今年のGDP成長予想、世銀がマイナス4.9%に下方修正

【クアラルンプール】 世界銀行は9月29日、マレーシアの2020年通年の実質国内総生産(GDP)について4.9%の大幅なマイナス成長と予想。従来予想のマイナス3.1%を下方修正した。
2020年10月版「東アジア太平洋経済アップデート」の中で世銀は、第2四半期に17.1%と大幅なマイナス成長になった要因として、新型コロナウイルス「Covid-19」拡大を防止するために発令された行動制限令(MCO)による内需の減少と外的要因を指摘。「一部の州で最近MCOが再開されたことに示されているように、全国的に規制措置が強化されるリスクがある」とした上で、「経済成長見通しに対するリスクは確実に下振れしている。予想以上に長引くとみられる世界的な景気回復は投資決定を妨げ、外需をさらに抑制する可能性がある」とした。
世銀は、「加えて失業率上昇や労働市場の弱さは、引き続き個人消費を圧迫するだろう」とし「これらの動向を反映して、ほとんどの需要要素(純輸出、個人消費、民間投資)は2020年に縮小すると予想される」とした。
一方、JPモルガンは、今年については経済活動の再開及び政府の景気対策が下支えするとして、マイナス5.8%と従来予想のマイナス7.7%を上方修正。輸出が例年並みに回復しているとしてきた。なお来年についてはプラス7.7%とし、今年の予想の上方修正を反映して従来予想のプラス8.8%を下方修正した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月30日、エッジ、9月29日)

2019年のマレーシアの賃金サーベイ

9月17日、マレーシアの2019年の賃金サーベイの結果が発表されました。月額賃金の中央値は前年から5.8%増の2,442リンギ、平均値は前年から4.4%増の3,224リンギとなり、経済成長率に近い順調な伸びとなりました。

図は月額賃金の中位値を教育水準別にみたものです。2018〜2019年で最も賃金が伸びたのは「教育なし」層で伸び率は23.2%に達しました。これは、最低賃金が2018年時点の半島部1,000リンギ/月、サバ・サラワク920リンギ/月から2019年に1,100リンギ/月に引き上げられたことが大きく影響していると考えられます。

その他の教育水準についての賃金の伸びは、初等教育が2.8%、中等教育が5.7%、高等教育が6.9%と教育水準が高まるにしたがって、賃金の上昇幅も大きくなっていることが分かります。

これは、マレーシアでは「画期的」なことです。これまで長く、マレーシアでは高等教育修了者の賃金の伸びが、初等・中等教育修了者を下回る状況が続いていました。高等教育修了者が増える一方で、経済の高度化がそれにおいつかず、人材の需要が抑制される状況が続いていたためです。

高学歴者ほど賃金が伸びることは、所得格差の観点からは注意が必要ですが、高所得国を目指す経済では望ましいことで、今後もこのトレンドが続くか注目されます。

この記事を書いた人

新型コロナ感染者が新たに89人、うち86人は国内感染

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は9月30日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から89人増えて1万1,224人になったと発表した。
新規感染者のうち86人が国内感染者で、残り3人は海外で感染した帰国者だった。新たに28人が退院し治癒者数は9,967人に増加した。死者数は2人増えてで136人になった。
保健省のノール・ヒシャム事務次官によるとマレーシア半島における感染者数が増加は、サバ州への旅行者が関連しており、9月20日以降にマレーシア半島で検出された感染者の63人はサバ州への旅行歴があった。
「NUセントラルモール」、「KLゲートウェイモール」、「サンウェイ・ピラミッドモール」、「スリアKLCC」などクランバレーのショッピングモールで感染者が検出されていることについては、保健省は施設閉鎖の必要はないとの考えで、これらの施設へ消毒を行うよう推奨しているという。
1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す基本再生産数(R0、R nought)に関しては、制御下であることを示す1.6を下回る1.39に止まっている。感染が拡大するサバ州のR0は1.42。

期限切れ国際免許使用特例を今後も継続=日本大使館

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 有効期限切れ国際運転免許で運転できる特例措置が9月末で切れることを受け、在マレーシア日本大使館は9月30日、行動制限令(MCO、復興のための行動制限令=RMCOも含む)中の運転特例を継続して認める旨の回答がマレーシア運輸省よりあったと明らかにした。

 マレーシア政府は、新型コロナウイルス「Covid-19」拡大抑制のためにMCOが発令された3月18日以降に有効期限が切れた運転免許証による自動車の運転を認める特例を発表していたが、8月28日、「8月31日付けで特例を廃止し、9月30日までに運転免許証の更新を行う必要がある」と発表していた。
しかし9月30日までの免許更新が困難な邦人が多いことから、岡浩大使がマレーシア運輸次官へ書簡で申し入れたところ、引き続き運転できるとの回答が書面であったという。ただしMCO(RMCO含む)が解除されてから30日以内に国際運転免許証を更新しなければならない。

信用取引の証拠金不足、救済措置を年末まで延長

【クアラルンプール】 株式の信用取引に関し、証拠金不足が生じた場合の特別救済措置が今年末まで延長実施される。
同措置は3月27日に導入され、9月30日に打ち切りの予定だったが、マレーシア証券委員会とブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)の共同声明によると、市場の安定を優先し延長を決めた。
通常は、投資家が追加証拠金を納入できず、委託証拠金100に対し建玉が130を下回った場合、信用を供与している証券会社は強制的に建玉を決済しなければならない。
特別救済措置では、強制決済を行うかは証券会社の裁量に委ねられ、債券、投資信託、金(きん)、不動産も証拠金として受け入れることができる。
救済措置を行うには、証券会社は自己資本比率と株主資本の要件を満たしていなければならない。
ある証券会社社員は、救済措置は強制決済が多数発生した3月事件の再発防止が狙いとコメントした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月29日、エッジ、9月28日)

エアアジア、数百人規模の整理解雇を再度実施へ

【クアラルンプール】 格安航空のエアアジアは、新型コロナウイルス「Covid-19」大流行によって大きな打撃を受けた業界で生き残るために、再び数百人規模の整理解雇を実施する模様だ。情報筋の話として「ベルナマ通信」が報じた。
関係者によると、エアアジアのリアド・アスマット最高経営責任者(CEO)は27日に行われた社内ミーティングで、現在の状況について非常に困難な問題に直面しており、現在の状態を維持することが出来ないと説明。多くの従業員を維持しビジネスを継続させるために最善を尽くしているとした上で、やむを得ず人員を削減する決断に至ったとした。
詳細は発表されていないが、対象となる従業員は72時間以内に通知を受けるという。解雇者は、医療給付、年末まで使用できるフライトクーポン、カウンセリングなどの支援を受けることができ、また経営状況が回復した際に再雇用のオファーを受けることができる。被解雇者の給与削減はないという。
また情報筋によると姉妹会社のエアアジア・エックス(AAX)でも整理解雇が検討されている。AAXのベンヤミン・イスマイルCEOは先ごろ、10月末までに「ラストイン、ファーストアウト(後入先出)」に基いて数百人の人員削減を実施すると発表した。またAAXでは、一部の従業員を対象とした6カ月間または状況が改善するまでの無給休暇取得や、基本給の全面的な見直しを実施する予定だという。
エアアジア・グループは6月初めに、250人以上の人員を削減している。
(ザ・スター、9月29日、ベルナマ通信、9月28日)

ファンジャパン、外国人スタッフに質問できるセミナー開催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本好きの外国人を対象としたコミュニティサイト「FUN! JAPAN」を運営するファン・ジャパン・コミュニケーションズ(本社・東京都港区)は、「外国人スタッフに直接質問できる座談会型セミナーベトナム・タイ・マレーシア編」を開催すると発表した。
ファン・ジャパンは、消費者の声を聞かずにマーケティングを行うことは困難だと指摘。海外となると社会や経済、好みや風習など日本とは異なる部分が多くあり、消費者を理解することはより一層難しい上、海外とひとくくりにすることはできず、その国ごとの特性があるとした。日本から直接現地の意見や声を収集することは難しいことから、同社に在籍する海外出身(マレーシア・タイ・ベトナム)のスタッフに直接質問を投げかけることのできる座談会型のセミナーを企画したと説明した。
セミナーの参加対象は、海外展開および訪日インバウンドの実務・マーケティング担当。10月2日の17時ー18時にかけてウェブセミナー開催する。参加料金は無料で、先着で200人が参加できる。
質問は、事前アンケートに記入する形で質問内容を受け付ける。セミナーの申込み完了後、送られてくる完了通知に記載されているURLより事前アンケートに質問することができるという。

感染者急増のサバ州の4地区、強化行動制限令対象に指定

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は28日、サバ州の4地区(ラハドダトゥ、タワウ、クナック、センポルナ)を強化行動制限令(TEMCO)対象地域に指定すると発表した。
TEMCOは特定のエリアを対象とした事実上のロックダウン(封鎖)で、96万2,661人の住民が影響を受ける。サブリ上級相は「保健相の助言を受けてTEMCO指定を決めた」と説明した。
指定期間は9月29日から10月12日までの2週間。指定地域住民は域外に出ることはできず、外部からの立ち入りも禁止される。必需品とサービスを除いて、すべての経済活動は停止となる。指定地域には医療拠点が開設される。
これらの地区では新型コロナウイルス「Covid-19」新規感染件数が9月1日から27日にかけて1,195件に上っており、内訳はタワウが634件、センポルナが255件、ラハドダトゥが241件、クナックが65件となっている。
サバ州への渡航歴のある人を経由して他州で感染クラスタが発生するケースも起きており、セランゴール州では9月13日から16日までタワウとセンポルナを旅行した夫婦を介したクラスタが発生している。

新型コロナ感染者が新たに101人、3日連続で3桁に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は29日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から101人増えて1万1,135人になったと発表した。新規感染者数が3日連続で3桁となった。
新規感染者のうち97人が国内感染者。サバ州で73人、セランゴール州で14人、ジョホール州で2人と、クアラルンプール(KL)、プトラジャヤ、ペナン州、ペラ州、ペルリス州、マラッカ州、ケダ州、クランタン州でそれぞれ1人確認された。残り4人は海外で感染した帰国者だった。新たに50人が退院し治癒者数は9,939人に増加した。死者数はゼロで134人を維持した。
保健省のノール・ヒシャム事務次官によると、セランゴール州で新たなクラスター「ジャランアパス・クラスター」が発生した。9月13ー16日間にサバ州タワウとセンポルナを訪れた夫婦が関連している。保健省はこれまでに接触者66人を特定し、6人の感染を確認した。
サバ州ではクラスター内感染が拡大しており、ラハダトゥ警察署が関連する「ベンテンLDクラスター」では感染者数が873人に上った。センポルナの「バンガウバンガウ・クラスター」は225人で、医療センターが関連する「スンガイ・クラスター」は99人、クナクの「プラウ・クラスター」は49人となった。

ハラル商品のマーケットプレイス、12月に立ち上げ

【クアラルンプール】 ハラル(イスラムの戒律に則った)産業の育成を支援するハラル開発公社(HDC)は、オンライン・マーケット・プレイス「ハラル・インテグレーテッド・プラットフォーム(HIP)」を立ち上げると明らかにした。
ハイロル・アリフェイン・サハリ最高責任者(CEO)は、12月に立ち上げを予定していると言明。5,000社の企業の出店と、20カ所の政府関係機関や銀行、保険、運送などのサービス機関の参加を見込んでいると述べた。ハラル産業に関わる企業の生産性や革新性の競争や、3兆米ドルと言われる世界のハラル市場に進出できる機会となり、輸出量の増加につながるとの期待を示した。国内のハラル商品の市場規模は700億米ドルだが、2030年までに1,500億米ドルまで拡大できると期待されている。
ハイロル氏はそのためHIPを立ち上げることで、国内のハラル産業企業や個人が新たな世界経済に進出するきっかけとすることができると言明。日本や台湾、韓国などの関連機関と協力して国内のハラル商品やサービスを輸出すると述べた。5年内に中国やベトナム、インドネシアへの進出も予定している。
ハラル認証の申請は中小企業からが多く、取得まで30営業日となっており、海外でも認知度は高まっている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月28日)