昨年の日本酒輸出額、マレーシアは13位=日本酒造組合中央会

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 約1,600の酒蔵が所属する日本酒造組合中央会は7日、2024年(1―12月)の日本酒輸出実績を発表。マレーシアは前年の3億8,083万円から3.6%増の3億9,454万円となり、国別輸出額で世界13位となった。

国別トップは中国の116億7,763万円で、米国(114億4,190万円)が僅差で続いた。中国、アメリカ、3位の香港の3カ国・地域で輸出金額の65%を占めた。東南アジア諸国連合(ASEAN)ではシンガポールが14億8,378万円でトップとなり、世界全体では6位となった。

マレーシアへの輸出量は昨年の31万1,501リットルから11.6%増の36万1,502リットルとなり、国別では15位となった。トップは米国(800万2,717リットル)で、これに中国(532万3,822リットル)が続いた。ASEANではシンガポールが70万1,826リットルでトップとなり、全体では7位となった。

マレーシアの1リットル当たりの輸出額は1,091円となり、タイの671円、韓国の766円を上回ったが中国の2,193円、シンガポールの2,114円を大きく下回った。
世界全体の輸出額は前年の410億8,195万円から5.8%増の434億6,870万円となり、輸出額・数量共に昨年を上回った。輸出相手国は過去最高の80カ国に拡大した。1リットルあたりの輸出金額は前年からほぼ横ばいとなり、「プレミアム」な日本酒トレンドが続いている。

中長期的な日本酒輸出展望について同中央会は、今後は輸出先国・地域の多角化を行い、安定的な輸出増加を戦略的に図っていくことが重要だと指摘。マレーシアなどの東南アジアは、経済成長や人口増加も見込まれることから、新たな市場として期待されるが、各国ごとに事情が異なるため酒類に関する法規制や流通経路に関するマーケティング調査を行い、効果的な施策を展開するなど、それぞれの地域特性に合わせた戦略により日本酒市場の開拓・浸透を図っていくとしている。

昨年の自動車販売台数、日本車メーカーが苦戦

【クアラルンプール】 マレーシア自動車協会(MAA)によると、2024年通年のメーカー別自動車販売台数のトップはダイハツ系のプルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)で、前年比8.4%増の35万8,102台となった。全体の販売台数は2.1%増の81万6,747台となる中、日本車勢は日産がトップ10を逃すなど販売の落ち込みが目立つ形になった。

1位のプロドゥアは、市場シェアでも前年から2.5ポイント伸ばし、43.8%と強さを示した。2位のプロトンは前年比2.2%減の14万7,587台で、シェアは18.1%だった。プロトンの販売台数が減少したのは2018年以来6年ぶり。

3位はトヨタで5.2%減の10万701台(シェア12.3%)、4位はホンダで2.1%増の8万1,699台(同10.0%)だった。1ー4位までが前年と同じ順位をキープしたのに対し、5位には前年比338.1%増の1万9,683台で、中国・奇瑞汽車(チェリー自動車)が入った。シェアは0.6%にとどまったが、SUVの販売に力を入れているのが、功を奏したとみられる。

その後、日本車メーカーが6位三菱1万6,167台(25.6%減)、7位マツダ1万4,537台(24.0%減)、8位いすゞ1万3,268台(21.5%減)と続いたが、いずれも20%以上落ち込んだ。

前年9位だった日産は、22.2%減の7,785台で11位で、そのほか▽14位日野5,849台(1.4%増)▽20位スバル1,288台(28.5%減)▽22位三菱ふそう946台(35.1%減)▽23位ダイハツ887台(2.0%減)▽26位スズキ680台(109.9%増)となった。

日産に代わり10位に入った中国・比亜迪汽車(BYD)は129.9%増の8,570台で、マレーシアで好調な電気自動車(EV)の販売に支えられた。
(ポールタン、2月6日)

資本所得への課税とGST再導入、世銀が推奨

【クアラルンプール】 世界銀行は5日、マレーシアの財務に関する調査報告を公表。資本所得の非課税が税制の弱点で、税収の少なさの主因だと指摘。資本所得(配当、利子、賃貸所得、資本利得など)への課税が税収基盤の拡大につながるとした。

世銀は、給与所得者の所得税の支払いが発生する境界線が高いこと、所得層上位に対する低率の課税、複数の減税措置の適用が税収を妨げているとし、複数の減税措置の適用には上限額を設定すべきと指摘した。

世銀はまた物品・サービス税(GST)の再導入が望ましいとの見解を改めて表明。マレーシアの税収比率は低中所得国も下回っており、歳出が制限されている。GSTは最も効率的な税の1つとみなされており、広範かつ速やかに実施できるため、再導入が望ましいとした。GSTについては2022年にもアプルバ・サンギ主任エコノミスト(マレーシア担当)が、再導入が望ましいとの意見を述べていた。

また所得格差については、民族間の不平等より民族内の不平等の方が大きいとの分析を示した
(エッジ、マレー・メイル、2月5日)

第一生命経済研究所レポート「政策運営は外部環境次第」

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)による政策金利の3%据え置きに関し、第一生命経済研究所は22日、経済分析レポートを発表。主席エコノミスト、西濵徹氏は「ほかのアジア新興国では利下げの動きが広がるが、マレーシアは先行き不透明感を踏まえ慎重姿勢を堅持したとみられる」とした。

ほかのアジア新興国の利下げについて、インフレが鈍化していることに加え、昨年後半の米連邦準備理事会(FRB)による利下げで自国通貨安圧力が後退したことも重なり、景気下支えに舵を切る流れが広がったと分析した。

一方でマレーシアの場合、インフレは落ち着きを見せたものの、もともと外需依存度が極めて高い構造で、米のトランプ大統領の就任で、外需を巡る環境が厳しさを増していることや、内政では財政健全化が急務となっていることから、インフレにつながる材料が山積していると指摘。このため、現時点では物価動向を警戒して慎重姿勢を維持したと説明した。

さらに、プラス4.5―5.5%という政府と中銀の2025年成長率見通しについて、西濵氏は「内・外需双方に不透明要因が山積するなかで、ハードルは高いと見込まれる。しかし、今後も政策運営は外部環境に手足を縛られる展開が続くことは避けられない」と締めくくった。

ペナン空港、昨年の旅客数がコタキナバル空港抜き2位に

【ジョージタウン】 マレーシア民間航空局(CAAM)のデータによると、2024年のペナン国際空港(PIA)の旅客取扱数は747万3,462人となり、2023年の697万9,748人から7.07%増となった。ペナン州観光・創造経済委員会のウォン・ホンワイ議長(国政の閣僚に相当)が明らかにした。

PIAはサバ州コタキナバル国際空港(KKIA)を抜き、クアラルンプール新国際空港(KLIA)に次いで国内第2位に浮上した。週当たりの便数は565便で、前年の523便から8.03%増加した。特に国際線は前年の259便から304便に17.37%も増加し、昨年8月以降は上海やドバイ、厦門、香港などの海外都市を結ぶ新たな12の直行便が開設された。現在、深セン、広州、シンガポール、バンコク、プーケット、ジャカルタ、台北、ドーハ、チェンナイ、重慶など20都市に直行便を運航している。

またPIAは航空機発着回数が6万4,507回で、コタキナバル国際空港の6万3,822回をわずかに上回って2位となり、5万9,929回だったセランゴール州スバン空港(スルタン・アブドル・アジズ・シャー空港)や、5万4,969回を記録したクチン国際空港も上回った。トップはKLIAで36万6,895回だった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、1月24日)

昨年の破産件数5977件、若者の個人ローンなど要因

【プトラジャヤ】 マレーシア破産局によると、昨年の破産者は5,977件で、うち個人ローンを原因とするものが2,776件を占め、前年の2,225件から増加した。これにビジネスローン(1,148件)、住宅ローン(474件)が続いた。クレジットカード破産も89件に上った。

破産申告者を民族別でみると、マレー系が3,478件でトップ。これに華人(1,581人)が続いた。年齢別では35―44歳が2,402件で最も多く、45―54歳が1,695件で続いた。

M.バクリ・アブドル・マジド局長は、個人ローンを原因とする破産の中でもほとんどが25―44歳で、「贅沢なライフスタイルにあこがれ、ローンに安易に手を出し、最終的には破産に至る」と分析。こうした傾向は年利15―18%に及ぶ高いクレジットカード金利によって悪化しており、特に就職したばかりの若者にとって借金返済がますます困難になっているとして、金融機関に対し、若者が関与するローンの承認条件を厳格化するよう求めた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・サン、1月19日、統計局発表資料)

昨年の公共交通機関の利用者数、 1日平均118万人=運輸相

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は17日、公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアの2024年の業績報告を発表。鉄道・バスを利用した乗客は1日当たり平均118万人で、前年比24%増となった。2025年はさらに20%増の140万人が目標という。

乗客増加の背景として、新型コロナ・パンデミックから経済が回復傾向にあることや、2023年3月の首都圏大量高速輸送(MRT)プトラジャヤ線の開業などが挙げられた。乗客が最も多かったのは、12月31日の154万人だった。乗客数の増加などでプラサラナの収入は5%増加したという。

一方、列車が5分以上停止するなど運行が中断されたケースは71回で、前年の118回から40%減った。ローク運輸相は「平均すると現在、20万―40万キロメートルごとに1回の中断のところ、2026年までには100万キロメートルごとに1、2回に減らしたい」とし、人工知能(AI)を活用するなど「予防保守」に重点を置く考えを示した。

また2025年の乗客増加要因として、建設が進められている首都圏軽便鉄道(LRT)シャアラム線(旧LRT3)で9月30日までに最初の20駅の開業が予定されている。残りの5駅は2028年12月31日までに開業予定。

利用者のニーズに応じて柔軟に運行するオンデマンド型交通(DRT)についても、現在首都圏クランバレーで運行している20台から、2月には新たに300台増やす。新型ディーゼルバスも3月下旬から段階的に310台が納入される予定で、ローク運輸相は「これによりMRTとLRTの利用をさらに促進していきたい」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、1月17日)

第4四半期のGDP成長速報値は4.8%、通年は5.1%=統計局

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 統計局は17日、2024年第4四半期(10ー12月期)のマレーシア国内総生産(GDP)成長率の速報値を発表。前期(7ー9月期)のプラス5.3%を下回るプラス4.8%と予測した。正式発表は2月14日を予定している。

セクター別では、牽引役のサービス業は、前期のプラス5.2%からやや改善しプラス5.3%の堅調な成長を維持。卸売・小売業、輸送・倉庫、情報・通信のサブセクターが貢献した。

製造業は前期のプラス5.6%から減速したもののプラス4.3%成長を維持した。電気・電子・光学製品、石油、化学、ゴム・プラスチック製品、植物性・動物性油脂、食品加工品の増加が貢献した。

農業は天然ゴムが二ケタの成長を遂げたもののアブラヤシや林業の減速が響いて、前期のプラス3.9%から0.6%のマイナス成長に転落した。 鉱業・採石業は原油・コンデンセートの生産が減少したものの、天然ガスの生産増に下支えされて前期のマイナス3.9%からマイナス1.4%に持ち直した。

建設業は住宅及び非住宅建設の成長に支えられ、前期のプラス19.9%からほぼ横ばいのプラス19.6%となった。

2024年通年のGDP成長率速報値はプラス5.1%で、前年の3.6%を上回った。セクター別ではサービスがプラス5.3%、建設がプラス17.2%、製造業がプラス4.2%、鉱業・砕石がプラス0.8%、農業がプラス3.0%と、いずれもプラス成長となった。

マレーシア国民の73%、今年の世界経済に期待=イプソス調査

【クアラルンプール】 世論調査会社イプソスはこのほど「2025年予測レポート」を発表。世界経済が2024年よりも2025年の方が良くなると回答したマレーシア人は73%で、調査33カ国中5位となり、マレーシア人の前向きな見通しを表す結果となった。

世界経済に対する期待度を示すマレーシアの73%は、前年比11ポイント増。各国平均の51%も大きく上回っている。

また、「2025年は2024年よりも自分にとって良い年になると楽観している」と回答した割合はさらに多い81%だった。各国平均の71%を上回り、世界的には8位で、最下位だった日本の38%と対照的な結果となった。

一方、2025年の増税を予想したマレーシア人は80%で、前年の74%から増加。インフレ上昇を予想した割合も76%で、前年の70%から増えた。イプソス・マレーシアのカントリーマネジャー、エブリン・タン氏は「2025年はマレーシア人にとって、経済と公衆衛生について不確実性を感じつつも、チャンスと課題の両方をもたらすだろう」としている。

イプソスが昨年10月25日―11月8日に行ったオンライン調査に、世界33カ国の23,721人が回答した。
(マレー・メイル、1月13日、インプレス発表資料)

95%が1つ以上の電子ウォレットを使用=リンギプラス調査

【クアラルンプール】 マレーシアの価格比較サイト、リンギプラス(RinggitPlus)の調査で、回答者の95%が少なくとも1つの電子ウォレットを使用していると答えた。2022年調査の89%、23年調査の91%からさらに上昇しており、消費者のデジタル化が急速に進んでいることがわかった。

同調査はサードパーティの分析プラットフォームを介して自己記入式のオンラインアンケートを使用して、全国のマレーシア人3,385人を対象に実施した。また回答者の45%が少なくとも1つのデジタルバンクに口座を持っており、26%が口座を開設する予定だと答えた。保険契約/タカフル契約については、回答者の29%はオンラインで購入することを好むと回答、代理店経由を好むとの回答は39%にとどまった。

金融関連の調査を行う際の主な情報源については、ソーシャルメディア(65%)がトップで、家族や友人 (53%)を上回った。収集した情報の信頼性に関しても、ソーシャルメディアを信頼する傾向が強く、ソーシャルメディアに対する信頼スコアは平均4.05と、家族や友人(3.36)、銀行・金融機関(3.22)よりも高かった。

リンギプラスのユエン・トゥックシュー最高経営責任者(CEO)は、「マレーシア人がキャッシュレス化し、デジタルバンキングを受け入れるようになるにつれて、デジタル個人情報や金融情報の保護、潜在的な詐欺や不正行為を特定する能力などが非常に重要なスキルとなる」と指摘。一般市民がますますオンラインで金融活動を行う傾向にあることは、「デジタル金融リテラシー」の重要性を示していると述べた。
(エッジ、1月13日)