プレミアム高速バスサービス「エアロライン」に1カ月の運行停止処分

【クアラルンプール】 公共陸運局(APAD)は、運行会社のズルコによる度重なる違反を受けて、プレミアム高速バスサービス「エアロライン」の運行を116から125日までの1カ月間停止すると発表した。運行免許停止・取消委員会が1021日の会合で、運行免許と車両許可の30日間停止を決めた。

APADによると、同社は運行免許を不正に使用し、許可されていない場所で乗客の乗降を行い、事前の承認を得ずに認可されたターミナル外で運行していた。今年初めに複数回の警告が出されていたにもかかわらず、23521日、1010日にも違反が発覚した。同社は認可されたターミナルへの移転を複数回勧告されていたものの、これに従わなかったため、APAD3月から10月の間に3通の説明要求書を発行していた。報道によると、ズルコは公式文書で違反を認めているという。

エアロラインは、クアラルンプール、ペタリンジャヤ、ペナン、ジョホールバル、シンガポール間で長距離バスを運行している。首都圏クランバレーではクアラルンプール(KL)の「コーラスホテル」、バンダル・ウタマの「ワン・ウタマ・モール」、ペタリンジャヤの「サンウェイ・ピラミッド」を乗降場所としており、交通ハブであるTBSターミナルへの移転を拒んだためだという。

(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、112日)

KLで反米デモ、トランプ大統領訪馬に合わせ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ドナルド・トランプ米大統領が東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に合わせて訪馬するのに合わせ、パレスチナ・ガザを侵攻したイスラエルを支持する米国とトランプ大統領の入国を認めるマレーシア政府を相手どった抗議デモが24日と26日にクアラルンプール(KL)で行われた。

24日午後の抗議デモはイスラム原理主義野党・汎マレーシア・イスラム党(PAS)青年部が主催したもので、在マレーシア米国大使館前に700人あまりが集まり、「トランプを拒否せよ」、「帰国せよ」などと書かれたプラカードを掲げてシュプレヒコールを上げた。中にはパレスチナ国旗を掲げ、「ヒズボラ万歳」、「ハマス万歳」などと叫ぶ参加者もいた。

26日は午前にBDSマレーシアが主催する抗議集会がムルデカ広場で行われ、約200人の抗議者がパレスチナ国旗を振り、「パレスチナを解放せよ」、「虐殺を止めろ」といったスローガンが書かれたプラカードを掲げた。同抗議集会は当初アンパン・パークで行われる予定だったが、警察が周辺を封鎖したことから急遽ムルデカ広場に変更となった。

同日午後にはアンパン・パークで反帝国主義運動(Gegar)、マレーシア虐殺反対学生連盟(SAGM)、パレスチナのためのマレーシア抗議運動(MP4P)などが共同でマレーシア政府に対する抗議デモを開催した。公的にパレスチナ支持を表明しているにもかかわらずイスラエル関連企業との金融関係を維持しているとしてマレーシア政府を非難する内容で、約200人が参加した。

連邦歳入の40%はサバ州の権利、コタキナバル高裁判決

【コタキナバル】 連邦政府歳入の連邦政府と州政府間の配分に関するサバ州弁護士会が起こした訴訟で、コタキナバル高等裁判所は、現行の連邦政府とサバ州政府との取り決めは憲法違反であり、連邦政府は40年近く、歳入の40%はサバ州の権利との規定に違反してきたとの判断を示した。被告は連邦政府と州政府で、連邦政府側は控訴する見通しだ。

判決では、連邦政府歳入の40%はサバ州に支払われるべきとし、1974年から2021年までの配分額を算定する義務が連邦・州政府にあるとした。セレスティナ・スチュエル・ガリド裁判官は判決で、連邦政府と州政府の取り決めは連邦憲法に違反しており、権限を逸脱していると述べた。

マレーシアの歳入源と歳入配分は連邦憲法により定められており、特にサバ州とサラワク州に対しては道路整備補助金など特別な取り決めが設けられている。
(マレー・メイル、ザ・スター電子版、ジェセルトン・タイムズ、10月17日)

プロドゥアのワイヤーハーネス保管倉庫が火災、約8割が焼失

【バタンカリ】 セランゴール州バタンカリにあるダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)のワイヤーハーネス保管倉庫が25日未明に出火し、約8割が焼失した。火事は午前5時45分に鎮火し、死傷者はいなかった。

セランゴール州消防レスキュー局によると、午前4時45分に火事の通報があり、クアラ・クブ・バル消防署から最初の消防車が午前5時7分に現場に到着。ブキ・セントーサ消防署とラワン消防署も加わって消防隊員26人で消火活動を行った。

焼失したのは縦100フィート、横80フィートのクラスA鉄骨構造の建物で、最初の消防隊が現場に到着した時点で既に炎に包まれていたという
(ザ・サン、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、8月25日)

JPモルガンと示談成立、1MDBスキャンダルめぐり

【クアラルンプール/ニューヨーク】 ナジブ・ラザク元首相の主導で設立されたワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)にからむ公金流用事件をめぐり、1MDBがJPモルガン・チェースを相手取りマレーシアで起こしていた訴訟で示談が成立した。

JPモルガンは14億リンギ(3億3,000万米ドル)を解決金としてマレーシア政府に支払う。示談成立に伴い、双方は1MDBをめぐるすべての訴訟を取り下げる。また双方は今後一切、解決金支払いを求めず、訴訟も起こさない。マレーシア、米国当局の調査で、2009年から14年にかけ少なくとも45億米ドルが1MDBから盗まれ、世界をまたにかけ流用、洗浄された。

1MDBは2011年、怠慢、契約違反、詐取共謀を理由に、JPモルガン、ドイツ銀行、英系クーツを相手取り、損害賠償訴訟を起こし、JPモルガン(スイス)には8億米ドルの支払いを請求した。

22日の示談発表に先立ち、スイス検察はJPモルガン(スイス)が、1MDBから流用された資金の洗浄を防ぐ合理的措置を講じなかったとして、300万フランの罰金を命令したと発表していた。
(ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、8月22日)

豪州産牛肉の無監査疑惑、イスラム開発局が否定

【プトラジャヤ】 マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)のシラジュディン・スハイミー局長は、豪州産牛肉がJAKIMの監査なしにマレーシアに輸入されているとの拡散動画の内容を否定。マレーシアに輸出されるすべての食肉および食肉加工品の屠殺および加工プロセスは、マレーシアと豪州の両国が定めた基準と規制に従って行われていると強調した。

ソーシャルメディアで拡散している問題の動画は「JAKIMはオーストラリア産の輸入肉をめったに監査せず、マレーシア人は死骸を食べている」とのタイトルが付けられたもの。2022年に撮影されこのほど再共有されたもので、不正確な情報が含まれており国民を誤解させる可能性があるという

シラジュディン氏は、「JAKIMは豪州キャンベラのマレーシア高等弁務官事務所にハラル(イスラムの戒律に則った)担当官事務所を設置し、マレーシア家畜サービス局(DVS)の認可を受けた屠畜場および食肉加工工場の定期的かつ継続的な監視を行っている」と言明。「豪州農林水産省(DAFF)も輸出用ハラル食肉の調理プロセス全体に関する規制を実施しており、豪州政府の輸出規制を満たしマレーシアのハラル基準を含む輸入国の要件を満たした製品のみが輸出許可される」と説明した。
(ザ・サン、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、8月15日)

1MDB資金流用事件、総額297億リンギを回収

【クアラルンプール】 ナジブ・ラザク元首相の主導で設立された国策投資会社、ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)、同子会社SRCインターナショナルによる公金流用事件で、政府は財産回収信託口座を2018年に設けて以降、297億リンギの資金をこれまでに回収した。議員の質問に財務省が書面で回答した。

1MDB債務返済のため、1MDBに移転された資金は今年7月末の時点で約422億リンギうち約154億リンギが財務省と財務大臣法人による株主貸し付けで、約267億リンギが回収資金からのもの。約289億リンギが元本返済、132億リンギが利子支払いに充当された。

1MDBの残存債務はイスラム債の償還義務(約90億リンギ)で、2039年まで返済が続けられる。50億リンギが元本、約40億リンギが利子など。SRCに対し政府は53億5,000万リンギを移転した。元本、利子支払いに充当される。財務省は、資金回収には外国政府機関の協力が欠かせず、裁判手続きもあるため、まだ数年を要する複雑な作業だと説明した。

(マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、8月14日)

MTUCの権力闘争が終結へ、ハリム氏が選挙で会長職に復帰

【ペタリンジャヤ=アジアインフォネット】 トップによる権力闘争が続いていた全国労組、マレーシア労働組合会議(MTUC)が特別代表者会議を開催し、ハリム・マンソール前会長が出直し会長選挙で新会長に選出された。これにより6年間にわたって続いていたMTUCの内紛は収束に向かうとみられる。

特別代表者会議はセランゴール州シャアラム高等裁判所の命令により開催されたもので、ハリム氏は正統性を主張して争っていたエフェンディ・アブドル・ガニ氏を7票の僅差で破った。

ハリム氏は2016年にMTUC会長に初当選し、2017―19年の任期を務めた。3年後の2019年の選挙では会長に立候補したエフェンディ氏とモハメド・ジャファル氏の票が同数となり、ハリム氏が「多数を獲得する候補者が出ない場合は前会長が引き続き会長職に就く」との会則をタテに自身を正統な会長と称したことで争いが勃発した

結局、内部分裂を嫌うジャファル氏がエフェンディ氏に当選を譲る意向を示していったんは落着に向かったが、当時のMTUC事務局と作業部会がハリム氏を不適格だとして同氏の2022年の選挙への出馬資格を剥奪したことでハリム氏サイドが態度を硬化。ハリム氏を支持する16の加盟労組が、エフェンディ氏が再選を果たした2022年の選挙無効を裁判に訴え出た。シャアラム高裁は2023年、選挙を無効と裁定し、現執行部は日常業務の遂行以外の政策決定、公式声明、労組代表としての活動を禁じられた。

プロトン、供給業者への未払金めぐり法廷闘争に

【クアラルンプール】 プロトン・ホールディングス傘下のプルサハーン・オートモビル・ナショナル(プロトン)は、202万リンギの未払金を巡って長年のサプライヤーであるUCMオートモーティブ・システムズとの間で法廷闘争となっている。経済紙「エッジ」が報じた。

プロトンにエアコン部品とトランスミッションクーラーを供給しているUCMは、2024年7月、プロトンに対し未払い請求書、利息、その他の費用として431万リンギの支払いを求める法定請求書(債務者に一定期間内の支払いを求める正式な文書)を提出した。こうした文書の提出は通常、債務が完済されない場合に債権者が債務者に対する清算を申し立てる前に行われる最初の法的手続きだという。

UCMがプロトンを相手取って裁判所に破産手続の開始を申し立てる構えを示しているのに対し、プロトンは欠陥部品が納品されたことなどを理由にUCMの主張する請求額に異議を唱え、裁判所が実際の債務額を決定するまでの間の清算申立ての差し止めを申し立てた。

係争中にプロトンは一部の支払いを行い、UCMは一定の相殺を認めたため、当初の請求額は約55万リンギに減額されたが、UCMはその後、さらに147万リンギを請求額に追加した。

2025年2月、シャアラム高等裁判所は、プロトンによる清算手続き阻止に向けた申し立てを却下。プロトンが追加分の147万リンギを含め202万リンギの債務を負っていることを認めた上で、UCMに対して遅延支払いに対する年10%の利息を請求する権利を認めた。

両社の紛争は、プロトンとサプライヤー間の緊張が高まる中で発生した。2023年11月、77社で構成されるプロトン・ベンダー協会はプロトンに対して部品製造コストの上昇を訴えた上で、プロトンが部品代金の値上げを拒否していることを批判する書簡を送付。その後、サプライヤーはプロトンが約束よりも少ない部品しか発注しなかったと主張した。
(エッジ、6月27日)

サイド・サディク元青年スポーツ相、汚職裁判で逆転無罪判決

【プトラジャヤ】 若手リベラル政治家による政党、マレーシア統一民主同盟(MUDA)を率いるサイド・サディク被告(元青年スポーツ相)に対する汚職裁判の控訴審判決が25日にあり、控訴裁は同被告に対し逆転無罪を言い渡した。

同裁判は、サイド・サディク氏が2021年当時所属していた統一プリブミ党(PPBM)の青年組織(アルマダ)の責任者であった際、会計担当ラフィク・ハキム・ラザリ氏に指示して、資金約100万リンギを不正に引き出した罪で起訴された事件に関するもので、2023年に行われた一審の高裁判決はサイド・サディク氏を有罪として、禁固7年、罰金1,000万リンギ、ムチ打ち2回を言い渡していた。

控訴審では、サイド・サディク氏が資金引き出しの権限を有しており、また引き出した資金は正当な用途に使われたとする弁護側の主張を認め、ラフィク氏の証言に頼った検察側の主張は認められないと判断した。ラフィク氏は後に汚職摘発委員会(MACC)による苛烈な取り調べにより自身が虚偽の証言を行ったことを認めている。無罪判決を受けてサイド・サディク氏はMUDA党首に復帰する見通し。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、6月25日)