【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 野党側の統一首相候補の人選が膠着状態にある中、マハティール・モハマド前首相が妥協案として希望同盟(PH)の友党であるサバ遺産党(ワリサン)のシャフィー・アプダル党首を首相候補として推す案を発表した。実現すればサバ・サラワク州からの首相選出は建国以来初めてとなるため注目されている。
マハティール氏は当初の自身が三たび首相となる構想をPH側に提案していたが、PHを率いるアンワル・イブラヒム人民正義党(PKR)党首が首相候補に決定済みだとしてPKR側が拒否。マハティール氏は「ムヒディン・ヤシン政権打倒に向けた協力をPKRが拒むのであれば、別の方針を模索する」とPKR側に最後通牒を突きつけていた。
マハティール氏はさっそく25日にPKRを除くPH構成党及び友党のリーダーと会合を開催。この中でマハティール氏はPH構成党ではないシャフィー氏を推す案を出し、ほかの野党から支持を得たと主張している。マハティール氏自身が一歩退く決意をPKR側に示すと共に、下院でキャスティングボートを握るサバ・サラワク州の民意を味方につける狙いがあるとみられる。
またマハティール氏は、アンワル氏について第1副首相候補として推す案を出し、実子のムクリズ・マハティール前統一プリブミ党(PPBM)副党首を第2副首相候補として推す案を出し、これも了承されたとしている。
これに対しPKRのサイフディン・ナスシオン書記長は、いかなる決定もPHの最高幹部理事会の決定を経る必要があると指摘。ただし新たな提案については話し合う用意があるとしている。