RON95ガソリン価格は2段階システムで=経済相

【プトラジャヤ=アジアインフォネット】 ラフィジ・ラムリ経済相は、2025年半ばをメドに導入されるレギュラーガソリン「RON95」の補助金合理化策について、所得上位15%及び外国人向けの補助金なし価格と所得下位85%向けの補助金付き価格の2段階システムを導入する予定であることを明らかにした。2025年度予算案発表の中で、アンワル・イブラヒム首相は収入の下位85%は合理化の影響を受けないと述べていた。

ラフィジ氏は、「RON95」の場合には6月に開始されたディーゼル燃料補助金合理化の場合とは違ったアプローチが取られると言明。フリートカード(補助金付き価格で購入できるカード)を補助金対象となる3千万人もの国民に発行することはできないと述べた。ただガソリン販売業者など関係者と協議中であるため、具体的な仕組みは後日発表される予定だという。

これに関連してアンソニー・ロ―ク運輸相は、補助金付き価格で購入する際に多機能スマート身分証カード「MyKad」を提示して有資格かどうかを証明する方式を提案していることを明らかにした。

またラフィジ氏は、補助金対象とならない所得上位15%を決める基準について言及。総世帯収入のみに基づくものではなく、純世帯収入、地域、妥当な生活の質のための基本的な世帯支出などの変数を考慮に入れると指摘。「ソーシャルメディアで噂されているように、給与額がこれだけなら補助金を受け取れないというものではなく、他の多くの要素も考慮される」と述べた。

経常黒字は今年と来年は増加、財務省経済見通し

【クアラルンプール】  財務省は18日に発表した「経済アウトルック2025」の中で、経常収支の黒字が2023年に282億リンギと26年ぶりの低水準に落ち込んだが、今年と来年は増加が見込めるとの予想を示した。

経常収支の今年の黒字は434億リンギ、来年は491億リンギが見込めるという。国民総所得(GNI1)比でそれぞれ、2.3%、2.4%になる。

サービス収支はインバウンド需要で赤字の縮小が見込める。所得収支は直接投資の増加で赤字継続が予想される。上半期の経常黒字は192億リンギで、下半期は242億リンギが見込めるという。

今年通年の貿易黒字は1,151億リンギの予想。工業品や農産物、天然ガスなど鉱業品の輸出増以上に、輸入が増加する見通しのためだ。来年は1,256億リンギが見込める。

旅客運賃の受け取り・支払い、外国人旅行者・海外旅行者の宿泊費の受け取り・支払いなどサービス収支の赤字は今年、204億リンギ、来年は168億リンギに改善するという。旅行収支が改善するためだ。

直接投資収益など対外金融債権・債務から生じる利子・配当金の収支を示す第一次所得収支の赤字は今年、488億リンギに改善し、2025年は565億リンギが予想されるという。
(エッジ、10月18日)

グローバルミニマム課税を25年1月から施行、財務省方針

【クアラルンプール】 財務省は18日に公表した財政見通し・連邦政府歳入見込み報告で、グローバル・ミニマム課税(GMT)を2025年1月から施行すると明らかにした。東南アジアではベトナムも施行する。

GMTとは企業が最低限負担すべき法人税の割合を15%に定める仕組みで、経済協力開発機構(OECD)加盟国を中心に約140カ国・地域が合意した。国家間の税率引き下げ競争に歯止めをかけ、多国籍企業による課税逃れを防ぐ狙いがある。

売上高が年7億5,000万ユーロ以上の企業が、拠点を世界のどこに置いても法人税率が15%以上になるよう調整する仕組みで、▽所得合算ルール▽軽課税所得ルール▽国内ミニマム課税の3ルールがある。

最低法人税率がマレーシアで満たされていない場合、企業はミニマム(トップアップ税)を納入することで不足分を補わなければならない。

課税対象は、2025年1月1日かそれ以降に会計年度が開始される多国籍企業で、企業は27年6月までにミニマム課税納税申告書を当局に提出しなければならない。
(ザ・スター、10月19日、エッジ、ベルナマ通信、10月18日)

23年度犯罪統計、オンライン犯罪が増加

【クアラルンプール】 統計局は16日、2023年の犯罪件数が5万2,444件で、前年より3.2%増加したとする犯罪統計を公表した。暴力犯罪が1%増の1万453件、窃盗犯罪が3.8%増の4万1,991件だった。

暴力犯罪には、殺人、レイプ、強盗、傷害が含まれる。このうち最も増加したのはレイプで11.8%増の1,914件だった。地域・州別で犯罪件数が多かったのは順に、クアラルンプール(221件)、セランゴール州(196件)、ケダ州(193件)、ペナン州(193件)、ネグリ・センビラン州(159件)。最少はサバ州の95件で、次いでクランタン州が96件だった。

商事犯罪数は32.1%増の4万350件で、最も件数が多かったのは詐欺で3万6,936件。次いで背任が1,217件、貸金法違反が994件。

オンライン犯罪は35.5%増の3万4,532件。うち最多は電子商取引犯罪で33.2%を占めた。ほかは架空投資話、ロマンス詐欺など。児童ポルノ所有、チャイルドグルーミングなど子ども性犯罪被害は26.5%増の1,567件だった。
(マレーシアン・リザーブ、ビジネス・トゥデー、10月16日、統計局発表資料)

 

バティックエア、来年第1四半期までに東ティモールに就航

【プノンペン】 バティック・エアは、クアラルンプール(KL)と東ティモールの首都ディリを結ぶ路線を2025年第1四半期までに就航する計画だ。アマルジット・シン在マレーシア・東ティモール大使が明らかにした。ディリ乗り入れはマレーシアの航空会社では初めて。バティック・エアは、ディリに就航する航空会社としては5番目となる。

マレーシア・東ティモール両国は今年6月に航空サービス契約に署名。マレーシア運輸省とマレーシア航空委員会(MAVCOM)はバティック・エアの就航をすでに承認しており、フライトスケジュール、運輸権(トラフィックライト)、就航時期に関する協議が最終段階にある。現在、両国の当局者が就航に向けた最終手続きを行っている。

クアラルンプールとディリ間のフライト時間は約4時間となる見込み。アマルジット大使は旧正月(1月29日)前になると見込んでいると述べた。
(マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、10月17日)

東京ゲームショウ、マレーシアパビリオンの成約額は6700万ドル

【クアラルンプール】 先ごろ開催された「東京ゲームショウ(TGS)2024」(開催期間9月26―29日) で、「マレーシア・パビリオン」に関連する成約が6,700万米ドルに上った。

「マレーシア・パビリオン」はマレーシア・デジタル経済公社 (MDEC)とマレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)が開設。マレーシアの大手ゲームスタジオ10社が参加した。4日間の会期中に日本のゲーム会社と150件を超える商談が行われたという。

「東京ゲームショウ」は国内外のゲーム関連企業が一堂に会す世界的イベントで、今年は44カ国・地域から過去最多の985企業・団体が出展。来場者数は27万4,739人に上ったという。

MATRADEのモハメド・ムスタファ最高責任者(CEO)は、TGSへの参加は2025年大阪万博に向けて勢いをつけるだけでなく、世界のクリエイティブコンテンツ産業におけるイノベーションと創造性のハブとしてのマレーシアの地位を強化することにもなる」と述べた。

マレーシア政府は2021年、デジタル経済の拡大を目指す「マイデジタル青写真」を発表。デジタルコンテンツについては年率8%の輸出成長を目標に掲げている。
(ビジネス・トゥデー、10月17日)

2025年度予算案発表、予算規模は4210億リンギに拡大

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は18日、下院議会に2025年度(2025年1月1日ー12月31日)予算案を提出した。

来年の国内総生産(GDP)が世界貿易の改善と電気・電子(E&E)の需要増に支えられて4.5―5.5%成長するとの見通しを背景に、予算規模は4,210億リンギと今年度の3,938億リンギ(補正後は推定4,075億リンギ)を上回り、過去最高となった。

経常予算は3,350億リンギで、今年度の当初予算3,038億リンギを上回った。省庁別では教育省が150億リンギで最も多く、国防省が123億リンギ、保健省が69億リンギで続いた。一方開発予算は860億リンギで、今年度の当初予算の900億リンギを下回った。

歳入予想は3,400億リンギで、今年度の見通しである3,220億リンギ(当初予想は3,080億リンギ)を上回る見込み。財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は2022年の5.5%、2023年の5.0%、2024年(見込み)の4.3%を下回る3.8%に収まる見通しだ。政府の借入金は800億リンギで、2024年の850億リンギを下回る見通し。

売上税(SST)は2025年5月1日付けで課税対象を拡大する。ただ国民生活への影響を考慮し、主要食品は課税対象からを外す。サーモンやアボカドのような高級輸入食材はSST課税対象とする。またサービス税の適用範囲は、手数料ベースの金融サービスなどの事業を含む商業サービスに拡大する。

10万リンギ超の配当所得を対象に2%の配当税を課す。但し従業員積立基金(EPF)配当金や海外での所得は対象外とする。

注目されていたレギュラーガソリン「RON95」の補助金制度については、当面現状維持するが、2025年半ばをメドに対象を絞った補助金制度を導入する。詳細は明らかにされていないが、上位15%の高所得者層のみが影響を受けることになる見通し。

最低賃金は来年2月1日付けで現在の1,500リンギから200リンギ引き上げて1,700リンギとする。ただし従業員5人未満の事業所に対しては8月まで6カ月の猶予期間を設ける。人的資源省は賃金の参考とするため、工場・生産技術者の初任給は2,290リンギ、機械エンジニアの初任給は3,380リンギ、クリエイティブコンテンツデザイナーの初任給は2,985リンギ、といったような初任給のガイドラインを発表する。

EPFについては、外国人労働者も段階的に加入を義務化する。

また外国人労働者の人頭税について、2025年半ばをメドに多層式課税システムを導入する。外国人労働者への依存を減らすための措置で、税収は自動化・機械化導入の補助に充てる。

鉄鋼業・エネルギー業界を対象に、2026年から炭素税を導入する。税収はグリーン研究・技術プログラムに充当する。

肥満などの生活習慣病増加による医療費支出削減に向け、現在、1リットル当たり50センとなっている砂糖入り飲料に対する物品税を、段階的に40セン引き上げる。
電子インボイス制度の導入に伴う、2年内のICT機器、ソフトウェア導入費用やコンサル費用について加速償却を認める。

ペナン国際空港の拡張工事スタート、28年までに完成予定

【ジョージタウン】 空港運営のマレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)は、ペナン国際空港(PIA)の拡張プロジェクトを開始し、プロジェクトを監督するチームを任命したことを明らかにした。総事業費は10億リンギ。正式な着工式は後日開催される。

同州観光クリエイティブ経済委員会のウォン・ホンワイ議長(国政の閣僚に相当)によると、同プロジェクトは▽建物工事および関連工事▽エプロンおよび空港施設工事▽メインターミナルビルおよび関連工事――の3つの主要パッケージで構成され、2028年までに完了する予定。完成すれば旅客取扱能力は年間1,200万人に拡大する。MAHBはまた、公共交通資産を運営管理するMRTコープと連携し、メインターミナル近くに軽便鉄道(LRT)駅を建設する計画だ。

国際線の出発ホールと到着ホールの両方に電子ゲートを10カ所設置する。出入国手続改善のためのインフラ工事は2024年11月に開始し、4カ月で完了する予定。出入国管理局はすでに、外国人訪問者の支援のために、国際線到着ホールに「マレーシア・デジタル」アライバルカードのヘルプデスクを設置しており、11月末までに30人以上の管理官を同空港に配置する。

ペナン国際空港の旅客取扱数は2023年には700万人。今年年初9カ月ではすでに555万人となり、前年同期の520万人から6.78%増加しており、通年では780万人に達すると予想されている。
(マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、10月16日)

ジェトロの海外スタートアップ支援事業、日系5社が来馬

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所は、日系スタートアップの海外展開支援プログラムの一環として17―18日に参加企業5社がマレーシアを訪問し、現地企業や支援機関、投資家・ビジネスパートナーとのマッチングを行うと発表した。

ジェトロがマレーシアの財閥系サンウェイiLABSと提携して実施している、オープンイノベーション推進に向けた日本企業と海外企業のデジタル技術(DX)などを活用した連携・協業を支援するアクセラレーションプログラムで、6回目となる今回は、マレーシアで注目を集める「グリーントランスフォーメーション」の分野で革新技術を有する日本企業に特化したプログラムとなっている。

プログラムは8月よりスタートし、参加企業5社に対してオンラインでマレーシアのエコシステム情報の提供や個別メンタリングを繰り返し、各社のマレーシア展開戦略をブラッシュアップしてきた。

サンウェイiLABSはネットワークを活かし、東南アジア諸国連合(ASEAN)・マレーシア企業とのアライアンス(業務提携・技術提携・出資・合弁事業設立など)やM&Aにより、ビジネス開発や新規事業創出を目指す日本企業に対し、協業先候補の発掘から事業化に向けたメンタリングまで伴奏する一貫支援プログラムを提供する。

店舗網拡大と既存店のてこ入れが柱=イオンマレーシア社長

【クアラルンプール】 イオン・カンパニー(M)の岡田尚也社長は「ビジネス・トゥデー」との単独会見に応じ、店舗拡大と既存店のてこ入れを経営の柱とすると語った。

岡田氏は「イオンは過去数十年間に大きく成長した。しかしその成長を再び加速する時が来た。店舗拡大だけでなく、既存店を改装し再活性化する」と述べた。

岡田氏はまた、イオンは大衆向けに衣・食・住をすべて満たす商品を取り扱う総合スーパー(GMS)を展開するが、GMSモデルからの脱皮を図り、今後はユニクロや豪州系ハーベイ・ノーマンが競争相手になると語った。ハーベイ・ノーマンは、家電、家具、コンピューターなどを扱う小売業者。

これまで重視しなかったプライベートブランドに力を入れる。大きな潜在性が見込めるためで、特にハラル(イスラム教徒向け)食品の調達に注力する。こうした転換は日本事業がモデルだが、日本モデルをそのまま取り入れるのではなく、マレーシア市場に合った手法にして取り組むという。
(ビジネス・トゥデー、10月16日)