バス車内の電気配線の安全証明、来年1月から取得義務化

【クラン】 来年1月から、高速バスなどの車内電気配線が安全基準に適合していることを示す証明証(PPP)の取得がバス所有者に義務付けられる。道路交通局(JPJ) が23日、発表した。

今回の措置は、昨年11月、高速バス内のコンセントを使って携帯電話を充電中に10代の少年が感電死した事故を受けたもの。JPJやエネルギー委員会などの調査の結果、配線不良が原因だったことが判明した。

新たな安全基準は、コンセント、エアコン、エンターテインメントシステムなどの用途で、50ボルトを超える交流電流(AC)を供給する追加電気設備に関し、内部作業シート「IWS(e)」に沿って安全性を確認・保証するよう定めた。IWS(e)はJPJに登録された有資格電気技師の監督のもと、チェック項目に従って作成され、来年1月以降、自動車検査センター(PPKM)での検査時に必須となる。IWS(e)が提出され検査に合格すると、PPPを取得することができる。

すでにJPJに登録されている約6万5,000台のバスについては、1年間を移行期間とし、2027年1月1日までにPPPを取得しなければならない。違反した場合、運行許可の取り消しや陸上公共交通法に基づく罰則の対象となる可能性がある。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、ベルナマ通信、7月23日)

ヘイズ悪化で警戒レベル引き上げ、半島部で「不健康」観測

【クアラルンプール】 東南アジア諸国連合(ASEAN)専門気象センター(ASMC)は、乾燥が続いているASEAN南部地域に対し、レベル2の越境ヘイズ(煙害)警報を発令した。レベル2は2番目に高い警報で、越境煙霧の発生リスクが高まっていることを示す。

ASMCは19日発表した警報の中で、ここ数日の乾燥した気象状況により、ホットスポット(野火が確認された場所)が増加し煙害が悪化していると指摘した。NOAA-20衛星は、インドネシア・スマトラ島中央部で確認されたホットスポット群から、中程度の煙霧が発生しているのを観測。スマトラ島のホットスポットは18日に79カ所、19日に65カ所確認されたという。ASMCは、今後数日間、降雨が予想されるカリマンタン東部を除くASEAN南部地域の多くの地域で乾燥した天候が予想されるとしている。

スマトラからの越境煙霧の一部は、マレーシア半島西部に漂着しているのが観測された。マレーシア半島西部でも数カ所で大気汚染指数(API)が100を超え「不健康」レベルとなっている。

環境局の大気汚染指数管理システム(APIMS)によると、21日午後3時30分時点でのAPIはアローガジャ(157)、セレンバン(155)、ケママン(153)、ジョハン・セティア(152)、テメルロー(152)、クアンタン(152)、ニライ(138)、バンティン(135)、チェラス(132)――の9カ所で「不健康」レベルとなった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月20日、環境局発表資料)

道路交通局、起亜やヤマハなど8千台超のリコールを発表

【プトラジャヤ】 道路交通局(JPJ)は8日、起亜、メルセデス・ベンツ、ヤマハの自動車・二輪車計8,322台のリコールを発表した。

自動車で対象となるのは、起亜のリオUB(2010―2017)5,123台と、メルセデス・ベンツのS580e、GLC、AMG SL、EQE、EQS(いずれも2023―2025)の32台。起亜は油圧電子制御ユニット(HECU)の発火につながる危険性があり、メルセデス・ベンツはヒューズボックスの取付が不適切だったためという。

二輪車では、ヤマハのトレーサー9GTとMT09(いずれも2021年11月―2025年2月)、テネレ700(2023―2024)の計3,167台が対象。トレーサー9GTとMT09はスロットルポジションセンサー(TPS)、テネレはクラッチにそれぞれ不具合が見つかった。

各メーカーから無償での修理の連絡が行くが、JPJでは各車両の所有者に対し、可能な限り速やかに車検の予約を行うよう呼びかけている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、7月8日)

グラブが哪吒汽車を禁止リストに、安全上の懸念から

【クアラルンプール】 配車サービスのグラブ・マレーシアは、中国の新興電気自動車メーカー、合衆新能源汽車が展開するブランドNETA(哪吒汽車)を使用禁止リストに加えた。グラブに参加するパートナードライバーはNETAを使った輸送サービスができなくなる。

グラブによると、NETAはASEAN(東南アジア諸国連合)自動車安全性評価(NCAP)の衝突試験で獲得した星がゼロだった。マレーシア陸上公共交通庁の指針では、以前は少なくとも星3つの獲得を義務付けていたが、現在は星を要件に含めていない。しかしドライバーおよび客の安全を考慮し、星3つを社内基準として守ることを決めたという。

道路交通局に登録された台数は、NETAのV型が298台、X型が59台。価格はVが10万リンギで、23年にマレーシアで発売が開始された。Xは約12万リンギ。
(ソヤシンチャウ、マレー・メール、7月3日)

パイプライン火災によるガス供給が全面再開、火災原因は軟弱地盤

【クアラルンプール】 ガス・マレーシアは2日、セランゴール州プトラハイツで4月に発生した送電パイプラインの大規模火災に関し、ガス供給を全面的に再開したと発表した。

再開に先だって、労働安全衛生局(DOSH)が第三者機関とともに現地の安全性を確認。事故で損傷したパイプの代替として、長さ約210メートルの仮設パイプラインが設置され、漏洩や圧力低下などもみられなかったことから、供給制限が解除された。

またDOSHは事故原因について、地盤の不安定性によるものと説明。軟弱で湿った地盤によってパイプラインが適切に支えられず、物理的に破損が生じたため、ガス漏れが発生し発火・爆発に至ったとしている。セランゴール州警察も過失などは認められなかったとして、捜査を打ち切った。

一方、ペトロナス・ガス(PGB)は2026年第3四半期を目標に、仮設パイプラインを改めて交換する作業に入る。長期的な安全性と耐久性を確保するため、複数の地質工学調査に基づき、コンクリートスラブ構造上に敷設する予定で、現在エンジニアリング設計の最終調整中という。DOSHはPGBの親会社の国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)に対し、緊急時にガスの迅速な遮断を可能にする追加の安全対策も指示した

火災により、住宅81棟が全焼、81棟が一部損壊。復旧に2年以上かかると見込まれている住民もいて、一部の住民からは、独立機関によるさらなる原因調査を求める声も上がっている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、7月2日、ザ・スター、6月30日、7月1、2日、ベルナマ通信、7月1日)

マレーシアで今年初の新型コロナ関連の死者、感染者は14%増

【クアラルンプール】 保健省は、2025年第24疫学週(6月8日ー6月14日)に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の死者が報告されたと発表した。マレーシアで新型関連死が報告されたのは2024年5月26日以来。2024年の死者は57人だった。

死者は糖尿病や心臓病などの基礎疾患があり、ワクチンの2回目の追加接種を受けていなかった。重症化して集中治療室に収用された患者数は6人で、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心臓病、ダウン症候群などの基礎疾患(ハイリスクグループ)を持っていた。うち4人はすでに退院し、2人は一般病棟に移っているという。

一方、感染者数は前週から14%増加して3,379人となった。累計感染者数は2万1,738人に達し、週平均で約900人となっている。

保健省は予防対策として、高齢者、基礎疾患のある人、免疫不全の青少年、妊婦、医療従事者などのハイリスクグループに対し、COVID-19ワクチンの追加接種を推奨している。また18歳以上は任意でワクチン接種を受けることができる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレー・メイル、6月19日)

大型車両の速度リミッター設置義務化、10月から段階的に施行

【シャアラム】 アンソニー・ロ―ク運輸相は、大型車両への速度リミッター(SLD)設置の義務化を3段階に分けて実施すると述べ、第1段階は10月から実施されると明らかにした。来年7月までの完全施行を目指す。

第1段階では、2015年1月1日以降に登録された大型商用車を対象に、今年10月までに速度制限装置の設置確認を受けなければならない。対象はすべての観光バス、高速バス、最大重量3,500キログラムを超える大型車両となっている。

設置確認は、道路運輸局(JPJ)が認定する車両メーカー、技術サービス提供者、整備工場、サービス施設提供者から取得できるほか、JPJが認定する基準局認定機関からも取得できる。新規許可の申請時や更新時にも、この書類を車両検査センターに持参しなければならない。

第2段階では、2015年1月1日以前に登録された大型車両に速度リミッター設置を義務付ける。作動確認書類は2年ごとに更新し、取り締まり検査の際には常に車両に携行しなければならない。取締活動は2026年1月に開始される。

速度リミッター設置義務化は9日に発生した15人の大学生が死亡したバス事故を受けて決まったもので、同事故ではトレンガヌ州ジェルティからペラ州タンジョン・マリムへ向かっていたスルタン・イドリス教育大学(UPSI)の学生がチャーターしたバスがゲリックのタシク・バンディング近郊の東西高速道路で多目的車(MPV)に速度超過で追突。バスは横転大破し、学生15人が死亡したほか、バスの運転手と助手、事故に巻き込まれたMPVの乗員乗客3人を含む33人が負傷した
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、6月13日)

KLIA第2ターミナル、15、17日に一時乗り入れ禁止に

【プトラジャヤ】 空港運営会社、マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)は、中国の習近平 国家主席による3日間のマレーシア訪問に合わせ、4月15日と4月17日の2日にわたり、クアラルンプール新国際空港(KLIA)第2ターミナルへの自動車乗り入れが一時禁止されると発表した。

MAHBのフェイスブックによると、乗り入れが禁止される時間帯は15日が午後6時―午後7時、17日が午前8時50分―午前9時50分で、第2ターミナルに接続する周辺道路が全て閉鎖され、駐車場も利用できなくなる。このため第2ターミナルの利用者はKLセントラル駅からKLIAエクスプレス、第1ターミナルからはKLIAトランジットでアクセスするよう推奨している。

また警察は、習氏の滞在期間中の15日から17日にかけて首都圏クランバレーの合計17の道路が30分から45分間閉鎖されるとして利用者に注意を呼び掛けている。
(マレーシアン・リザーブ、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、モタオート、4月14日)

トラブル時3カ国語による指差し「支援ボード」を公開=日本大使館

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 在マレーシア日本国大使館は7日、日本人がトラブルに遭遇した時用の「コミュニケーション支援ボード」をウェブで公開した。日本語、マレー語、英語の3カ国語で記載され、警察に届け出をする際、指を差しながら説明ができる。

支援ボードは、盗難被害、落とし物、交通事故のほか、最近増加している詐欺被害の4つのシチュエーションごとに対応できるようになっている。

マレーシアには現在、2万人を超える日本人が居住し、2024年は約30万人に上る日本人が訪れている。大使館は「万が一被害に遭った場合に備え、このボードを印刷や、携帯端末にダウンロードするなどして活用してほしい」としている。

URLは、https://www.my.emb-japan.go.jp/itpr_ja/newinfo_07042025.html

パイプライン火災、急がれる原因究明と住民支援

【クアラルンプール】 セランゴール州プトラハイツで1日発生したガスパイプラインの大規模火災について、被害を受けた住民らへの対応が急がれる一方、発生原因の究明と再発防止策を求める声が高まっている。

火災発生現場では縦70フィート、横80フィート、深さ32フィートのクレーター状の穴が確認され、爆発の威力の大きさを示している。地元警察や消防救助局、労働安全衛生局、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)など約20の機関により安全検査や原因の究明、復旧に向けた作業が始まった。

マレーシア消防救助局の元局長のモハマド・ハムダン・ワヒド氏は可燃性ガスが漏れると、蒸気が空気中に蓄積して発火しやすくなり、大規模な爆発につながった可能性があると指摘する。

また、マレーシア労働安全衛生協会のアハマド・ファクルル会長は、ガス漏れが起こると災害防止用の自動安全警報が作動するはずで、「なぜ今回は爆発にまでエスカレートしたのか」と疑問を呈する。さらに可燃性液体の保管と輸送には厳しい規制があり、今回のパイプラインも法的枠組みに基づいて敷設されているはずと断ったうえで、今後同様の事故を防ぐため、2,500キロに及ぶマレーシアのガスパイプライン網を管理する標準操作手順(SOP)を見直す必要性を強調する。

一方で、火災で被害を受けた115軒の住宅では、段階的に立ち入りが許可され、電気配線の点検などが行われた。アンワル・イブラヒム首相は、全損の住宅所有者には5,000リンギ、部分損壊の住宅所有者には2,500リンギの一時支援金をすでに発表。住宅の再建には1年以上かかる可能性があるため、今後も住民支援は最優先事項と強調する。被災者向けの補助金付きの賃貸住宅の提供や、運転免許証など火災で失った書類の再発行も進められている。
(エッジ、マレー・メイル、4月2日、ザ・バイブス、ディムサム・デイリー、ベルナマ通信、4月3日)