熱帯低気圧「セニャール」が西海岸に接近、気象局が警報発令

【クアラルンプール】 マラッカ海峡における過去最大級の熱帯低気圧「セニャール」がマレー半島西海岸に向かって移動しており、マレーシア気象局のモハメド・ヒシャム局長は、27日から複数の州で継続的な大雨、強風、荒波が発生すると予想されると警告した。

「セニャール」はマラッカ海峡北部で11月22日に低気圧として発生。その後西北西方向に進み、マレーシア気象局は北緯4.5度、東経97.9度のスマトラ島北部沖で熱帯低気圧へと発達したと確認した。中心気圧は996ヘクトパスカル、最大風速は時速85キロメートル。時速約24キロメートルでマラッカ海峡を東南東方向に進んでおり、27日午前11時時点でスマトラ島北部沖の北緯3.6度、東経99.9度、ペラ州ルムの南西約102キロメートルにまで迫っている。

マラッカ海峡では2017年にも熱帯低気圧が発生しているが、今回ほどの強さに発達するのは観測史上初めてだという。

これを受けてマレーシア気象局は、ケダ州、ペナン州、ペラ州、パハン州、セランゴール州、クアラルンプール、プトラジャヤ、ネグリ・センビラン州、マラッカ州、ジョホール州に対し、継続的な雨、強風、荒波に関する29日まで有効な警報を発令した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月27日)

半島部で水害悪化、被災者数が7州で合計1万人を突破

【クアラルンプール】 マレーシア半島部北部を中心に各地で豪雨による水害が悪化しており、被災者数は昨夜の約9,000人から増加。24日午前8時時点で7州合計1万人を突破した。

国営ベルナマ通信によると、クランタン州の被害が最も大きく、被災者は前夜の7,830人から大幅に増加。午前8時時点での被災世帯は3,022世帯で、被災者数は8,248人に上った。被災者はコタバル、トゥンパト、バチョク、パシル・プテの4つの被災地区で33カ所設置された仮設救護所(PPS)に避難している。グノン・バラット・バチョク地区では午前6時時点で降雨量が1時間に33.5ミリに達し、引き続き大雨が続いている。

ペルリス州では、昨夜は35世帯114人だった被災者が、今朝は243世帯811人に急増した。ペナン州では被災世帯が57世帯、被災者数が242人に増加し、当局は救援センターを2カ所追加開設し、合計4カ所とした。

ペラ州でも被災者数が増加。セランゴール州でも洪水被害が出ている。一方、ケダ州とトレンガヌ州では避難民がやや減少に転じた。
(マレー・メイル、ベルナマ通信、11月24日)

TMによる次世代型の緊急通報システムが稼働

【クアラルンプール】 政府系通信大手のテレコム・マレーシア(TM)は16日、アプリも活用した次世代型の緊急通報システム「NG MERS999」を正式に稼働開始した。

TMによると、2007年から通話式の緊急通報システム「MERS999」を運用。警察、消防、救急すべての通報を「999」で受け、該当機関に連携する仕組みで、1日あたり平均5万件の通報があった。しかし、技術的に緊急ニーズに対応しきれなくなっていたため、国際緊急対応基準に近づけることを目的に新システムを導入した。

スマートフォン向けのアプリは「SaveME999」という名称で、GPS位置情報やビデオ通話なども活用できる。ただし、音声で通報する場合、必ずしもアプリは必要なく、引き続き直接999にダイヤルすることも可能。

16日の稼働後、緊急通報は7万件に増加。一時「つながらない」などの苦情も寄せられたが、現在は改善されつつあるという。また、実際に緊急対応が必要な内容は、従来から変わらず1日3,500件(全体の5%)程度にとどまっているといい、いたずら電話などを控えるよう注意を呼びかけている。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、ソヤチンチャウ、11月20日)

30日からモンスーン移行期に突入、雷雨などに注意=気象局

【クアラルンプール】 マレーシア気象局は26日、30日から南西モンスーン期から北東モンスーン期への移行期に入るとの予報を発表した。

移行期は11月まで続く見込みで、風が弱まり、湿った空気が停滞し、雷雲が発達しやすくなる。気象局は「特に午後から夕方にかけて、短時間で激しい雨と強風を伴う可能性がある」と指摘。鉄砲水や倒木、高潮など、マレー半島西部および内陸部、サバ州、サラワク州西部が影響を受けやすいとしている。

気象局の公式ウェブサイトや公式ソーシャルメディア・チャンネル、「myCuaca」モバイルアプリを通じ、最新情報をチェックするよう喚起を促している。
(ベルナマ通信、9月26日)

バス車内の電気配線の安全証明、来年1月から取得義務化

【クラン】 来年1月から、高速バスなどの車内電気配線が安全基準に適合していることを示す証明証(PPP)の取得がバス所有者に義務付けられる。道路交通局(JPJ) が23日、発表した。

今回の措置は、昨年11月、高速バス内のコンセントを使って携帯電話を充電中に10代の少年が感電死した事故を受けたもの。JPJやエネルギー委員会などの調査の結果、配線不良が原因だったことが判明した。

新たな安全基準は、コンセント、エアコン、エンターテインメントシステムなどの用途で、50ボルトを超える交流電流(AC)を供給する追加電気設備に関し、内部作業シート「IWS(e)」に沿って安全性を確認・保証するよう定めた。IWS(e)はJPJに登録された有資格電気技師の監督のもと、チェック項目に従って作成され、来年1月以降、自動車検査センター(PPKM)での検査時に必須となる。IWS(e)が提出され検査に合格すると、PPPを取得することができる。

すでにJPJに登録されている約6万5,000台のバスについては、1年間を移行期間とし、2027年1月1日までにPPPを取得しなければならない。違反した場合、運行許可の取り消しや陸上公共交通法に基づく罰則の対象となる可能性がある。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、ベルナマ通信、7月23日)

ヘイズ悪化で警戒レベル引き上げ、半島部で「不健康」観測

【クアラルンプール】 東南アジア諸国連合(ASEAN)専門気象センター(ASMC)は、乾燥が続いているASEAN南部地域に対し、レベル2の越境ヘイズ(煙害)警報を発令した。レベル2は2番目に高い警報で、越境煙霧の発生リスクが高まっていることを示す。

ASMCは19日発表した警報の中で、ここ数日の乾燥した気象状況により、ホットスポット(野火が確認された場所)が増加し煙害が悪化していると指摘した。NOAA-20衛星は、インドネシア・スマトラ島中央部で確認されたホットスポット群から、中程度の煙霧が発生しているのを観測。スマトラ島のホットスポットは18日に79カ所、19日に65カ所確認されたという。ASMCは、今後数日間、降雨が予想されるカリマンタン東部を除くASEAN南部地域の多くの地域で乾燥した天候が予想されるとしている。

スマトラからの越境煙霧の一部は、マレーシア半島西部に漂着しているのが観測された。マレーシア半島西部でも数カ所で大気汚染指数(API)が100を超え「不健康」レベルとなっている。

環境局の大気汚染指数管理システム(APIMS)によると、21日午後3時30分時点でのAPIはアローガジャ(157)、セレンバン(155)、ケママン(153)、ジョハン・セティア(152)、テメルロー(152)、クアンタン(152)、ニライ(138)、バンティン(135)、チェラス(132)――の9カ所で「不健康」レベルとなった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月20日、環境局発表資料)

道路交通局、起亜やヤマハなど8千台超のリコールを発表

【プトラジャヤ】 道路交通局(JPJ)は8日、起亜、メルセデス・ベンツ、ヤマハの自動車・二輪車計8,322台のリコールを発表した。

自動車で対象となるのは、起亜のリオUB(2010―2017)5,123台と、メルセデス・ベンツのS580e、GLC、AMG SL、EQE、EQS(いずれも2023―2025)の32台。起亜は油圧電子制御ユニット(HECU)の発火につながる危険性があり、メルセデス・ベンツはヒューズボックスの取付が不適切だったためという。

二輪車では、ヤマハのトレーサー9GTとMT09(いずれも2021年11月―2025年2月)、テネレ700(2023―2024)の計3,167台が対象。トレーサー9GTとMT09はスロットルポジションセンサー(TPS)、テネレはクラッチにそれぞれ不具合が見つかった。

各メーカーから無償での修理の連絡が行くが、JPJでは各車両の所有者に対し、可能な限り速やかに車検の予約を行うよう呼びかけている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、7月8日)

グラブが哪吒汽車を禁止リストに、安全上の懸念から

【クアラルンプール】 配車サービスのグラブ・マレーシアは、中国の新興電気自動車メーカー、合衆新能源汽車が展開するブランドNETA(哪吒汽車)を使用禁止リストに加えた。グラブに参加するパートナードライバーはNETAを使った輸送サービスができなくなる。

グラブによると、NETAはASEAN(東南アジア諸国連合)自動車安全性評価(NCAP)の衝突試験で獲得した星がゼロだった。マレーシア陸上公共交通庁の指針では、以前は少なくとも星3つの獲得を義務付けていたが、現在は星を要件に含めていない。しかしドライバーおよび客の安全を考慮し、星3つを社内基準として守ることを決めたという。

道路交通局に登録された台数は、NETAのV型が298台、X型が59台。価格はVが10万リンギで、23年にマレーシアで発売が開始された。Xは約12万リンギ。
(ソヤシンチャウ、マレー・メール、7月3日)

パイプライン火災によるガス供給が全面再開、火災原因は軟弱地盤

【クアラルンプール】 ガス・マレーシアは2日、セランゴール州プトラハイツで4月に発生した送電パイプラインの大規模火災に関し、ガス供給を全面的に再開したと発表した。

再開に先だって、労働安全衛生局(DOSH)が第三者機関とともに現地の安全性を確認。事故で損傷したパイプの代替として、長さ約210メートルの仮設パイプラインが設置され、漏洩や圧力低下などもみられなかったことから、供給制限が解除された。

またDOSHは事故原因について、地盤の不安定性によるものと説明。軟弱で湿った地盤によってパイプラインが適切に支えられず、物理的に破損が生じたため、ガス漏れが発生し発火・爆発に至ったとしている。セランゴール州警察も過失などは認められなかったとして、捜査を打ち切った。

一方、ペトロナス・ガス(PGB)は2026年第3四半期を目標に、仮設パイプラインを改めて交換する作業に入る。長期的な安全性と耐久性を確保するため、複数の地質工学調査に基づき、コンクリートスラブ構造上に敷設する予定で、現在エンジニアリング設計の最終調整中という。DOSHはPGBの親会社の国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)に対し、緊急時にガスの迅速な遮断を可能にする追加の安全対策も指示した

火災により、住宅81棟が全焼、81棟が一部損壊。復旧に2年以上かかると見込まれている住民もいて、一部の住民からは、独立機関によるさらなる原因調査を求める声も上がっている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、7月2日、ザ・スター、6月30日、7月1、2日、ベルナマ通信、7月1日)

マレーシアで今年初の新型コロナ関連の死者、感染者は14%増

【クアラルンプール】 保健省は、2025年第24疫学週(6月8日ー6月14日)に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の死者が報告されたと発表した。マレーシアで新型関連死が報告されたのは2024年5月26日以来。2024年の死者は57人だった。

死者は糖尿病や心臓病などの基礎疾患があり、ワクチンの2回目の追加接種を受けていなかった。重症化して集中治療室に収用された患者数は6人で、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心臓病、ダウン症候群などの基礎疾患(ハイリスクグループ)を持っていた。うち4人はすでに退院し、2人は一般病棟に移っているという。

一方、感染者数は前週から14%増加して3,379人となった。累計感染者数は2万1,738人に達し、週平均で約900人となっている。

保健省は予防対策として、高齢者、基礎疾患のある人、免疫不全の青少年、妊婦、医療従事者などのハイリスクグループに対し、COVID-19ワクチンの追加接種を推奨している。また18歳以上は任意でワクチン接種を受けることができる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレー・メイル、6月19日)