済部と台湾対外貿易発展協会(TAITRA)の主催で、8回目となる今年は、人工知能(AI)関連を中心に200社超の台湾企業が出展。両国の関係強化が期待されている。

台湾博覧会は2017年から開催されており、これまでに1,200社の台湾企業が参加。16万人が来場し、4億米ドル(16億9,000万リンギ)のビジネスチャンスが創出されたという。今年のテーマは「より良い生活のための革新的なソリューション」で、AIのほか、ウェルネス、サスティナビリティ、スマートライフ、文化と観光の5分野にゾーンを分けて、最先端技術を採り入れた製品やサービスが紹介される。

マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)などによると、台湾は2024年にマレーシアにとって第4位の貿易相手国だった。貿易額は1,761億リンギ(前年比38.5%増)で、投資は前年比で2倍以上の12億9,000万米ドル(54億6,000万リンギ)に達したという。

10日に行われた博覧会の開会イベントで、TAITRAのケビン・チェン副事務局長は「現在の地政学的およびサプライチェーンの変化の中で、特に半導体、ICT、先進製造業、グリーンエネルギーなどで両国は協力し、より大きな相乗効果を生み出すことができる」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、ベルナマ通信、6月10日)

香川の米粉うどん店「by age 18」、22日にKLに開業

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 香川県の米粉うどん店「by age 18(バイ・エージ・エイティーン)」が22日にクアラルンプール(KL)にオープンする。

同店は、ブランディングデザインを手掛ける「人生は上々だ」(本社・香川県高松市)が2023年に創業。KL店が2号店になる。創業時からプラントベース(植物由来)、グルテンフリー、アルコールフリーにこだわってメニューを開発。食物アレルギーやハラル(イスラムの戒律に則った)、ベジタリアンなどにも受け入れられやすいよう工夫してきた経験を生かせると、KLへの出店を決めた。

KL店では、米粉などの材料はすべて日本から輸入し、香川の本店で研修を受けたスタッフが店内で製麺して提供する。サイドメニューはKL独自のものの展開も予定している。複合ショッピングゾーン「ザ・ファイブ」A棟に位置し、営業時間は平日(月曜休業)は11時半―15時と18時―22時、土日祝は11時半―22時。