民族間平等、都市と農村で意見が相違=ムルデカ青少年調査

【クアラルンプール】 世論調査機関のムルデカ・センターが青少年を対象に実施した調査によると、ブミプトラ(マレー系および先住民)優遇政策の支持について、マレー系の中でも都市部と農村部では意見が異なる傾向が明らかになった。

東マレーシアでは、回答者の65%が全民族の平等を支持、反対は33%だった。マレー半島の中部地域では52%が支持、47%が反対、南部では53%が支持、44%が反対だった。その一方、北部では、46%が支持、51%が反対、東海岸では22%が支持、75%が反対という結果となった。

他民族との交流機会が多い都市部では、平等を受け入れる傾向にあるが、農村部では、マレー系以外のコミュニティと接する機会が少ないため、特権を守りたいという傾向が強くなっているという。

民族間の差別意識は増加傾向にある。華人の57%、インド系の58%が「政府から不当な扱いを受けており、頻繁に差別を受けている」と回答した。マレー系は同じマレー系を信頼すると回答したのは75%だったが、他民族に対する信頼度は低く、華人を信頼しているのは57%、インド系を信頼しているのは53%にとどまった。華人では、同じ華人への信頼度は95%、マレー系は92%、インド系は83%。インド系では同じインド系で85%、マレー系で79%、華人で83%となった。

本調査は2024年4月3日―5月12日、18―30歳の1,605人を対象に、電話インタビューにより実施された。回答者の57%がマレー系、21%が華人、7%がインド系。20%が18―20歳、41%が21―24歳、39%が25―30歳だった。

(マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、9月6日)

マレーシア航空、来年3月22日にKL―パリ線を再開

【クアラルンプール】 マレーシア航空は6日、クアラルンプール(KL)と仏パリ(シャルル・ドゴール空港)を結ぶ直行便を2025年3月22日に再開すると発表した。同路線及び欧州大陸路線の運航は9年ぶり。

マレーシア航空のKL―パリ線は1981年に就航したが、ボーイング「B777」型機の段階的廃止に伴い、2016年1月にパリ線の運航を停止していた。

機材はエアバス「A350-900」型機を使用。マレーシア航空にとって68都市目の乗り入れ先となる。3月22日―28日は週4回運航を行うが、29日からデイリー運航を行う。運賃は往復3,699リンギから。9月6日から発売を開始した。

デイリー運航のスケジュールは往路の「MH21」便はKL発が23時40分、パリ着が翌日の6時40分。復路の「MH20」便はパリ発が11時25分、KL着が翌日の6時10分となっている。

マレーシア航空は2016年の再編以前、パリ線のほかドイツ線(フランクフルト、ミュンヘン)、イタリア線(ローマ)、スペイン線(マドリード)、スイス線(チューリッヒ)を運航していた。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレーシアン・リザーブ、9月6日)

ジョホール港、8月にコンテナ取扱量10万TEUを突破

【クアラルンプール】 ジョホール港の運営を手がけるMMCグループ傘下のジョホール・ポートは、8月にコンテナ取扱量が10万2,324TEU(20フィート標準コンテナ換算)となり、2019年7月の9万9,039TEUを抜いて月間取扱量の最高記録を更新した。

今年年初8カ月(1―8月)の累計取扱量は69万8,914TEUとなり、前年同期比15.7%の大幅増となった。ジョホール・ポートは、ジョホールにおける貿易活動の増加とジョホール港のサービスレベルの向上を反映していると分析。向こう5年間で10億リンギ以上の設備投資を割り当て、インフラ改善と新機器購入により港湾業務の一部を自動化すると明らかにした。

デリック・バシル最高経営責任者(CEO)は、同港が毎日平均1,700人の外部運送業者を管理し、ヤード利用率が最大120%に達したとした上で、同港の貨物処理能力および地元の輸出入業者や産業を支援する能力を示したと述べた。

マレーシア運送業者協会のズルファリク・アブドル・マナップ副会長は、貨物量の急増によりジョホール港を利用する運送業者の数が増えたにもかかわらず、トラックターンアラウンドタイム(TTT=トラックが港に着いてから荷積み・荷下ろしを終えて港を出るまでの時間)は適切に管理され、ほぼすべてのトラックのTTTが45分未満だったと述べた。

(ザ・スター、9月6日)

来年度予算はインフレ抑制と生活費対策に重点=アンワル首相

【ポート・ディクソン】 アンワル・イブラヒム首相は8日、2025年度予算について、インフレ抑制や生活費の上昇に対処する戦略を優先する考えを明らかにした。

ロシアへの公式訪問を終えたアンワル首相は、ロシアのインフレ率は8%である一方、マレーシアのインフレ率は2%と、タイ、インドネシア、シンガポールなどの近隣諸国よりも低く、また安定していると強調。ただし一部の食品部門では3―3.5%となっているため、10月に発表する予算案では、生活費対策に重点を置くと述べた。政府運営でも無駄な出費の削減に向け取り組みを行っていくとしている。

統計局の発表によると、今年5―7月の消費者物価指数(CPI)は、前年同期比2.0%増にとどまっており、特にインフレ率を押し上げているのは、外食・宿泊(3.4%)、家賃・光熱費および雑品・サービス(3.2%)となっている。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、9月8日)

フォレストシティ、マレーシア部門の下に移管

【クアラルンプール】 経営難の中国系デベロッパー、碧桂園控股(カントリー・ガーデン)は先ごろ、ジョホール州で進めている人工島プロジェクト「フォレスト・シティ」を、新たに設立したマレーシア部門の下に正式に移管した。

経済紙「ビジネスタイムズ」によると、「フォレスト・シティ」をマレーシア部門の下に位置づけることにより、同プロジェクトを中国の親会社である碧桂園控股の財務問題から切り離し、間断なく開発を進めることを保証することが狙いだとみられる。「フォレスト・シティ」の現地マネジメントを手掛けるカントリー・ガーデン・パシフィックビュー(CGPV) は、3人の取締役の下で今後、碧桂園控股からの直接的な影響を受けずに現地当局や利害関係者とプロジェクトに関する交渉を担当するという。新設のマレーシア部門は、専用のリソースと地域密着型体制により、「フォレスト・シティ」の開発を継続するとみられる。

ロイターによると、碧桂園控股は2023年、110億ドルのオフショア債券の債務不履行に陥り、オフショア債務の再編を進めているが、同社の株式は4月2日から取引停止となっている。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月4、6日、ロイター、9月5日)

イスラム開発局、豚・酒なしの飲食店へのハラル認証義務化を検討

【シャアラム】 マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)は、イスラムで禁忌とされる豚肉やアルコールを提供しない飲食店や食品会社に対し、ハラル(イスラムの戒律に則った)認証取得を義務化することを検討している。モハマド・ナイム・モクタル首相府相(宗教問題担当)が明らかにした。

現在、ハラル認証取得は任意であり、飲食店や食品会社にハラル認証取得を義務づける法律は存在しない。ナイム氏は、すべての飲食店にハラル認証取得を義務づけるには、いくつかの法律や法令を改正する必要があると指摘。施行するには多くの機関が関与する必要があると述べた。

その上でナイム氏は、ムスリムコミュニティは、ハラル・マレーシア・ポータルなどJAKIMが提供するプラットフォームを通じて飲食店のハラル・ステータスの確認にもっと積極的になるべきだと指摘。「消費者の意識が高まれば、飲食店経営者にハラル認証を取得するよう圧力をかけることができる」と述べた。

JAKIMは3日、ムスリムがよく利用する人気の外食チェーン6社がハラル認証を受けていないことを確認したと発表した。JAKIMが認証を取得していない飲食店として実名で挙げたのは▽ジョニーズ▽ブラックキャニオン▽ドリー・ディムサム▽ミスター・ダッカルビ▽ブンカス・カウカウ▽アヤム・ぺニェット・ベスト(4店舗を除く)――。

(フリー・マレーシア・トゥデー、9月5日)

南シナ海のEEZ内の探査は継続=アンワル首相

【ウラジオストク/クアラルンプール=アジアインフォネット】 南シナ海の排他的経済水域(EEZ)内でマレーシアが進めている石油・ガス探査について今年2月に中国から抗議文が送られてきた件で、アンワル・イブラヒム首相は、中国の主張に関係なく探査を継続する意向を示した。

ロシアを公式訪問中のアンワル首相は、マレーシアの探査活動は自国の領土内で行われており、友好関係にある中国に対して挑発的・敵対的な意図はないと強調。「我々は自国の海域で活動し、自国の領土内で石油掘削を含む経済的優位性を確保する必要がある」とした上で、「我々は(中国との)協議の可能性を否定したことはない。しかしそれは我々の領海での活動を停止しなければならないという意味ではない」と正当性を主張した。

8月29日付けで中国が抗議文を在中国マレーシア大使館に送付したと報じたのは、南シナ海を巡って中国と対立を深めるフィリピンの「デイリー・インクワイアラー」紙。これを受けてマレーシア外務省は、中国外務省との外交機密文書の漏洩があったとして調査する考えを明らかにした。

報道を受けてアンワル首相は、詳細は伏せた上で、中国がマレーシアに対して石油探査活動を停止するよう1、2通の抗議文書を送ってきたことを認めたが、マレーシア政府は引き続き北京に自国の立場を説明していくと強調した。アンワル政権は経済面を中心に親中政策をとっており、国内的には南シナ海問題では弱腰との批判にも晒されている。

南シナ海について中国は、フィリピン、ブルネイ、マレーシア、台湾、ベトナムが主張するEEZのほぼ全域の主権を主張している。国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)は、マレーシアの南シナ海のEEZ内で石油・ガス田の開発を行っており、近年、中国の巡視船と何度も接触している。

ハーグの常設仲裁裁判所は2016年、中国が主張する南シナ海の約90%に対する権利は国際法上根拠がないとの判決を下したが、中国側はこの判決を認めていない。

マレーシアでの事業拡大計画は変更なし=米インテル

【クアラルンプール】 半導体大手の米インテルは、ペナン州における新チップのパッケージングおよびテストプロジェクトを部分的に停止するとの一部報道を否定。「マレーシアにおける事業計画の変更はない」との声明を発表した。同プロジェクトは、インテルが2021年に発表したマレーシアにおける70億ドル(303億リンギ)の投資計画の一部。

インテルは2025年までに全世界で全従業員の15%に当たる1万5,000人を削減する計画を明らかにしているが、先ごろ英字紙「ザ・スター」は情報筋の話として、インテルがマレーシアだけでなく世界の他の地域でも新たな投資を再検討しているとし、ペナン投資の部分停止を報じていた。インテルはマレーシアでは1万4,000人を雇用している。

インテルのペナン事業の拡大は、ペナン工場を米国外で初となる高度な3Dチップパッケージング施設にすることを目指したもので、インテルの世界的な人員削減計画を受けたペナン州のチョウ・コンヨウ首相は、「同州における人員削減の計画についてはインテルからは何も知らされていない。同州での事業拡張計画は進められており、人員削減よりもむしろ採用を増やすと予想される」と述べていた。

インテルは1972年に米国外で初の製造施設をマレーシアに開設。ペナンはインテルにとって米国以外で最大の拠点となっている。

(エッジ、9月5日、ザ・スター電子版、9月4日)

イオンマレーシア、創立40周年を記念して植樹を実施

【クアラルンプール】 イオン・カンパニー(M)は4日、創立40周年を記念して、植樹プログラム「未来への成長の種を植える:学校に庭園を」を全国で開始した。教育省との協力によるもので、同社の地域開発と環境保全に対する取り組みの一環。

第1弾として、クアラルンプール(KL)ケポンにあるタマン・ブキマリ国民学校での植樹が行われ、約100人の生徒と30人のイオンボランティアが300本の苗木を植えた。今後全国27校でも植樹が行われ、約1万本の苗木が植えられる予定。イオンは1984年にマレーシアで事業を開始して以来、さまざまな活動を通じて55万本以上の植樹を行っている。

岡田尚也社長は、地域社会への還元という意義ある形で40周年を迎えられたことをうれしく思うとし、屋外活動は生徒たちに自然の大切さや学校・環境への貢献について学べる機会を提供すると言明。イオンは、生態系に関わるさまざまな取り組みを通じて、前向きな変化をもたらすことに引き続き尽力していくと述べた。

(マレーシアン・リザーブ、9月5日)

老舗4つ星のコンコルドホテルKL、7億リンギで売り出し

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)の老舗4つ星ホテル、コンコルド・ホテルKL(客室数581室)が、隣接する土地と共に7億リンギで売り出されているもようだ。経済紙「ビジネス・タイムズ」が関係者の話として報じた。

同ホテルのオーナーは、シンガポールを拠点とするマレーシアの実業家オン・ベンセン氏。KL市中心部のジャラン・スルタン・イスマイルに面した立地にある。買い手が見つかればホテルは取り壊され、跡地で数十億リンギ規模の総合開発が予定されている。ホテルと土地は自由土地保有権付きの物件で、総面積は約4.5エーカー。

オン氏とパートナーは、他の投資に回すためホテル資産の現金化を検討しているとみられる。ただ情報筋の1人は「絶好のロケーションであるため複数の投資家が再開発に関心を示しているが、オーナーは魅力的なオファーがない限り、急いで売却するつもりはない」と話している。

1957年から1990年まで「マーリン・ホテル」として営業していた同ホテルは、1990年代半ばのKLの経済ブームの時期に、新興5つ星ホテルとの競争が激化したため、戦略的に上層階をプレミアムスイートに改装していた。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月4日)