QRコードによる出入国審査を22日から試験運用、陸路国境から

【クアラルンプール】 外国人を対象に含めたQRコードによる出入国審査の試験運用が22日から開始される。政府が整備を進めている「国家統合出入国管理システム(NIISe)」に基づくもので、シンガポールとの陸路国境から導入され、来年2月28日までの試験運用期間中にクアラルンプール新国際空港(KLIA)など国内の主要5国際空港でも順次拡大される見通しだ。

22日から試験運用が始まるのは、シンガポールとを結ぶ第1連絡橋(コーズウエイ)と第2リンクにある2カ所の国境検問所。両検問所では昨年から、マレーシア人のバスとオートバイ利用者に限り、「Myボーダーパス」というアプリを利用したQRコードによる審査がすでに行われており、対象を広げる形になる。

ただし、「Myボーダーパス」は試験運用期間中は使用可能だが、今後は新アプリ「MyNIISe」に移行。新アプリの大きな特徴として、1つのQRコードで複数人をまとめての入国審査が可能で、高速輸送システム(RTS)などでも利用が予定されている。審査手続きの大幅な迅速化や検問所の混雑緩和が期待されている。特に外国人はMyNIISeが推奨され、審査時にパスポートを見せる必要がなくなる。当面は、シンガポールや日本を含む63の国・地域の旅行者が対象になる見込み。

マレーシア政府は従来の出入国システム(MyIMMs)に代わる新システムの構築を2021年ごろから進めてきた。国家登録局や警察など関連機関のデータを統合し、人工知能(AI)や生体認証なども組み合わせ効率向上を図るもの。将来的にはビザ申請なども「MyNIISe」から可能になる予定だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月17日、マレー・メイル、9月18日)

業務用輸送車のガソリン補助金に向け受付開始、対象は10万台

【ペタリンジャヤ】 国内取引物価省(KPDN)は15日から、新たな「ガソリン補助金管理制度(SKPS)」の登録受付を開始した。レギュラーガソリン「RON95」の新たな補助金制度を前提とし、貨物輸送会社、公共陸上輸送会社の車両が対象で、全国で約10万台になるとみられる。

SKPSは、RON95の補助を受けるための制度。SKPSシステムと道路運輸局の記録を統合し、手続きを簡素化。必要書類が整っていれば申請後、即日承認される見通し。その後、承認書とともに、指定のガソリン会社3社にフリートカード(車両用給油カード)を申請する必要がある。RON95補助金制度の導入時期は未定だが、同省は導入され次第利用できるよう、あらかじめSKPSの申請を済ませておくよう呼びかけている。

同様の制度として、従来はディーゼル補助金管理システム(SKDS)を通じ、マレー半島で30万台以上の車両が対象となっていたが、ディーゼル車以外の業務車両は対象外であったうえ、密輸が問題化。従来のRON95補助金制度の合理化に合わせ、新たにSKPSが導入されることになった。

対象となる公共陸上輸送車両は、タクシー、レンタカー、スクールバス、霊柩車、救急車、消防車、シャトルバス、路線バス、ミニバスの9つのカテゴリーがある。貨物車両については、バン(窓なし/窓あり/セミパネル)、食品輸送車(トラック/バン)、一般大型貨物トラック、小型商用バン(移動販売など特殊用途車含む)、家具・引っ越し輸送車(ルートン/ボックス)、冷蔵貨物車、家畜輸送車、農産物輸送車の12カテゴリー。
(フリー・マレーシア・トゥデー、9月16日、ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベルナマ通信、9月13日)

太陽光発電システム設置を後押しする新政策、12月に導入

【クアラルンプール】 政府は12月に、電力消費者に太陽光発電システムの屋上設置を促し、再生可能エネルギーへの移行を後押しする太陽光移行加速行動プログラム(ソーラーATAP)を導入する。

6月に終了した正味エネルギー計測(NEM)の後継政策。エネルギー移行・水利転換省が発表した。NEMは自宅で発電した余剰電力を電力網に送り返すことで、電力料金の割引を受けられる電力料金算定の仕組み。

ソーラーATAPは、消費者の電力料金が自宅で生産された電力で相殺される仕組みで、相殺には電力卸売料金が適用される。指針、登録のための詳細は12月1日、エネルギー委員会と再生可能エネルギー開発庁のホームページに掲載される。登録開始も同日から。

屋根上のソーラーシステム設置は普及度が低く、現在の発電能力は計2ギガワット余り。政府は数十ギガワットの設置が可能と推測している。
(エッジ、ザ・サン、バイブズ・ドットコム、9月12日)

連邦政府、電子タバコの販売を全面禁止へ

【クアラルンプール】 連邦政府は電子タバコ(ベイプ)の販売を禁止する方針だ。ズルキフリー・アハマド保健相が10日、上院議会質疑への書面回答で明らかにした。年内にも閣議に諮られる見通しだ。

ズルキフリー氏によると、段階的に導入され、最終的には全面的に禁止するという。健康リスクの高いとされるオープンシステム(リキッド補充式)から対象になるとみられるが、詳細なスケジュールと実施方法については、改めて発表される。

電子タバコ市場は近年急速に拡大しており、特にフレーバーが豊富で安価な使い捨てタイプが若者の間で広がっていることが問題視されている。すでにジョホール、クランタン、トレンガヌ、ペルリス、ケダ、パハンの6州で小売ライセンスの新規発行や更新を停止する措置が取られている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・バイブス、9月10日、フリー・マレーシア・トゥデー、9月11日)

外国人観光客誘致、26年には4700万人を目標=副首相

【プトラジャヤ】 政府は、観光客の滞在期間延長と消費額の増加を目指す「マレーシア観光年(ビジット・マレーシア・イヤー2026=VM2026」の一環として、今年は4,300万人、2026年には4,700万人の外国人観光客の受け入れを目指す方針だ。

アハマド・ザヒド・ハミディ副首相は、2日に開催されたVM2026全国委員会の会合後、キャンペーン成功に向けた▽ブランディングとマーケティングキャンペーンの強化による需要創出▽航空会社、旅行代理店、地域の入国地点との戦略的パートナーシップによるマレーシア訪問客の増加▽エコツーリズム、ショッピングツーリズム、ニッチなアトラクションといった効果の高い分野への注力――の3つの主要戦略を発表した。

ザヒド氏は、特に中東が異常気象に見舞われる時期に中東の観光客を誘致するために、季節ごとの観光プロモーションを実施することの重要性を強調。「提案されている取り組みの一つは、マレーシア・ミッドナイトセールを強化し、マレーシアを最高のショッピングツーリズムとして位置付けることだ」と述べた。

2024年にマレーシアを訪問した外国人観光客は3,800万人に達し、前年比31.1%増となった。一方、国内観光客は2億6,010万人に達し、同21.7%増となった。
(ザ・サン、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、9月2日)

ペナン州が水上タクシーの本土への運航を検討、実証試験の不発で

【ジョージタウン】 ペナン州政府は、島内のみを対象に計画されていた水上タクシーの実証試験が不発に終わったことを受け、島と本土を結ぶルートを含めた拡大版で実施する方向で再検討を行っている。州インフラ・交通・デジタル委員会のザイリル・キル・ジョハリ委員長(国政の閣僚に相当)が明らかにした。

水上タクシー実証試験の入札はペナン島市議会(MBPP)によって数年前に実施されたが、落札企業が期限内に運輸省から認可を取得することができなかったため契約解除となり、計画は白紙に戻された。このため州政府が市議会から事業を引き継ぎ、対象範囲を州全体に拡大することを決定したという。

ザイリル氏は「ペナンには広大な水域があり、島と本土を結ぶ水上タクシーサービスに利用できる」と述べた上で、「サービスを効果的に実施するため、インドなど他国における費用対効果の高い既存の水上タクシーシステムを参考にしていく」と述べた。

中止となった水上タクシーサービス事業構想は、ペナン島周辺6ルートを15分から45分間隔で運行するというもので、ストレ―ツ・キー、スウェッテンハム桟橋、プラウ・ジェレジャク、バトゥ・マウン・トランスファーステーションの4つの桟橋が選定された。運輸省は2022年に条件付き承認を与えていたが、事業許可の取得は事業会社が責任を負うことになっていたものの最終的に条件を満たすことができなかったという。
(マレー・メイル、8月28日)

KLIA発着便で31日まで時間変更、周辺空域の一時閉鎖で

【クアラルンプール】 マレーシア民間航空局(CAAM)は、独立記念日の関連行事のため、8月26―29日と31日、クアラルンプール新国際空港(KLIA)周辺空域の一時閉鎖を発表。これを受けて、航空会社は搭乗客に運行時間の変更の確認と、出発時間の4時間前に空港に来るなどの対策を呼びかけている。

31日の独立記念日はプトラジャヤで午前8―10時ごろにかけてパレードが行われ、飛行デモとして午前8時45分から1時間、警察などのヘリコプターや飛行機33機の参加が予定されている。それに伴い、26―28日は午前11時から、29日は午前8時45分から、各1時間のリハーサルも行われる。

このため期間中、KLIA周辺空域は午前8時から正午にかけて一時閉鎖が行われ、民間機のKLIAの発着にも影響が出る見込みだ。航空各社は事前にウェブチェックインし、運行時間の変更などを確認するよう呼びかけている。また連休で空港の混雑も予想されるため、マレーシア航空では出発時間の4時間前には空港に到着するよう呼びかけている。
(マレー・メイル、8月24日、ベルナマ通信、8月25日、発表資料)

RON95ガソリンの新たな補助金制度、9月末までに発表予定

【クアラルンプール】 アミル・ハムザ第2財務相は、レギュラーガソリン「RON95」の新たな補助金制度の詳細を2025年9月末までに発表する予定だと明らかにした。現在は最終調整段階にあるという。対象基準については所得水準や車種(高級車か大衆車か)の所有状況といった要素を考慮する。

アミル・ハムザ氏が25日の下院議会質疑の中で明らかにしたもので、同氏は「長年にわたる包括的な補助金政策は国の財政を圧迫し、国民の大多数に恩恵をもたらしていないため、見直し措置は必要不可欠」と言明。「電力やディーゼルの補助金合理化と同様に、RON95ガソリンの補助金合理化は国民全体に影響を与えることはない」とし、すべての関係者と協力して対象を絞った補助金の受給資格基準と実施方法の見直し作業の最終段階にあると述べた。

現在検討されている方式には多機能身分証「MyKad」、電子ウォレット、石油会社アプリの活用などがあり、MyKadを政府が提供する読み取り端末に挿入することで政府の中央データベースハブ(PADU)に接続し、受給資格と割当量が判定されるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、8月25日)

F1マレーシアGP復活の計画はなし=青年スポーツ相

【クアラルンプール】 ハンナ・ヨー青年スポーツ相は21日の下院議会質疑の中で、高額なスポンサー費用とレース日程の過密を理由に、マレーシアにおけるF1レースの復活計画はないと述べた。マレーシアは1999年から2017年にかけて、セパン・インターナショナル・サーキット(SIC)でF1レースを開催していた。

ヨー氏は、F1レースを開催するには開催権料だけでも年間約3億リンギが必要で、これは政府が20の国家スポーツプログラムに投入する開発支出の2倍以上の額に相当すると指摘。F1レースの契約は通常3年から5年間にわたって締結する必要があるため、期間中の開催権料だけで約15億リンギに上ると述べた。また開催権料に加え、国際自動車連盟(FIA)グレード1のトラック認証と安全基準を維持するために、年間約1,000万リンギが必要となるとした。

その上でヨー氏は、マレーシアが開催権を確保するためには隣国シンガポールやタイなど東南アジアの他の開催国とも競争しなければならないと指摘。タイ政府が6月、2028年にバンコクでF1レースを開催するため、12億ドル規模の予算を承認したことを挙げ、「現時点ではマレーシアにとって”あれば良い”程度であり、必須ではない」と述べた。ただヨー氏は、費用を負担する民間企業があれば開催を再開する可能性があると言明。「もし資金が許せばマレーシアで開催できれば良いと思っている」と金銭面の課題を強調した。
(ザ・サン、ロイター、エッジ、8月21日)

団体の所得税免除申請にオンラインサービス、歳入庁が導入

【クアラルンプール】 内国歳入庁(IRB)は20日、所得税法の第44(6)項で非営利組織・団体として認められた組織が所得税免除をオンラインで申請できる新たなサービス、「eデルマ」(デルマは寄付の意)を導入した。

免税申請が承認されたかもオンラインで確認できるサービスで、IRB長官に文書で免税を申請する現行方式にとって代わる。同項で非営利組織に認定されているのは、病院、慈善団体、大学、職業・技術訓練学校などで、所得税を自動的に免除される。

行政サービスの効率改善を目指したデジタル化で、IRBは電子申請をタブン(基金、公庫)にも拡大適用する意向だ。
(ビジネス・トゥデー、8月20日)