半導体チップ不足、国内産業に深刻な影響

【クアラルンプール】 世界的な半導体チップ不足は、多様な製品の生産遅延や生産コストの上昇を招き、国内産業にも深刻な影響を与えている。
ペナン州政府系投資会社インベスト・ペナンのリー・カーチョーン取締役は、英字紙「マレーシアン・リザーブ」の取材に対し、ペナン州ではパンデミック以来、サプライチェーンの混乱が続いているため、生産に影響が出ているとし、半導体を必要とする製品の増加だけではなく、半導体チップ不足を懸念する企業による在庫増加の動きも出ているため、しばらくは不足状況が継続するだろうとした。
マレーシア自動車協会(MAA)は、半導体チップなどの部品不足や出荷遅延により、4月の自動車総販売台数が3月の7万3,222台から23.2%減の5万6,213台となったと発表。アイシャ・アハマド会長は、半導体チップ不足は、自動車生産の中でも特に現地組立(CKD)に影響を及ぼし納車遅延の原因になっているとし、回復時期については現時点では予想ができないと述べた。
マレーシア半導体産業協会(MSIA)のウォン・シューハイ会長は、半導体チップ不足の影響を受け、国内での半導体部品の生産が滞っているとし、国内企業は、生産能力の向上を図っているものの、需要を満たすにはしばらく時間がかかるだろうと述べた。今後の見通しについては、ほとんどの半導体メーカーが増産体制をとっているため、徐々に需要が満たされていくと楽観視しているという。
(マレーシアン・リザーブ、6月13日)

JBとシンガポール間鉄道「シャトルテブラウ」、19日に運行再開

【ジョホールバル】 マレーシア国鉄(KTMB)は、ジョホール州のジョホールバル(JB)・セントラルとシンガポールのウッドランドを結ぶ国際列車「シャトル・テブラウ」の運行を6月19日より再開する。新型コロナウイルス「Covid-19」の感染拡大に伴い2020年3月24日に運行を停止していた。
ウィー・カション運輸相によると、JB・セントラルーシンガポール・ウッドランド間を1日18本、ウッドランドーJB・セントラル間を13本、計31本運行する。運行間隔は30分。1日当たりおよそ7,000人の利用を見込んでいる。運賃はJB・セントラルーシンガポール・ウッドランド間が5リンギ、ウッドランドーJB・セントラル間が5シンガポール・ドル(15.86リンギ)。
ウィー・カション運輸相は13日、ジョホールバルとシンガポールを結ぶ高速鉄道輸送システム(RTS)の現場視察を行った。工事の進捗率は17%で、2026年12月の完成、2027年1月の営業開始に向けて順調に進んでいるとした。
(ザ・スター、6月14日、ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、6月13日)

マツダ車販売のベルマツ、昨年度は増収増益

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マツダ車の販売代理店で、ベルジャヤ・グループのベルマツ・オートは13日に昨年度決算報告(2021年5月ー2022年4月)を発表し、売り上げが前年比1.63%増の2億3,251万リンギ、純利益が同16.35%増の1億5,572万リンギとなったと明らかにした。
現地組立(CKD)車などの販売台数が増加したこと、対日本円でリンギ高となったこと、フィリピン事業が好調だったことなどが増収増益に貢献した。国家復興計画(NRP)の第1フェーズによりロックダウンが行われた影響で第1四半期(2021年5ー7月)は、マツダ車の販売台数は一時減少した。しかし、2020年と2021年にプジョー車の販売事業と製造事業を買収したこと、2021年に起亜車の販売・製造を行う合弁会社を設立したことが奏功し、プジョー車と起亜車の販売台数が増えたことがマツダ車販売減の影響を相殺した。
第4四半期(2022年1ー3月)の売り上げは、前年同期比40%プラスの8億9,736万リンギ、純利益は17.8%プラスの7,870万リンギだった。
ベルマツ・オートは、売上・サービス税(SST)の減免措置や新型コロナウイルス「Covid-19」のエンデミック(風土病)段階への移行に伴う規制緩和が販売増につながっていると指摘。しかし半導体や部品不足が販売台数の回復を妨げる可能性があると懸念を示した。

食品の変動制上限価格制度、政府が導入方針固める

【クアラルンプール】 連邦政府は、食糧安全保障の強化に向けて食品の変動制上限価格制度を導入する方針を固めた。イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相が13日、明らかにした。同日に開催された経済行動評議会(EAC)会議で決定した。

変動制上限価格は、サプライチェーンにおける様々な価格決定要因に基づいて調整されることになるという。イスマイル首相は食糧価格高騰に苦しむ貧困層に的を絞って直接支援を行うという政府の計画に沿ったものと説明した。
EACはまた会議の中で、耕作面積増加による食料の輸入依存軽減に向け、連邦政府と州政府間の協力強化が必要という点で合意。また農産物の国産率を上げるためのスマート農業アプローチを奨励するほか、農業の近代化に関する官民パートナーシップの強化でも合意した。
イスマイル首相は、家禽産業を例に挙げて、政府機関がエコシステムに関与できれば、飼料や輸送、マーケティングなどに遡って鶏肉の供給やコストを管理できるとした。マレーシア政府は、政府関連企業(GLC)、政府関連投資会社(GLIC)、政府機関が主導するサプライチェーンにおいて農産物のエコシステムの拡大を目指しているという。
同日のEAC会議では、国内におけるビジネス環境の改善や電気・電子(E&E)セクターの労働力不足対策についても話し合われ、政府はエンジニア1,000人と技術者1,000人を対象としたトレーニングと配置プログラムの実施で同意した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、6月13日)

新型コロナの新規感染者数は2092人、3日ぶりに2千人超え

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染症に関する情報提供サイト「コビドナウ(COVIDNOW)」によると、13日の新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は2,092人で、累計感染者数は452万8,390人となった。
新たに1,876人が回復し、累計治癒者は447万67人となった。死者数は4人で、累計は3万5,716人。アクティブ感染者は、前日から212人増の2万2,607人だった。うち95.5%が自宅、0.1%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、4.3%が医療機関、0.2%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は67.5%に上昇した。
同日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は2,714万8,640人で、接種率は83.1%。ブースター接種完了者は1,611万9,272人で、接種率は49.4%だった。
新たに発生したクラスターはゼロで、現在感染者を出し続けているアクティブなクラスター数は4カ所だった。

刑罰が死刑のみの重大犯罪、減刑裁量を裁判官に付与へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 連邦政府は、刑罰が死刑のみに限定されているテロ行為などの11の重大犯罪に関して、裁判官に情状酌量に基づく減刑の裁量を与える方針を固めた。ワン・ジュナイディ首相府相(法務担当)が明らかにした。8日の閣議で了承された。
刑罰が死刑のみとなっている犯罪は、国王やスルタンに対する暴力行為やテロの実行や支援行為、危険薬物密輸に関するものなど。ワン・ジュナイディ大臣は実現に向けては法改正も含めて様々な検討分野があるとして、いつまでに実施するかなどの詳細については言及を避けた。一方、イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は裁判官に減刑に関する裁量権を与えるだけであって、死刑という刑罰そのものを廃止する訳ではないと説明している。
マレーシア弁護士会は、刑罰が死刑のみの犯罪に対する刑罰に裁量を認める方針を示したことには賛意を表した上で、実施スケジュールが明かされなかったことを批判。速やかにスケジュールを発表し必要な法改正を行うべきだと指摘した。
マレーシア政府は2020年の国連で行われた死刑反対決議に賛成票を投じており、弁護士会や人権団体は死刑廃止に向けた早急な国内法の整備を政府に求めているが、国内では死刑存続を求める声も根強い。
また昨年11月時点で、マレーシア国内にはいまだ1,359人の死刑囚が未決のまま刑務所に収監されており、死刑囚に対して減刑が実施されるかどうかも不透明だ。

飲料水のスプリツァー、設備投資に過去最大の1億リンギ

【ジョージタウン】 大手飲料水メーカーのスプリツァーは、今年1億リンギの設備投資を行うと明らかにした。生産ラインと水処理工場の新設、機械の更新、昨年取得した土地の費用残金を支払う。
ケニー・リム最高経営責任者(CEO)は、英字紙「ザ・スター」の取材に対し、1億リンギの設備投資は、同グループにとり過去最大で、年産能力は8.5億リットルから9億リットルに増加するとした。生産ラインと水処理工場の新設に2,500万ー3,000万リンギ、ミネラルウォーター製造施設用に取得したペラ州ブキガンタンの1,227エーカーの土地費用残金として7,610万リンギを割り当て、5年以内に製造施設を開設する予定だ。
タイピンの既存工場の稼働率は約70%。昨年はタイピンとジョホール州ヨンペンのミネラルウォーター工場の土地をそれぞれ7.4エーカー、6.1エーカー拡張し、新たに土地5カ所を合計350万リンギで取得。今年1月には、既存工場に隣接する土地(約60エーカー)を総額620万リンギで取得した。
リムCEOは、最大の懸念事項は原材料の高騰であり、樹脂価格は2020年は1トン当たり3,200リンギだったが、現在は5,800リンギに上昇したと言明。ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)を包装材として使用しており、利幅が圧迫されていることから、昨年12月に販売価格を5%ほど引き上げたと説明した。今後、原材料の価格が上昇し続ければ、再度価格調整の必要もあるという。
一方でリムCEOは、今月1日に新しい企業ロゴを発表したとして、下半期には再生プラスチックの包装材利用を開始し、ラベルデザインも刷新すると述べた。またバリューチェーン全体のプロセス、市場占有率、販売量を常に改善し、国内飲料水業界で首位維持を目指し、中核ブランドへの投資、生産工程と生産能力の自動化、事業機会の追求、持続可能なパッケージ導入にも注力すると言明。ミネラルウォーターの利点や人体に悪影響を及ぼす可能性のあるマイクロプラスチックの混入がない点を強調するなど、製品の差別化を行い、コスト上昇の監視・管理対策、オンライン販売や海外市場の拡大などにも取り組むとした。
スプリツァーは、1989年に飲料水の製造・販売を開始。飲料水で40%の市場シェアを持ち、2000年9月にブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)メイン市場に上場した。
(ザ・スター、6月13日)

KLとスバン空港結ぶスカイパークリンク、運賃を3.5リンギに

【クアラルンプール】 ウィー・カション運輸相は9日、クアラルンプール(KL)のKLセントラル駅とスバン空港とを結ぶ路線「スカイパーク・リンク」の片道運賃を、同日付で10リンギから3.5リンギへ値下げした(キャッシュレス決済の場合。現金の場合は4リンギ)と明らかにした。
運輸省は値下げの理由について、スカイパーク・リンクを運営するマレー鉄道(KTM)が、運営するKTMコミューター線と運賃体系を統一したと説明。新運賃は競争力があり、交通費の負担を軽減することができるとしている。
運行スケジュールも、1日25本から32本に増便した。KLセントラルからスカイパーク・ターミナル(スバン空港)への始発は5時55分、終電は19時25分、スカイパーク・ターミナルからKLセントラルへの始発は6時45分、終電は22時45分となる。
スカイパーク・リンクは全長26キロメートルで、2018年5月に運行を開始。パンデミック期には一時的に運行を停止したものの、2021年10月に再開している。来年は1日3,000人の利用を目標としている。
(ポールタン、6月10日、ソヤチンチャウ、6月9日)

宗教指導者の「盆踊り大会」の改称提案に批判の声

 【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イドリス・アハマド首相府相(宗教問題担当)がムスリムに対してセランゴール州とペナン州で開催される予定の「盆踊り大会」に異教要素が含まれていることを理由に参加しないよう呼びかけた問題で、ペルリス州ムフティ(宗教指導者)のモハマド・アスリ・ザイヌル師が解決案として「盆踊り大会」の名称を変更することを提案し、再び批判の声が上がっている。



モハマド・アスリ師は、盆踊り大会を「問題なし」とするセランゴール州スルタンやペナン州政府、マレー・リベラル派とイドリス首相府相やペナン州ムフティのワン・サリム師などの「問題あり」とする側の対立状態となっていことに言及。双方の対立を鎮めるために、イベントの名称を「日本文化フェルティバル」などに改称することを提案。警察に対してはイベントの監視を行うよう提言した。


中身は変えずに事なかれ主義的に済ませようという案だが、「宗教当局は我々の信仰が欠けていてイベントに簡単に影響されると思っているのか?もっと他に重要なことに取り組むべき」とか「名前を変えろというのなら、他の外国のイベントもすべて変えろというのか?」、「改称を求めるのは外国の文化に失礼」、「日本に対する侮辱」といった声が上がっている。


イドリス首相府相の発言に対して、当初からリベラル派や非マレー社会から批判の声が上がっており、セランゴール州やペナン州政府も当初の予定通り実施する意向を表明した。続いて盆踊り大会に参加経験のあるセランゴール州のスルタン、シャラフディン・イドリス・シャー殿下が開催を許可するよう同州当局に指示するなど保守派を牽制することで事態は収まるかに見えたが、イドリス大臣が所属する原理主義政党・汎マレーシア・イスラム党(PAS)などがスルタン発言を無視してムスリムに参加自粛を求めており、双方による主張の応酬となっている。

新型コロナの新規感染者数は1571人、病床使用率は66.3%

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染症に関する情報提供サイト「コビドナウ(COVIDNOW)」によると、12日の新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は1,571人で、累計感染者数は452万6,298人となった。
新たに1,887人が回復し、累計治癒者は446万8,191人となった。死者数は1人で、累計は3万5,712人。アクティブ感染者は、前日から317人減の2万2,395人だった。うち95.4%が自宅、0.1%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、4.4%が医療機関、0.1%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は66.3%だった。
同日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は2,714万2,837人で、接種率は83.1%。ブースター接種完了者は1,611万7,584人で、接種率は49.4%だった。
新たに発生したクラスターはゼロで、現在感染者を出し続けているアクティブなクラスター数は4カ所だった。