アンワル首相がロシア公式訪問、産業界首脳と会談

【モスクワ】 アンワル・イブラヒム首相は4日間の日程で13日、ロシア公式訪問を開始した。14日にはクレムリン近くのホテル・メトロポールで産業界の首脳と懇談。午後にはプーチン大統領と会談の予定だ。首相には外務省、農園一次産業省、科学技術革新省の大臣ら40人が同行している。

ホテル・メトロポールでの円卓会議にはロシア側から、同国第2位のVTB銀行、兵器、航空機などを開発・輸出する国営ロステック、ロシア直接投資基金など主要24社と2業界団体の首脳が出席。約1時間にわたり貿易、協力強化を話し合った。

ロシア側は、食品製造、農業、先端技術、物流、金融サービス、不動産開発の領域でマレーシアとの関係強化に関心を表明。マレーシア側はパーム油、家具、加工食品など輸出面の強みを訴えた。

マレーシアにとりロシアは欧州9位の貿易相手国で、2024年の貿易額は114億6,000万リンギ。主な輸出品は電気・電子機器、機械部品、加工食品。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ボルネオ・ポスト電子版、ベルナマ通信、5月14日)

ペルリス州も電子タバコの販売禁止へ、使用は容認

【カンガー】  ペルリス州は、液体を加熱し、発生した水蒸気を吸い込む電子タバコ(ベイプ)の販売禁止を決定した。8月1日付で施行する。健康上の懸念と宗教上の理由によるものだ。すでに、ジョホール、クランタン両州は販売を禁止しており、トレンガヌ州も8月1日付で販売を禁止する。

シュクリ・ラムリ・ペルリス州首相の発表によると、州民、特に若者がベイプ使用の習慣をつけるのを防ぐのが目的。イスラム法学に基づき勧告を発令する州ファトワ委員会がベイプ使用を「禁忌」に指定したことも考慮した。電子タバコを販売している店舗は50軒に満たないという。電子タバコの使用自体は禁止しない。

電子タバコ販売禁止に対したばこ業界関係者は、州が独自の判断でたばこ販売を規制するのは「公衆衛生のための喫煙品規制法」に違反していると反発している。

同法ではオンラインや自動販売機での販売と販売店以外の場所での商品陳列を禁止している。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、5月14日)

日本など4カ国のブリキ製品に反ダンピング課税

【クアラルンプール】 マレーシア政府は、日本、中国、インド、韓国の4カ国から輸入されたブリキ製品に対する反ダンピング調査をこのほど完了し、これらの国からの当該輸入品に向こう5年間、反ダンピング関税を課すことを決定したと発表した。

反ダンピング調査は、サドゥル・ティマ・マレーシア(ペルスティマ)が提出した申立てを受けて昨年8月14日に開始された。調査の結果、対象商品が輸出国での販売価格よりも低い価格でマレーシアに輸入されており、ダンピングに該当すると判断した。これを受けてこれらの輸入品には、2025年5月11日から2030年5月10日までの5年間、反ダンピング関税を課す。反ダンピング関税率は次の通り。
中国:2.42ー22.83%
インド:7.73ー20.84%
日本:0.00ー13.53%
韓国:21.60ー35.43%

これを受けて日本鉄鋼連盟の今井正会長は、日本鉄鋼業界はアンチダンピング調査への対応を通じ、日本製ブリキがマレーシア国内産業に損害を及ぼした事実はないことを主張してきたものの、マレーシア投資貿易産業省がダンピング認定したことは遺憾だとし業界としては詳細を精査し今後の対応を検討するとの声明を発表した。
(ザ・スター電子版、ビジネス・トゥデー、5月13日)

与党連合・人民正義党の役員選、アンワル党首が無投票再選

【クアラルンプール】 与党連合・希望同盟(PH)の中核党・人民正義党(PKR)の党役員選挙の候補者指名が5月9日正午に締め切られ、党首選ではアンワル・イブラヒム党首(首相)の無投票再選が決まった。党規約に準じてアンワル党首の任期はこれが最後となる。

ナンバー2である副党首選は、現職のラフィジ・ラムリ副党首(経済相)とアンワル首相の実娘で現職の指名党首補であるヌルル・イザ・アンワル氏による激戦の様相を呈している。

党首補選には合計12人が出馬する。現職のチャン・リーカン氏(科学技術革新相)、ニック・ナズミ・ニック・アハマド氏(天然資源・環境持続可能性相)、アミヌディン・ハルン氏(ネグリ・センビラン州首相)、アミルディン・シャリ (セランゴール州首相)が再出馬する。党首補の定員は4人だが、党最高評議会からの指名で増員される。

青年部部長は現職のムハンマド・カミル・アブドル・ムニム氏が無投票で当選を決めた。婦人部部長選は、現職のファドリナ・シデク氏(教育相)とロズィア・イスマイル氏(アンパン地区選出下院議員)の一騎打ちとなった。

PKRは全国党大会を2025年5月21―24日の日程でジョホールバルで開催する予定で、党役員選挙の投票日は5月23日に予定している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、5月10日)

イスラム開発局、ハラル認証手続きを完全デジタル化

【プトラジャヤ】 イスラム開発局(JAKIM)が発行するハラル(イスラムの戒律に則った)認証(SPHM)について、5日から申請から証明書発行までの手続きがすべてデジタル化された。

JAKIMのシラジュディン・スハイミー局長によると、公共部門のデジタル化推進の一環で、事務手続きの遅延削減に向けた取り組み。ハラル認証システム「MyeHALAL」を通じ、必要に応じて自分でデジタル証明書を印刷することになる。ただし、従来のようなJAKIM発行の証明書が必要な場合は、手数料を払って申請することも可能という。
(ベルナマ通信、5月8日)

米国の関税措置の影響産業向け特別優遇措置を検討

【クアラルンプール】 政府は、米国の関税措置の影響を受ける産業を支援するための特別優遇措置を導入する方針だ。アンワル・イブラヒム首相が5日に発表した対応策に対し、さらなる追加パッケージとなるもので、テンク・ザフルル・アジズ投資貿易産業相が6日、明らかにした。

ザフルル氏は、関税措置の撤廃に向け米国との交渉に注力していると断ったうえで、7月をめどに企業への影響範囲などを特定し、優遇措置を発表したいとした。詳細は明らかにされなかったが、電気・電子機器、医療機器、医薬品、自動車・航空宇宙、機械・設備、家具、パーム油・ゴム製品など、影響を受けやすい産業別に検討する模様。

ザフルル氏は「可能な限りの支援を目指しているものの、財政的にも慎重に評価する必要があり、よく検討して最終決定したい」と付け加えた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、ベルナマ通信、5月6日)

米国の関税引き上げへの対応策を発表、中小企業への支援など

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、5日に開催された特別国会で米国の関税引き上げへの対応策を発表。新市場開拓の取り組みを加速させるため、マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)に予算5,000万リンギを追加で割り当てると明らかにした。

アンワル首相は、「実施する措置には、国際的な貿易博覧会・展示会への参加を通じて中小企業(SME)が新規市場へ進出できるよう支援することや、海外のバイヤーとのビジネスマッチングを促進することなどが含まれる」と言明。また人工知能(AI)などの国家優先分野において、一流大学の学者を含む世界的な企業や人材をマレーシアに誘致するための取り組みを引き続き支援していくと述べた。

アンワル首相はまた、投資家向けサービスとプロジェクト承認プロセスの監視のため、投資家のためのワンストップセンターであるマレーシア投資促進センター(IMFC)をペナン州とサラワク州に拡大すると発表した。IMFCは2023年12月にクアラルンプールに、2025年2月にはジョホール・シンガポール経済特別区(JS-SEZ)のフォレストシティにそれぞれ開設された。

アンワル首相はこのほか、米国の影響を受ける中小輸出企業が商業銀行から融資を受けられるよう、政府がビジネス融資保証会社の保証枠を10億リンギ増額することに合意したと公表。さらに中小企業の起業家を支援するため、開発金融機関を通じて提供される5億リンギのソフトローンの追加を承認したと述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、5月5日)

米国がマレーシアとの交渉継続で合意、関税引き下げに光明

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、5日に開催された国家経済に関する特別国会で、米国がマレーシアとの協議を継続することで合意したと表明した。協議はまだ初期段階で何ら合意には至っていないが、米国が関税引き下げに方針転換する可能性は残されているという。

アンワル首相は、先ごろトランプ米大統領がマレーシアを含む185カ国に高率の相互関税を課すと発表し、その後発動を90日間延期すると方針修正したことに言及。「まだ予備的協議だが、米国政府がマレーシアとさらなる交渉を続けることに同意しており、相互関税を引き下げる可能性があることを強調したい」と述べた。

その上でアンワル首相は、これまでに講じてきた措置に加え、現在の世界情勢を踏まえ、短・中期的に経済の安定を維持し、国益を守るための戦略を策定する予定だと言明。具体的な戦略には、輸出業者、特に中小企業への支援、承認されたプロジェクトの実施促進、国の回復力と競争力を強化する経済改革などが含まれるとした。

またアンワル首相は、「米国からの輸入品に対してマレーシアが47%もの高関税を課している」とする米国側の主張を「事実ではない。関税率は平均5.6%だ」と改めて否定。外交努力にもかかわらず米国による24%の高率な相互関税問題が解決されなければ、今年のマレーシアの経済成長を圧迫する可能性があるとし、「2025年度予算で示した4.5―5.5%の国内総生産(GDP)成長予測は達成できない可能性が高い。財務省とマレーシア中央銀行は状況を注視しており、最終的な米国の関税政策及び米国との交渉の結果がより明確になった時点で、マレーシアの経済成長予測を修正する」と述べた。
(エッジ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、5月5日)

ペトロナスはサラワク州法違反、両者の関係が悪化

【クアラルンプール】 サラワク州政府は国営石油会社ペトロナスの上流部門、ペトロナス・チャリガリがガス配送に関する州法に違反しているとして、4月30日付で警告文書を出した。州法では天然ガスの配送に関し、ガスパイプラインなどガスの配送のための装置、機器の建設、管理、維持について規定している。

州法違反とされたのはペトロナス・チャリガリがミリで運営するプラントで、同社は許可なくプラントを操業していると州は主張。同日から21日以内に操業を停止しない場合、罰金を科すとした。これに対しペトロナスは、チャリガリは連邦法の石油開発法に基づきプラントを運営していると反論。「ペトロナスは国益を守る義務がある」とした。

サラワク州にある石油・ガス資源をめぐっては、州は所有権を主張する姿勢を強めており、最近も州営石油会社のペトロスが天然ガス供給をめぐりペトロナスに支払いを求める訴訟を起こしている。

今回の紛争についてロンドン訪問中のアバン・ジョハリ州首相はアンワル・イブラヒム首相から連絡を受けた。アバン・ジョハリ氏は「石油・ガス収入は公正に分配されるべき」との立場だ。アンワル氏はアバン・ジョハリ氏の帰国を待って政治決着を目指す。
(エッジ、マレーシアン・リザーブ、5月2日、バイブズ・ドットコム、5月4日)

KL―バンコク間の直通列車が年内復活へ=運輸相

【バンコク】 アンソニー・ローク運輸相は、クアラルンプール(KL)・バンコク間の直通列車サービスを今年中に復活させる意向を示した

2日にタイを訪問したローク運輸相は、バンコク、パダン・ベサル、バターワース、クアラルンプールを結ぶ既存の鉄道路線を利用するため迅速に開始できると指摘。マレーシア国鉄(KTMB)とタイ国鉄(SRT)に対して向こう3カ月間の準備期間を与えたと述べ、「新たな線路の建設は不要だが、両国間の調整、共同マーケティング、乗車券発行システムの共有化が必要になる」とした。

ローク氏は、タイのスリヤ・ジュンルンルアンキット副首相兼運輸相と会談。またバンスー中央ターミナルを視察し、タイの高速鉄道サービスに関する説明を受けた。

タイ当局からはタイのスンガイコロクとマレーシアのランタウ・パンジャン及びパシル・マスを結ぶ鉄道サービスの復活が提案され、ローク氏は歓迎の意を示した上で、線路が長らく使われていなかったため復旧工事が必要だとし、復活には一定の時間が必要との考えを示した。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、5月3日)