8月14日、バンク・ネガラはマレーシアの2020年第2四半期のGDP成長率をマイナス17.1%と発表しました。これは、2009年の世界金融危機時の底(マイナス5.8%)、1998年のアジア通貨危機時の底(マイナス11.2%)を超えて、近年では最も悪い数字です。

図は世界金融危機時とアジア通貨危機時のマレーシアのGDP成長率の推移を現在の時間軸に重ねてプロットしたものです。過去2回の危機と比較して、今回は底が来るのが早い一方で深いことが分かります。月別の経済指標を見ると5月、6月と底を打ったものが多く、第3四半期の成長率はプラスにはならないまでも、マイナス一桁台にまで戻すと考えられます。

2009年の世界金融危機時には外需のショックが国内経済に波及し、1998年のアジア通貨危機時には国内金融システムの機能不全が成長率を引き下げました。これに対し、今回の大幅なGDPのマイナス成長は、活動制限令(MCO)によって直接的に経済活動を止めたことが主因です。マレーシアは大幅なGDPのマイナスと引き替えに、新型コロナウイルスの感染拡大を最小限に食い止めることに成功しました。

5月以降、経済活動は順次再開され、直接的な活動制限によるGDPの減少は速やかに解消すると考えられます。世界経済の減速や失業の増大、消費の減速の影響がどの程度マレーシア経済に影響しているのか判断するには、第3四半期のGDP発表を待つ必要があります。

 

 

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